目次
- 【巻頭言】理事 星野 史充
- 【9月交流会講演】弁護士 大胡田 誠 氏
- 【職場で頑張っています】運営委員 六川 真紀
- 【タートル催し報告】
- 【お知らせコーナー】
- 【編集後記】
- 奥付
【巻頭言】
『変化する職場のITインフラと全盲の私』
理事 星野 史充(ほしの ふみたか)
私はIT企業の社員ですが、普段は視覚障害者情報提供施設に常駐して、パソコン・タブレット・スマートフォンの講師をしたり、関連の相談対応をしています。そして時々、視覚障害の方の職場を訪問して操作指導や助言をしています(雇用管理サポーター)。そのほか、大学で視覚障害学生の情報処理演習の講師をしたり、アビリンピック(障害者技能競技会)の競技委員をしています。
私は1990年に交通事故で失明しました(全盲です)。3年間の視覚障害リハビリ(生活訓練と職業訓練)を経て、1994年にシステムエンジニアとして現在の会社に就職しました。当時、視覚障害者が使えるIT(パソコン)がありました。それを習得したから、私は就職できたと思っています(職業訓練ではコンピュータプログラミングを学びました)。
その後、職場のITインフラは進化を続けていますが、ほとんどの場合それはスクリーンリーダーを使う私に恩恵をもたらしてくれています。今回はそれらについて、これまでの変遷、最近の様子、今後への期待に分けて書きたいと思います。
〈これまでの変遷〉
まず、入社したころは紙でやり取りしていた社内の作業が、社内のコンピュータネットワーク(WAN/LAN)システムの整備によって徐々に電子化されていきました。出張精算、休暇申請、行動予定の登録、部屋や設備の予約など、周囲に代筆を頼んでいた作業が自分でできるようになり、とても快適に感じたことを覚えています。
社内教育のe-learning化によって、教材学習、回答記入、採点結果確認、アンケート提出までが自分のパソコンでできるようになりました。
また、大学の講師活動では、授業計画の提出、教務手帳の閲覧、成績評価の登録などの作業が自宅のパソコンで完結できています(紙媒体は不要)。
このように、ITのスキルを習得した視覚障害者は、職業生活の様々な場面で情報の不自由さを軽減できる可能性があります。
〈最近の様子〉
導入が始まった新たなITインフラと社内制度のいくつかをご紹介します(名称や仕組みは一例です)。
仮想デスクトップ
パソコンにはほとんどデータを置かず、起動時にインターネット(社内のイントラネットやクラウドシステム)に接続して必要なデータをダウンロード、使用を開始する。スクリーンリーダーなどの視覚障害支援ソフトもパソコンにはおかず使用時にダウンロードするため、スクリーンリーダーの動作に制限が発生する可能性がある。(現在、スクリーンリーダーの動作確認や運用試験を続けています)。
Web版タイムレコーダー
社外から社内ネットワークに接続して、Webブラウザーで該当ページを開き、出勤や退勤などの打刻をおこなう。従来、社外での勤務実績は事後処理していましたが、社内と同様にタイムレコーダーへ打刻する処理となりました。(スクリーンリーダーで問題なく打刻できています)。
テレワーク勤務制度
以前から育児や家族介護のための自宅就労の制度はありましたが、出張先、サテライトオフィスなど様々な場所での勤務、短時間のテレワーク勤務が認められるようになりました。自宅でテレワーク勤務後に出張する、午前中は出社して午後は自宅に戻ってテレワーク勤務など、色々な勤務形態が可能となります。こうした柔軟なテレワーク勤務は、高品質なテレビ会議、安全なクラウドシステムなど、新たなITインフラの実用化によって実現可能となりました。(私も社外から、会議参加、各種申請、教育受講などをしています)。
〈今後への期待〉
ITの今後を予想することは難しいですが、すでに実用化が始まっているものの中から魅力的に感じられるものを2つご紹介します。
ウエアラブル端末
腕時計やメガネなど、身体に身に着ける道具にIT機能を組み込んだものです。Apple Watchはその一例です。皆さんの中にもスマートフォンなどのモバイル端末でナビゲーションなどの外出支援アプリをお使いの方もおられると思います。持ち歩く便利さをさらに高めたウエアラブル端末は、視覚障害者の外出支援に適した端末だと言えます。
職場でスマートフォンを電話代わりに使うケースが出てきていますが、今後はウエアラブル端末が職場の連絡手段に加わると思います。
AI(人工知能)
IT機器の音声応答機能、プロ棋士に勝つ将棋ソフトなど、現在のAIは弱いAI(限定的)ですが、それでもiPhoneの音声アシスタント機能SIRIは視覚障害者にとって魅力的だと思います。私には強いAI(汎用的)の実用化についての知識はありませんが、もし強いAIが実用化されれば、それは視覚障害者の職場アシスタントとしてまさに強い味方になるだろうと思います。
〈最後に〉
強いAIを用いた本格的な職場アシスタントの登場を待ちつつ、当面は次々と現れる新たな職場のITインフラがスクリーンリーダー使用者も使えるように取り組みたいと思います。
【9月交流会講演】
『企業で働く視覚障害者が知っておきたい法律・知識』
弁護士 大胡田 誠(おおごだ まこと)氏
弁護士の大胡田 誠と申します。特に、視覚障害者の聴衆である皆さんの前で話す時は、大胡田というのは伝わりにくいものです。漢字でご説明しますと、大きい小さいの「大」という字に、胡麻の「胡」という字、これは漢字の形で言うと「湖」という字のさんずいを取った形で「胡」と言いますが、それに田んぼの「田」で「大胡田(おおごだ)」と読みます。
私は弁護士になって10年目を迎えました。仕事の内容ですが、町医者のような市民に身近な弁護士ということで、身近な法律トラブルを扱っています。離婚や相続などの家族や親族間のトラブルのほか、借金や交通事故の問題など、身近ですが当事者にとっては人生を左右するような深刻なトラブルを普段は取り扱っています。
私自身が全盲の障害を持っておりますので、障害を持った方からのご相談というのは、視覚障害に限らずたくさん受けています。
視覚障害固有の問題としては、歩行中に白杖がおばあさんの足に引っ掛かって転倒をしてしまい、おばあさんが怪我をして損害賠償の裁判を起こされた事件を担当したことがありました。JRの巣鴨駅でしたが、男性が白杖をついて歩いていたところ、高齢の女性が通りかかって、白杖に引っ掛かって転んでしまいました。そして、手首の骨を折って、150万円ぐらいの損害賠償を求め裁判を起こされたわけです。
私は男性側の弁護士として裁判に臨みましたが、この裁判の争点は全盲の男性側に過失があったかどうかということでした。過失というのは「法的な不注意」ということになりますから、不注意があったかどうかになりました。
私は、彼の歩行の様子をビデオに撮影しました。もちろん、目の見える弁護士とグループで行なったのですが、専門の歩行訓練の先生に見てもらいました。彼の歩き方は歩行指導の観点からはどうなのかを見てもらい、「歩き方にはまったく問題がなかった」「使っている白杖も適正な長さであった」と意見書に書いてもらいました。この意見書がかなり功を奏したようで、男性側には過失はなかったということで、「損害賠償をする義務はない」という判決を勝ち取ることができました。
この裁判の結果としては良かったのですが、我々は、特に目が悪いと、どんなに注意をしていても避けられない事故がありますよね。私自身もおばあさんを転倒させて、ちょっと怪我をさせてしまったような経験があります。ですから、私は皆さんには保険に入っておくことをお勧めしたいのです。個人賠償責任保険というものがあり、自分が誰かを怪我させてしまったり、あるいは物を壊してしまった時に、保険会社が自分の代わりにお金を出してくれるような保険です。
ただ、これは非常に安い保険なので、あまり単体での商品はありません。医療保険の付帯サービスで付いていたり、火災保険や自動車保険の付帯サービスとして付いていることが多いです。ですから、何かの機会にでも「自分は個人賠償責任保険をきちんと掛けているか」を確認しておけば、まさに転ばぬ先の杖と言いましょうか、何かあった時に慌てずに済むような気がします。
