特定非営利活動法人タートル 情報誌
タートル 第18号

1998年10月9日第三種郵便物認可(毎月3回8の日発行)
2012年3月11日発行 SSKU 増刊通巻第4111号

目次

【巻頭言】

《アキバへ通い続けてはや30年・・・そして日々「感謝」・「感謝」 !!》

理事 大脇 俊隆(おおわき としたか)

1982年会社の転勤にて大阪からコイズミ照明(当時・小泉産業(株))の東京支社へ赴任しました。コイズミ照明(当時・小泉産業(株))の東京支社は、最寄りの駅がJR秋葉原駅より徒歩5分のところにありました。転勤当時は、27歳という、今思いますと本当に若々しい頃があったんだなぁと、少し恥ずかしい気もしますが・・・それが東京へ赴任しての10年後に人生半ばで「のぼり坂」、「くだり坂」、「ま坂」のまさかの失明してしまうことになろうとは??

その失明後、リハビリテーションを受けて、生活訓練や歩行訓練、そして職能開発訓練を経て、失明して3年後の40歳の時に会社に復職することができました。(詳細につきまして関心のある方は、お手数ですが、末尾に付しました、URLを参照ください)

しかしながら・・・これまでの会社への通勤は、秋葉原の駅のホーム、日暮里駅のホームの鉄柱や壁にぶつかり、何百回、何千回鉄柱に頭を下げて「すみません」「ごめんなさい」と言ったことでしょう。また、舌打ちされたことは、数知れず・・・これは言うまでもありません。

その紆余曲折のあった通勤が、曇りの日、雨の日ばかりではないと言うことを、電車の中でのある一つの現象で知らされました。そのことが分かった瞬間、頭をトンカチでたたかれたような「感謝・感謝」の心の中で号泣するようなショックを受けました。

それは、東日本でも朝の通勤ラッシュが最悪の混雑状況であることで5本の指に入る常磐線松戸駅での乗車時でのことです。乗車しようと電車の中へ入りますと、いつも何故かドア側に一人分のスペースがあいているのです。そして、ドアが閉まると後ろからぎゅっと押される状態になるのです。最初は、あれ、最初から空いていたのでは?・・・それがこんなにぎゅうぎゅう詰め。そこで、私は、その一つの現象にはっとしました。そして、思わずその場でひざまずきたいような気持ちになりました。満員電車の中でも、白杖をついた私一人を乗せるために、わざわざ周囲の人達が、わずかな一人分のスペースを作ってくれていたのです。先に乗車していた人達が、何と詰めてくれていたのです。

そう、失明してから約20年近い、常磐線松戸駅から秋葉原駅までの通勤の日々は、人生の「まさか」ではなくて、そうなんです、「まさに」周囲の人達への感謝・感謝の日々だったのです。

URL:http://www.turtle.gr.jp/paper/oowaki.html

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【1月交流会講演】

「視覚障害者の就職サポートでの成功事例・失敗事例、そこから見えてきたこと」

ジョイコンサルティング株式会社 木村 志義(きむら もとよし)氏

本日は、大阪・福岡の方も繋がっているということで、全国の皆様、こんにちは。今、ご紹介にあずかりましたジョイコンサルティングの木村と申します。私は、障害者の方専門の就職支援の会社を2002年5月に立ち上げて、今年の5月で10年になります。タートルとの出会いは、2002年の5月に、障害者の方専門の就職支援の会社をスタートさせた後の夏の時期でした。

会社のスタート当時、課題といいますか、一つ悩みがありました。それは、私自身が障害者の方と全く触れたことが無いにも関わらず、障害者の方専門の就職支援の会社を設立したということが、一つの悩みでもあり、課題でした。

会社をスタートさせた後、私自身が障害者を理解しなければならないという気持ちがありましたので、一番初めにおこなったことは、インターネットで障害者というキーワードで検索された障害者団体や、障害者に関わるシンポジウムに出かけました。

インターネットでの検索後、最初にお伺いさせていただいた障害者団体が、当時の名前は「タートルの会」で、現在の「NPO法人タートル」と記憶しております。当時、篠島先生に対応していただきました。篠島先生には、「私は障害者専門の就職支援の会社を運営していますが、障害者の方について勉強不足なので、お話を聞かせてください」ということで、訪問しました。篠島先生は、当然のごとくさすがに怪訝そうなお顔をされて、何だこの人は、という視線を浴びたことを覚えています。

しかし、篠島先生から、「本日午後から定例会があるから参加してみてはいかがですか」と言われましたので、急遽定例会に参加して、その日の夜の「天狗」での飲み会まで、お付き合いさせていただきました。そこで初めて障害のある方と触れ合うことができたのです。

その中で一番印象に残っているのが、隣にいた全盲の方がお酒をガンガン飲まれていたので、心配になり「そんなに飲んで大丈夫なのですか」と聞いたところ、その方は、「何で」と聞き返されました。私が、「目が見えないのに、酔っ払ったら危ないですよ」と言うと、その方からは、「見えても見えなくても、酔って危ないのは一緒だよ」という返事が返ってきました。私もお酒が好きで、時として正体不明になり、確かに危ない経験は多々ありました。そう思ったときに、危ないのは、見える、見えないではなく、酒癖がいいか、悪いかだと、自分の中で気付かされることがありました。当たり前のことなのですが、見える、見えないではなく、その人がどういう人かによって決まることだと感じまして、自分の中で心の中の壁が一気に崩れた経験があります。

