情報誌タートル 第46号

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【巻頭言】

「タートルに励まされて」

理事 杉田ひとみ

私にとって、これまでタートルの活動に参加してきたことは常に心の支えとなってきました。タートルに出会えたことは大きな幸いと言えます。

視力低下により職場で行き詰まっていた時期に、今は亡き篠島栄一先生にお会いしたのが始まりでタートルを知り、活動にも参加するようになりました。そのころは交流会にも女性の参加者はほとんどいらっしゃいませんでした。時々相談会に参加したり、交流会講演の文字起こしデータを情報誌に掲載するための、まとめ作業を手伝ったりしていました。

実は、この作業は講師のお話を熟読できるだけでなく、大いに文字入力や編集の訓練になりました。また、交流会に参加して皆さんの発言に耳を傾けながら、感心したり共感したりで、自らが抱える問題に照らして見て、自身の生き方を考える参考にさせてもらっていました。気持ちの持ち方で取り巻いていた難問が些細なことに思えたり、今できることにチャレンジする気力のもとになっていました。

タートルと出会った当時、森首相の「IT革命」の提唱があり、私が住んでいる自治体でも市民を対象にIT講習会が盛んに実施されていました。タートルの皆さんに触発されたというか、積極性のスイッチが入ったというか、市に視覚障碍者対象のIT講習会の実施を働きかけたり、市の公式サイトについて視覚障碍者への配慮を申し出て、担当部署に情報を提供したりしました。また、地元のパソコンボランティアグループの設立に協力したりと、それまでの私には考えられないような行動でした。今思うとタートルアドレナリンが全開だったのか、恥じ入ってしまいます。

さて、私の仕事は病院マッサージ師で、運動療法や機能回復訓練など、いわゆるリハビリテーション部門に30年間所属していました。視力低下が進んでからは入院患者の担当を外れ、乳幼児の訓練と物理療法室を担当していました。これは保険点数の関係でPTが増えたことと、私の視力低下による医療事故のリスクを考えての配慮でもありました。自前のパソコンとスキャナー、プリンター、それに拡大読書器を持ち込んで、診療記録や指示書、会議資料等の処理をしのいでいました。

しかしある日、私の担当診療室で高齢の外来患者がベッドに腰かけて靴を履こうとして、前かがみになったところで床に転倒し、額を切る事故が起きました。その方は歩行も安定していて特に介助は不要の方でしたが、たまたまバランスを崩したのでしょう。私はその時、他の患者に対応していて、現場は目撃していませんでした。しかし私の担当範囲だったということで事故報告書を提出しなければなりませんでした。直接的な落ち度はなかったにしろ、やはり病院管理側の目は厳しくなったと感じました。それまでもいろいろと配慮はしてもらっていましたが、その件があってから、私も限界を痛切に感じるようになりました。

そんな折、人事課から勤続年数と年齢による早期退職の勧奨があり、多少迷いましたが結局応じることにしました。正直に言えば、仕事のストレスから逃げたかったのが本音だったと思います。ぎりぎりのスタッフで仕事を回しているので、同僚にサポートを求めるのは厳しかったです。専門職は他部門への配置換えもできないのがつらいところでした。この時期は体調も悪く、否定的な考えに沈んでいたように思います。

退職後は、とにかくハローワークに相談に行きました。幸いにも某大学病院のヘルスキーパーの職をすぐに得ました。今度は障碍者としての採用です。立ち上げたばかりの「リフレッシュルーム」で、そこで勤務している職員が対象です。利用率も徐々に伸びていました。そこではスタッフ用のパソコンとスクリーンリーダー(JAWSとPC‐Talker)を導入していただきました。パソコンによるカルテ管理とホームページ上の予約管理の仕組みを提案しました。その際は、コンピューター管理部門の方が協力的でとても助けられました。

その後拡大読書器も設置されました。ここでの職場環境の改善や機器の設置による業務の高率化について、管理者にきちんと交渉することができたのも、タートルに関わっていていろいろな情報を持っていたからこそ、実現できたものと思います。それまでに勉強してきたパソコンのスキルもここでは大いに役立ちました。

一方、肝心のマッサージ業務は技術には自信もあり、指名もけっこうありましたが、年齢的に体力が続きませんでした。とてもきつかったです。もったいない話ですが、数年で退職してしまいました。まあ、そろそろリタイヤしてもいいかなという心境でしたので、定年には少し届きませんでしたがここまで働き続けられたことに感謝するとともに、よく頑張ってきたとも思いました。

さて、タートルでは篠島先生の後任として2010年から事務局長を7年間務めさせていただきました。事務仕事の経験が全くない私に、よくも務まったものだと思っています。私としては恩返しのつもりで精一杯務めさせていただきましたが、行き届かないことばかりで申し訳なかったという思いもあります。最近のタートルの活動はとても勢いがあると感じます。資金不足が悩みの種ですが…。女性の活躍も目立ちます。嬉しいことです。さらに次世代の皆さんのパワーが加わり、活動を積み重ねていくことを期待しています。タートル会員歴20年、長くもあり短くもあり!!これからも陰ながら恩返しをしていければと思っております。

なお、末筆ながら、タートル44号総会報告の中で、松坂理事長から総会時の答弁について訂正と謝罪のお言葉をいただきましたことに対し、お礼申し上げます。

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【11月交流会講演】

「目がみえなくてもICT機器を使って少しでも豊かな生活を」

スラッシュ副代表「やまさんの森」主催者
山賀 信行(やまが・のぶゆき)氏

山賀信行と申します。よろしくお願いします。

何となくスライド風のものを書いて来たので、これに沿って話をしていきたいと思います。今回はスラッシュのことと、「やまさんの森」の2本立てで、30分ぐらいずつ均等に分けてお話をしたいと考えております。

視力的なことを言っておいた方が良いかと思います。私は全盲なので、活字を読むことはできない状態です。4歳の時にスティーヴンス・ジョンソン症候群という病気により失明をしました。失明当初はたぶん弱視ほどは見えていたのですが、今は全盲です。