そして、こういう事件を取り扱いながら、最近は本を書いたり、時々はテレビなどにも出させてもらったりしています。今日は、「企業で働く視覚障害者が知っておきたい法律・知識」というタイトルで講演をします。取り上げるのは3つです。
1つ目は「有期雇用の問題」、2つ目は「パワーハラスメント(パワハラ)」です。そして、3つ目に昨年4月に施行された「改正障害者雇用促進法の内容」を確認しておこうと思います。
まず、「有期雇用」の話です。有期雇用というのは何なのか、皆さんご存知でしょうか。大きく分けると、雇用は2種類あると考えてよいのです。 1つは期限の定めのない雇用で、これは一般に正社員です。採用される時に、退職まではずっと働き続けることが保証されている、そういう期限の定めのない雇用です。 これに対してもう1つは1年間、半年、場合によっては3か月で契約更新をするという形で期限を区切って雇用されるタイプで、これを有期雇用と言います。有期雇用の中には、例えば契約社員やパート・アルバイトが含まれます。契約社員とパート・アルバイトは何が違うかというと、お給料が月給で決まっているのか、それとも時給なのかということです。
契約社員は有期雇用であっても大体が月給制で、月に20万円といったように決まっています。一方でパート・アルバイトの契約期間は半年とか3か月で、給料は時給で1時間いくらと決められているのが特徴です。
有期雇用は期限を区切って雇用されていると申し上げましたが、満期を迎えたあとに更新するかどうかについては、企業側の経営状態やその労働者の特性なども踏まえて、広い裁量で更新するかしないのかを、基本的には企業が決めます。 有期雇用の社員というのは非常に地位が不安定です。来年、自分はこの会社で働いているのだろうか、それとも辞めなければいけないのか、それが直前になるまでわからず、安定した生活を求める方にとっては、有期雇用は非常にやりにくいわけです。
そして、有期雇用で働いている労働者にとって、「平成30年問題」というのが間近に迫っています。平成25年に労働契約法という法律が改正されました。 そして、有期雇用で5年以上継続して働くことができた人は、5年を超えると無期雇用(期限の定めのない雇用)契約に転換するのを求める権利が得られます。これを無期転換権と呼びますが、無期雇用に転換することを求める権利、つまり無期転換権を取得するという法改正が行われました。
これは、平成25年4月1日以降に新しく結ばれた契約や、更新された契約が対象となりますので、長い間有期雇用をしてきた方にとっては、来年の3月末で5年間の期間を経過することになるわけです。この5年の期間を乗り越えて、6年目に入ると無期雇用転換権を取得できます。
しかし一方で、企業の側では、労働者が無期転換権を取得する前に何とか辞めさせようと考えているところもあったりします。企業がなぜ有期雇用を選ぶかと言うと、それは人員調整が容易だからです。景気の良い時は社員を雇うけれど、景気が悪くなったら首を切りたいというのは、企業の本音だと思います。 つまり、正社員で雇ってしまうと、解雇はハードルが高くて相当難しいわけですが、一方で有期雇用であれば、期間が満了した時に「お疲れさまでした。もう来期はありませんよ」と言えば解雇ができるので、人員調整がとても容易なわけです。
そういう人員調整が容易な有期雇用社員が無期転換権を取得してしまうと、企業としては柔軟性が失われて不便になることもあり、この秋から来年春に向けて有期雇用社員の雇い止めがたくさん起こるのではないかと言われています。 これが俗に「平成30年問題」と言われるものです。現に、宮城の国立大学である東北大学では、3,000人の有期雇用社員が雇い止めを受けるという報道がありました。大学というのは有期雇用の社員が結構多いのです。今は労働組合と大学側がいろいろと交渉をしている段階だと聞いています。 もしかすると、皆さんの周りや皆さんご自身にも、この「平成30年問題」が降りかかってくるかもしれません。
では、こういう雇い止めに対して、労働者はどういう対抗策があるのか、まず1つ目ですが、自分の契約書をきちんと読んでおくことが大切です。 企業は、契約書の中に「来期の契約更新は行いません」とか「5年を超えて契約更新は行いません」という一条を入れることが多いのです。これはもちろん無期転換権を取得されないようにするためですが、こういう条項が入ってないか、これをまず慎重に見る必要があります。
そして、もし自分の契約書にこういった条項が入っていた場合には、きちんと抗議をしておく必要があります。 この抗議は認められないかもしれませんが、ここで抗議をしないで契約書の内容どおりにサインしてしまうと、雇い止めを受けても、その後何を言っても無駄なのが実態です。もし雇い止めを受けたくないのであれば、「抗議をした」「これに納得していない」という形を残しておく必要があります。
例えば「第何条にこういう条文がありますが、私はこれに納得できません」という文書を差し入れておくとか、自分が口頭で抗議している様子を録音しておくのも良いと思います。雇い止めに対しては「次期の更新が無いことに納得をしていない」というのを、まずは残しておくことが重要かと思います。
そして、いざ雇い止めをされてしまった場合は、「雇い止め理由証明書」を出してもらうことが必要です。企業側には「雇い止めの理由を書面で出さなければいけない」というのが、厚労省の通知で義務付けられています。ですから、請求をすれば必ず出さなければいけません。 今後、もし雇い止めを争う場合には、企業がどんな理由で雇い止めをしてきたのか、それをきちんと把握し、確定させておく必要があります。ですから遅滞なく異議を述べて「雇い止め理由証明書」を取得する必要があります。
そして、実際に雇い止めの理由を見て「どうも納得ができない」となった場合には、地域の労働基準監督署や弁護士に相談するのもひとつです。 先ほど、有期雇用は期限が定まっていて、期限が満了した後に契約を更新するかどうかは企業側の広い裁量があるというお話をいたしましたが、労働者側に契約更新に関する合理的な期待が生じていた場合には、企業は簡単に雇い止めができないという法律になっています。つまり、労働者側に合理的な期待がある場合は、客観的な理由があり、かつ、社会的に相当だと認められる場合のみ雇い止めが認められるわけで、かなりハードルが上がるのです。
例えば採用される際に「これは形式的には1年契約になっているけれども、あくまで形だから」とか「ずっとこの会社で働いてほしいと思っているんだよ」という説明があったり、例えば「来年からは君に主任をやってもらいたいと思っているからね。来年はそのつもりでちょっと準備しておくように」と言われたのに雇い止めを受けた場合など、労働者側に継続雇用に関する合理的な期待がある場合には、雇い止めが無効になる可能性があるのです。
ですから、いざ雇い止めをされてしまった場合も、すぐにそれで諦めるのではなくて、労働基準監督署や弁護士に相談して、「本当にこの雇い止めは有効なのでしょうか」「無効にすることはできないのでしょうか」と、専門家に話してほしいと思います。基本的に、諦めたらそこで試合終了となりますので、諦めずに相談することが重要だと思います。
ここまでが有期雇用の話です。次に、パワハラについてお話をしていきたいと思います。 最近では、本当にパワハラがニュースを賑わせることが多いと思います。上司から叱責されて自殺をしたというのが、ニュースに出てきたりします。おそらく視覚障害を持ちながら働いている我々に関しても、パワハラはとても身近な話だろうと思います。
我々は、やはりいろんな意味で脆弱性を持っていますが、そういう脆弱な立場に対していじめをする、厳しい指導をするような文化が、残念ながら日本の企業にはあります。ですから、パワハラはとても身近な問題だろうと思います。
まず、パワハラというのは何か、どんなものかということからお話をしたいと思います。厚生労働省の報告書によりますと「パワハラとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう」となっています。
