会報「タートル」33号(2004.9.2)

1998年10月9日第三種郵便物認可(毎月3回8の日発行)
2004年9月2日発行 SSKU 増刊 通巻第1544号

中途視覚障害者の復職を考える会
タートル 33 号


目次

【巻頭言】
「日野原先生の講演を聴いて」

タートルの会 幹事  重田 雅敏

 タートルの会の皆さん、こんにちは、私は、新しく幹事に加わった重田と申します。総会も終わり、いよいよ幹事としての仕事が始まりました。どうぞ宜しくお願い致します。まずは、この巻頭言が初仕事です。総会後に開催された日野原先生の講演で、印象に残った言葉を、いくつかお借りしながら、いまの私の気持ちを書いてみたいと思います。
 総会後の午後の部では、南大塚ホールに、300人以上ものお客様を集めて、日野原先生の講演がありました。日野原先生は、お聞きしていた以上にお元気で、びっくりしました。さすが93歳でも、まだ現役という雰囲気がみなぎっていました。私だけでなく、元気をもらった方々は、さぞ多かったのではないかと思います。お話の中で印象に残った言葉が3つありました。
 一つは、「見る・聞く・話すの機能のうちで、一つだけ回復できるとすれば、どれがいいですか」と、ヘレンケラーに聞いてみたところ、視覚ではなく、聴覚と答えたというエピソードです。情報の8割以上を視覚から得ているということからして、私は、当然、「見えるようになること」と答えるだろうと思っていたので、とても意外に感じました。しかし、その理由を聞いてみると、「感情が伝わるから」、「心を通わせることができるから」という答えで、なるほどと思いました。どうしても自分中心に考えてしまい、「自分が一番大変だ」とか、「この辛さは、他の人には分からない」とか考えてしまい、他の人の大変さが、見えなくなってしまいがちです。自分の立場が中心、知識や仕事が中心という考え方の狭さに気づかせてもらいました。上辺だけのつき合いではなく、心の通ったつき合いをしたいものです。
 もう一つは、星の王子さまの有名な言葉、「本当に大切なことは、目に見えないんだ」という言葉です。生産性、勤務評価など、製造現場の手法が、大手を振って、教育の世界にまでも持ち込まれる時代です。どこもかしこも、数字や表面に現れた結果だけで評価してしまう、世知辛い、こせこせした現代社会の危うさを、見事に突いた言葉だと思いました。
 このような風潮が横行している限り、障害者の雇用枠がどんなに引き上げられたとしても、復職をめざす障害者たちが置かれている境遇は、改善されないでしょう。
 また、「大切なものは、目に見えないんだ」という言葉を聞いて、視覚障害の先輩方が、「見えなくなって、見えてきたものがある。」と言っていたことを思い出しました。仕事や生活に追われて、つい忘れられてしまいがちな、おおらかで優しい気持ちや、心を温める何かを取り戻す努力をしなければいけないと思いました。小利口に立ち回って、表面的な評価を得たとしても、姑息な人間として一生を終わってしまうような寂しさを感じました。
 最後の言葉は、「ペイ・フォワード」という言葉です。これは、「ペイ・バック「(恩返し)に対する言葉で、恩を受けていなくても、自分から、先ず恩返しをするように周りの人のために、何かを働きかけようという考え方だそうです。私は、9年前に、タートルの会を知り、まだ視力が残っているうちに、いろいろ相談に乗って頂き、見通しを持って先手を打ちながら、働けなくなるであろう日々に備えることができました。最後の1年間は、視力の低下が著しく、ちょっと慌ててしまいましたが、みなさんのアドバイスのお陰で、6カ月間病休を取っただけで、盲学校に復職することができました。タートルの会の先人の方々が「築いてくれたレール」に上手く乗って、さしたる苦労もせずに、復職できたわけです。今回幹事を引き受けたのも、いわば、そうしたことへの恩返しの気持ちからでした。日野原先生のペイ・フォワードの考え方を聞いて、自分の了見の狭さを恥じ入った次第です。私も、ペイ・バックの考え方をパワーアップして、ペイ・フォワードができるように、頑張りたいと思います。
 来年は、いよいよタートルの会も10周年の年を迎えます。これまでの活動の見直しをするための会員アンケートの実施や、10周年行事の企画もあります。この記念すべき年に、ペイ・フォワードのパワーで、大切なことを見失わないようにしながら、心の通い合う「復職へのレール」を、少しでも先に延ばしていきたいものです。


【第9回定期総会記念講演】2004/06/12
「視覚、その他の感覚障害者へのケアのあり方」

講師:日野原重明先生(聖路加国際病院理事長)

