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O大原委員  ぼくは、これは具体的な問題ですけれども、非常に大切な問題で あるのは、やはりこの身体障害者の雇用の問題で一応答申が出ておるわけですが、 それから参議院の社会労働委員会でも集約した決議をしておるわけですけれども、 やはりその目標はここにもうたっているのですけれども、やはり強制雇用の制度 を確立する。つまり、身体障害者の問題は今度は老人問題に次いで大きな社会問 題なんですね。それから交通の問題から考えてみても、あるいは公害、環境破壊 の問題から考えてみても、これは、西ヨーロッパには社会連帯意識が戦争犠牲者 の問題で出ている、こういう議論、日本はそういう条件がまだない、こういうこ となんですけれども、そうでなしに、身体障害者の問題は答申の趣旨にもあるよ うに、これは一つの社会的な責任としてこの 問題を処理するということの考え 方が必要だ、こういうふうに書いてある。書いてあるし、身体障害者のこれからの総合対策の目標といたしましては、これは私はポイントだと思うのですよ。
 だから、いまの答弁を聞いていると、何だかやっかい者扱いにしているような、 人間としての人権に差別を加えているような意識ですね。大体その採用の時以来 ずっとそういうことが官庁には一貫してあると思うのですけれども。だから私は この問題は   この方はかなり教養もあり、目のあいているときに教育を受 けて経験の豊富な人ですから、そのことを生かして政府全体としても適職をどう いうふうにやるかということがあってしかるべきなんですね。ただ、おたくの税 関は税関で考えるけれども、税関の立場に立って政府に対して、そういう場合に 身体障害者を連帯意識をもって職場でどういうふうにお互いの問題として処理し ていくか という問題について具体的に 職種の開発や生活の保障について 考えようと思えば私はあると思う。というのは、たとえば電子計算機だってでき ますしね。男の方で四十四歳で電話交換をやるかどうか別にいたしましても、と にかく職を選ぶならあるのですね。これは私は労働大臣の責任でもあるが、総理 府長官がやるのかどうか、全体としましても身体障害者の問題について新しい観 点で取り組むという、そういう姿勢が見られないのはきわめて遺憾である。あな たのところの議論が。全く、そういう身体障害者に途中でなったならば、これは おまえの責任だといって、自己責任でぽんと出してしまうということです。実際 には。そういうことで身体障害者の問題の対策を処理したのでは、絶対にこの問 題は解決されない。前進しない。
 そういうことですから、私はいまの答弁を踏まえて労働大臣は政府としてこの 問題を具体的に処理できなければ 具体的に処理するならば、これは一つ のケースになるわけです。先例になるわけです。能力を開発する訓練と一緒に、 リハビリと一緒に、医療とは何かということなんだ。リハビリと一緒に職場を保 障する措置を講ずる、この人の条件のときに、こういうことができないというこ とはない。私は、こういう具体的な問題を解決すれば政策は前進するのではない か。こういう観点で労働大臣の御見解をお聞きしたいと思う。

O長谷川国務大臣  だんだんいま馬渡さんの問題について応答を聞いておりま すと、やはり一人の方が就職されてその間にこういう御病気になられる、その間、 よく接触する間の慎重な、ある意味では熱心な、ある意味では親切な、そういう 話が間々欠けている問題があったのではないかという気もするわけです。いま大 原さんのおっしゃるようにいまから先、これはやはり中高年齢層の問題とこうい う身体障害者の問題は大事なことだ、私はこう思っております。同時に、ですか ら答申も出たことでもあり、これを一つのきっかけにいたしまして、私たちはや はり残っている能力を開発するところに重点をひとつ置く必要がありはせぬか。 おっしゃるように、コンピューターもあります。あるいは製図もありましょう。 あるいはまたデザインなどという、それぞれの障害の模様によってそうした訓練 などをしながら社会復帰ができるようなところに、一そういままで以上にやらな ければいかぬ。国立関係やら 専修職業訓練校とか高等職業訓練校とかいまま でもありましたし、また国のほうでもつくっておるし、県立もありますが、こう いう機会にそれを一そう社会的に訴えながら、いまの大事な問題について推進し ていきたい。来年度の予算でもそういうものを計上していませっかく折衝してい る向きもそういう趣旨を生かしていきたい、こう思っております。