これは、4つほどに分析できると思います。まず「職場で働く者に対して」ということです。当たり前と言ったら当たり前かもしれませんが、同じ職場で働く者同士で起こるということです。あとは「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に」ということで、職場内の優位性を背景に行われる行為なのが2つ目の要素です。3つ目が「職務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える」ということです。 仕事というのは、多かれ少なかれ精神的につらかったり、身体的に大変なことがありますが、そういった「職務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える行為」で、これが1つ目のパターンでしょう。または「職場環境を悪化させる行為」ということで、とても仕事がしにくい環境を作ってしまう行為と言うこともできます。
繰り返しますと「同じ職場の中で起こること」「職務上の優位性を背景に行われる行為」「職務上の適正な範囲を超えた、精神的・身体的苦痛を与えるもの」「あるいは職場環境を悪化させるもの」で、これが厚労省の定義しているパワハラだということです。
「職場内の優位性を背景に」とありましたが、必ずしもパワハラは上司から部下に行われるものだけではありません。例えば、年次が長いという意味での優位性で、先輩から後輩に対して行われる場合もあります。あるいは同僚同士であっても、専門知識を持っている人が持っていない人に対して、職場内の優位性を背景に行われることもあります。ですから、必ずしも上司から部下には限らないわけです。
よく問題になるのが、厳しい業務上の指導はパワハラなのか、あるいは職務上必要な指導なのかということです。ここが争点になることが相当多いのではないかと言われています。厚労省の報告書には、こういった職務上の厳しい指導がパワハラになるかどうかの判断基準が示されています。
簡単に言いますと、これは目的と方法を見ることです。「目的が業務上の指導として必要なものか」というのが、まず1つです。そして仮に目的として必要だとした場合でも「手段として妥当なのか」「行き過ぎはないのか」ということです。このような目的と方法の側面から見て、業務上必要な指導であったとなれば、これはパワハラではありません。 逆に、目的が業務上の指導ではなくて、何か嫌悪感や個人的な好き嫌いから発していれば、これはパワハラになります。あとは業務上の必要性があったとしても、指導の方法が社会的通念を外れていて、例えば全社員の前で叱るなど、方法が逸脱している場合には、これもパワハラになり得るという判断基準を示しています。ここまで、パワハラはどういうものかというお話をいたしました。
次に、厚労省で「パワハラには大きく6つの行為類型がある」と言っていますので、それをご紹介したいと思います。パワハラの行為類型としては、まずは「身体的な攻撃」です。例えば、叩く、殴るといった身体的な攻撃というパターンがあります。 2つ目は「精神的な攻撃」で、例えば侮辱的な発言をするとか、ひどい暴言を吐くという精神的な攻撃の場合もあると思います。
また「集団からの切り離し」といったパワハラの類型もあると考えられています。例えば追い出し部屋のような所に隔離されて、他の社員と切り離したり、あるいは「彼と話さないように」などと言って、無視するように社員を指導する、そのような集団からの切り離しというパターンが3つ目です。
4つ目のパターンは「過大な要求」とされています。その人がとても処理しきれないような過大な仕事を与えるとか、仕事上は必要がないのに無駄な仕事をたくさんさせるなど、そういう過大な要求というパターンもあります。
逆に「過小な要求」というのもあります。その人の経験や知識に見合わないつまらない仕事を延々とやらせたり、あるいは全く仕事を与えないことで、そのような過小な要求もパワハラの類型です。
6つ目には「個の侵害」が上げられています。過剰にプライバシーに立ち入ることです。個人差がだいぶあると思いますが「昨日、どこで何していたんだ」とか「奥さんと何をしていたんだ」とか、個人的なことを深く詮索するような個の侵害です。パワハラには6つほどの類型があるとされ、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「集団からの切り離し」「過大な要求」「過小要求」「個の侵害」になります。 もし、自分が職場で非常につらい思いをしているが、果たしてこれがパワハラなのかと悩むことがあれば、そうした場合にこの6つの類型のどれに当たるのかを考えてみれば、1つの糸口になるような気がします。
パワハラを受けてしまった場合、労働者がどういう対応すればよいのか、次にそういうお話をしたいと思います。
まず、労働者の側として行わなければならないのは、パワハラの事実を証拠化することです。例えば、上司から叱責を受けている場面を動画で撮るとか、録音をすること。あるいはメールや手紙で暴言を吐かれた場合は、メールや手紙を保管しておく。または、日記をつけているのであれば、日記に書いておくのも一つの証拠になります。今日、上司からこんなひどい扱いを受けたというのを、日記に書いておくことも一つの証拠になります。でも、日記は証拠価値としては少し落ちると思いますので、やはり録音や録画ができればベストだと思います。
証拠を集めた上で、会社の側に「上司のこういうひどい行為をやめさせてくれ」と言うのが最初かと思います。最近は企業側でもかなりコンプライアンスを意識するようになって、パワハラを主に相談担当として受ける役員がいたりします。そういった窓口に相談したり、自分の上司からパワハラを受けている場合は、さらに上の上司に相談してみることが手始めになるかと思います。 相談をした事実も後々証拠として使えますが、ただ口頭で言っただけでは「言った、言わない」で終わってしまいますから、できれば文書で通知しておくことが望ましいと思います。会社のパワハラ窓口に対して、自分はこういうパワハラを受けているので指導してほしいと、文書で申し入れをしておくことがよいと考えます。
それでも、らちが明かない場合は、第三者機関を利用することになります。例えば、各都道府県の労働局で、個別紛争解決の斡旋をしてくれます。専門家の委員が仲介者となって、企業の側と労働者のそれぞれから言い分を聞いて、解決策を一緒に考えてくれる手続きがあります。これは無料で簡便に使えますが、問題なのは企業の側が非協力的であれば斡旋手続きを開始できないことです。両方がテーブルに着かないと始まらない手続きなので、企業の側がもし非協力的だとすると、この手続きは使えないかと思います。
そういった場合には、弁護士に相談して、労働審判や訴訟の中で損害賠償を求めていくことが考えられるでしょうか。まず、手始めになるのはやはり証拠です。特に労働審判や訴訟になった場合は、証拠の有無が勝負の分かれ目になります。いくら「ひどいことを言われた」と訴えたとしても、証拠が無いと裁判所では良い判決を書いてくれませんので、頑張って証拠作りをするのが大切だと思います。
次に、「改正障害者雇用促進法」のご紹介です。 改正障害者雇用促進法に入る前に、日本での障害者の置かれた状況についてです。
皆さん、障害者は日本に何人ぐらいいるのか考えたことはありますか。国の統計で『障害者白書』というのがありますが、『障害者白書』によると、日本には目や足が不自由といった身体障害者は393万7千人いるそうです。そして、知的障害者は74万1千人、精神障害者は392万4千人いるということ。単純にこの3つを合計すると860万2千人ですから、日本中の障害者を合わせると800万人を大きく超える人数です。