まず、先にスラッシュの話をしていこうかと思います。スラッシュという名前でだいぶ皆さんの耳馴染になっていると思いますが、今は「NPO法人スラッシュ」という名称で活動をしています。

(読み上げ音声)
杉並区で26年にわたり視覚障害者のパソコン利用のサポートを行っています。

(山賀氏)
聞こえていますか。一応パソコンが読んでいますが。

スラッシュ自体は、91年の6月15日に発足して活動をしています。ずっと個人事業の形で活動していましたが、98年以降は杉並区から視覚障害者のデイ・ケア施設の認可を受けて活動をしていました。しかし、これは過去形になります。なぜなら、2015年の3月にこの助成が切れてしまったからです。そこで、それを機にNPO法人格を取って活動を継続していますが、今は法的支援が何も受けられていない状態になります。

資金はどうしているかというと、基本的にはご利用いただく皆さんからの受講料であって、1時間1,500円で設定しています。基本的にはこちらだけです。あとはパソコンの設定時やメンテナンス時に別途代金をいただいていますが、ほぼ家賃と光熱費で飛んで行ってしまうのが現状になります。そういうことで資金繰りは大変厳しい状態です。

そこで、今はジャパンギビングというクラウドファンディングのページや、スラッシュのホームページ上を使って、銀行振込と郵便振替による寄付を募っています。また、使えなくなったパソコンを寄贈いただいて業者に買い取ってもらい、それを運営資金に充てる形で何とか運営しているというのがスラッシュの現状になります。

では、「パソコンの利用は今までどうだったのか」という視点で振り返ってみたいと思います。まず、テーマとして「活字へのアクセス」を考えてみようと思います。パソコンが出てくる前という話です。いろいろと思い起こしていただくと、パソコンが無い時には「活字を読む」ということは、ほとんど無理だったのかと思います。さらに「言葉の意味を引きたい」「辞書を引きたい」と考えた場合はどうだったでしょうか。私自身が点字使用者なので点字を例に考えてみたいと思います。

今、こちらには本棚の写真が大きく出ていると思います。これは何の本棚かというと、辞書が入っているわけです。5段のうち上から3段が英語の辞書、下の2段が国語の辞書。どっさり入っていると思います。英語の辞書は、確かトータルで100巻あるはずです。

私もこちらの辞書で勉強したわけではないので知ったようなことを言ってしまいますが、例えば英単語を1つ引くにしても、パソコンが出る前には100冊ある辞書からその項目が書かれている本を探してきて、そこからまたページをめくって内容を調べるということで、大変な労力がかかっていたわけです。

しかし、パソコンが出て来てどうなったかというと、パソコン上で辞書が引けるという素晴らしいことが起きるのです。キーボードを叩けば文字が読めるようになるのですから、これはとてもありがたいことです。かつ、データがあれば、パソコンで普通に文字が読めるという画期的な変化が起きたわけです。

このDOS(MS−DOS)が出始めた頃から、スラッシュはちょうど活動を始めました。今日お話を聞かれている方の中で、DOSを使わた方はどのくらいいらっしゃいますか。私がパソコンを触り始めたのもDOSの時でした。DOSの最後の方になりますが、印象としてはとにかく難しかったですね。何が難しかったかというと、コマンドを知らないと何もできなかったのです。しかも小学生だったので、DOS独特の英語のコマンドが全くわからずに、言われるがままに操作をしていました。「これを入力すればこうできる」というのはわかるのですが、そのコマンドをどうやって知るのか、それが私には大きな謎でした。

同じようなことがDOSを使い始めた人たちの中にもあったようですし、そもそも使い始めるまでの設定も大変だったと聞いています。いつもトラブルが起きていたという話も聞いています。そんなこともあり、手助けできる場が必要だろうということで、亡くなられた圓山光正先生がご夫婦でスラッシュを立ち上げられて、活動を始められたわけです。これがスラッシュの経緯になります。読み上げもありましたが、DOSパソコンでは点字ディスプレイをつなぐ手法もできていました。

そして、Windowsが出てきた頃から、私もパソコンをだいぶ触るようになりました。Windowsになった時に何が変わったかと言うと、たぶん同時にインターネットが使えるようになって、急速に普及し始めたことがありました。これが1つの大きな変化だったと思います。かつ、DOSの時と違ってメニューから様々なことを選べるのが、私にとってはものすごく画期的でした。それで「これを開くとどうなるんだろう」「ここに入っていくとどうなるんだろう」と、ウィンドウを山ほど開いてパソコンが止まってしまい、2か月後ぐらいにはパソコンが壊れるという経験もしました。

活字という部分でいうと、インターネットが見られることで、リアルタイムに様々な情報が手に入るようになっていった時代です。ニュース記事を読んだり、その時に欲しい情報を調べたりすることもできました。あとは、サピエの登場もこの頃からになります。自分のペースや自分のタイミングで、点字図書やデイジー図書を手に入れて読めるようになったことが、Windowsパソコンの出現で変化した部分なのかと思います。

つまりDOSの時はすごく難しかったことが、Windowsになってメニューから操作できる簡単さが出てきたわけですが、今ではスマートフォンやタブレットも登場して、さらに様々なことができるようになりました。カメラを利用して文字を読み取ったり、色を識別したり、明るさを認識したりというように、多くのことができるようになっています。

実はiPhoneが出始めた頃に、「スラッシュはもう要らなくなるのではないか」と一時期考えたこともあります。DOSの時はコマンドを覚えるのが大変でしたし、Windowsの時もやはりメニューを覚えないといけませんでした。しかし、iPhoneになって何が変わったのかと考えると、画面を触れば何か言いますし、開けば何でもできるのです。そして、困った時はホームボタンを押して戻ってしまえば良いのですから、簡単さがさらに増したような気がします。ですから、「皆さんを手助けするスラッシュのような存在は不要なのかな」と考えたことも実はあります。今、出ている写真は、iPhoneで文字認識をしているところです。