O山本(政)委員  道正さん、いま新しい職種の問題もあるのだ、こういう話 がありました。ただ私は、身体障害者の雇用促進法の精神というものを積極的に 生かすというあなた方のお気持ちがあるならば、本人のために新たな職種をつく ることが幾らだって  幾らだってということは言い過ぎかもわかりませんけれ ども、新たな職種をつくることが可能だと思うのですね。大蔵省に実例があるの ですよ。東京国税局、名前はあげませんけれども、失明をいたしました。本人の 強い希望があった。そして税務相談所にテレフォンサービスという係をあなた方 新設しているのです。それならなぜそのことができないのだろうか。馬渡さんは、 通勤からいっても、あなたのおっしゃったように横浜なら通勤可能なんです。条 件的には馬渡さんの場合には横浜税関につとめさしてあげるのが一番いいわけで すよ。そしてその税関の中に診療所というものがあるならば、なぜ新しい係ぐら いができないのだろうか。それが身体障害者雇用促進法の精神じゃないのですか。 それでは、遠藤さんにぼくはまず最初にお伺いしたい。それが精神じゃないだろ うか。

O遠藤政府委員  身体障害者の雇用の確保につきましては、先ほど申し上げま したように、当該事業場でそういう身体障害を起こしたという人につきましては、 まず第一に当該企業、当該事業場内でのその人の残存能力に応じた職場、あるい は能力が欠けるのであれば、リハビリテーションなり訓練をやりまして、新しい 技能を見つけさして、そして適当な職場に配置転換をして雇用を確保するという のがまず第一だと思います。しかしながら、当該事業場内でどうしてもその人の 能力に見合った職場がないということであれば、第二次的には他の適当なところ で社会復帰を進めていくということであろうと思います。したがいまして、この 法律の趣旨からいいますならば、できるだけそういった措置を講ずることによっ てこういう人たちの希望に応じた職場を確保していくように努力をいたしたい、 かように考えております。

O山本(政)委員  ですから労働能力があって、一定の条件さえ保証されるな らば、その人が労働が可能であるという場合にはそういうことを考えるというこ とが望ましいということですね。そして、それがあたりまえのことだということ でしょう。ですから、大蔵省としては当然そういう配慮といいますか、そういう 一つのことをぜひ考えてほしいと思うのです。そういうことから考えれば、免職 というのですか、そういうことも当然おかしくなるはずですから。
 私は時間もありませんのでお伺いしたいのですけれども、一体分限免職などと いうことをやらないということを第一点あなたに確認してもらいたいと思うので す。第二点は、いま局長のほうからお話があったように、そういう精神に基づい て、ひとつ本人のために十分な考慮を払ってもらいたい、この二点についてお伺 いしたいわけです。もし答弁のいかんによっては、私は少し時間をかしていいた だきたいと思います。

O道正説明員  私ども、現段階で結論がまだ出ておるわけでございません。そ のような段階におきまして、第二に、先生のおっしゃいましたできるだけ職場に おいて、職場の形に沿うような精神においていろいろ考えてみろという点につき ましては、その職場復帰というのを、やはり横浜税関がよろしいのか、あるいは その官庁組織の中で考えてもいいのかどうかという問題もございますし、私ども 実は答申を拝見させていただきました。そのような答申を官庁組織としてはどの ように受け入れていくのか、まだ私も十分に担当部局から伺っておりませんので、 そこいらはきわめて重要な問題であるだけに、私ども関係各省と鋭意その考え方 を詰めますし、基本的な考え方といたしましては、先生のおっしゃいました、あ るいは答申の線というものをわれわれ十分考えながら官庁組織としてどこまでそ れを受け入れるべきかという観点から考えてまいりたいというふうに思っており ますし、第一の点につきましては、現在われわれ法律、規則というものの範囲の 中でありとあらゆることを本人の最善になるようにという点で考えておるわけで ございまして、どういうことはやる、どういうことはやらないということを現段 階におきましてお約束はできないのではなかろうかというふうに考えております。

O山本(政)委員  労働省のほうからの答弁はお聞きのとおりです。委員長が お聞きのとおりです。それから大蔵省として重要な問題があるというけれども、 馬渡さん本人にとってはもっと重要な問題だと思うのです。そして委員長もお聞 きのとおり二百七十万円でほおり出されてしまっておる。開業の施設から何から 大蔵省が出してくださるというなら話は別ですよ。そんな規則なんかないはずな んです。それでお答えができないということならば、私は納得できません。だか ら関税局長呼んでください。それまで私は質問を保留いたします。関税局長呼ん でいただきたい。つまり、そんなに人間一人が大蔵省で処理できないなんていう ばかなことはないと私は思うのです。
 それからこの問題はそんな短時日の間にできた問題ではなくて、先ほど申し上 げたように、三十三年以降ずうっと出てきた問題なんです。だから、もしそうい うことであるならば、三十三年以降の大蔵省のあり方とかやり方ということで逐 一ここにありますから、全部出します、関税局長に。だから関税局長呼んでくだ さい。大蔵省は何をやったかということがちゃんとこれだけあるのです。呼びな さい。