 今日はそんなに大きな会場でないだけに、皆様と身近にお会いして講演できます。こうした機会を与えられたことに深く感謝いたします。
 「タートルの会」というと亀を思い出します。今日の聴衆はみんな亀さんかと思うわけであります。(笑い)
 私はいつもはオーバーヘッドプロジェクターを利用して話をするのですが、今日は目が不自由な方が8割くらいと耳の不自由な方もいらっしゃいますので、それは使わずに私の肉声だけでお話しいたします。皆さんは私の顔が見えなくても皆さんの想像以上に私は若く見えると思い込んで(笑い)、若い元気なる者からメッセージを聴くというふうに考えていただければと思います。
 このタートルの会のパンフレットを見ますと、「中途失明、まさか自分が・・・人生半ばにして視力を失うなどと誰が予想出来たでしょうか」とあります。そのようなハプニングのために自分がこのようになってしまった、生まれたときはこうではなかった、そのような方が多いのではないかと思います。
 今日は、私の長い人生の中で得られた羅針盤のようなものを皆さんに提供して、デコボコした歩道がなくても、その羅針盤によって、皆さんがどちらの方向に歩いて行けばよいかという指針になるようなお話をしたいと思います。
 ある大学の医学部保健学科の入学試験に次の文章が出されました。
 皆さんも自分の問題としてこの文章を聞いていただきたい。
 「人が人生を自分らしく生きたいと願いデザインしても、その人が視力や聴力を失うというハプニングがその生涯の中のどこかで起こると、その計画は全く台無しになってしまう。しかし身体に障害を持つ人がどのように生きたかという真摯な生き方を人々に示すことができれば、同じような障害を持つ人々だけでなく健康上問題のない元気な人も、人間には困難やストレスにも耐えられる驚くべきエネルギーが隠されていることに気づかされるであろう。」
 「この文章を300字に要約して述べなさい。文章のエッセンスが何であるかを書きなさい。文章の中のキーになる言葉を3つあげてください。」というのが試験問題です。入学試験の結果を発表した後、大学から「失礼ですが先生の文章をこっそり使いましたが許して下さい」と言ってきました。このように私の書いた文章は医学や看護を希望する若い人のために使われているわけです。私はそれに感謝しなくてはならないと思っています。
 ヘレン・ケラーは幼いときに熱病にかかり、熱病は治ったけれども、目が見えない、耳が聞こえないという状態になって家に帰されました。ヘレンが7歳になろうとしたときに、サリバンという人がヘレンの家に住み込んで家庭教師としてヘレンの教育を始めました。
 目が見えず耳が聞こえず、言葉も喋れないヘレンに人形を抱かせ、手のひらにアルファベットで“doll”人形と書きました。するとヘレンは真似をして自分の指を動かし、同じように文字を書きました。それを見たお母さんは「これは大変なことが起こった!」と驚きました。
 その次にヘレンを井戸端に連れていって冷たい水を手に注ぎ、冷たくなった手のひらに“water”という字を書きました。このようにしてサリバン先生はヘレンの手の触覚を通して言語の教育を始めました。このサリバン先生の愛に徹した熱心さと粘りがへレン・ケラーを驚くべき高い知性と感性を持つ人格者にしました。
 彼女がこの女の子に生涯を賭けようと決心したことは凄いことです。これはお金では代償できないことです。
 大自然の素晴らしさや人間の心の素晴らしさを理解する度合いは、その人の感性がどのように養われているかによって決められてしまうわけです。視覚や聴覚に障害を持つ人の感性、心で感じ取る能力と集中力、さらに日野原先生はどんな顔なのだろうかと想像するというようなイマジネーションは非常に卓越したものがあると思います。人間というのは思いもかけない不幸なことが起こったとしても、それに挑戦する素晴らしい力を秘めており、私たちはそれに感謝しなくてはならないわけです。そういうことをヘレン・ケラーは鮮やかに実証してくれました。
 一方、心や体に痛みのある人、感覚器や運動器にあるいは内臓に障害がある人の友となることは、人間の感性を高くすることにつながります。私は、そういう意味において、今日この会場に来ているボランティアの方に申し上げたい。あなた方は障害あるいは病を持っている人の世話をすることによって、皆さんの心も体も健やかに成長してゆくということです。人のために時間や労力やお金を出すということ、それは人に与える行為でありますが、その結果として私たちも成長してくるのです。求めない報いとして与えられるということは、全ての歴史的なことが証明しているところです。
 私はパラリンピックの陸上競技を見ました。交通事故で右足を失ってしまった選手が義足をつけて競技に出場しました。彼はケガをするまでは筑波大学の百メートルの選手でした。事故で片足を失ったけれども、何ができるかを義足メーカーの人と相談し、ハイジャンプをやろうと考えました。普通の人ではそのようなことは考えられません。その選手は1メートル85センチを跳びました。コーチである義足の人の協力も得て、ハンディキャップを負ってさらに挑戦しようとする気持ちが結果として素晴らしい記録を出すことができたのです。
 このように人間が持つ能力には、何かの障害とか事件が起こったことによって、新しい能力を展開する“potential”というエネルギーが秘められているのです。
 私たちは予期せぬ事件や苦難にぶつかって苦悩しているときに、急に光が見えたということがあります。これは心の眼が開く、開眼されるという人間にとっては“epoch-making”のことです。しかし、私たちは、人生の中で小さな開眼を何回か経験しているにもかかわらず、感性が弱いためにそのことが感じられなくなっていることが非常に多いわけです。 フランスの作家であると同時に飛行操縦士であったサン・テグジュペリの“星の王子様”のストーリーをお読みになった人は多いと思います。星から王子様が砂漠に落ちて、地球上でしばらく生活する間に、狐が友達となって狐と会話をする。いよいよ明日、星に帰るというときに、きれいな花をもらって狐と別れを告げた。狐が言い残したことは「王子さま、本当のものというのは、眼に見えないものですよ」。素晴らしい言葉です。そして王子様は星の世界に帰っていった。本当のものというのは、私たちの肉眼で見えるものではないのです。肉眼で見えないものこそ本当の普遍のものだということをこのストーリーは実証しているわけであります。
