No.2

タートル

1996.5.1.
中途視覚障害者の復職を考える会
(タートルの会)



【巻頭言】


タートルの会幹事 新井愛一郎


 「目が悪い自分にはやはり無理なのか」。こんなふうに思ったことが何度あ ったことか。そして、「退職した方がいいのか」と、迷い道に迷い込みかけたこ とが何度かある。
 「目が見えないから‥‥」である。「視力が弱いから‥‥」である。
 この論理は、「常識」のように扱われる。世間の人たちはそう思い込み、そ んな中で、私たち視覚障害者も、そう考えがちである。私もそうであった。でも それは正しい論理か。私はどうしてもこの「非常識」を打ち破らねばならないと 思う。そしてそれには3つのポイントがあると思う。
 まずは、「これがやりたい」という気持ち、「働きたい」という強い意志で ある。ともあれこれが大前提になる。ここではとりあえず一切の課題は二の次で ある。
 そして、2つ目は知恵と工夫。自分の意思を細かく根拠づける作業である。 たくさんの情報を入手する、そしてそれを自分に合ったように加工する。仕事を するということは、具体的な作業をどうこなすのかという問題がある。そこでは 、やり方は色々あって良いと思う。パソコンや様々な補助機器を活用することは もとより、人の力を借りることも重要である。人と物の多様な組合せ、そこには 大きな可能性が潜んでいると思う。
 そして3つ目には、何より前述したことを可能にする、「仲間の存在」であ ると思う。去年、緑内障で視力が急激に低下したNさんと出会った。彼は自分自 身大変な状況にあるにもかかわらず、最近中途失明したTさんと接点を持ち、点 字と音声ワープロの勉強を手助けし、Tさんの復職を応援する。このNさんの気 持ち、視覚障害者同士のつながり、そこに私はすごく明るい可能性を見い出す。
 この仲間の力こそが、意志と知恵とを結びつけ、非常識を打ち破る力になっ ていくのではないか。そして、これは当然、働くということを含めた、視覚障害 者のすべての可能性につながることではないのだろうか。