ただ、どこまで便利になっても「困る」という現象は起きるわけです。パソコンもそうでしたが、何かトラブルが起きると量販店やメーカーのサポートに駆け込んでも、電話でキャリアのショップに駆け込んでも、基本的には健常者向けのサポートしか受けられないのです。結局、問題解決にはつながらないという事実に結構出会うのです。これもだいぶ減ったとは思うのですが、それでも2か月ぐらい前でしょうか。やはり、こういうことがありました。

iPhoneでの事例です。どうやら動いているようで、Voice over(ヴォイスオーバー)もオンになっているようだが、喋らないというのです。触ると「プチッ」と音がしたり、フリックすると端のほうで「コーン」と音がするので、Voice overはどうやらオンのようだが、喋らないのだと。そこで、見える人にヘルプを求めたら「画面が暗くなっているよ」と言われたそうです。iPhoneを使っている方は、一度はこういうことを経験されているのではないでしょぅか。Voice overはオンなのに、画面は暗くなっていて、読み上げが切れているような状態です。「経験があるよ」という方はどのぐらいいますか。会場の声を聞くと結構いるようですね。

これの一番悲しいところは、簡単なジェスチャーですぐに直ることです。3本指で2回タップすれば読み上げが始まります。目で見たければもう一回足して3本指で3回タップ、ズームをオンにしている方は4回タップすれば直るという話です。たぶん知っている人に聞けば30秒もかからないで解決してしまう内容ですが、これをお店に持っていくと悲劇です。初期化をされるパターンがまず1つあります。または故障扱いとして修理に出されてしまいます。

それで何が悲劇かと言うと、直って戻ってくるわけですが、新品の状態なので最初から設定を作り直さないといけませんし、その日のうちには戻って来ないわけです。そういうことが結構起きているようで、スラッシュにも電話がかかってきます。そういうお手伝いをするようになって、「どこまで行っても、やはり視覚障害者向けのお手伝いは必要なんだ」と思い知ったエピソードになります。

音が出なくなることは、パソコンでもスマートフォンでも、タブレットでも困るわけです。とにかく一番多いのは、「音が出なくなりました」「喋らなくなりました」「動かないようです」という話であって、これが間違いなく圧倒的に多いケースとなります。

最近、その次に多いのは「インターネットが繋がらない」という話です。その辺の話がもう頻繁に毎日のように飛んできます。しかし、ネットが繋がらなくても、喋らなくても、大体の場合はインタビューをすることでほとんど解決ができます。例えばパソコンの場合なら、「どうもその前にネットリーダーの検索をしようとしていたらしい。きっと(コントロールキーと間違えて)Fnキーとファンクションの2番を押したのではないか」等と考え、トラブルを回避するような方法を日々行っているのです。

また、スラッシュを訪れる方はどうかというと、こちらにもありとあらゆる方がいらっしゃいます。「今からパソコンを始めます」「これからiPhoneを買おうとしています」というように、本当に初めの「は」からというパターンの方。そして「買って既に使っているが、何か思うようにいかない」ということで知識を補充していく方。またこれからの時期には「年賀状を作りたい」ということで訪れる方もいます。

そして、年賀状を作るのにもいろいろなパターンがあります。住所録の整理を一緒にするところから始める方や、住所録はできているので絵柄を一緒に選んでほしいという方もいます。場合によっては全く手ぶらで来る方もいます。例えば「去年のハガキはこれなので、この方たち全員に出したいです」という場合、住所録を作るところから始めないといけません。他には、一式全部揃えて持って来られて「あとはお任せでお願いしたい」という方など、多種多様です。

ただ、年賀状に関しては、私はほとんどタッチしていません。うちの見えるスタッフのほうがよく知っていますからお願いしています。私はそれを横目で見ながら、先ほど言ったメンテナンスや問い合わせの対応をするというのが、多分これから年末にかけてスラッシュの中で行われていくと思われる光景です。

そして、今一番多いのは「iPhoneやiPadを使いたい」という話になります。「これから買いたいのです。だけど、今は持っていなくて、買っても使えるかどうかわかりません」といった問い合わせです。そういう時は一度来てもらい、試しに触ってもらっています。そして、どの程度使えそうなのかという雰囲気をつかんでもらい、私から「そのくらい触れれば大丈夫ですよ」とか、「もう少し練習してからの方が良いかもしれませんね」などとコメントをしています。

また、意外と多いのが「iPhoneを2〜3年持っているが、上手く使えません」という方です。そういう方たちが来た時には「とりあえず電話をとって、切ることができますか」と聞くと、皆さん意外とこれができていないのです。持っている方はご存じかと思いますが、「2本指でトントンとすればとれますよ。トントンとすれば切れますよ」と言うと、知らない人が意外と大勢いて、お教えするだけでものすごく喜ばれます。「今まで応答ボタンを探していたんです」「切るボタンを探していたんです」というリアクションもよくいただきます。

そういう形で様々なことをしていますが、「3本指で画面が暗くできますよ」とか、「コピーができますよ」とお教えすると、大体先ほど言ったトラブルに遭遇してしまうのです。3本指で3回叩いたり4回叩くのはとても大変です。しかも、小気味よくやらないといけないので、3本指で3回のつもりなのに、「トントン、トン」と叩いてしまうと音が消えてしまいます。日々そんな形で、スラッシュでは視覚障害者のパソコン、スマートフォン、タブレットその他機器の利用のお手伝いをしています。

今はiPhoneとパソコンの話だけでしたが、私も愛用しているブレイルメモの使い方や、プレクストークやブレイルセンスについても教えています。基本的にできることは何でもしています。時には「新しく買ったICレコーダの説明書を読んでほしい」といった形で来る方もいらっしゃいますし、何でもありです。基本的に「NO」とは言わずに受ける主義ですから、いま私が挙げたもの以外でも「スラッシュに行けば、何とかしてもらえるかもしれない」というものがあればご相談ください。

さて、一度は「必要のない存在になるかもしれない」と思っていたスラッシュですが、今日お話してきたように「何とか頑張って続けていきたい」というのが、今考えていることになります。ニーズがあることは重々承知していますし、必要としてくださる方が大勢いることも身にしみてわかっています。今もメンテナンスを頼まれているパソコンが数台あるため、これをどう処理しようかという感じでここにおります。