 今から30年前、聖路加国際病院の人間ドックで検査を受けた患者さんで、難聴のためにソニーの高性能のイヤホンをつけて生活している方がいました。私は「あなたは別に内臓はよいし、あなたの聴力だってこんなにいい機械をお子さんから付けてもらっているのだから、耳が聞こえないぐらいは問題にしなくてもいいんじゃないですか。」と言ったことがあります。すると、その老人は悲しそうな顔をして「先生は耳がよく聞こえるから私の悲しみをわかって下さらないのですね」と言われたときに初めて私はわかったのです。「眼が見えないよりもましじゃないか」というような言い方は非常に悲しいけれど、聞こえないということは、テレビを見ても何をしているのかわからない、笑っていても何のことかわからない、孫が来ても何を言っているのかわからないという状態で、皆から疎外されているという気持ちになるということです。
 ヘレン・ケラーは3重の苦しみを持って大人になっていきました。そして、「ヘレン先生、もし3つのうちでどれかを回復させてあげると言われたら、どれがよいか言ってください」と聞かれたときに、「まず耳が聞こえるようにしてほしい」と言って、眼とは言わなかったそうです。眼が見えない場合には耳でコミュニケーションできます。愛する子供や奥さんが思いを込めて言う言葉の綾がわかるわけです。何を言っているのかわからない、やはりそういうようなことがヘレン・ケラーにも感じられたのでしょう。
 私は昨年、乙武洋匡(おとたけひろただ)君と対談しました。それが『65 27歳の決意・92歳の情熱』(中央法規)として刊行されました。手も足もない子供として生まれ、早稲田の大学を一昨年卒業した彼が、私との対談のために聖路加国際病院のトイスラー記念館に来られました。27歳の乙武君と92歳の私とが出会ったわけです。電動の非常に高級な背の高い車椅子に乗って、彼が部屋にスーッと入ってきました。自分で操作するのです。私と視線が同じくらいになるように高さを調節していました。彼は胴の上に首だけがついているというような感じですから、乗っている車椅子の座面を上下させて相手と背の高さを合わせるのです。普通の車椅子だと視線は低くなってしまいます。何を私は連想したでしょう。爽やかな5月の風が吹いてきたような感じがしました。“爽やか”という言葉を絵で描くのだったら、彼の姿を描きたいと直感的に考えたほどでした。
 私はインタビューの最初に彼に聞きました。「君、手足がなくて、食べたりいろいろ生活するときにずいぶん不便で不自由だろうね。君が生まれたときお母さんはどう反応したんですか」と。お母さんの最初の言葉は、「まあ、かわいい子」と言ったのだそうです。こんなことは飾って言うことはできません。しかし、この瞬間、この子を大切に育てなくてはならない、これからがんばるぞという気持ちが夫婦の間にできたのだと思います。
 乙武君はスポーツライターをしています。いろんな外国の選手や日本の選手に会ったりします。そのインタビューは不便をちっとも不便と思わないでやっています。私は不思議でした。「君、ずいぶん不便だね」という私の言葉に対して、彼は「私は生まれたときから手がないからわかりません。それまで手を使っていて手をなくした人は不便かもしれないけれども、みんなに比べるとハンディキャップはあると思うけど不自由だとは思えないんです。私はサインもできるし、ちゃんと一人で食事もできる。僕は今、結婚してどういう子供を持ちたいかって考えています。」
 対談ではいろんな話をしました。オリンピックの試合やサッカーなどで日本が優勝するとみんな大騒ぎ、いつもは日の丸に反対し君が代を歌うことに反対している人も、そのときは感激して日本人としての誇りを持ってやっている。今の若者がどういうサイコロジーを持っているか。彼との会話で私の愛国心というものと今の若い人の愛国心というものの意味の違いを非常に面白く話し合いました。
 私たちは世話になった人にお歳暮やお中元を持っていきます。これは日本の習慣です。日本人は受けたものに対するお返しを世界中で一番よくします。「死んでからも香典返し」と言うでしょう。これを英語で“pay back”と言います。アメリカではお医者さんに対してお礼を持っていくなんてことは全くありません。きっちり診察料を請求しますから、お礼というのは全くない国民で、その点は非常にビジネスライクです。
 「ペイ・フォーワード」という映画が2年ぐらい前に日本に来ました。
 イギリスのある小学校のクラスに社会科の先生が新しく赴任してきました。「みんなが世界をよくするためには何をすればいいかを考えて発表しよう」と宿題を出しました。主人公の10歳の子供は「そうだ、受けたものをpay backしないで関係のない誰かにそれを返しましょう。それで1つ受ければ無関係な3人の人に、何かのニーズのある人に返しましょう。そうするとその3人がまた3人に返すから、ねずみ算ですぐ100人、200人になって世界はそういうことで善意で結ばれるだろう」と考えて実際に実験します。彼の家は離婚をした家庭で、お母さんはキャバレーかクラブとかで働いていて夜中に帰宅する。そして明くる朝遅く起きたら息子の部屋で何人かの声が聞こえる。ホームレスを引っ張り込んで一緒に朝ご飯を食べている。お母さんは非常に怒るんです。でも彼はお母さんに「“pay forward”お母さんから受けたものを私はこの人にするんだ。」それでそのホームレスがまた何かやるんですね。ホームレスがまた“pay forward”。最後にはその子供が学校内で、いじめがひどくなって喧嘩しているところに割って入って、強力な年長者の人と争って、ナイフで刺されて救急入院をする。そしてお母さんと社会科の先生が病院に駆けつける。どうなるだろう、助かるかと思っていたら、手術室から外科医が出てきて「お座りください」と静かに言うところで終わり。亡くなったことの説明、それで終わっているのです。
 障害を受けた人はいろいろな人からの手助けを受けるかもしれないけれど、その“pay forward”で何が出来るかということは、これは障害を持った人自身が考えなくてはならないことです。そういう意味で援助をするボランティアと援助を受けるもの、みんなが“pay forward”です。ニーズのあるところ、例えばまだ会ったこともない南半球の子どものためにその食事を提供するというようなことを考えなくてはいけないということです。
 私は一つの宿題として皆さんにお話しました。時間が参りましたから、私の講演をこれで終わりたいと思います。(拍手)