【特別寄稿】


「いちりんの会」の活動について

いちりんの会会長 永井昌彦

 「いちりんの会」は、企業・官公庁・学校等、晴眼者主体の職場で、一般職 に従事している障害者の就労をより確実なものとすることを目指して活動してい る団体です。
 京都府視覚障害者協会では、1988年度から視覚障害者の職域を広げる取組み のひとつとして、一般の職場で三療や邦楽以外の仕事に従事している視覚障害者 の交流会を実施しました。その参加者が年毎に増え、職種も一般校の教職員、事 務職や福祉職の公務員、会社の事務員、電話交換手、コンピュータープログラマ ーなどに広がり、他府県からの参加もみられるようになりました。そこで、地域 や団体の枠を越えて広く交流を呼びかけ、1991年11月に京都で第1回の交流会と 総会を開いて会の結成にこぎつけました。
 第1回の交流会と総会には、京阪神の他、東京・長野からの参加を含めて約30 名が集まりました。交流会では、参加者のうちの2人からその職場での状況や課 題などについて報告してもらい、それを中心に話し合ったほか、参加者全員が各 自の取組みや悩みなどを出し合いました。
 総会では、慎重な審議を経て会則が制定されました。会の目的は冒頭に述べ た通りです。構成員は、そのような職場で働く視覚障害者の他、会の趣旨に賛同 していただける方を賛助会員として迎えることにしています。事業は、研修会、 交流会、その他目的達成のために必要な事業、となっています。交流を通して学 び合い、励まし合うことを中心にすえ、それに加えて大きく変貌する労働情勢の 下での視覚障害者の就労に関する研修を重視した内容です。
 こうした研修会と総会を年1回京都で開催し、今年度で5回を重ねました。 研修については、第2回目からはその道の専門の方々に講演をお願いしてきまし た。テーマは次の通りです。
 「視覚障害者の職域開発と職場定着」(日比野清氏)、「海外における視覚 障害者の就労の現状と人的支援」(指田忠司氏)、「視覚障害者として働きつづ けるために‥‥」(畠山友義氏)、「視覚障害者の職場定着を目指して」(三宅 康博氏)
 交流については、公務員と民間企業従事者という職場別の分科会、支援機器 ・人的支援・人間関係という問題別の分科会の形をとったこともありますが、最 近は、発言機会を保障する意味で10人程度の分散会を開いています。そして、全 体会でそれぞれの報告を受け、全員で討議するようにしています。参加者は30〜40 名で、関東・中部・近畿・九州などにわたっています。
 その他いろいろ計画していましたが、事務局体制の弱さもあって、十分な成 果をあげることが出来ないでいます。研修会のまとめを出せない年もありました 。地域集会は西宮で1回開いたきりです。今年度は事務局体制を強化して、研修 会のまとめの作成、会報の発行、悩んでいる会員に対する相談活動などの取組み をすすめていきたいと考えています。
 わが国の視覚障害者の職業は、長い間伝統的な三療や邦楽の分野に限られて いました。早くから求められてきた、いわゆる「新職業」開発の機運が戦後にな ってようやく開け始め、最近ではかなりの視覚障害者が多様な職場に就労するよ うになってきました。しかし、その就労にはなお厳しいものがあります。これを 克服して視覚障害者の職域を広げるためには、それぞれの職場に就労している一 人ひとりの視覚障害者が、その職場の事情に即して自分の能力を発揮するための 条件を創り出し、ひとりの労働者としてしっかりと定着することが必要です。こ のような実践を発展させる上で、本会が続けている研修と交流の取組みは大きな 意義をもつものと言えます。
 誕生後まだ日の浅い「いちりんの会」ですが、視覚障害者の労働権保障問題 に取り組んでおられる他の諸団体にも学びながら活動を続けていきたいと思いま す。

【交流会1(1996/1/27)】

年金について

国立身体障害者リハビリテーションセンター
医療相談開発部 和泉森太

障害年金の種類
国民年金、厚生年金、共済年金、別に私保険の高度障害について

1.障害基礎年金(国民年金)の解説
 加入期間が20歳から60歳までであることをはじめとして、保険事故によって 年金支給が行われるものであること。このことは老齢年金や私保険の高度障害に ついても同じ。原則に基づいて年金支給が行われることを説明。老齢年金が国民 年金の場合では65歳という年齢に到達することが保険事故であり、生命保険が死 亡事故により支払われたり、障害が重度になったことが保険事故として死亡保険 金が支払われたりするのが例となる。
 さて、厚生年金や共済年金にも共通することではそれぞれの保険に加入中に 障害原因の初診があることと、20歳から初診までの保険料払い込み済みが3分の 2以上であること、もしくは初診日の過去1年の保険料滞納が無いことを要件と して、障害認定日(1年6カ月か医師が症状固定と診断した日)時点で障害の状 態が障害基礎年金に該当すると、請求することができる。これが昭和61年に法改 正された障害年金に関する手続きの要件であって、それ以前の法律は加入期間中 に初診がなくても、障害原因が加入期間中であると推測するに足る見解が補足さ れれば良いとされていたので、障害を隠して受診しない場合でも救済の道が残さ れていたといえる。その意味では現在の制度は融通の利かない考え方となってい る。
 また、事後重症制度も以前の法律では初診から5年以内しか認めていなかっ たものが現行法では65歳までの期間が認められることとなっている。その内容は 、障害の状態が障害基礎年金に該当しない場合でも、以後増悪することによって 、障害の状態が障害基礎年金に該当することとなれば、年金請求ができるという ものです。
 ただし、老齢基礎年金を繰上受給した場合は、この権利(事後重症制度)を 利用することができなくなります。
 なお、いずれも保険料を支払う(拠出する)場合を前提に説明をしています が、20歳以前に障害原因があるとされるもの(疾病、事故等)については20歳も しくは事後重症制度によって、障害基礎年金を請求することが可能となります。 所得制限は、[240万円+基礎控除額+特別障害者控除額+配偶者控除や扶養控 除等]ということです。所得制限を超えると、支給制限や支給停止という事態が 生じますが、これが保険料を支払わない(無拠出の)年金ということになります 。