そして、今一番スラッシュで困っているのは、とにもかくにも運営資金の確保をどうしようかということです。この話だけを聞くと「そんなの、いろいろなところが助成してくれるよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、助成金は意外と運営資金に充てられないケースがあるのです。そうでない場合も時々あるのですが、やはりどこでもそういう助成金が欲しいようで、競争率が高くてなかなか取れないのです。

例えば「パソコンを買いたい」「新しく出たブレイルセンスを買いたい」という時は意外と助成金が取れます。しかし、実際に運営をどうにかしたいとか、人件費にしたいという場合は、そういうケースがなかなかありません。それで、資金調達をどうすればよいのか常に困っています。とりあえず、項目としては法の中にも無いのです。紙の上に記載が無いものに対して、行政はなかなか「ウン」とは言ってくれませんから、今は突破口が見い出せていないような状況です。

そんな状態ですが、1つできることとして、最近は「夜教室」というものを行なっています。普段スラッシュの活動は10時から5時ですが、スタッフの都合がつけば第2と第3金曜日の夜に限り5時から夜の8時も教室を開いています。仕事帰りにちょっと寄って、ご利用いただければ良いかと思います。夜なので少し値段を上げさせてもらって、30分1,000円の換算で行っています。少しでも運営の足しになればいいなと思っています。

それ以外には、最初申し上げたようにジャパンギビングというサイトを使い、クラウドファンディングで資金を募っています。来月12月は全国的にもちょうど「寄付月間」なので、ジャパンギビングでもキャンペーン活動を打ち立てています。通常、クラウドファンディングでお金を集めると、10%や15%の手数料を運営元に払う形になりますが、来月の寄付月間中は手数料が5%になります。そこで、より多くの資金を集められたらいいなと思って、準備をしています。

また、どういう形で理解を得ていけば良いかと考え、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)のページ等で情報を発信しています。私は、様々なIT関係の企業さんが連携してスラッシュを応援くださればいいなと常々思っていて、こういう話を事あるごとにいろいろな場所でするようにしています。

先ほど、スラッシュの活動に該当する助成金が何も無いという話をしましたが、今、第4次障害者基本計画が決まって、その中にはITに関係するものが出ています。つまり、「障害者に対するIT支援センター、サポートセンター等を設置しましょう」「そういうことを地域でやっていきましょう」というような名目がはっきり書いてあるので、東京都でも国でも、地元の杉並区でも「何か手を打ってくださるに違いない」と、今は期待をしています。

ただ、秋口に問い合わせをした時には「まだ何も決まっていません」と言われてしまいました。決まっただけで、何も形になっていないことにがっかりしたというのが補足になります。では、スラッシュの話はここまでにします。

それでは、後半の「やまさんの森」についての話になります。「やまさんの森」熱が、ここでも意外と高くて驚いています。なぜ「やまさんの森」というページを作ることに至ったのかという話ですが、もとをたどればスラッシュの前職でも似たような仕事をしていて、そこでのエピソードに基づいているわけです。

先ほど活字を例にお話をしたのですが、かつてパソコンは活字を書くための道具だったと思います。文書を書いて印刷したり、ハガキを印刷して出すということが目的だったと思います。しかし、スラッシュに来る人たちもそうですが、最近では基本的に「インターネットをしたい」というニーズがものすごくあるのです。やはり「周りがしているので、私もやってみたい」という形で、「YouTube(ユーチューブ)で音楽を聞いてみたい」とか「検索をしてみたい」という話もあるし、「買い物をしてみたい」という話もあります。しかし、「やまさんの森」がない時には、なかなかそれが上手くいかない現実がありました。そこで何とかしたいと思って作り始めたのが「やまさんの森」になります。

ご存じない方もいるかもしれないので画面を出してみますね。ここでは何が問題なのかというと、検索のスタートは意外と何とかなります。YouTubeでもGoogleでも、Amazonでもページを開けばすぐに文字を打つところは出てきます。そこまでは良いのですが、肝心なのはその先なのです。1番大事な「結果を見る」という部分が大変なのです。せっかく検索をしたのに結果を見に行く前に、途中で気持ちが萎えてしまうことが多分にあったのです。「もういい」という感じですね。結果まで見に行けると面白いことがたくさん待っているのに、その一歩手前、二歩手前でキーを押すのに疲れてしまい、見るのを諦めてしまうという状況に何回も出会ったのです。

そこで、「それを何とかしたい」と思って始めたのが、「やまさんの森」です。今、映っているのは皆さん既にお馴染みの画像かと思います。ちなみに、この会場で「やまさんの森を使っています」という方は、どのくらいいらっしゃいますか。声を聞くと大勢いるようですね。では、拍手の方がわかりやすいので、聞いてみましょうか。「使っていますよ」という方はどのくらいいますか。

(会場拍手)
(山賀氏)
なるほど、こんなにリアクションがあるとは思いませんでした。大変嬉しいです。つまり、このページには今申し上げたものが基本的に全部そろっているのです。Googleのほかに、Amazon、YouTube、クックパッド、ヤフー、楽天等々も取りそろえています。いろんなものを「準備して」と頼まれるのですが、あれもこれも作っていると大変なので、どれが一番必要なのかをチョイスしながら、こうしてメニューを次々と増やしてきました。

最近、増やしたものには「Radikoタイムフリー検索」があります。こちらが一番新しいコーナーで、日付と放送局と時間を指定すると、その時間の放送がすぐに聞けるページまで移動ができます。理想は移動をするとすぐに再生が始まることですが、その辺はRadiko次第であるため、泣く泣く我慢をしながら聞き方を注意事項に書いています。私自身は、検索で開くとすぐに放送が流れるところまでいくことが理想形です。

さて、先ほど伺ったところ「既に使っている」という方が大勢いらっしゃったので、敢えて触れなくても良いかもしれませんが、お馴染みの検索をGoogleで試してみたいと思います。グーグル先生ですから、平仮名でいいと思います。今、平仮名で「やまさんのもり」と書きました。エンターで検索をしました。