O野原委員長  続いて、大原亨君。

O大原委員  できるだけ時間を守ります。
 いまのついでに  ついでにと言ってはなんですが、山本委員の質問に関係を いたしまして、身体障害者雇用審議会の答申、これは非常に大切な答申だと思い ます。その中で、問題は限定して、まとめて質問いたしますが、身体障害者雇用 促進法が、言うなればおざなりになっているのではないか、こういう問題がある わけです。身体障害者の雇用問題というのは、身体障害者の福祉対策の言うなれ ば頂点に立つ問題ですから、この問題について発想転換をしなければならない、 こういう客観的な情勢があると思うのですが、この答申の中によりますと、従業 員五百人以上の大規模事業所において一・一七パーセントと雇用率が低率である。 未達成事業所の割合も四四・八パーセントの多きに達している。四四・八パーセ ントも未達成の事業所がある。こういうふうにいってあるわけであります。官公 庁の現業、非現業とそれから中小企業などを比較してみると、結局は身体障害者 をずっと雇用する職場が保証されてない上に、言うなれば粗末なというか条件の 悪い職場におれは集中している、こういうことであると思うわけです。しかし身 体障害者の問題は、いままでもしばしば議論をしておるように、、これは一つの 社会的な問題として考えていく。交通事故にいたしましても、あるいは公害の問 題でも労働災害の問題でも、やはりいまの経済活動の中で出てきておるわけです から、お互いの問題である。あるいは逆に言うなれば企業責任を明確にする問題 でもある。こういう点から考えて、大企業が身体障害者を選別し、しかも身体障 害者をできるだけ雇わぬようにしている。雇用促進法の雇用率をも達成していな い。こういうのはおかしいじゃないか、こういうことでありますね。私は、こう いうことについて具体的にどういう対策をとるのか、こういう点を明確にするこ とが必要だと思いますが、いかがでしょう。

O遠藤政府委員  ただいま御指摘いただきましたように、身体障害者の雇用率 は、民間事業所におきましては一・三パーセントという率が設定されております。 現在のところ、この達成状況は一・ニ九、法律に定められた雇用率をほぼ達成い たしておりますが、その中で、詳細に見ますと、大企業が、いま御指摘になりま したように一・一七、五百人以上の大企業のうちの約四割が達成していない、こ ういう状況に相なっておりまして、この点につきましては、こういった事業所の 心身障害者に対する理解と社会的責任の欠如ということがまさに指摘されるだろ うと思います。
 そこで私どもといたしましては、この審議会の答申にもございますように、特 にこういう点をこれからの行政指導を強化する最重点として、この未達成の大企 業につきましては身体障害者の雇い入れに関する計画書を作成いたさせまして、 求人の際に強力な指導をしていく、ないしは推進委員を設けまして、内部からこ の身体障害者の雇用の促進をはかっていって雇用率を達成するように強力な指導 をしてまいりたい。どうしても未達成でなかなか言うことを聞かないという、理 解を示してくれない事業所につきましては、当該事業所を公表する等の措置も今 後強く考えてまいりたい。こういうことによりまして、少なくとも法律に定めら れた雇用率を達成できるように、こういった大企業中心に強力に進めてまいりた い、かように考えております。

O大原委員  大臣、私はこういうことをやってもらいたいと思うのですが、で きますか。身体障害者の雇用率の非常に低いそういう企業を順番に、まあ二十番 くらいまで公表すると、ここで答弁してもらいたい。ここで答弁できなければ、 いまそういう具体的な資料がなければ、後日答弁していただく。大体二十番くら いまで悪いのをずっと順位を答弁して 国会で、きょうはできなかったら、別 な機会にやってもらう、これはできますか。