そこで、比較のために日本で多い名字を調べてみました。そういう統計があります。1番多い名字は、佐藤だそうです。日本中の佐藤さんは大体200万人ほどいるそうです。2番目は鈴木さん。鈴木さんもほぼ200万人いるということです。そして、3番目は高橋さんのようです。高橋さんは約150万人。4番目は田中さん。田中さんはほぼ150万人ですから、つまり日本中には佐藤と鈴木は200万人ずつ、高橋と田中は150万人ずついるわけです。ですから、ここまで合わせると約700万人です。何が言いたいかというと、実は日本中の障害者は日本中の佐藤、鈴木、高橋、田中を全部合わせたよりも多いということです。
人が何人か集まると、その中に佐藤や鈴木は一人ぐらい混じっていそうですが、現実的にその中に障害者が混じっていることはあまりないですよね。これは何故なのでしょうか。やはり、日本の社会の中には、障害者が自分らしく活躍することを阻んでいる、様々なバリアが未だにあるからではないでしょうか。それは、建物や交通機関という物理的なバリアもあるでしょうし、健常者の心の中にある心のバリアなのかもしれません。そういった様々なバリアに阻まれて、障害者が社会の中で活躍できていないのではないかという気がします。
ところで、ちょっと脱線しますが、私にはいろいろな趣味があります。例えばマラソンや、外国を旅行するのも好きです。これまでアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど、11か国を旅行しました。海外を旅行いたしますと、その土地の面白い文化に触れたり、美味しいものを食べたり、そういう貴重な経験ができますし、それとともに日本のことをよく考えたりします。
海外の街を歩くと、日本の建物や交通機関のバリアフリーは、特に東京などは世界的に見てもトップレベルだと感じたりします。海外では、例えば歩道がでこぼこだったり、場合によっては歩道の真ん中に穴が開いていることもあります。そして、日本ではよく見かける点字ブロックや音響式信号などはほとんど見かけません。 確か、サンフランシスコかロサンゼルスに行った時に音響式信号機がありましたが、私が見たのはそこぐらいだったでしょうか。また、知り合いに聞いたところによりますと、ニューヨークにも音響式信号機はあるようですが、数年前にニューヨーク全体で25か所とか言っていたでしょうか、非常に少ないです。東京には何千か所とあると思います。
こんなふうに建物や交通機関のバリアフリーで言うと、日本はとても進んでいると思うわけです。物理的なバリアの多い海外の街に住む視覚障害者は、さぞや住みにくいだろうと感じることがありますが、一方で、特に欧米を旅行している時には、市民の皆さんの心のバリアの低さに驚かされることも多いのです。
例えば、グアム旅行したとき、せっかくグアムに行ったので、スカイダイビングに挑戦いたしました。以前、日本でこれをやってみたいなと思って、調べてみたことがありましたが、多くの場合、全盲の障害があることを伝えると「安全が保証できません」などと言って、やらせてくれませんでした。 グアムはアメリカですが、アメリカではもう1990年から、ADA法と言って障害者に対する差別を禁止する法律が施行されていて、障害者もスカイダイビングを楽しむことができました。アメリカは大変わかりやすい国ですから「金さえ払えば、障害者もお客様ですよ」という感じです。アメリカという国は障害者も危険な遊びを楽しむ自由があると、そんなふうに思いました。
先ほど、日本は建物や交通機関のバリアフリーがとても進んでいるというお話をしましたが、心のバリアという点ではどうなのでしょうか。悩まされてしまうことは、結構多いのではないかという気がします。
少し私の妻の話をしたいのですが、私には円満な夫婦関係を結んでいる妻がおりますが、妻にも全盲の障害があって、盲導犬を使っています。妻と私が外出すると、一匹の盲導犬が私と妻の二人を誘導してくれる状態になります。これは確か結婚する前の出来事ですが、二人でデートをしてクラシックのコンサートを聴きに行ったのです。非常に良い演奏を聴いて、帰り道にデートということもあって「ちょっと温かいものでも飲んでいきましょうか」とちょっと格好をつけて言ったわけです。近くにあった某外資系コーヒーチェーンに入ろうと思ったら「お客さん、盲導犬は入れませんよ」と言われてしまいました。寒い冬の時期でしたが、お店の外に椅子とテーブルだけが出ているテラス席で、コーヒーを飲まなければいけなくなってしまったのです。せっかく良い雰囲気だったのに、そこで一気に元気がなくなってしまって、そそくさと帰って来ました。日本で生活をしていると、こんなことがまだまだたくさんあるわけです。
このような現実を変えてくれる可能性を持っているのが、昨年4月から施行された「障害者差別解消法」であり、「障害者雇用促進法の改正法」ではないかと思っています。
この法律の内容に入る前に、障害に対する捉え方が変わったというお話をしたいと思います。 従来、障害というのは、目が見えないとか足が動かないというような、心身(心や身体)の機能の欠陥と考えられてきました。これを俗に障害の「医学モデル」と言ったりします。医学的に目が見えない、それが障害だというわけです。障害の医学モデルからすれば、その障害は個人の問題ですから、その人の訓練やリハビリによって乗り越えていかなければいけないという、そんな考え方に結びついていました。
しかし、これはおそらく1990年に発表された論文で、イギリスのマイケル・オリバーというご本人も障害当事者である学者が「障害の政治」という論文を発表しました。それがきっかけとなって、障害というものに対する考え方がガラリと変わったのです。 その論文によれば障害はその人の心身機能の欠陥ではないのだと、障害というのは多様な人が生活しているにもかかわらず、それを前提としないで作られてしまった社会の側の不備であると。こういった社会の不備が障害であると考えられるようになってきて、これを俗に障害の「社会モデル」と言います。この障害の「社会モデル」からすると、多様な人を前提としないで作られてきた社会の不備が障害になりますから、社会の側が変わることによって障害をなくしていこうではないかという、そんな考え方に結びつくわけです。
このような流れでできたのが、2006年の国連総会で採択された「障害者権利条約」でした。この権利条約の中では、様々なことが定められていますが、中心となっているのは、障害者に対するあらゆる形態の差別を禁止することだったのです。日本ではこの障害者権利条約を批准するために、様々な国内法を整備してまいりました。 「障害者基本法」が改正され、「障害者虐待防止法」が作られて、「障害者差別解消法」が作られて、また「障害者雇用促進法」が改正されて、様々な法整備が行われたわけです。そして、そういった流れの中で整備された「障害者差別解消法」「障害者雇用促進法」が、昨年4月から施行されました。
従来、「障害者雇用促進法」は昭和40年代からあって、これまでは「法定雇用率」「雇用納付金制度」「特例子会社」が3本柱と言われていました。一定の割合を定めて、企業に障害者の採用を義務づけました。今は2%ですが、企業は2%の障害者を雇わなければいけないと義務づけ、この法定雇用率を達成できていない企業からは1人5万円の罰金を徴収し、この罰金を財源として様々な助成金を組むというのが納付金制度でした。また、特例子会社を作り、この特例子会社が雇った障害者もグループ全体の障害者雇用率の算定に使えるような仕組みも作りました。これが従来の3本柱でしたが、昨年の4月からこれに新たに2つの柱が加わったわけです。
この2つの柱というのは、障害を持った労働者に対する差別を禁止する規定と、障害のある労働者に対する合理的な配慮を義務づけたということで、これが加わったわけです。では、この2つの柱をちょっと詳しくご紹介しましょう。まずは、「障害者差別の禁止」についてです。「障害者差別の禁止」については、募集・採用の時点と、採用されて実際に働く段階に分けて条文が定められています。ちょっと条文を読ませていただきます。