2.障害厚生年金・障害共済年金
 昭和61年に法改正された内容は、2階建て年金であり、1階部分は基礎年金 の国民年金が占め、被用者年金(厚生年金・共済年金)から国民年金に保険料を 拠出して共通部分を構成する制度となっています。従って障害年金の適用は、ま ず障害基礎年金に該当するか否かが年金の受給の可否を決定付けることとなりま す。
 視覚障害に関する障害年金の大きな課題であった「網膜色素変性症」等の病 名では、これまで20歳以前の無拠出年金にされる例が多くありましたが、社会保 険業務センターの現在の取扱いは自覚症状に伴う受診を初診とするよう配慮が行 われるようになっています。

3.障害年金と身体障害者手帳との関係(年金各法と身体障害者福祉法)
 一般的には連動しているように見えます。しかし、法律が異なるため参考に する目安ではあっても、イコールではありません。
 昨年4月、身体障害者手帳で視野狭窄の等級変更をいたしましたが、年金の 等級変更には連動していないので注意が必要です。あえて強調するなら、「日常 生活に高度の制限を受け、介護無しには生活ができない」といった内容を予後や 備考欄に記載してもらわなければならないでしょう。

4.生命保険等(職域・地域生協)の高度障害による給付
 これらについては保険約款(しおり)に規定が示されているので確認をする 必要があります。交通事故や疾病の急変等で身体障害者手帳の1級程度にならな いと適用されないようです。なお、住宅ローンを抱えている家庭では、この給付 を得ることによりローンの解消が図れることになります。つまり、死亡保険金と 同額の保険給付が行われることになるからです。

◆職場で頑張っています◆


【現況報告:その1】
職場介助制度の充実・発展を‥‥
都立工芸高校 山口 通
 国立リハの生活訓練課程での寮生活からもう3年が過ぎました。この3年で 網膜色素変性症も進み、白杖のテクニックも慎重になり、人や物にぶつかること も多くなりました。また、通勤も慎重になり、ラッシュを避けて7時頃には職場 に着いています。
 仕事の上で苦労していることは、
  [1]情報が不足していること。
  [2]テスト作成と成績処理。
 哲学=「倫理」や「現代社会」を担当している関係で、特に情報量は問われ てきます。
 現在は同僚とボランティアの方々に対面朗読を月曜から金曜までしていただ いています。朝刊3紙や教科書・授業用プリントなどを主に読んでいただいてい ます。
 ニュースはスピードが命ですから、授業の前に読んでいただいています。同 僚とボランティアのご尽力、ご支援によって私の授業は支えられています。
 個人テープは三鷹・武蔵野・文京の図書館、ボランティアの皆さんに作成し ていただいて、職場の机上にはテープが溢れています。
 NECの「98ノート」に音声合成装置「しゃべりん坊」をつなげています 。
 テスト作成にはかなりの時間がかかるので、できるだけ日頃から作るように 心がけています。また、成績処理・欠時数などは間違いがあってはならないので 、社会科の同僚や家族に見てもらっています。会議の時はパソコンをメモ代わり に活用しています。 授業はプリントを中心に展開させています。その印刷は各 クラスの生徒が輪番で放課後に一週間分を印刷してくれます。
 今後の課題は、やはり職場介助制度の充実・発展に尽きると思います。
 職場には書類が溢れています。それに即応するには、しっかりとした制度は 不可欠です。新刊の専門書や詳細なデータを得るには、この制度とボランティア の皆さんが充実させてくださると確信しています。