さて、ここから「やまさんの森」まで、何回タブキーを押せば到達できるかという話になります。1つ、2つ、3つ…9つですが、これで到達できれば良い方でしょうか。同じことを「やまさんの森」の画面でしてみます。「やまさんのもり」と打って、検索後にタブを1つ押すと1回で到達できます。余分なものをすべて排除するのが基本的なコンセプトになります。

これがAmazonになればもっと大変です。何を検索しましょうか。それでは「ビール」で検索をしてみます。今、検索結果のページが出てきました。見える方はご存じかと思いますが、たぶん中央辺りに1つ目の検索結果が出ているはずです。でも、何が出ているかはわかりません。そこでタブキーを押すのですが、何回押してもなかなか到達しないのです。

1、2、3、4…21、22と、大体この辺で基本的には嫌になりますね。「ビールなんか飲まなくてもいいや」という話になってしまうと思います。今、1つ目の検索結果に到達するのに、30回ほどキーを押しました。

これを「やまさんの森」で行うとこうなります。検索を押すと、すぐにスーパドライを手に入れることのできる入り口に到達します。「やまさんの森」では普通の商品検索結果と違い、検索結果の下に全部商品の情報が書いてあります。商品の画像が出ていて、値段が書いてあって、在庫の有無やどこが売っているのか、プライム対象なのかという項目もあります。こちらはAmazonが売っていて、商品情報をここで見ることもできるのです。

購入については「商品名」という箇所を開いていただくと、ここがすぐ商品のカートになります。いくつ入れるかを入力するところです。2ケースであれば「2」を選択して、「カートに入れる」をエンターすると、ここからはAmazonにお任せとなります。ここまで「やまさんの森」でできるというのが特徴になります。

このようなことを行なっています。無駄を省いて、必要なところだけを取り出して表示をするというのが「やまさんの森」のモットーになります。やはり、お金が関係する部分に手を入れることはできませんが、その一歩手前まではホームページ側で何とかしたいと、そういうことを常に考えながら作っています。本当は繋がった先でいろいろとできれば良いのですが、そこまでするのはなかなか大変ですから、その先は本家に任せる形になります。先ほどのRadikoもそういう形になっています。

私はこうしたいと思って「やまさんの森」を始めたのですが、本当にこれが良いことなのかと考えた時期があります。そして、その時に出会った本があります。それは『任天堂“驚き”を生む方程式』という本で、サピエにもあります。デイジー図書の有無までは確認していませんが、点字の図書は出ていました。

今、皆さんお馴染みなのはNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)でしょうか。任天堂というのはゲーム機を販売している会社です。もともとは花札の会社でしたが、ファミコンから始まってゲーム会社に転身していったわけです。任天堂ではこの3つほど前になるのでしょうか、「Wii」というゲーム機と、携帯型の「DS」というゲーム機を開発したのですが、これはその開発に至る経緯が書いてある本になります。この本の中に、私が思うこと、考えることにすごく近いと思われる一節が出てきたので、ちょっと紹介をしてみます。

(読み上げ音声)
僕らが「もっと素晴らしいゲームを」と頑張った結果、時間やエネルギーをゲームにさけない人たちが「もう、いいや」と静かに立ち去っていったのです。調べれば調べるほど、これは本当に深刻だと感じました。

(山賀氏)
任天堂もいろんなことをしようと考え、ゲームをどんどん高度化していったのですが、逆にそうすることで人がどんどん離れていってしまったという話になります。そこで、その前にあったゲーム機を、改めて一気にシンプルなものにしたそうです。リモコンを振るだけで遊べるゲームとか、携帯性の良いゲーム機にするため画面を2つにして片側をタッチパネルにしたという話が書いてあります。

これは、先ほど言った「やまさんの森」を作り始めた時の感じと、やはり似ているなと思います。どれだけ素晴らしい情報がたくさんあるインターネットでも、難しいと感じれば、途中で「もういいや」となってしまい、到達できなくなります。そういう点が似ているのだと思います。そこで、やはりシンプルであって、すぐに必要箇所にアクセスできることが良いのだという自信を持って、今でも「やまさんの森」を作り続けています。

ホームページを作りながら、もう1つ力を入れてやっていることがあります。Twitter用のブラウザということで、Twitterを見るためのソフトをずっと作り続けています。「やまさんの森」が2011年ですが、この「スイートツイート」を作り始めたのも2011年ですね。ほぼ同時期に作り始めています。何がきっかけになったかと言うと、2011年の東日本大震災になると思います。

Twitter自体は、私も震災の前からやっていました。もともとTwitterにはそんなに興味がなかったのですが、私の好きなラジオ番組がTwitterで情報を発信していたため、「では、始めてみよう」と見ていたのですが、当時は今よりもだいぶシンプルでした。しかし、今のTwitterのページはだいぶ混雑をしています。

Twitterは一回に140文字しか投稿できないため、少ないような多いような、ちょうど良い量の情報を発信できるのです。また、発信するだけではなくて、受け取ることもできるのです。コンセプトとしてはすごくシンプルですが、実際にパソコンを使って見にいこうとすると、1件目の投稿を見に行くまでが大変遠くて、20回ぐらい下矢印キーを押しても最初の話がまだ出て来ないのです。

話がそれましたが、何で震災とTwitterが関連するのかというと、私は地震があった時に実は池袋にいました。もっと細かく言うと、池袋のビックカメラ本館の2階でテレビを見ていました。あの日は地震の後で電車が止まってしまい、帰れなくなったのです。それで、私は護国寺まで歩いて附属盲学校の寄宿舎で一泊して帰ったのですが、その時にTwitterがものすごく役に立ったのです。

私が住んでいるところの最寄り駅は「鎌ヶ谷大仏」と言いますが、JRの駅ではありません。JRの駅ではないため、ラジオを聞いても、NHKのニュースを見ても、電車が動いているのかという情報が取れませんでした。

そこで、私が翌日どうしたかというと、このTwitterを利用して「電車が動いているか」という情報を見ながら帰ったのです。「今、動き始めましたよ」とか、「ただ、今は混んでいるから、もう少し後のほうがいいよ」というような情報を聞きながら帰ったのですが、これがものすごく役に立ったのです。