(まとめ:幹事・杉田ひとみ)

【総会報告】

 平成16年6月12日(土)、午前は豊島区立南大塚社会教育会館、午後は豊島区立南大塚ホールにおいて、第9回定期総会を開催した。
 午前10時半に開会し、進行は内山義美幹事、補助として杉田ひとみ幹事が務めた。最初に下堂薗保会長から挨拶があり、つづいて活動報告に移り、相談事例を中心に工藤正一副会長、そして交流会について担当の新井愛一郎幹事に代わり田中均事務局次長、ML,HPについて吉泉豊晴幹事がそれぞれ報告した。
 引き続き、平成15年度の決算について伊吾田伸也幹事から報告がなされ、和泉森太会計監査から会計監査報告があり、承認された。
 さらに平成16年度の活動計画について松坂治男副会長から提案があり、森崎正毅会計から平成16年度の予算案について説明がなされ、承認された。
 そして事務局から平成16年度の役員改選について提案があり、退任幹事は小川剛氏(北海道)、また新任幹事として石山朋史氏、植村滋樹氏、小林千恵氏、重田雅敏氏、藤井貢氏(中国)、堀康次郎氏(近畿)を推薦し、承認された。そして新役員の紹介を会長が行なった。
 午後は、記念講演「視覚、その他の感覚障害者へのケアのあり方」と題し、新井幹事の紹介により講師の日野原重明先生(聖路加国際病院理事長)に約1時間お話をいただいた。キーワードは"pay forward"であった。
 小憩後、司会進行役を持田健史幹事に代わり、全員の自己紹介を行い、交流会を無事終了した。そして場所をJR大塚駅に近い「さくら水産」に移し、進行役を嶋垣謹哉幹事と大脇俊隆幹事とで務め、70名余の参加があり懇親を深めた。
(事務局長・篠島 永一)

平成15年度活動報告

1.相談事例報告

 この1年間に受けた相談の実件数は70件以上を数えている。記録のある70件についてみると、うち34件については、緊急性あるいは本人の希望により、東京あるいは出張の機会をとらえて直接面接して相談を行った。22件については、遠隔地などのため電話あるいはメールを用いながらも、時間をかけて相談を行った。残りは情報提供や資料の送付であった。
 その結果、この1年間に復職を果たしたケースは8件(うち1件は再就職)であったが、そもそもこの件数はあまり重要ではない。要は、働き続けられるかどうかが問題なのである。早期に相談できたことで、苦労しながらも働き続け、あるいは、それまで以上に積極的に働き続けていることの方が重要でもあり、現にこのような事例は復職を果たした事例に比べてはるかに多い。
 以下は相談活動を通しての特徴的なこと、今後の課題と思われることの概要である。
 寄せられた相談について、地域的には、全国各地から相談があるが、首都圏が多いことは否めない。年代的には40代、50代が多いこともこれまでとあまり変わらない。
 相談の経路では、電話やメールによるダイレクトなかけ込み寺的相談を始め、眼科医など医療機関から紹介されたり、眼科医が直接連絡をとってくるケースも少しずつ増えている(東大病院、柳川リハビリテーション病院など)。また、これまで地域交流会を開催してきた地域(仙台、広島、新潟、京都)では、第一義的にはその地域で相談を受けながら、事務局(東京)に繋がってくるというケースも少なくなかった。
 また、実際の生活訓練面では、必要に迫られ函館視力障害センターの随時入所訓練の活用が図られ、実際、大いに効果を発揮した。職場における雇用管理サポート面については、地域障害者職業センターの協力と支援を得ることもできた(宮城、東京、新潟、愛知、福岡など)。
 このように、相談経路を始め、具体的な社会資源の活用面での連携を含めた支援についても、会発足当初からみると、質的な変化が感じられる。何れにしても、このような地域との連携や必要な情報提供とともに、交流と励ましがあってこそ、復職や雇用の継続ができているといえる。
 中には、復職あるいは継続雇用が十分可能であると思われるにも拘わらず、それができないでいるケースもいくつかあった。それは、ロービジョンケアが行われていないため、あるいは、眼科医自身が「見えなくても就労は可能」という見地に立てないでいることが背景にあると思われた。ロービジョンケアの必要性と、眼科医の関わり方の重要性を実感している。
 復職に際して、様々な社会資源の活用という点では、従来から地域障害者職業センターの役割が重要であると考えてきたこともあり、意識的に支援を依頼したケースがいくつかあったが、逆に支援を求められたケースもあった。地域障害者職業センターにはまだ視覚障害者に対するノウハウは十分といえないまでも、積極的に関わってもらうことができ、その中で原職復帰を果たした事例が2例あったことは特筆しておきたい(東京、新潟)。
 なお、国立函館視力障害センターで実施されている随時入所訓練のお陰で原職復帰を果たした事例が2件あり(東京、埼玉)、この他北海道にも1例(タートルの会とは直接関係ない)もあったことを確認している。この随時入所訓練については、当事者の実際の必要に応えるものとして高く評価でき、その充実発展に大きな期待を寄せたい。
 さらに、忘年会や交流会などを通じて、結果的に家族を含めた相談が複数行われ、好ましい効果をもたらしている。悩みを抱えているのは本人だけでないことを考えると、家族を含めたフォローは今後も重視していかなければならない。
 一方、依然として視覚障害に対する偏見や無理解に起因するケースも少なからずあり、そのような原因で心理的にうつ状態に追い込まれたりするケースもあった。今後、そのようなことのないように、社会的障害受容を進めるためにも、昨年の「障害者の日」を期して発刊した『中途失明〜陽はまた昇る〜』の普及に努めるなど、より一層啓発に努めていく必要がある。
 そして、何よりも、様々な機会を捉えて、当事者同士が直接声を掛け合い、励まし合うことが大切であることはいうまでもなく、このことは、相談活動を通して痛感している。