O長谷川国務大臣  私は、身体障害者の問題は、どうも日本は社会連帯性がな かなかないために、あなたがおっしゃったように、せんだって答申をいただいた ときに、わたしも大企業が率を達成してないことを聞いておりましたので心配し ている者ですが、いま大原委員のおっしゃったそういうものを、一ぺんデータを 集めて、何かの機会にあなたへお届けしたい、こう思っております。

O大原委員  いま手元にないようだから、できるだけ近い機会にこれを発表し てもらって、どういう会社が不熱心であるか、こういうことを明らかにしてもら いたいと思います。 それから特にいまの問題でけしからぬのは、いままでの議 論でわかるように、大きな企業は自分の企業の中で、共済施設その他もあるわけ です。ですから、その中で身体障害者を社会的な責任として雇用率を上げていく ということは、中小企業よりも非常に条件があるわけですから、そういうところ が責任を果たしていないというのはおかしいことなんです。政府自体も一つの事 業体ですけれども、大きいところでそういう処置をするのは、政策としてはでき るわけです。だから、それをやらないのはおかしい。そういうふうにやらないと ころに対しては、たとえば課徴金を課するとか、ヨーロッパ等で一部やっている ようなそういう法律の改正等が必要じゃないか。たとえば、将来は一つの職場を 選定して、ここは身体障害者を優先的に雇用しよう、しかしそこに応募者がない という場合があるかもしれない、そういう場合には、ひとつの社会的な責任とし てやはり課徴金を出して、そしてこれが身体障害者の雇用促進に役立つ、こうい うことになってもよろしい。これは罰金等、それから何の、税金のと、これはど ういう関係になるかは別にいたしまして、最近議論になっているようなことがあ るわけですが、やはり身体障害者雇用政策を進めていくことは非常に大切だから、 こういうこと等を含めた法律改正、公表の問題等を含めて、いまの雇用促進法を やはり質的に脱皮させる必要があるのじゃないか、改正する必要があるのじゃな いか、こう思いますが、そういう御用意は近い機会にあるかどうか、ひとつ見解 を聞きたいと思います。

O遠藤政府委員  ただいま大原先生の課徴金の制度を取り入れたらどうか、こ れも一つの考え方かと思いますけれども、先ほど来もうしあげておりますように、 身体障害者の雇用促進につきましては、要は身体障害者の人たちの能力を新たに 開発する、あるいは残存能力を高める、そういうことによって職場適応能力を高 めることがまず第一要件であると思います。と同時に、各種の企業におきまして 受け入れがなかなかむずかしい。これはいろいろな理由があると思いますが、受 け入れの容易なところは確かに雇用率は達成できていると思います。しかしなが ら、達成していない事業所の中には、職場環境、作業の性格、そういった面から なかなか受け入れがむずかしい面もあろうかと思います。そこで、ただ単にこう いうところに罰則を科するとか課徴金を課するとことによって制度が確保できる ものではなくて、片一方でそういう能力を高め、開発すると同時に、受け入れの 企業の側で職場環境を改善するなりあるいは作業法法を手直しする、そういった ことを措置することによって、こういった身体障害者の方々の受け入れがより可 能な、より容易になるような施策を講ずること、これが第二段階の問題だと私は 思います。
 この二つ、両方相まって、私どもは身体障害者の人たちの雇用の促進をはかっ てまいりたい、こういう措置をこんご一そう強力にやることによりまして、先生 方御指摘の、身体障害者のこれからの いろいろな人たちが身体障害者として 出てまいりますが、その促進をはかってまいりたいと思います。
 その上で、なおかつこういった雇用率を強制する必要があるのかどうか、する ほうがより効率的であるのかどうか、そういった点を十分、審議会の答申の御趣 旨も尊重しながら検討してまいりたい、かように考えております。