【現況報告:その2】
仕事の範囲拡大は亀のペース
国立精神・神経センター運営部 秋元 明
 私は元いた職場に戻れたこともさることながら、それにもまして復職できた こと自体も希なケースの1人です。
 復職してから2年経ちました。でも仕事の内容については、さほど変化はあ りません。基本的には会議録の作成と電話番です。
 いままでの仕事の中でも、データベースソフトを利用して内線番号簿やメモ 帳、また自分の会議録作成リストを作ったりしてきました。ただしこれらはすべ て自分のためのもので、他の人と共用していけるものにはなっていません。また 表計算ソフトを利用して国内旅費の早見表などを作ったりもしてきました。
 これらのパソコンソフトは、画面読み上げソフトを介してパソコンの画面上 はだいたい利用することができますが、いざ印刷となると他の人に協力をお願い する必要があります。その場合手数をかけるわけですから、私としてはやはりそ れなりに他の人たちにとっても役に立つものでないと頼みにくいものがあります 。そのため私のところでは印刷という作業段階に進むものはあまりなく、パソコ ンの画面上の世界で終わっているのが多い現状です。でも私個人では利用してい るのです。
 そのような中で、最近、増えていることといえば、国内旅費の計算の依頼で す。ただこれは私に仕事をしてもらおうというよりも、私のパソコンソフトを使 って、面倒な計算をやってもらおうというのが本音かも知れません。
 このソフトは旅程検索・運賃計算ソフトの「駅スパート」全国版で、私が個 人で購入したものです。このソフトを使うと時期によって変わる特急料金やJR の幹線と地方線の通しの運賃計算、さらには往復割引の計算などもでき、旅費の 請求書などに記入する駅間の距離なども算出されます。
 私は、依頼を受けたとき、日付と行先を入力して、計算結果については表示 画面をそのまま印刷する画面コピーで済ましています。ソフト自身にも印刷機能 はありますが、請求書を記入するときに途中駅間の距離なども必要なため、画面 コピーの機能を利用しています。
 ちなみに公務員の旅費計算では新幹線「のぞみ号」の特急料金は認められな いので、ソフトの中で、のぞみ号を休業中に設定をして計算しています。
 いまは年度末ですから、研究費や委託費の決算時期で、旅費の精算の必要が あるので、そこそこの件数はあります。でもこれについても時期的なもので、通 常に戻ればまたそれほど変化のない日常に戻ります。
 いまの私はこのような状況です。ペースは亀のごとくのろまですが、少しず つでもやれることを増やしていければと考えています。

読み・書きできるようになるまで
ハローワーク墨田 内山義美
 2年前、左眼に網膜剥離を起こし、6カ月の入院生活を余儀なくされました 。94年10月に職場復帰し、今日に至っています。入院のとき、文字が読めるよう になるのか、読めるようになってもどのぐらいなのか、仕事は続けていけるのか 、などの不安と心配な気持ちの毎日でした。しかし、職場の上司、同僚、病院の 医師、視覚障害の仲間からの励ましや助言があり、何とか一つの山を越えること ができました。皆さんに心から感謝し、お礼を申し上げたいと思っています。
 退院後、文字を読むための器具は、どこにどんな物があるのか、どこで扱っ ているのか、保健所、区役所、都立の障害者センターなど問い合わせました。や っと飯田橋駅そばのセントラルプラザビルの東京都社会福祉センターにあった視 覚障害者用の器具に出合いました。これを使うと文字が読めると思っただけでも 心が躍り、胸が痛くなりました。毎晩、妻に肩をもんでもらったり、マッサージ に通い、何とか治りました。
 先行きのことで悩んでいたとき、京都で視覚障害者の集まりである「いちり んの会」の総会があると聞き、すぐ行くことにしました。94年の11月のことでし た。総会の講演で視覚障害者の講師から「障害者でも、つぶしが利く人になりな さい」と言われたことが頭に残り、帰りの新幹線「のぞみ」の中で、そのために は何をどうすれば良いのか考えました。目が使えなかったら、耳を使うしかない 。そうすると音で物事を判断し、言葉を読んだり、書いたりしなくてはならない 。それを可能にするのは、パソコンがあることに気が付きました。職場にパソコ ン(音声ワープロ)があれば、それを自由に使いこなし、読み書きができれば仕 事の面でも「つぶしの利く」ことになるのではないかと思いました。
 所長をはじめ、関係職員の皆さんや当局の理解と援助のおかげで、95年4月 に音声ワープロ(でんぴつ)と拡大読書器を職場に設置していただきました。心 温まるご配慮に心から感謝いたしております。
 今度は、音声ワープロの使い方を四谷の「日本盲人職能開発センター」で習 いました。初めはAOKを点字入力で点字を覚える方法での操作でした。次は、 「でんぴつ」のソフトでフルキーの操作でした。キーボードを見ないで打てるよ うになるのが不安でしたが、やっている間に楽しくなり、いつの間にか見ないで もフルキーが操作できるようになりました。
 現在の心境を一句。
「春霞 墨堤桜 一分咲き」