<復職を果たしたケース>

  1. A(大阪・男、40代、5級)、2003/08復職、会社員、事務職。
  2. B(広島・男、40代、2級)、2003/08復職、小学校教諭。
  3. C(東京・男、30代、1級)、2003/10復職、会社員、システムエンジニア。
  4. D(埼玉・男、40代、1級)、2003/12復職、地方公務員、事務職。
  5. E(東京・男、50代、2級)、2004/04復職、障害児学校、社会科教諭。
  6. F(東京・男、50代、手帳なし)、2004/04復職、公立高校、数学教諭。
  7. G(新潟・男、40代、2級)、2004/05復職、会社員、技術職。
  8. H(神奈川・男、50代、2級)、2004/05再就職、会社員、技術職。
(注)都道府県名は勤務地。
(副会長・工藤正一)

2.交流会報告

 2003年度の連続交流会は、9月に函館で地方交流会、10月には、青木匡光氏の講演会、11月に「こんな工夫をしています」と題して、3名の方の体験発表を軸とした交流会を開催しました。

(1)10月交流会
 ここ数年にわたり、少し広い視点から自分を見直すような契機になる講演会を企画してきました。
 今回は、人生を生き生きと生きていくために、何が必要であるかという点について、青木匡光氏にお話していただきました。
 21世紀は人間が主役の時代、一人一人が『自分という人生会社、自分カンパニーのオーナー』であり、自分の能力が問われている。自分なりに自信をもてるものを身につけること、すばらしい人との出会いの大切さを強調されていました。
 私でも何かができる、自分から動いていこう、こんな気持ちが出てくるようなお話でした。
 少し立ち止まって、自分を見つめ直すような契機になる講演会等は、今後も継続させていく意味は大きいと思います。

(2)11月交流会
 これまで一貫して大切にしてきた、当事者から体験を出して頂き、みんなで交流していくという交流会でした。
 今回は、

  1. 職場内ネットワークにどう対応しているか
  2. 通勤や職場内での移動をどうしているか
  3. 電話でのメモや、自分ではすぐ読めないものをどうしているか
 この3点について3名の方に提起して頂きました。今回は、通勤や職場内での移動を中心とした問題提起となりました。
 自分の工夫でリハビリをした経過、歩行訓練を受けた体験と、通勤で得られた体験。職場内の移動、社内ネットワークへのアクセス等についての提起がありました。3名の方々は、それぞれご自身の置かれた状況の中で、提起された課題に向き合い、今後の可能性に向かって進んでいらっしゃいます。皆さんが課題にどう向き合ったのか、どう工夫してきたのか、それらは今現在模索している多くの中途視覚障害者にとって、なにより勇気づけられるものになるのではと考えます。そんな意味でも、このような交流会をもっと重視していきたいと思います。
 3つのテーマは今後継続的に課題としていかねばならないものだと思います。また、aについては、ここ1〜2年の、かなり特徴的な課題だと思いますが、今回は系統的に問題にすることができませんでした。今後の課題にしていきたいと思います。
 見えない、見えにくい状況で、どんな仕事を、どのようにしているのか。このことは、タートルの会の発足以来大切にしてきたテーマです。交流会だけでなく、機関誌「タートル」や「中途失明U」でも、かなりの数の方が、この問題点についての体験を出して頂いています。しかし、最近は、「今回はどのような事例発表があるのか」という、ワクワクして話題提供に接するという気持ちが薄らいでいるような気がします。
 今後は、
  1. 工夫しながら仕事にチャレンジしている方からの新たな話題提供を、必ず行っていく。そのための人捜しもしていきたい。
  2. 一度登場した人も、その後のいろいろな変化にどう対応しているのかというお話を聞く機会を持つこと。
  3. 新たな道を模索し、チャレンジをしている方も多い。
 私たちは、生き生きとして社会と人との関わりを持つことこそ大切だと考えます。そんな意味で、いろいろな分野へチャレンジをしている方の話題提供も受けていくようにしたいと思っています。
(幹事・新井 愛一郎)

(3)地域交流会
 2003年度の地域交流会は、9月27日(土)、28日(日)の両日にわたり、北海道函館市内の「ホテル法華クラブ函館」内会議室において、国立函館視力障害センター在勤の和泉森太会計監査の諸々の手配により、「視覚障害者のリハビリテーションと職場復帰」をテーマに実施した。交流会参加者は、長崎県、大阪府など遠地からの参加者4人、関東地方から28人、道内から18人プラスガイドボランティア8人、総数50人を超える参加者だったが、夫婦など家族の参加もみられた交流会だった。
 交流会は、第1日目12時50分から、主催者挨拶にはじまり、@「ロービジョンケア・山田塾に関わって」(講師:陳 進志氏・東北労災病院眼科医)、A「原職復帰して十年。全盲者の営業マン心得、40歳に至るまでの葛藤、チャレンジ」(講師:湯浅 幸洋氏・NEC北海道支社勤務)の講演、講演に対する質疑応答が交わされたあと、引き続き出席者全員による意見交換会というプログラムで行われた。
 講演は、医師として「ロービジョンにはせる深い思い・取り組み、母校の東北大学における研究」など、中途視覚障害者にとってのロービジョンケアーの重要性、今後の取り組み等々が、そして、営業マンとして「後輩を育てる責任を負う年代にきて自覚が変化してきた心境とか、結局ここまでやってこられたのは人間関係だった」などと語られた話は大いに共感させられるなど、ともどもすばらしい講演だった。さらに、それぞれへの質疑応答は、具体的な内容に及び、両氏の飾らない雰囲気の中でなされ、この余韻を引きずるかのように和やかな中、自己紹介や近況を入れた意見交換会は、新しい情報を手にするなど掛け値なしに大変有意義なものだった。交流会と平行して行うことにしていた相談会は、一人と寂しかったが、懇親会の時間内も熱心に意見交換をするなど真剣なものだった。 閉会後は、ホテル内の宴会場において、懇親会となったが、宿泊先が同じという安心感もあってか、すばらしくにぎにぎしいものであった。つわ者はさらに二次会、三次会と、深夜に及ぶ懇親を深めたようだが、この場において、偶然も偶然、まさに思いもしない出会いもあったという。
 2日目は、函館市内観光組と、国立函館視力障害センター見学組に分かれての行動になったが、それぞれ、出会いの大切さを改めて痛感する函館滞在であった。前日の26日に道央を中心に襲ったというテレビの大地震報道には、肝を冷やしたが、一日違いだったこの交流会には何らの影響もなく無事終了でき一同ほっと安堵した。あとで寄せられた交流会に対する感想文では、「函館での充実した時間は、私にとってかけがえのないものになりそうです。大満足です。」とあり、また、「今回の交流会には、私を始め夫婦参加が5組おりました。家族としての悩みや問題なども語り合いながら楽しく交流できたようです」とあった。