O大原委員  この答申の中には、いま御答弁の中にも前の答弁にもあったんで すが、雇い入れ計画作成命令をこの法律は出せるようにしてあるわけですね。こ れは法律ではあるんですが、そういうことはほとんどこれはいままでやってない でしょう、職業安定所の所長は。それから、ほとんどそういう痛くもかゆくもな いということなんでしょう。ですからそういうことであったんでは、身体障害者 のやはり雇用の機会を保障するということを中心とした総合的な福祉対策という ものは立たないんじゃないか。というのは、そういうことをびしっと身体障害者 についての雇用の機会を法律的に裏づけていくことによって、たとえばそういう ふうにこの身体障害者になった場合に、これをその治療の中において社会復帰の リハビリテーションを重視していく、これは厚生省の分野ですけれども、それか ら学校の教育の中に、文部省もきょう来ていると思うけれども、この学校の教育 の中において、この問題を就学免除などというようなばかなことがいままで 最近議論になり出したからこれはやめるということになっておるけれども、修学 の機会を保障しながら、やはり自分の能力が最大限発揮できる、そういう教育や 訓練をしていく、目が見えない人は、はりやあんま、マッサージだというような きまった既成概念で考えるのではなしに、そういう能力を開発するその目標とな るものが一つの雇用である、働く場所である。働く場所を保障するという制度を つくることによって、本人も意欲ができれば、関係機関も総合的な力の発揮がで きるのではないか、そういうことを社会的な責任でやっていく。やったところに 対しては税制上、金融上の措置もとれるけれども、しかし雇用の責任もきちっと していく。こういうことをやらないと、身体障害者の福祉に対する総合対策とい うものは立たないのじゃないか。それは、私は、その発想の転換をしなければな らない。これは促進法を一歩前進をするという、そういうことを、たとえばいま できなかったならば五年後にやる、五年後にはこういうところが目標ですよと、 こういうことをやはりやるような措置が必要である。そのことは私は雇用問題が 中心である、こういうふうに従来から感じておるわけですけれども、私の考えに 対してどう思いますか。

O遠藤政府委員  身体障害者の福祉につきましては、雇用問題が最大の重点で ございます。したがいまして、私どもは、その趣旨を十分体しながらこの行政を 進めてまいるわけでございます。
 先ほど御指摘になりました未達成事業所に対する雇い入れ計画作成命令でござ いますが、昨年の十月までに未達成の事業所のうち約四百件、この作成命令を発 しております。と同時に、それ以外の事業所につきましても、求人指導の際に、 未達成の分につきまして身体障害者の雇い入れ促進を強力に行政指導いたしてま いっております。今後とも、
今回の答申にもございますことでございますので、十分こういった各条項を強力 に発動するように指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 全体としましては、先ほど御答弁申し上げましたように、身体障害者の方々を 何も私どもは、全盲の場合、はり、きゅう、あんま、マッサージだということで なくて、先ほど御指摘になりましたような電話交換とか、あるいは労働省で開発 しました盲人用のかなタイプ、あるいはコンピューターのキーパンチャーとか、 そういった新しい職種も、確かに数は少のうございますけれども逐次開発してま いっております。そういった新しい職場にこういった重度の身障者その他の身体 障害者等も、それぞれしかるべき職場を確保してまいるような努力を続けておる わけでございます。そういうことで、今後とも審議会の答申の趣旨を十分尊重し ながら、雇用促進法の精神に照らして一そう行政指導を強力に進めてまいりたい、 かように考えております。

O大原委員  きょうは厚生省来ておると思うのですが、経済社会基本計画の中 にも具体的に書いておるのです。いままでこんなに具体的に書いたことなかった のですよ。しかし、これは根本がゆらいでおるといっても、この間の議論では、 経済社会基本計画はそういう面については残しておく。たとえば福祉の優先の面 とかいうふうな問題、国民所得に対する振りかえ所得の比率の問題等は残してお く、こういうふうに言っておるわけですが、その中で、社会保障の長期計画をつ くるというときにもう絶対これはやりますというようなことが書いてある。とい うのは、重度心身障害者については、もうそれを持っておる親は、子供あるいは 大きくなっても心配がないような完全な施設をつくるんだという、五カ年計画を やるんだといって書いておるのです。この答申につけてある資料の中にも、やは り重度心身障害者の雇用問題ついての実態とこの重要性について資料も大体出て おるわけですけれどもね。やはり人間の能力というものは開発をしていくと、身 体上あるいは精神上そういう障害がある人であっても、その人の長所を最大限に 発揮できるような、そういう教育と職場を保障していくならば、その人は一人前 の仕事ができるんだ、こういう確信の上に立った対策が必要だ、こういうことを こ答申もかなり突っ込んで答申をしてあると私は思うわけです。したがって、私 は、社会保障の五カ年計画あるいは重度障害者のそういう問題を完全に解消する 政策を中心とする福祉政策、そういうものを考える場合に、厚生省だけが考えた んじゃだめだ、厚生省だけが考えて、そして治療においてリハビリテーションの 重要性を言っただけではだめだ。リハビリテーションもろくにやらない厚生省の 分野において、もう身体障害者は施設へ入れておいたならば飼い殺しだというふ うな、そういう関係に追い込むような条件の中にあるというふうな状況の中だけ ではこの問題はだめだ。だから、やはり職業訓練とか、あるいは文部省の教育の 面とか、そうして厚生省の面、それらを総合的に考えて、社会問題としての身体 障害者の総合対策を立てる、こういうことを政府全体としてやらなければならな いし、その中で雇用問題というのは私は何といっても中心である、働きがいの中 心である。したがって、そのことに十分、経営者、事業主等が関心を持ってやっ たならば、そうしたならばそういうことは決して企業のマイナスにはならぬ。こ ういうことで私は対策を立てる必要があると思うし、これが議論になった社会連 帯の基本である。したがって、私はそういう点において、これらの問題について、 経済社会基本計画も問題があるわけですが、その問題は福祉優先ということを政 府は言っているわけですから、雇用問題を重点に置きながら、総合政策を関係省 が、セクトでなしに総合政策を立ててやるべきだ。そうしなければ予算を使うだ けだ。そうして中身がもう全然生きていない、こういうことになるのではないか というふうに思います。
 これらに関係して、具体的な問題もあるわけですが、労働大臣の答弁を求めま す。