【交流会2(1996/3/23)】

中途視覚障害者にとってのパソコン
〜その有用性、その将来像〜

社会福祉法人日本盲人職能開発センター
北林 裕・篠島永一

1.その有用性
〜自信回復への足がかり〜
(1)社会的自立(生活の中での活用)
[1]初期の動機付け
 リハビリテーションは病院のベッドから始まると言われています。そして最 終ゴールは職業自立です。もちろん個々に違いますが、本人の自立目標に向けて 継続的に行われていくことが大事です。特に自立に向けて何か摸索を始めた初期 相談の段階で、パソコンの有用性を知らせることは、自立への動機付けの重要な 事柄の一つと言えます。
ワープロの紹介
 「失明は文字を書くその手を失ったわけではない」という当センターの創始 者である故松井新二郎先生の言葉があります。
 中途視覚障害者は、視力の低下により、行動の不自由はもちろんですが、文 字の読み書きに支障を来してきます。読むことは当然、書くことにも強い欲求を 持っています。パソコンによるワープロが、目が見えなくても使えるんだという 情報は、明るい希望を与えるものとなります。
[2]点字習得へのステップ
ワープロの点字入力の効用
 視覚障害者が使えるワープロには、いろいろな種類があります。開発は十数 年前になりますが、当初のソフトは特殊なルール(六点漢字・漢点字)を覚えな いと漢字は出せませんでした。しかし、数年後に漢字1字1字を詳細に読んでく れるソフトが開発され、仮名で入力すれば、辞書で変換された同音異義の熟語を 選べるようになり、誰でもが独力で容易に墨字が書けるようになったのです。
 しかもパソコンのキーボードの文字配列全部を覚えなくても、点字タイプラ イターと同じ配列の6つのキーだけで入力が可能なのです。従って、仮名点字の ルールを覚えながらワープロが使えるようになるわけです。中途視覚障害者にと って、白杖や点字に対する抵抗感が最初はあるのですが、それを意識せず自然に 点字の表記を身につけていけるのです。その後、必要性が強まると、触読という 難関にも挑戦する気持ちになってきます。
[3]積極的な社会参加
文字を書く対象の広がり
 このようにして、自由に墨字を書くことが出来るようになると、自信を回復 します。書けなくなったのが書けるようになった。そこで、抑圧から解き放たれ たように、墨字を書く相手が見えていた頃よりも広がります。
[4]パソコン通信
情報入手と交流の広がり
 パソコンをワープロとして使うだけでなく、活用の幅の広がりとともに、他 人のファイルを自分のパソコンに読み込んで情報入手の手立てとすることや、さ らには、パソコン通信により、新聞記事検索、趣味などの各種フォーラムに参加 して多様な情報を入手したり、仲間をつくることができます。交流の輪が大きく 広がるわけです。
[5]データベースの活用
住所録等データ管理の効率化
 最初はワープロで住所録などを管理するわけですが、特定の人だけを抽出し てタックシールに印刷しようなどというニーズが生じてきます。このような場合 にはデータベース・ソフトを活用することが効率的です。そのほかにも身の回り のデータ管理やCD−ROMの利用もデータベースの利用の一つとも言えます。
(2)職業的自立(職場の中での活用)
の利用の拡大
 パソコンの画面文字の音声化ソフト(=ex:VDM100、やまびこ)を利用して、 一般のワープロソフトや表計算ソフト、あるいはデータベースソフトを活用する ことは出来ています。しかし、それぞれのソフトのバージョンアップに追いつか ず旧バージョンの使用を余儀なくされ、互換の問題は課題として残されています 。
 パソコンを使って何をしたいのか、仕事の中で各自が工夫しているのが現状 であります。