役には立ったのですが、先ほども言ったように、情報としてはすごくシンプルなのに、そのシンプルな情報を見にいくまでの過程がものすごく長くて、それが嫌だと感じました。そこで、いっそのことTwitterを見るためのソフトを作ってしまおうと考えて、「スイートツイート」を作り始めたわけです。「必要な時に、必要な情報を素早く手に入れられる状況があって然るべきだ」と思っています。そういう考えが根底にあって「やまさんの森」も「スイートツイート」も作っているわけです。

本当は、「スイートツイート」のスマホ版アプリ等も、腕があれば作りたいと思っています。実際のところ「作ってほしい」という声もありますが、私の知識が追いついていないため実現できていませんが、いずれは作りたいと考えています。今のところホームページとパソコンのソフト作りはできていますが、スマートフォンやタブレット関連も作りたいという気持ちがあるので、いずれは何かが登場するかもしれません。

今後私が作ってみたいと考え、要望があるものとしては、ネットスーパーがあります。チケット関連ということで、航空券や新幹線、コンサート等のチケットが「やまさんの森」から購入できたら嬉しいという声がたくさん寄せられています。ここ最近、始まったものとしては「YouTube Music」がありますが、こちらについても「やまさんの森」から様々なことができるようになれば、使う人がたくさん増えるかなと考えています。

実は、無理をすればどれも作れるのですが、「それなら作ってよ」というのは無しにしていただきたいのです。結局のところ全部私1人でやっているため、メンテナンスがある程度は楽な形ということで考えて作っています。ネットスーパーやチケット購入についても、ホームページをそのまま全部パソコンの中に取り込んで、見える形に整形して出すという手段を取れば、実際にはできるのです。

しかし、これをすると何が起きるのかというと、ホームページというのは定期的に新しく変わりますから、その度に全部を作り変えなければいけない事象が発生してしまいます。そういうことがあるため、公式な形でホームページデータの必要部分を取り出せるようなサービスを実施しているところを中心に、今はページ作りをしているのです。

例外はニュースを読むコーナーと、レシピを調べる「クックパッド」のコーナーです。ホームページ側からの情報提供がありませんので、今言ったようにホームページから情報を全部取ってきて、必要な部分だけを切り分けるようにしています。ですから、この2つに関しては、時々見られなくなる瞬間が出て来ると思います。私もなるべく確認するようにしていますが、あまりにも忙しいと見落としたりすることもあります。もし「この新聞が読めなくなっているよ」という状況があれば、問い合わせフォームからこっそりお知らせいただくと個人的にはすごく助かります。

今お使いになっている方たちはご存じかもしれませんが、実はサンケイ新聞のページが見られなくなっています。もう直らないかもしれませんが、今頑張って直そうとしているところです。

※「ジャパンギビング」は「LIFULLソーシャルファンディング」に名称が変更になりました。

スラッシュ
http://www4.point.ne.jp/slash/
やまさんの森
http://yama3nomori.jp/
スラッシュの運営にご支援のお願い
http://www4.point.ne.jp/slash/onegai.html
森のサポーター
https://yama3nomori.jp/supporter.html
(上記は講演当時のものです。)

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【職場で頑張っています】

中途視覚障害で「壊れた」けれども、理想的に復職した気がする

島袋 勝弥(しまぶくろ かつや)氏

私は宇部工業高等専門学校で教員をしています。網膜色素変性症のために目が悪化し、今では右目が手動弁、左目は矯正視力0.7、視野2度程度です。視覚障害のためにできないことも多々ありますが、職場の理解と配慮により、今も働き続けています。ここでは、私の復職体験と、今の職場から受けている支援について紹介したいと思います。

私は22歳で網膜色素変性症と診断されました。そのとき既に重度の視覚障害者になっていました。しかし、私は研究への憧れを捨てきれず、大学院に進学、学位取得後はアメリカに渡り研究者としての道を歩み始めました。それから約6年後に帰国し、ほどなくして今の学校に職を得ることができました。

教員生活の始めはすこぶる順調でした。新天地での研究と教育、そして学生との付き合いも楽しく、これが自分の天職だとすら思いました。しかし、2015年頃に右目の視力を失ってから、私の人生の先行きは怪しくなりました。「まだできる」と自分を欺き働き続けた結果、私はまもなく見事に心身ともに「壊れた」のです。2016年の冬、休職を余儀なくされた私は、病院のベッドの上で今後をただ悲観し、自分に関わるすべてのことを投げ出したいと思っていました。しかし、現状を何とかしたいと願い、タートルにすがるように相談することになりました。

そこからの展開は早かったです。高橋宏先生との出会いと診察、その一週間後に開かれたタートル相談会を経て、私は福岡視力障害センターで日常訓練を受けることになりました。

福岡でのリハビリは決して平坦ではありませんでした。途中、精神的に行き詰まり、一時離脱もしました。しかし、2017年末にはどうにか訓練を終えることができました。

リハビリ中も、私は学校に定期的な現状報告をしていました。復職の話が出始めた頃、人事係長が中心となり、学内に私の支援チームが立ち上がりました。学校側にはもちろん、視覚障害者の受け入れに戸惑いがあったと思います。お互いに手探りな状態の中、私はチームとの話し合いを重ね、今の自分にできること、できないこと、必要な支援を具体化していきました。そして、私は2018年4月に復職を果たしました。これといった自信もありませんでしたが、最後は直感で「エイヤ!」と決めました。「もしダメなら、もう一度休職して考えよう。」無責任ですが、これくらいの軽い気持ちでした。

復職後、私は職場からは物理的、人的な支援を受けています。まずは私の安全確保が最優先されました。私がよく利用する階段には手すりがつき、学校への出入り口には点字ブロックが敷かれました。夜間、安全に歩行できるようにと照明灯も増設されました。学校側は市にも働きかけ、学校に面した市道の側溝はすべて蓋がされました。さらに学校は、福祉機器を購入するための予算も確保してくれました。おかげで拡大読書器、電子ルーペ、スクリーンリーダーなどを一通り揃えることができました。

学校側は人的支援として、非常勤の事務員を私にあててくれました。事務員は週に2回、3時間ずつやってきます。事務員は事務書類の作成、講義資料の準備、代読などさまざまな作業を手際よくこなしてくれます。