まずは、募集・採用の時点で、「事業主は…障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない」という34条です。そして、採用後の段階では「事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない」というもので、これは35条で定められています。
このように、募集・採用の段階から実際に働いて退職をするまで、事業主は障害者を一切差別してはいけないことになっています。もっとも、具体的な場合にはどういう対応が求められ、どういうことが禁止されるのか、それは法律には書かれていませんが、厚労省のガイドラインに書かれています。厚生労働省から出ている「障害者差別禁止指針」というガイドラインの中には、具体的にどんな行為が禁止されるのか、詳細に書かれています。いくつか上げてみましょう。
まずは、募集・採用の段階では、「事業主は、障害を理由に障害者を募集・採用の対象から排除してはいけません」というもので、これはもう本当に当たり前と言えば当たり前であって、排除してはいけないということです。また、募集・採用に当たっては、障害のある労働者にのみ不利な条件をつけてはいけないということです。例えば「障害者だけは有期雇用で雇います」というように、募集・採用段階で障害者にのみ不利な条件をつけてはいけません。あとは、採用の基準を満たす者の中から、障害者でない者を優先して雇うこともいけませんというのが、ガイドラインでは具体的に示されています。
あとは、採用後の実際に働く段階では、各種の手当の支給について、健常者には支給するが障害者には支給しませんといった差別をしてはいけません。また、ある職種に配置するにあたって、障害者にのみ不利な条件をつけることもいけません。例えば「障害者はこの職種に就く場合には、この資格を持っていなければいけません」「他の人は無くても良いけど、障害者は持っていなければいけません」というように、ある職務に就かせるにあたって、障害者にだけ不利な条件をつけることは駄目なのです。また、ある役職に昇進させる段階で、障害者をこの昇進の対象から排除するのはいけません。このように、あらゆる段階において事業主は障害者を差別してはいけないことが、「障害者差別禁止指針」で明らかになっています。
そして、もう1つの柱である「合理的配慮提供義務」ですが、事業主は障害者に対して合理的な配慮を行う法律的な義務があるということです。条文をちょっと読ませていただきます。まず、募集・採用の段階では「事業主は…障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、…障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない」ということで、募集・採用段階で障害者が申し出た場合には、適切な合理的な配慮を行わなければいけません。
そして、採用後の段階ではこうなっています。「事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない」ということです。 均等な待遇の確保、または能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために、事業主は設備を改良したり、援助を行う者を配置しなければいけませんというのが、法律的な義務になります。ただし、合理的な配慮については「過重な負担となる場合にはその義務がない」としています。余りにも多額の費用がかかったり、配慮をすることによって事業活動が大きな影響を受けてしまう場合は行わなくてもよいとなっているわけです。
この合理的な配慮についても、法律の中には「具体的にどんな配慮が求められるのか」は書かれていなくて、やはりガイドラインで具体化されています。厚生労働省が発表している「合理的配慮指針」というガイドラインがあって、障害別に必要な配慮が書かれています。例えば視覚障害者に関してはこんなことが書かれています。
まずは、募集・採用の時点では、募集内容を音声等で提供することが必要だとされています。音声等ということですから、例えば、パソコンで読めるホームページも含まれるかもしれません。紙で貼り出したり、紙で配ったりするだけでは駄目で「視覚障害者にもきちんとわかる方法で募集・採用をしてください」ということです。さらに入社試験を音声や点字で受けられるように、あるいは時間延長するようにというのも求められています。
さらに、採用された後には、実際に働いている中でも様々な配慮をするようにと示されています。例えば、業務指導や相談の担当者を決めてくださいということです。視覚障害のある労働者が、すぐに相談できる担当者を配置するようにということです。あるいは、業務を拡大文字や音声パソコンを使ってできるようにしてくださいとも書かれています。
そして、通勤時間や休暇・休憩については、体調に配慮して行うようにしてくださいとか、事前に職場内の危険箇所や机の配置を確認するようにしてくださいと。または、通路に危険な物を置かないとか、机の配置を工夫するなど、職場内の移動の負担を解消してくださいと。または、職場内でプライバシーに配慮しながら、同僚に障害の内容や求められる配慮をきちんと説明してくださいという、具体的な例が示されています。
こういったことを事業主はやらなければいけないし、やることが求められているのが、現在の法制度です。現実的にはまだまだ未達成の企業はあると思いますが、いざ自分が企業と交渉することとなった場合には、この障害者雇用促進法の規定、またはこの厚労省のガイドラインがとても強力な武器になってくると思います。
このように、様々な法律ができてきたわけですが、次に、これは主に企業側に求めることになりますが、障害者雇用をすることは企業にとっても良いことなのだという、そんなお話をレジュメに書いてみました。
先日、1冊の本を読んだのです。これはアメリカの社会学者リチャード・フロリダという方の本でしたが、その本にはこんなことが書かれていました。創造的な活動を行うために、ある集団には3つ「T」が必要だということです。まずは、タレント(人材)、次はテクノロジー(技術力)、そしてトレランス(多様性に対する寛容さ)です。ある団体や組織が活動的なイノベーション等を起こす場合には、「人材」と「技術力」と「多様性に対する寛容さ」が必要だと書かれていました。
このリチャード・フロリダというのは、アメリカの都市を研究したのです。創造的な活動が行われている都市、例えばシリコンバレーやニューヨークといった都市ではLGBTの人の割合が高いことが判明したらしいのです。ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなど、そういった方がたくさん住んでいる都市は、非常に新規性の高い事業をやっていて、活発な都市活動が行われていることが相関関係としてあることがわかったのです。
このように、多様性を重んずる社会は、何か新しいものを産み出す能力がある社会だというわけです。そして障害者雇用というのは、まさに多様性に対する寛容さを考え直すための、良いきっかけになると私は思っています。
これまで日本の企業というのは、与えられた仕事を機械のようにこなして、成果を上げるような社員が良い社員だとされ、手間がかかる社員や個性的な社員に対しては不寛容なところがありました。その結果、日本の企業では未だにバブル崩壊の閉塞感から立ち直ることができませんし、メンタルに不調を感じる社員も大変多いわけです。こういった会社を変える、風土を変える起爆剤となるのが、私は障害者雇用ではないかと思っています。 障害者雇用を成功させるためには、まず、企業の風土を変えなければいけないわけです。社員相互にお互いを認め合う風土、社員それぞれが迷惑をかけあっても、お互いに支え合える風土、そして喜びも失敗もともに分かち合うことができる、そんな風土がなければ障害者雇用は成功しないし、逆に言うと障害者を雇うことによって、企業の風土を変えることにも繋がるのではないかと、私は思っています。