(会長・下堂薗 保)

3.会活動におけるインターネットの活用について

(1) メーリングリストについて
a. 基本的事項 b. MLの書き込みの内容等
 この1年間は、これまでと同様に視覚障害にまつわる各種情報交換・意見交換が活発に行われたほか、職場における悩みなどを率直に披瀝する書き込みがいくつかあり、それへの励ましや対応方法の案が書き込まれ、会活動本来の趣旨に沿う形がみられました。
 あるいは、悩みではありませんが近況報告を記したメールも少なからずみられ、ML参加者の参考になる点が多かったのではないかと思われます。従来からそうした投稿はありましたが、この1年間は自分の率直な経験を記したメールが比較的多くみられたと思います。
 今後の課題としては、MLが参加者の自由で円滑なコミュニケーションの場であり続けるために、会としてどう対応するのがいいか、幹事会及びML上で意見が出されており、対応策を決める必要があります。

(2) ホームページについて
a. 基本的事項

b. ホームページの内容について
 ホームページの構成や内容については特に変更を加えることなく従来の路線に従って、会の各種行事案内や会報掲載を中心に少しずつ書き加えていきました。
 サーバの仕様変更によりホームページに設置していた検索機能がしばらく使えない状態にありましたが、今回、それを復旧しました。そのほか、他団体からの連絡に応じリンク集やその団体の紹介箇所を修正し、あるいは、会則の更新等長期間見直していなかった箇所を必要に応じて修正しました。
 ただ、全体として古いままになっているページがまだ残っており、内容の充実とともに今後の課題といえます。
(幹事・吉泉 豊晴)

【平成16年度活動方針】

 タートルの会は、来年10周年を迎えます。今年は、過去の活動の総括を行い、視覚障害者でも働き続けたいと思いを持って集まった会員の要望を把握するためのアンケート調査を行います。
 活動の輪は着実に全国に広がりつつありますが、まだまだ私たちの知らないところで、多くの視覚障害者が情報もなく孤立している状況があります。

◎相談会について
 そうした社会状況の中で、情報を求めて来る人、情報は入手はしているが自分で進路が決められず悩んでいる人等に対して、同じ視覚に障害を持つ当事者が相談会という形で、情報の提供や自らの体験談、あるいは過去の相談事例などを交えて相談会を行うことにより、相談当事者が自らの進路を決断するために必要な助言を行っていきます。さまざまな相談ケースに対応するために、相談を担当する幹事を増員していきます。

◎交流会について
 会員数も増えて、働く業種や働く形態も多彩になっています。視覚障害者が、どんな職場でどんな仕事をどのようにしているか非常に興味があります。また、仕事を継続していく中でどのように仕事の幅を広げていったか、継続していく上でどんな問題が発生したか等仕事にかかわること、また、趣味や日常生活等のテーマで行います。

◎情報について
 会報「タートル」の発行、「中途失明U〜陽はまた昇る〜」の拡販とPR
 「ホームページ」を使っての情報の発信。また、メーリングリストを通しての情報の交換を行っていきます。

 会員一人一人の「行き方」は違っていても、楽しく生き生きと生活したいと望むのは同じです。知恵と工夫をお互いに出し合って進んで行きましょう。以下は具体的な項目とスケジュールとなります。

(1)相談活動
1) 初期相談
 随時及び幹事会、交流会の開催日
 まずは悩みを聴くことに重点を置き、適切な「情報」や「各自の体験談」などを提供して、ご本人が希望や目標に向かって歩めるような助言を心がけて行います。

 多彩で適切な助言ができるように、相談を受ける側のメンバーの増員を行います。

2) 復職・定着支援活動
 定着支援については、仕事を続けて行く上での人間関係、補助機器等のアドバイスを行います.

 復職をするための情報提供や会社との交渉に関するアドバイス等を行います.