同僚教員にも助けられています。例えば、私が苦手な試験監督業務を補助してくれます。仕事をしていれば、飲み会にも行くこともありますが、そんなときも同僚たちは、ごく自然に私に肩を貸し、手引きをしてくれます。

周りの何気ない心遣いにもほっこりします。図書室に行けば、司書さんが声をかけてくれ、私の代わりに本を探してくれます。

気遣いができるのは学生も同じです。特に気が利く女子学生はよく動いてくれます(そして、よく喋ります)。私の代わりに資料を配り、プロジェクターを準備してくれます。おかげで、私は講義をスムーズに始めることができるのです。

高専教員は教育者でもありますが研究者でもあります。視覚障害があるにもかかわらず、私は顕微鏡を使った研究を続けています。あえて難しいことをしているのは重々承知ですが、顕微鏡が捉える生命の美しさには逆らえません。幸い、私には卒研生という強い味方がいます。彼らが私の「目」となり、実験してくれます。もちろん、画像を見ながら学生と議論することもあります。そのときは、パソコンで画像のコントラストを強調し、学生にも口頭で説明してもらうのです。このやり方で、私の研究は着実に進んでいます。

以上、手短に私の経験を振り返ってみました。正直、私の場合は幸運だったと思います。障害に理解のある職場や仲間に恵まれ、「合理的配慮」の追い風もありました。視覚障害者の優れた就労事例を表彰する「isee!“Working Awards”」で入賞できたのも、職場の支援体制が高く評価されたからにほかなりません。
(詳細はhttp://isee-movement.org/contest/excellent/1746.html)。

終わりに、私はTwitter(https://twitter.com/entyu_fl)で情報発信をしています。興味ある方はフォローをお願いいたします。

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【2019年のタートル幕開けは女子会から☆】

1月19日、正面を見(え)れば!東京タワーを一望できる東京は大門駅そばのイタリア料理のお店によそいきの装いの23名の女性が集まりました!

今回のテーマは「おしゃれ」でした。皆さんにはわざわざお金をかけなくていいので、おしゃれをしてきてくださいと呼びかけました。例えば普段使ってないアクセサリーを身に付けてみるとか。せっかくおしゃれをしてきてくださっても見えない人もいるので、どんなおしゃれをしてきたか、どんなことにこだわったかなどをおいしいお料理を食べながらおひとりおひとりに話していただきました。盲導犬も可愛いワンピースを着てきてくれたんですよ。もちろん女性です(笑)

洋服にこだわってみた方、ネイルにこだわってみた方…皆さんそれぞれに素敵な装いであったことは間違いありません!

参加者からはおしゃれをするきっかけを作ってくれて、何を着て行こうかなと、洋服選びや洋服に合わせるアクセサリーを考えるのがとっても楽しかったという感想をいただきました。もっともたくさんいただいたのは「お料理がおいしかった!」という感想でしたが(笑)

短い時間の中で今回は皆さんにじゃんけんをしてもらって勝った人から選んでもらう福袋もご用意しました!福袋の内容は…
肩たたき棒、かわいいイラスト入りのジップ保存袋、レインポンチョ、フェイスタオル、導入液(洗顔直後に着けるとその後の化粧水や乳液がよくなり、肌がやわらかくなるもの)が上位じゃんけん勝利者に送られ、負けた人たちにも細かいところのお掃除に便利なブラシが渡されました!どれも役に立つ者を理事の石原さんが選んでくれました。あとはある化粧品会社のご厚意により全員に美容液等の入ったセットを福袋としてお渡ししました。

何時間あっても女性のおしゃべりはとどまるところを知りません(笑)ランチの時間だけでは話足りなかったという声もありました。毎回毎回反省すべき点はありますが、いろいろを改善しながら参加してくださる皆さんが安心して大いに楽しんでいけるような企画を立ててまいります!

いいなぁってうらやましがってる男性の皆さん、ごめんなさい(笑)
今後、関東以外の女性の方たちとの交流会を広めるため、まず、3月は関西地区の交流会に女性理事が参加します。皆さんのお知恵とご協力をいただければと思います。
これからの女子会もどうぞお楽しみに☆☆☆

理事:松尾(文責)、石原、芹田

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【お知らせコーナー】

☆タートル事務局連絡先

Tel:03-3351-3208
E-mail:m#ail@turtle.gr.jp
(SPAM対策のため2文字目に # を入れて記載しています。お手数ですが、上記アドレスから # を除いてご送信ください。)

◆ ご参加をお待ちしております!!(今後の予定)

◎タートルサロン

毎月第3土曜日  14:00〜16:00
*交流会開催月は講演会の後に開催します。
会場:日本盲人職能開発センター(東京四ツ谷)
情報交換や気軽な相談の場としてご利用ください。

◎総会、記念講演

日程:6月1日(土)
会場:日本盲人職能開発センター(東京都新宿区四ツ谷)
講師:弁護士 大胡田誠氏
演題:調整中

◎交流会

(未定)

◎勉強会

4月27日(土)14:00〜16:00
テーマ:ビジネスマナー第二弾、実践編。
前回の講演をベースに、ビジネスマナーについて具体的な事例を出し合い、意見交換をします。
※東京・大阪・福岡をテレビ会議で結んで行う予定。

◆一人で悩まず、先ずは相談を!!