そして、実は企業の中には、障害者以外にも様々な配慮を必要としている人はいます。例えば、国籍や身体や精神の強弱の違いがありますし、介護や育児の必要があるように、様々な配慮を必要としている人がいます。そういった多様な社員に対して寛容な会社になることが、実は創造的な活動を行う上での大前提になるのではないかと思っています。だから、たくさんの企業が障害者を雇うことによって、日本社会が全体として活性化していくことが望ましいと思うわけです。一方で、障害者の側も勇気を持って、一歩踏み出すことが大切ではないかと、そんなふうにも感じます。
障害者の社会進出を考える時に、私はよく野球のメジャーリーグを思い出します。今でこそ、イチローやダルビッシュなどの様々な日本人選手がメジャーリーグで活躍して、チームの主軸にもなっていますが、日本人選手がメジャーで活躍するようになったのは、この20年ぐらいです。 最初に活躍したのは、野茂英雄投手でした。彼は1995年に渡米しました。当時、彼には日本で1億円以上の年収があったのですが、メジャーでは900万円ぐらいの年俸しかもらえないのに、メジャーに挑戦したのです。彼がメジャーで三振を盛大に取って大活躍したことによって、メジャーの側も日本球界の側も意識が変わったのです。それまで「日本人選手はメジャーでは通用しない」と言われていたけれども、意外と日本人選手もできるかもしれないと、メジャーの側も日本球界の側も気づいたのが、野茂英雄の渡米だったように思います。
日本の企業は、まだ野茂が渡米する前の日本球界とメジャー球界の関係に近いものがあるような気がしています。日本の多くの障害を持った労働者というのは、もうメジャーで戦える十分な実力を持っているはずです。でも、企業の側も、もしかすると障害者の側も、それに気づくことができていないのではないでしょうか。 だから皆さんが勇気を持って一歩踏み出して、そこで大活躍をすることです。人間というのは、失ったものや出来ないことばかりに目がいってしまって、自分にどんな可能性が残されているのか、何ができるのかを気づきにくいことがあります。しかし、その可能性を開花することができれば、自分が活躍するだけではなくて、企業の意識や、社会全体の意識を変えていくことに繋がるのではないかと、そんなふうに思っています。
最初は大変ですが、皆さんが勇気を持って一歩を踏み出していただくことを願って、また、私も更にいろいろなことに挑戦して、視覚障害者に対する意識を変えていきたいと、そんな決意をもって今日の講演を終えたいと思います。
<お断り>
本稿の内容は講演者の個人的見解であり、所属団体・企業及び、当会と関係するものではありません。
【職場で頑張っています】
『休職から復職へ、そして充実した日々!』
運営委員 六川 真紀(ろくかわ まき)
タートルの皆様。 日々の生活、お仕事、お疲れ様です。 私は障害者枠で保険会社に採用され、8年目になります。網膜色素変性症で、弱視、視野狭窄、夜盲の手帳2級です。 営業企画部マーケティング室に所属し、新商品企画立案、市場調査、コールセンター本部などで経費、決算、予算管理、総務、CSR、代表電話対応の業務をしています。仕事は忙しいですが、充実した毎日を送っています。
私がタートルに入会して、2年半が経ちましたが、初めてタートルサロン(毎月第3土曜日に行っている行事)に参加したときは、脳内出血を起こし、休職中でした。視力視野も低下し、通勤にも不安があり、この先、「自分は仕事を継続できるのか」「どうやって生きていけばいいの?」と、お先真っ暗だったのです。タートルの識者にアドバイスを受け、心と体の精神的不安から立ち直ることができました。あとは、自分の現状を受け止め、開き直り、努力あるのみです。くじけそうになると、タートルに相談したり、楽しいイベントへ参加したりモチベーションを保っていました。 その休職から、復職までの道のりを以下に記します。
まず会社人事、所属部署マネージャーに相談をしました。 この会社で、仕事を続けたい。従来のPCでは仕事が出来ないので、拡大読書器とシンクライアント端末に音声読み上げソフトを導入してほしい。机のまわりの照明を明るく、席を一番端の出入り口の近くにしてほしい等、自分の要望を書面やミーティングで明確に伝えました。
人事は、セキュリティが厳しいため、PCへの音声読み上げソフトを導入することを前例がなく躊躇していました。「前例がないなら、私が一番に作ります!」とほぼハッタリ、勢いで申したのです。合理的配慮や、障害者雇用促進法の法律の権利を主張するより、この会社が好きだから、定年まで勤めたいという、自分の思いを素直に伝えました。
生命保険会社なので、人の命や病気に関わることを大切にしています。私が快適に生き生きと働く環境を整えてくれたのです。井上英子先生のアドバイスもあり、ほかの端末で代用し、JAWSを導入してもらえました。
会社で仕事をしながら在職者訓練を週2回3ヶ月受講、井上先生にJOBコーチとして月2回半年間来ていただきました。PCスキルが疎く苦手なので、覚えるまでが大変でしたが、会社のシステムに合わせてのJOBコーチはとても役に立ちました。私と同様の立場にある方は、是非JOBコーチをご利用されることをお勧めします。
仕事がしやすいように工夫していることは、次の通りです。
1.机のマットを緑色にして白い書類とコントラストをつけ、置き忘れをなくす。ファイリングを速やかに行うことが出来る。
2.ルーペや色つき線引きを使用する。
3.自分の椅子に目印を付ける。
4.会議の資料は、A3に拡大する。
5.出来ないことをグループメンバーと共有する。
公印押印、マーカー箇所が見えない、暗い場所での作業、迅速な行動、細かい作業等、苦手なので、サポートをしてほしいとお願いしました。
私たちは迅速な行動や、書類メールの確認がすぐに出来ません。その場の空気が読めなかったり、コミュニケーション不足で、ともすれば孤独になりがちかもしれません。 私も昼食時など、孤独でしたが、いつも5人で食事に行っている同僚に、「私もたまには、社員食堂に連れて行ってほしい」とお願いしたところ、「そんなこと気にしていたの」と。以降誘ってくれ、ビュッフェやサラダバーを取ってきてくれます。同僚は、私がお昼は一人で過ごしたいのかと思って声をかけなかったと言います。
コミュニケーションをとり、笑顔で挨拶、親切にしてもらったら、「すみません」ではなく「ありがとうございます」と言う。 障害のあるマイノリティが社会で共存していくには、弱みを助けてもらい、強味をお返しするギブアンドテイクが必要です。視覚障害者を取り巻く環境が日々変化して、音声でいろいろな事が出来るようになりつつあります。開発や企画をして下さる方々に感謝し、私たちが出来ることを考え実践し、社会に恩返しをする。これから目標にしていきたいと思っています。
仕事をしていく上で、ルーティーン業務だけでなく、新しいことを常に考え実践することが大切です。視覚障害に特化した、以下の企画を実践しました。
1.復職の事例が好事例として、ハローワーク研修で講演。
2.会社の社外交流発表会では、全国選抜の一人として、タートルとの出会いから学んだことをテーマに講演。社員にロービジョン眼鏡体験をしてもらう。
3.障害者枠で就業されている方たちを集めた組合を立ち上げ、会社への要望を伝える会合を開催(主に合理的配慮、待遇)。
4.盲学校の生徒を受け入れ研修。(グループ会社から要請を受け協力)
また、趣味で会社の合唱団に入団し、年5回の公演を行っています。楽譜は読めず、音声で練習をしています。練習はキツイですが、本番で歌い遂げた感動は忘れられません。
毎日が目まぐるしく、1年経つのがとても早いですが、それなりに充実していると思っています。仕事の他にも、趣味をもち、よい意味で切り替えができ、相乗効果になっています。病気を患い、手放したものもあります。でもそれ以上に、人との出会い、新たな気づきを得ました。これからも仕事を続け、歌や支援団体のお手伝い、マラソン等楽しく続けていきます。タートルとのご縁に感謝し、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【タートル催し報告】
10月21日、台風が近づきつつある土曜日、東京都障害者福祉会館に美しき女性たち14名が調理室に集合しました!