2.その将来像
(1)Windows95への対応
[1]データの共有
社内データベースの活用
 企業では社員一人1台のパソコンの環境に移行しつつあります。この場合、 機種を問わない基本ソフトとしては、Windows95が採用されていくと予 想されます。その音声化の研究は進んでいます。また、弱視者向けの画面文字拡 大ソフトはすでに利用可能になっています。こうして健常者と全くベースを同じ くするパソコンの使用環境では、データの互換性の壁は取り払われるものと思い ます。
 さらにアプリケーションソフトの利用の幅も格段に進むはずです。
[2]ペーパーレス環境へのアプローチ
電子化データの送受信
 ローカルエリアネットワーク(LAN)が全社員に広がれば、まさにペーパ ーレスとなるわけです。視覚障害者にとって好都合の環境となります。
[3]仕事の創出
組織と人間関係
 情報の入手が容易になると、視覚の障害というハンディキャップより、いか に情報を選択し必要な資料に加工できるかの能力が決め手になります。
 組織の中で良好な人間関係を保ちつつ、必要な情報は何かをつかまえること が、即仕事の創出につながることになります。
(2)情報障害の克服
インターネットへのアクセス
 国内はもとより海外の情報へのアクセスが比較的手軽に安価に可能になるイ ンターネットは、視覚障害者にとって、まさに情報障害の克服と言えるのではな いでしょうか。特に情報の発信者になり得ることは、今後の職域拡大に大きく貢 献するはずです。新たな職域の創造が期待されるところであります。
◇会合日誌◇
◆1995年12月15日(金) 幹事会
 会報の発送作業と忘年会
◆1996年1月27日(土) 交流会
 「年金について」(和泉会長)
◆2月23日(金)   幹事会
 交流会と手記集に関する打合せ
◆3月23日(土)   交流会
中途視覚障害者にとってのパソコン
〜その有用性、その将来像〜
(篠島氏と北林氏)
◆4月12日(金)   幹事会
 総会の打合せ、会報の編集会議
……………
◇お知らせ◇
◎96年度会員総会
  日時: 1996年6月8日(土)
    午後1時から5時まで
  場所: 港区立三田福祉会館
東京都港区芝 4-1-17
電話 03-3452-9421
  内容:T 講演
 「障害者プランについて……解説」
講師:寺島 彰 氏
 (厚生省・身体障害者福祉専門官)
 U 会員総会
 [1]事業報告・決算、[2]役員選任、 [3]活動方針と会員交流、[4]まとめ
……………
◇編集後記◇
 会報「タートル」第2号に「いちりんの会」の活動状況報告を寄稿して頂き ました。今後も交流を深めていきたいものです。
 先月3日付の『朝日新聞』(日曜版)の「みんなの健康」欄に網膜色素変性 症の記事が載り、連絡先に当会が紹介されていました。ずいぶん反響があって、 あらためて初期相談の重要性と会の役割に責任を感じた次第です。
 会員や関係者の皆さん、投稿、寄稿、注文、意見、何でも結構ですから、事 務局までお寄せください。 (篠島永一)

中途視覚障害者の復職を考える会
タートルの会
会 長   和 泉 森 太
事務局 : 〒160 東京都新宿区本塩町 10-3
社会福祉法人 日本盲人職能開発センター 東京ワークショップ内
   電話 03-3351-3188 Fax.03-3351-3189


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