O長谷川国務大臣  私なども自分の地方へ帰りますと、よくこういう施設を回 ります。そして、おっしゃるように、子供の将来の就職あるいは身体障害者の方 々がどうあとで生活を立てるかという相談を受けるのが一番つらいことでございます。まさにおっしゃったとおりでございますし、何と言っても、強制という話 などもありますけれども、国保などでは強制もしないでやっている、やはりそこ には社会の連帯性というものが非常に生きておる。ですから、いまおっしゃった ことからいたしましても、まさに私は、こういう答申が出たときでもありますし、 皆さん方から御議論いただいた点でございますから、いままでやっているものを 総合的にひとつプッシュして、みんなの社会連帯の中にこういう、心身障害者の 雇用の問題についての答申の中にも、国民運動の展開ということまでも書いてご ざいますから、総合行政の中に深く社会各層の御理解をいただきたい、こういう ふうな考えで進もうと思っておりますことを御理解いただきたいと思います。

O山本(政)委員  ちょっと大原さんの質問に関連してお伺いしたいのですけ れども、身体障害者に重度とそれから中度と軽度とあるでしょう。軽度というの はどの程度の人ですか。

O遠藤政府委員  身体障害者の等級につきましては、私ども労働省の労災の等 級と厚生省の身体障害表の等級といろいろまちまちでございますが、一応一、二 等級が重度、それから視力につきましては三等級まで、それから三、四が中度、 五とそれ以下が軽度と、こういうことでございます。

O山本(政)委員  だから、軽度という場合には、小指がなくても軽度ですよ。 ぼくの質問したいのは、たいへん皮肉な質問になるけれども、その中で一・七と か一・六とかということは、そういう言い方はたいへん悪いけれども、小指がな いとか中指が少し折損しているとか、そういう人を入れたらたいへんなあれにな るのですよ。問題は要するに、中度以上の人たちがどれだけ職場に採用されてい るかが問題なんです。ところが、これは労働省の資料を持ってきていただくとき についでに軽度、中度、重度を持ってきていただきたいというのは、そういうこ となんですよ。おそらく軽度の人が多いと思うのです。しかし、いままさに一番 必要なのは重度とか中度の人たちがそういうことを望んでいるということなんで すよ。だから、パーセンテージだけでは実際に親身な身体障害者雇用促進にはなっ ていないのですよ。その辺は将来の方針として一体どう考えるのですか。軽度の 人ばかりを入れておって、ほんとうにひつようとする重度、中度の人は抜いちゃっ て、雇用促進の比率はこれだけになっておりますなんて言ったら、これはそのデー タというのはほんとうのデータじゃないということなんです。

O遠藤政府委員  もちろんただいま山本先生御指摘のように、小指がなくても 身体障害者です。私も片一方視力はまさにほとんどございませんで、これも身体 障害者のうちに入るだろうと思います。しかし、そういうことでこの身体障害者 雇用促進法を執行しているわけでもございませんし、何ら労働能力、職業能力に 支障のない人たちをこの法律の対象として私ども考えているわけでは決してござ いません。ただ、雇用率の計算の場合にはそういう人たちも入っていることも事 実でございます。しかし、私どもはあくまでこれは、中度以上ないしは今後は重 度の障害者を対象にしてこの行政を推進すべきである、こういうふうに観念いた しております。したがいまして、来年度予算でもいろいろと施策を講じるつもり でおりますが、それはあくまでもそういった通常のやり方では就職困難な程度の 身体障害者を私ども対象として考えております。先生の御指摘のとおりでござい ます。