『女子会』と称して始まった集まりの初めての試みとして『調理』をやってみたい!という声もあり、栄えある第1回目は比較的簡単にできるお菓子作りから挑戦することになりました。 先生役を受けてくださったのは視覚に障害がある川嶋さん。パン作りやお菓子作り、とってもお上手なのに、眼が不自由になって少し作ることから離れていたという川嶋さん。理事の石原さんからの熱いラブコールに応えて今回引き受けてくださいました。
ランチしながら川嶋さん、芹田さん、石原さん、松尾の4人で最初の打ち合わせをしたとき、最初は欲張ってあれやこれや作ったらどうか…なんて言っていましたが、オーブンのスペックなどもわからず、焼き上がりにどのぐらい時間を要するか…次から次へ心配な部分も浮上。 初回はまずは簡単に作れる『スノーボール』1種類を作ることにして、ラッピングもみんなにやってもらおう!という構成にまとまりました。
スノーボール…。ご存知ですか?まーるいボール状のクッキーに粉砂糖をまぶしてあるのでスノーボールなんです!今回はこれに香ばしいくるみも入れてみました。出来上がり図としてはこれを透明のビニール袋に3つ入れて、素敵なリボンで口を閉めてできあがり…という寸法です。
川嶋さんには事前に福祉会館にも一緒に行っていただき、4人で試作。いやいや川嶋さん、素晴らしい手さばき!そしておいしい☆これは楽しみと私たちスタッフはにやけておりました。
当日はサポーターとして5名、視覚障害者9名の参加でした。 声出しの後、川嶋さんのレクチャーを受けました。 「バターを混ぜて砂糖を入れたときの感覚はこんな感じです」と、みんなに回してホイッパーで感覚を確認したり、小麦粉とアーモンドパウダーをバターに混ぜ合わせる時のこつや、散らばった粉をまとめるのによい道具を紹介していただいたり、1個当たり15グラムずつぐらいにするのに計量スプーンの小さじを使ってみる…なんていう工夫も教えていただきました。
当日参加された方が、『音声はかり』を職場から借りてきてくださり、便利グッズの紹介もありました。「普通に買うには少し高価なものなので、ちょっとでも安く買えるよう、提案してみます…」なんて言ってくださってました。(ぜひよろしくお願いします☆)
さぁ、そこから4グループに分かれて挑戦です。 ただ、オーブンが1つしかなく、1回に2グループ分ずつしか焼けなかったので、ラッピング用のリボン作りをするグループとクッキーを作るグループとに分かれ、出来上がり次第交代するという方法を採りました。
材料は事前にグループごとに分けておいたので、工程としては混ぜるところから…始まりです。今回、スノーボールにはオーブンで焼いたくるみも混ぜたわけですが、こちらも事前に焼いて準備しておきました。「ビールに合うなぁ」って摘まんでた人もいましたねぇ(笑)。
サポーターの方々の協力を得ながら、また弱視の皆さんは残存視力をうまく使いながらそれぞれ順調にクッキーが出来上がっていきました。 ラッピング…の方は、これまた川嶋さんから教えていただいたものですが、ふつう皆さんがリボンを結ぶとひらひらした部分の片方、裏が見えてしまいませんか?教えていただいたリボンはそういう心配はいらないんです。簡単に作れてそしてフワッと可愛らしいリボンが作れるんです!Xmasやちょっとしたプレゼントに皆さんに利用していただける素晴らしいテクニックだと思います。
今回は午前9時15分集合という早い時間からの開催で、スノーボールの焼けるいい香りをかぎながら皆さんのお腹がお昼の時間を知らせる怪獣が泣き始めたころ、ちょうど全グループのスノーボール完成!
お昼ご飯は木村屋の『チキンのトマトソース煮込み』のお弁当を買って、感想や今後女子会でやってみたいことなどのお話をしていただきながらみんなで一緒に食事をしました。 ご飯を食べ終わってから、作ったスノーボールを試食し、お持ち帰り用をラッピングして当日の工程は全部終了。
「簡単に作れた」と、早速ご自宅で試してみてくださった方もありますし、昔お菓子作りが好きだったけれどやはり目が不自由になってやっていなかった方が「久しぶりにできて楽しかった」など、皆さんのお声は明るく、楽しそうで外の大雨を忘れさせるものがあり、スタッフ一同もうれしく感じています。
ただ、手探りで始めたところもあり、説明不足や当日気付くこともあったり、そこはサポーターの方々が機転を利かせて対応していただくなどで問題をクリアしつつ進行することができました。ごたごたしてしまった部分もありますが、皆さん安全に参加していただけたこと、第1回の料理教室としては合格点…とさせていただけたらなと、思っております。
この日は午後2時から四ツ谷の日本盲人職能開発センターで行われたサロンにも女子会に参加された方も加わり、皆さんの作品を味わっていただきました。それを楽しみにしてなのか、悪天候にもかかわらず、サロンに集まられた方々はすごい人数でした(笑)。
今後の女子会としては、もっともっと多くの方に参加いただける企画、運営を考えていきたいと思っています。それに、現在関東圏内の方としかできていないこの女子会、どういう形でできるのかはこれも今後の課題ではありますが、全国の女性の方々とも交流を深めていけたらとも考えています。
なぜ女性だけで集まるの?と思われる方もあるかもしれません。職業的な悩みの中にも女性特有の悩みがあったり、育児・家事含めて女性が共通して持つ悩みなどがたくさんあり、それらは女性同士で話しているとこんなことがあんなことが…と話しやすい雰囲気が生まれるんです。(男性がいけないのではないんですけどね)
そうした悩みに対してアイディアを持った人がいればその人から話を聞いたり、そうでなくてもその場ですごいアイディアが生まれたり。前向きに行動するきっかけが作りやすい場として重要なのではないかと考えています。
石原さんはたくさんたくさん今後の構想を練っています!!みなさんが楽しく毎日を過ごすことができ、仕事にも『女性活躍』の場を増やすきっかけが作れるぐらい生き生きとお仕事できるような、そんな女子会を進めていくよう、スタッフ一同、精査して準備していきたいと思います。
女子会についてご感想などありましたらタートルの連絡用メールアドレス(m#ail@turtle.gr.jp)にぜひご連絡ください!お待ちしております。
(上記メールアドレスは、SPAM対策のため2文字目に # を入れて記載しています。お手数ですが、上記アドレスから # を除いてご送信ください。)
担当:松尾(文責)・石原・芹田
【お知らせコーナー】
◆ ご参加をお待ちしております!!(今後の予定)
◎タートルサロン
毎月第3土曜日 14:00〜16:00
*交流会開催月は講演会の後に開催します。
会場:日本盲人職能開発センター(東京四ツ谷)
情報交換や気軽な相談の場としてご利用ください。
◎交流会(予定)
3月17日(土)
講師:石原 純子氏 (井上眼科病院 人事総務課)
テーマ:「自身の就労経験から考える眼科専門医療施設で働く視覚障害者の役割と思い」
※詳細は決定次第お知らせいたします。
◆一人で悩まず、先ずは相談を!!