(2)交流会の実施
 ここ数年、定着しているテーマは、「歩行」・「こんな職場で働いています」・「地方交流会」の他に、旬な話題を提供する交流会を企画します。
a. テーマ未定 9月18日(土)
b. 第5弾「こんな仕事をしています」 事例発表 10月16日(土)
 10月の交流会は、第5弾「こんな仕事をしています」事例発表を行います。数名の働く仲間の職場の現状と問題点などを発表してもらい、意見や情報の交換等を行います。
c. 地方交流会in名古屋 11月20日(土)、21日(日)
 11月の地方交流会は名古屋市で地元のニーズにマッチした内容で行います。
 各地の会員の要望とタートルの会の活動を広く知ってもらうと共に、各地の視覚障害者団体との親睦及び交流をするために実施します。
d. 講演&忘年会 12月11日(土)
e. 歩行について 1月15日(土)
f. テーマ未定 3月19日(土)

(3)メーリングリストやホームページの充実
 メーリングリストについては、全国の仲間のコミニケーションの一つとして、近況報告、質問、趣味そして各地の話題等が話し合われています。さらに皆が気軽に参加できるような仕組みを考えていきます。
 ホームページについては、視覚障害者に関する情報の蓄積をします。

 「こんな職場で働いています」のデータの更新を行います。

(4)機関紙「タートル」の発行
 5月、8月、12月、2月の各号を発行予定
 会員以外への送付先について、見直し及び整理を行います。

(5)ニーズの調査
 会員各位が、タートルの会に求めている事項を把握して、次年度以降の活動に反映させるためのアンケート調査を実施します。

(6)創立10周年記念の準備
 来年の10周年記念イベントの企画及び準備を行います。

(副会長・松坂 治男)

〔役員名簿〕

 会長   下堂薗 保
 副会長  工藤 正一
      松坂 治男
 事務局長 篠島 永一
 事務局次長 田中 均
 幹事   新井愛一郎
      伊吾田伸也
      石山 朋史
      植村 滋樹
      内山 義美
      大脇 俊隆
      金子 光宏(宮城県)
      小林 千恵
      重田 雅敏
      杉田ひとみ
      西村 秀夫(広島県)
      藤井 貢(中国)
      堀 康次郎(近畿)
      持田 健史
      山本 浩(和歌山県)
      横田 弓(愛媛県)
      吉泉 豊晴
 会計   森崎 正毅
 会計監査 和泉 森太

平成15年度・収支決算報告書

(自:平成15年4月1日 至:平成16年3月31日)
<一般会計>
○収入の部 (単位:円)
科目 金額 摘要
前年度繰越金 1,946,227 −−
一般会費 1,185,000 230名
寄付 61,800 −−
「中途失明」売上 8,430 −−
助成金 890,000 車輛競技公益資金記念財団・点字プリンター
雑収入 42,345 銀行利息・幹事会懇親会残金等
合計 4,133,802 −−

○支出の部
科目 金額 摘要
講演者謝金 60,000 総会、交流会、忘年・講演会
交流会録作成費 80,110 交流会録作成費用
機関誌発行費 190,835 印刷費・編集費
通信費 81,063 切手代・第3種郵便・支援関連物送料等
総会運営費 145,386 会場借用料・遠方幹事交通費
交流会運営費 151,837 会場借用料等
地域交流会運営費 140,211 会場借用料・昼食代補助等
相談活動費 15,900 相談に関する交通費
会議費 14,067 宿泊幹事会会議費・ロービジョン学会会費
メーリングリスト運営維持費 21,420 さくらインターネット・幹事用ML
ホームページ運営維持費 21,000 2003年4月〜2004年3月分
備品消耗品費 1,135,879 点字プリンター・封筒・点字用紙・タックシール等
ボランティア保険保険料 10,000 −−
創立10周年記念行事準備費 38,500 会場借用料
雑費 8,538 弔電等
特別会計へ充当 1,522,848 「中途失明U」出版関連
(小計) 3,637,594 −−
次年度 繰越金 496,208 −−
合計 4,133,802 −−

<特別会計>
「中途失明U」出版関連
○収入の部
科目 金額 摘要
一般会計より受入 1,522,848 −−
売上(直販) 722,120 タートルの会直販(610冊・FD/CD74枚分)
合計 2,244,968 −−

○支出の部
科目 金額 摘要
出版案内作成費 50,358 −−
出版費用 1,344,420 −−
FD/CD作成費 128,070 −−
合計 1,522,848 −−
収支 722,120 出版関連経費1,522,848円

(備考)
資産残高 平成16年3月31日現在 \1,218,328
郵便貯金残高 \1,173,426
銀行預金残高 \42,339
事務局所持金 \2,563

平成16年5月14日
以上の通り、報告いたします。
会計担当:森崎 正毅、伊吾田 伸也

[平成15年度 会計監査報告]
会計監査の結果、相違ないことを認めます。
会計監査:和泉 森太

平成16年度予算

(自:平成16年4月1日 至:平成17年3月31日)

<一般会計>
○収入の部 (単位:円)
科目 金額 摘要
前年度繰越金 496,208 −−
一般会費 1,250,000 250名納入予定
寄付 50,000 −−
雑収入 20,000 銀行利息・幹事会懇親会残金等
特別会計より受入 722,120 「中途失明U」出版関連
合計 2,538,328 −−

○支出の部
科目 金額 摘要
講演者謝金 70,000 総会、交流会、忘年・講演会講師に対する謝金
交流会録作成費 100,000 交流会録作成費用
機関誌発行費 250,000 機関紙の印刷費、編集費
通信費 100,000 切手代、第3種郵便、支援関連物送料等
資料印刷発行費 100,000 パンフレット作成費等
総会運営費 200,000 会場借用料、地方幹事交通費等
交流会運営費 150,000 会場借用料、ボランティア謝金等
地域交流会運営費 150,000 会場借用料、ボランティア謝金等
相談活動費 100,000 相談に関する交通費等
会議費 20,000 宿泊幹事会会議費、ロービジョン学会会費等
メーリングリスト運営維持費 25,000 さくらインターネット・幹事用ML
ホームページ運営維持費 25,000 2004年4月〜2005年3月分
備品消耗品費 200,000 備品、消耗品購入費
ニーズ調査費 100,000 会員に対するニーズ把握のための調査費
ボランティア保険保険料 10,000 ボランティア活動に対する保険の保険料
創立10周年記念行事開催費 300,000 会創立10周年記念行事の開催経費
幹事(地方)出張旅費 150,000 地方滞在幹事の出張に要する経費
予備費 488,328 −−
合計 2,538,328 −−

<特別会計>
「中途失明U」出版関連
○収入の部
科目 金額 摘要
前年度繰越金 722,120 −−
売上(直販) 36,000 タートルの会直販
売上(大活字) 800,000 大活字経由販売
合計 1,558,120 出版関係経費1,522,848円

○支出の部
科目 金額 摘要
一般会計へ充当 722,120 −−
合計 722,120 −−
収支 836,000 −−


「会員ニーズ調査について」

本会の「明日を考える」アンケート」実施にご協力をお願いします!