O山本(政)委員  ですから、今後の中で、要するに身体障害者雇用促進法と いうものについては、私は条文というものを多少修正する必要があると思うので すよ。つまり局長のおっしゃられたように普通の場合には就職が困難な人だとい うことを念頭に入れたことをひとつやってほしいと思うのです。遠藤さんが百分 の一・七の中に入ってはほんとうは困るのですよ、率直に言って。しかし、官庁 のデータはそれが入っておるということなんです。遠藤さんが入っているかどう かは別として、しかし、ほかの人はそういうことになっているのですよ。だから、 それはひとつきちんと今後の方針としてやってほしいとぼくは思うのですよ。
 それからもう一つは、先ほど申し上げたように、就職をした途中でいわゆる中 度以上あるいは重度になった人ですね。そういう人たちの雇用について中途解雇 をしないということ、これはひとつきょうははっきりと大臣から御答弁いただき たいのですよ。

O長谷川国務大臣  まあ私たちの立場といたしますと、そういうけがなどをい たしましても、その企業内部においてひとつ万全の手当てをしてもらいたい、こ ういうふうな考え方でおります。それぞれの事情もあることでございますから、 御理解いただきます。

O山本(政)委員  少なくとも官庁においては、そういうことをぼくは率先し てやっていただきたいということなんですよ。率先してやっていただけますかと いうこなんです。ケース・バイ・ケースじゃないでしょう。

O遠藤政府委員  ただいま大臣からお答えになりましたとおりでございますが、 私どもは、身体障害者並びにこれから非常に問題になります高年齢者対策につき ましては、民間にももちろん指導いたしますが、官庁におきましても率先してこ ういった高年齢者、身体障害者を優先雇用するという考え方を持っております。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、第一次的にはあくまでもその事業場 内で職場配置転換なりそういう措置をとって職場を確保するということでござい ますが、本人の能力なり希望によってどうしても向かない、そういう職場がない という場合には、やはり適当な職場へ社会復帰させるということを考えざるを得 ないだろうと思います。

O大原委員  この雇用率の考えに、軽度の者を雇ってもいいからできるだけ率 を上げておいたらよろしい、こういう考えがやっぱり事業所にあるのですよ。で すからやはり雇用達成率は一・三なら一・三と民間事業場にありますね。これは 少なくともやらなければいけない。そしてその中身について、質について、重度、 中度、軽度ですね、そういう中身について、それぞれの事業場に対応してという わけにはいかないけれども、やはりそれに対する問題はある程度倫理的なもので やってもいい。しかし、雇用率は一・三でなしに、さらに社会全体の身体障害者 が増加をしていく、いまいっておるわけですから、先天性、後天性の障害者の区 別はいまできぬようになっておるわけですから 実際上それはできない。たと えば胎児水俣病なんていうのは、そんなのはできないですよ。先天性、後天性と いうのは、つけることは実際できない。そういうふうに社会的に身体障害者がふ えているというこれを全体としてどういうふうにお互いの連帯意識の中で働いて いくか、こういう中で雇用率を決定をしていく。これは義務である。強制的なも のである。そしてその質を、能力を開発する可能性もあるですから、現実にはど の程度しかいってないということもあるですが、その質の問題についてはある程 度倫理的な規定、奨励的な規定をもって出発してもよろしいかもしれない。実際 にはほとんど軽度の者からやっているわけですから、そういう二つの量と質の面 での規制をやる。少なくとも社会的に考えてみてこのくらいの身体障害者を職場 においてかかえるということは、これは社会的な責任であるということを法律で 明確にしていく。それを一緒にいたしまして訓練や治療も全部やっていく。そう いう福祉の五カ年計画を立てる場合にはそのことを考えてやっていく。最後には 強制雇用を目標だ。そのくらいなことをやらないとやはりおざなりなことを繰り 返すことになると私は思うのです。ですから、その問題についていままで答弁し た以上の答弁をするということはなかなかむずかしいかとも思うのですけれども、 この答申は不備なところもあるけれどもかなり前向きにやってあるので、この趣 旨はやっぱり強制雇用や優先雇用の条件を早急につくれというふうに考えてよろ しい。こういうふうに私は思っておるわけです。それで足りなければそういうふ うにすべきである、こういうふうに考えるのでありますが、いかがでしょう。