「見えなくても普通に生活したい」という願いはだれもが同じです。職業的に自立し、当り前に働き続けたい願望がだれにもあります。一人で抱え込まず、仲間同士一緒に考え、気軽に相談し合うことで、見えてくるものもあります。迷わずご連絡ください!同じ体験をしている視覚障害者が丁寧に対応します。(相談は無料です)
◆正会員入会のご案内
認定NPO法人タートルは、自らが視覚障害を体験した者たちが「働くことに特化」した活動をしている団体です。疾病やけがなどで視力障害を患った際、だれでも途方にくれてしまいます。そんな時、仕事を継続するためにはどのようにしていけばいいかを、経験を通して助言や支援をします。そして見えなくても働ける事実を広く社会に知ってもらうことを目的として活動しています。当事者だけでなく、晴眼者の方の入会も歓迎いたします。
入会金はありません。年会費は5,000円です。
◆賛助会員入会のご案内
☆賛助会員の会費は、「認定NPO法人への寄付」として税制優遇が受けられます!
認定NPO法人タートルは、視覚障害当事者ばかりでなく、タートルの目的や活動に賛同し、ご理解ご協力いただける個人や団体の入会を心から歓迎します。
年会費は1口5,000円です。(何口でも結構です)
眼科の先生方はじめ、産業医の先生、医療従事者の方々には、視覚障害者の心の支え、QOLの向上のためにも賛助会員への入会を歓迎いたします。また、眼の疾患により就労の継続に不安をお持ちの患者さんがおられましたら、どうぞ、当認定NPO法人タートルをご紹介いただけると幸いに存じます。
入会申込:
1)タートルホームページの入会申し込みメールフォームから。
2)申込書をダウンロード。
URL:http://www.turtle.gr.jp/
◆ご寄付のお願い
☆税制優遇が受けられることをご存知ですか?!
認定NPO法人タートルの活動にご支援をお願いします!!
昨今、中途視覚障害者からの就労相談希望は本当に多くあります。また、視力の低下による不安から、ロービジョン相談会・各拠点を含む交流会やタートルサロンに初めて参加される人も増えています。それらに適確・迅速に対応する体制作りや、関連資料の作成など、私達の活動を充実させるために皆様からの資金的ご支援が必須となっています。
個人・団体を問わず、暖かいご寄付をお願い申し上げます。
★当法人は、寄付された方が税制優遇を受けられる認定NPO法人の認可を受けました。
また、「認定NPO法人」は、年間100名の寄付を受けることが条件となっています。皆様の積極的なご支援をお願いいたします。
寄付は一口3,000円です。いつでも、何口でもご協力いただけます。
寄付の申込:
1)タートルホームページの寄付申し込みメールフォームから。
2)申込書をダウンロード。
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≪会費・寄付等振込先≫
●郵便局からの振込
ゆうちょ銀行
記号番号:00150-2-595127
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●他銀行からの振込
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
支店名:〇一九店(ゼロイチキユウ店)
支店コード:019
預金種目:当座
口座番号:0595127
口座名義:トクヒ)タートル
◆ご支援に感謝申し上げます!
昨年度も多くの皆様から暖かいご寄付を頂戴しました。心より感謝申し上げます。これらのご支援は、当法人の活動に有効に使用させていただきます。
今後とも皆様のご支援をお願いいたします。
◆活動スタッフとボランティアを募集しています!!
あなたも活動に参加しませんか?
認定NPO法人タートルは、視覚障害者の就労継続・雇用啓発につなげる相談、交流会、情報提供、セミナー開催、就労啓発等の事業を行っております。これらの事業の企画や運営に一緒に活動するスタッフとボランティアを募集しています。会員でも非会員でもかまいません。当事者だけでなく、晴眼者(目が不自由でない方)の協力も求めています。首都圏だけでなく、関西や九州など各拠点でもボランティアを募集しています。
具体的には事務作業の支援、情報誌の編集、HP作成の支援、交流会時の受付、視覚障害参加者の駅からの誘導や通信設定等いろいろとあります。詳細については事務局までお気軽にお問い合わせください。
☆タートル事務局連絡先
Tel:03-3351-3208
E-mail:m#ail@turtle.gr.jp
(SPAM対策のため2文字目に # を入れて記載しています。お手数ですが、上記アドレスから # を除いてご送信ください。)
【編集後記】
全国のタートル会員の皆様、お元気でお過ごしでしょうか?
年末発行に向けて秋口からバタバタしているこのごろです。10月はまたもや台風被害ニュースでした。プロ野球も田んぼのような環境の中行われましたし、ゴルフトーナメントも中止があったりとあらゆるところで影響が感じられました。会員の皆様の中には、毎日通勤をしている方も多いのではないでしょうか?雨の日の通勤は歩行も電車の乗降も大変ですよね?雨が上がっても強風が残っていると、それだけでも歩行が難しい事もあると思います。これからは、冬に向けて、雪の日や路面凍結などへの対策も必要な時期になってきます。駅だけでなく通常歩行も注意したいところです。
さて、皆さんのお住まいの周囲にも外国からの方々は多いですか?私の住んでいるところも色々な人がいまして、アメリカ人(宣教師らしいです)、中国人のご夫婦、韓国の方、インド人、ブラジル、スリランカ、フィリピン、タイなどいらっしゃいます。なぜ、どこから来たのか知っているかというと、みんな会えば声をかける仲だからです。改札を抜けるとき、道を歩いているとき、買い物をしているとき、話しかけてくれます。インドの方には、何故か、ビールをおごってもらいました(笑)。フィリピンの方は、ドアの前まで荷物を持ってくれて誘導してくれました(汗)。やはり、昔に比べて、日本はグローバルな社会になっているのだと実感します。
リニューアルした情報誌について見やすくなったとのお言葉を頂きました。是非、ご感想をいただければと思います。
さて、今回の「情報誌」はいかがでしたでしょうか?これからも、会員の皆様に楽しんで頂けるような誌面にしていきたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します!!
(市川 浩明)
奥付
特定非営利活動法人 タートル 情報誌
『タートル第41号』
2017年11月14日発行 SSKU 増刊通巻第5931号
発行 特定非営利活動法人 タートル 理事長 松坂 治男