 本会は来年2005年に発足10周年を迎えます。これを一つの大きな節目と捉え、会員各位の総意を今後の活動に反映すべく、「明日を考える」アンケートを実施させていただくことになりました。
 会員お一人お一人が、日頃会に対して抱いておられる想い…。今後このような取り組みをしてはどうか…。設問以外にも自由なご意見をいただく欄も儲けました。
 今後の本会のあるべき姿や活動を会員一丸となって考えてみたいと思います。何卒多くの方々のご回答をお願いいたします。
 なお、今回のアンケートにおける回答者各位のプライバシー保護は当然のことながら厳守いたします。
 以下概要です。

(ニーズ調査班:幹事・嶋垣 謹哉)

2004年4月〜8月活動記録

●宿泊幹事会
日時:2004年4月17日(土)・18日(日)
場所:伊東温泉品川荘
議題:これからの「タートルの会」(中・長期展望)ほか

●初期相談会
日時:2004年5月13日(木)19:00〜
場所:日本盲人職能開発センター

●定例幹事会
日時:2004年5月21日(金)19:00〜
場所:日本盲人職能開発センター
議題:総会関係ほか

●臨時幹事会
日時:2004年5月31日(月)19:30〜
場所:日本盲人職能開発センター
議題:意見交換会・基本的な考え方

●第9回定期総会
日時:2004年6月12日(土)午前10:30〜
場所:南大塚社会教育会館第一会議室(総会)
    豊島区立南大塚ホール(記念講演&交流会)
講師:日野原 重明先生(聖路加国際病院理事長)
演題:「視覚、その他の感覚障害者へのケアのあり方」

●初期相談会
日時:2004年6月12日(土)13:00〜15:30
場所:南大塚社会教育会館第一会議室(総会)

●定例幹事会
日時:2004年6月25日(金)19:00〜
場所:日本盲人職能開発センター
議題:総会の反省点などほか

●初期相談会
日時:2004年7月10日(土)14:00〜
場所:日本盲人職能開発センター

●初期相談会
日時:2004年7月15日(木)19:00〜
場所:日本盲人職能開発センター

●地域幹事相談会
日時:2004年8月1日(日)13:00〜
場所:JR大阪駅ビル内

●地域相談会(帰省幹事)
日時:2004年8月16日(月)18:30〜
場所:新潟駅前レストラン

●定例幹事会(振替)
日時:2004年8月21日(土)10:00〜
場所:日本盲人職能開発センター
議題:アンケート調査関係ほか


お知らせ

●10月交流会
日時:2004年10月16日(土)14:00〜17:00
テーマ:「新たな仕事の可能性を探る」

●11月交流会
2004地域交流会in名古屋
日時:2004年11月20日(土)、21(日)
会場:KKRホテル名古屋
    名古屋市中区三の丸1−5−1
    TEL:052−201−3390
テーマ:検討中

●12月忘年交流会
日時:2004年12月11日(土)
場所:未定


編集後記

 「投げられた ところで起きる 小法師かな」という言葉があります。起き上がり小法師、つまり達磨さんがポーンと投げられた。そこがいかなる場所であろうとも、正念場として起き上がる。腰を据えてまっすぐ正面を見据える、という意味です。
 いかなる場所でもぐずらない、追ったり逃げたりしない、のぼせ上がらない、ダウンしない、どういう状態であっても、しゃきっと姿勢を正すということなのだそうです。
 人生はいろいろな境遇に置かれます。中途視覚障害者というわれわれは、まさに思いも及ばぬ状況にポーンと放り出された感じです。誰もが最初は落ち込みます。しかし、やがて立ち上がりますが、姿勢を正せるかどうかです。
 自分の立っている、置かれている現状をしっかり受け止め、認識しないと、どちらの方向をめざせばよいのか分からない。自分自身を見つめ直す機会を与えられたと思い、「こうだったのに、こうなってしまった」という考え方は、捨て去ることです。
 過去は過去なのです。人間は自在に変わりうることができる動物なのです。昨日の自分は今日の自分ではない。また、明日の自分も今日の自分とは違う。「日々に新たなり」の前向きな姿勢が大切です。
 また、「恕」という言葉があります。思いやるとか許すという意味を持ちます。
 他を受け容れ、認め、許し、その気持ちを思いやる。自分のことと同じように人のことを考える。そのことこそ、人生で一番大切なことだ、と孔子は教えたそうです。
 「社会受容」の進行はまさに「恕」が徐々に浸透していくことなのだといってもいいですね。

(事務局長・篠島 永一)

中途視覚障害者の復職を考える会【タートルの会】会報
『タートル33号』
2004年9月2日発行 SSKU 増刊 通巻第1544号
■編集 中途視覚障害者の復職を考える会 会長・下堂薗 保
■事務局 〒160-0003 東京都新宿区本塩町10-3
     社会福祉法人 日本盲人職能開発センター 東京ワークショップ内
     電話 03-3351-3208 ファックス 03-3351-3189
     郵便振替口座:00130−7−671967
■turtle.mail@anet.ne.jp (タートルの会連絡用E-mail)
■URL=http://www.turtle.gr.jp/


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