O遠藤政府委員  先ほど来御指摘のように、身体障害者の雇用につきましては、 常人とほとんど差別がない。外見的にはいろいろありましても、能力的に差別が ない。これは私どもはむしろ常人としてその就職をはかっていくべきでありまし て、今後の身体障害者雇用促進のたてまえ、重点はあくまでも中、重度以上の者、 したがいまして、やはり何と申しましても、強制とかそういう措置よりも、そう いう人たちの能力を向上させる、再開発するということと同時に、受け入れ体制 の問題が私は確かに先決の問題ではないかというように考えるわけでございまし て、そういった意味におきまして、今後そういう方面にこの行政の重点を置いて、 そうすることによって身体障害者の雇用促進、同じ雇用率にいたしましても、そ の中で重度障害者の雇用率を高めるべきではないかというご意見もございます。 そういった点もいろいろと審議会等いろいろな場で検討されておりますが、今後 指導体制といたしましては、重度の障害者の雇用率をできるだけ高くしていくと いう方向で十分努力してまいりたい、かように考えております。

O大原委員  厚生省だれか来ていますか。 あなたのところに身体障害者の 福祉対策について計画をこれからつくって、五カ年計画で振替所得の比率を確保 していこうというのだけれども、労働省や文部省と連絡しているのか、あなたの ところだけでやっているのか。

O角田説明員  いま御質問の点は、各省とも連絡をとりつつつくっております。

O山本(政)委員  関税局長がお見えになりましたが、私は雇用促進法の精神 をいまさっきお伺いいたしたのです。雇用促進法というのは、つまり、身体障害 者に対してできるだけ職場というものを与えていくということで、審議会の答申 に基づいて労働省としても積極的にやっていきたい。同時に、その中で、ある職 場に就職をした場合について、その途中で身体に障害を起こした場合については、 その人を保護することが当然の措置であるというふうな御答弁をいただいたわけ です。そのあとに、国家公務員法の七十八条ですかについて、促進法との関連に ついてお伺いしたわけです。そのときには、御答弁は、国家公務員法の規定はあ りますけれども、しかし、その規定というのは少なくとも情無用で分限解雇をす ることではなくて、できるだけその職場に生かすことが法の精神である、同時に、 雇用促進法というものがあるから、その関連から考えても当然のことである、そ ういう実はお答えをいただいております。そしてそのあとにお伺いしたのが馬渡 藤雄さんのことです。馬渡藤雄さんのことについては、いろいろ経過を申し上げ て、そしてお伺いしたわけでありますけれども、身体障害になられた方々は健康 者と比べて能力的には劣っておる。したがって、職務を遂行できないという場合 には、それは要するに障害があるからであって、そこに適当な職場というものを 与えていくならば、そこでちゃんと仕事は完遂できるだろう。しかも、同時に、 そういう人たちについて、文部とか厚生とかあるいは労働とかというそういう各 行政において、リハビリとかあるいは職能訓練とか職業訓練とかというものを行 うことによって、その人の能力を開発することができる。しかも、その能力とい うものは少なくとも私は無限に開発できると思うのです。同時に、職場において そういう適正な措置をはかることによって、その人たちの仕事というものが安定 することができるというふうなことを申し上げ、そして御同意を得たわけであり ます。そしてその中で、馬渡さんに対して一体処遇をどうなさるのかという質問 を申し上げたわけであります。そのときにお答えは、解雇をするかどうかはわか らぬ、こういうお話ですから、それならば国家公務員法の精神あるいは雇用促進 法の精神に背馳をするのではないだろうかということで実はおいでいただいたわ けであります。私は、重大なことであるというふうに大蔵省はお考えになってお るけれども、馬渡さんについてはもっと重大であると思うのです。お伺いすれば 退職金は、私は五百万か六百万と思っておりましたところが、二百七十万という お答えをいただきました。そのことで街頭に放り出されて一生馬渡さんが生活を していけるかどうかということを考えると、私はそれは、常人の知識を持ってし ては、当然生活というものは不安定になるだろうし、困窮に追い込まれることは 必定であります。したがって、そういう点については、行政当局で当然配慮をな すべきではないだろうか、実はこういう御質問を申し上げたわけです。したがっ て、そのことに対する関税局長のお答えをいただきたいと思うのです。

[続く]


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