「見えなくても普通に生活したい」という願いはだれもが同じです。職業的に自立し、当り前に働き続けたい願望がだれにもあります。一人で抱え込まず、仲間同士一緒に考え、気軽に相談し合うことで、見えてくるものもあります。迷わずご連絡ください!同じ体験をしている視覚障害者が丁寧に対応します。(相談は無料です)

◆正会員入会のご案内

認定NPO法人タートルは、自らが視覚障害を体験した者たちが「働くことに特化」した活動をしている「当事者団体」です。疾病やけがなどで視力障害を患った際、だれでも途方にくれてしまいます。その様な時、仕事を継続するためにはどのようにしていけばいいかを、経験を通して助言や支援をします。そして見えなくても働ける事実を広く社会に知ってもらうことを目的として活動しています。当事者だけでなく、晴眼者の方の入会も歓迎いたします。
※入会金はありません。年会費は5,000円です。

◆賛助会員入会のご案内

☆賛助会員の会費は、「認定NPO法人への寄付」として税制優遇が受けられます!
認定NPO法人タートルは、視覚障害当事者ばかりでなく、タートルの目的や活動に賛同し、ご理解ご協力いただける個人や団体の入会を心から歓迎します。
※年会費は1口5,000円です。(複数口大歓迎です)
眼科の先生方はじめ、産業医の先生、医療従事者の方々には、視覚障害者の心の支え、QOLの向上のためにも賛助会員への入会を歓迎いたします。また、眼の疾患により就労の継続に不安をお持ちの患者さんがおられましたら、どうぞ、当認定NPO法人タートルをご紹介いただけると幸いに存じます。

入会申し込みはタートルホームページの入会申し込みメールフォームからできます。また、申込書をダウンロードすることもできます。
URL:http://www.turtle.gr.jp/

◆ご寄付のお願い

☆税制優遇が受けられることをご存知ですか?!
認定NPO法人タートルの活動にご支援をお願いします!!
昨今、中途視覚障害者からの就労相談希望は本当に多くあります。また、視力の低下による不安から、ロービジョン相談会・各拠点を含む交流会やタートルサロンに初めて参加される人も増えています。それらに適確・迅速に対応する体制作りや、関連資料の作成など、私達の活動を充実させるために皆様からの資金的ご支援が必須となっています。
個人・団体を問わず、暖かいご寄付をお願い申し上げます。

★当法人は、寄付された方が税制優遇を受けられる認定NPO法人の認可を受けました。
また、「認定NPO法人」は、年間100名の寄付を受けることが条件となっています。皆様の積極的なご支援をお願いいたします。
寄付は一口3,000円です。いつでも、何口でもご協力いただけます。寄付の申し込みは、タートルホームページの寄付申し込みメールフォームからできます。また、申込書をダウンロードすることもできます。
URL:http://www.turtle.gr.jp/

≪会費・寄付等振込先≫

●郵便局からの振込
ゆうちょ銀行
記号番号:00150-2-595127
加入者名:特定非営利活動法人タートル

●他銀行からの振込
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
支店名:〇一九店(ゼロイチキユウ店)
支店コード:019
預金種目:当座
口座番号:0595127
口座名義:トクヒ)タートル

◆ご支援に感謝申し上げます!

本年度も多くの皆様から本当に暖かいご寄付を頂戴しました。心より感謝申し上げます。これらのご支援は、当法人の活動に有効に使用させていただきます。
今後とも皆様のご支援をお願いい申し上げます。

◆活動スタッフとボランティアを募集しています!!

あなたも活動に参加しませんか?
認定NPO法人タートルは、視覚障害者の就労継続・雇用啓発につなげる相談、交流会、情報提供、セミナー開催、就労啓発等の事業を行っております。これらの事業の企画や運営に一緒に活動するスタッフとボランティアを募集しています。会員でも非会員でもかまいません。当事者だけでなく、晴眼者(目が不自由でない方)の協力も求めています。首都圏だけでなく、関西や九州など各拠点でもボランティアを募集しています。
具体的には事務作業の支援、情報誌の編集、HP作成の支援、交流会時の受付、視覚障害参加者の駅からの誘導や通信設定等いろいろとあります。詳細については事務局までお気軽にお問い合わせください。

☆タートル事務局連絡先

Tel:03-3351-3208
E-mail:m#ail@turtle.gr.jp
(SPAM対策のため2文字目に # を入れて記載しています。お手数ですが、上記アドレスから # を除いてご送信ください。)

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【編集後記】

全国のタートル会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか?街を歩いていると、白杖が目立つからでしょうか、見知らぬ人から時々声をかけていただくことがあります。親切に甘えて目的地までご一緒する訳ですが、長い距離であったり、短かったり様々です。その時に少し話をするわけですが、例えば、30代の社長さんが、「父親が視力が衰えてしまい、針の穴ほどの視界しかないため外出もままならなくなってしまった。」と告白されました。ある人は、親戚が生まれながらにして見えないらしく、街で視覚障碍者を見つけると声をかけずにはいられないと言っていました。声をかけてくれる方々の身内に、同じような境遇の方が少なくないことに驚きを感じます。

また、まったく違った話をすることもあります。学生さんが声をかけてくれて、卒業後の進路の事を話してくれたことが印象深いです。将来の展望を聞くこともあれば、人によっては、具体的な就職先の話だったりもします。悩みも切実さが入り混じっている方もいて、何か急に密度の高い空気になることがあります。悩みと言えば、お母さんが、自分の息子さんに格闘技と球技を習わせていて、将来に向けて一本化したいと思っているが、どちらをメインにしようか悩んでいると言っていました。両方ともあまり聞いたことの無いまれな習い事だったので、そもそもそれらを選んだことが感心だったりして。

最近もっとも不思議な出会いは、アルゼンチンから来日した女性が声をかけてくれたことでした。日本語の「〜だと思う。」というフレーズが不思議かつ面白いらしく声をかけてくれたのはうれしいのですが、片言の日本語を連発。「駅はこっちだと思うよ〜!」爆笑!「そこを右に曲がると思うよ」爆笑!二人で腕を組みながら大声と大爆笑で練り歩いたのでした。周囲の人はさぞかし不思議だったろうと思いますが、一緒に歩いている自分も頭の中がハテナマークがいっぱいでした。改札で別れ際に「バーイ」となったのですが、その声のクールさがまるで別人になったような変貌ぶりで少し寒気が…。と通勤は話のネタに事欠かないのでした(笑)

さて、今回の「情報誌」はいかがでしたでしょうか?これからも、会員の皆様に楽しんでいただけるような誌面にしていきたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します!!

(市川 浩明)

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奥付

特定非営利活動法人 タートル 情報誌
『タートル第46号』
2019年2月6日発行 SSKU 増刊通巻第6343号
発行 特定非営利活動法人 タートル 理事長 松坂 治男

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