それから、私はどんな障害を持った方にも、ストレートに、働くためにできること、できないことは何だということを、本当に正面から聞けるようになりました。いろいろな障害者の方とストレートにコミュニケーションを取れるようになり、事業も何とか形になってきました。

そんなきっかけを作っていただいたので、私にとっては非常に思い出のある団体さんです。また、10年目ということで、こういった講演の機会をいただいたことに感謝しており、すごくご縁を感じています。

本題の方に入りますが、「視覚障害者の就職サポートでの成功事例・失敗事例、そこから見えてきたこと」というお題について、いろんな事例を考えてみました。非常につまらない話で申し訳ないのですが、成功事例とは、就職が決まった人ということになります。どのような人が内定したのかというと、視覚障害の人に限らず、人柄が良く、PCのスキルがあり、年齢が若く、障害の軽い人達を含めた人が就職しています。

それでは、失敗事例というか、就職がなかなか決まらない人というのは、どういう人かと言いますと、先程言いました4つのことが揃っていない人なのです。4つ全てを揃えることは困難としても、3つでも揃っていれば、就職が決まりやすいという現状となっています。

就職については、もちろん本人の努力が一番なのですが、我々は就職の橋渡しをおこなう機関として、過去に就職が決まらない、決まりにくい事例をどういうふうにすれば、決まる事例に変えていけるのかを考えるべきだと。どうみても会社の方が雇いやすい方を就職させることは、誰でもできることなのですが、我々として何ができるのか、初期段階のことから考えるべきことであったかもしれません。この機会をいただいて、再度考えてみました。

交流会の年間コンセプトも、「将来のために今を考える」という、非常に素晴らしいコンセプトでおこなわれています。前提として、視覚障害者の方に実施したことの無い事例なので、できるかどうか分かりませんが、私が将来について考えてみたことを、お話します。

まず視覚障害者の方の、就職を難しくしてしまっている一因としましては、他の障害の方に比べると、その障害特性が挙げられると思っています。今多い事務職の場合、企業の方には、「いろいろな支援機器を使えば、パソコンを使える方が多いです」と説明しています。

現在は、行政からの障害者雇用の指導が強まり、企業の中でもかなり一生懸命取り組んでいる方は多いのですが、ただ会社に来て、自分のパソコン業務をおこない、帰っていくだけで、全てが終わるわけではありません。

業務以外でも、「食事はどうされるのですか、サポートは必要ですか」「トイレに行かれる際にはどうしたらいいのですか」と、ことがある度に聞かれますので、「毎日の食事は自分でコンビニで買ってきて、自分の席で食べるので、サポートは要りません」「トイレは数回教えてもらえば覚えます」などとお答えして、いろいろなことに一つひとつ対応します。

しかし、働いてみないと分らない課題点や、問題点があるのではないかと会社側は考えるのです。そういうことから、残念ながら多くの大企業は、まずリスクを避けたいので、分らないことがあれば止めましょう、誰も責任が取れません、というような方向になってしまいます。

例えば、車イスの方であれば、車イス用の設備があり、トイレやフラットなオフィス環境があれば、あとは働けますね、聴覚障害の方は「電話はできませんが、メールであれば電話の代わりに仕事ができます」ということであれば、これだけメールが頻繁に使われるようになると、そうであれば何とかなりますね的な考えとなり、そのような職場環境にできるよう努めましょう、というふうになるのです。

視覚障害の方の場合、我々が間に入っていってなかなか前に進まないのは、我々が実践してみないと分らないというようなことに対して、すべて応えられていないからだと感じています。

残念な例を挙げますと、弱視の方で、パソコンなどの習得に努力されて、拡大ソフトなども使いこなされるようになりましたが、やはり目に負担がかかるということで、パソコンの業務は他の業務の合間におこなうということで、就職をした事例があります。しかし、その合間というのも、非常にあいまいな認識となります。会社側も、やはり急いで作成してほしいという資料があったので、その方に続いてパソコン業務をおこなってもらいましたが、結局目に負担がきてしまい、辞められた方もおられます。雇用してみなければ分からない、というケースが実際におきています。

それについて、どうしたら解決できるのかと考えたときに、私が思いついたのは、精神障害の方の就職支援です。視覚障害者の就職も難しいのですが、精神障害の方も結構就職が決まっていないのです。といいますのは、就職が決まった精神障害の方は、私が創業をして8年間となりますが、てんかんを持っている方で、精神障害の手帳は出ています。毎年100人程度の就職を決めていながら、記憶では本当にその一昨年の一人ぐらいで、ゼロに近い決定率なのです。現在我々は月間で、200人ぐらいの方に登録いただきますが、3割ぐらいが精神障害の方なので、大きな問題として受け止めています。ちなみに、視覚障害の方は5〜6%で、他の聴覚障害、内部障害、下肢障害、それぞれ15%程度なので、精神障害の比率が飛び抜けて多く、極端に就職が決まりにくいのです。

会社的に考えますと、やはり人材のビジネスですから、いかに人材をお金に結び付けていくという点では、ドライな言い方でいうと一番肝なのです。会社の課題として、一番多い人材を極端に結び付けられていないということで、現在まで頭を悩ませてきました。

その精神障害の方の問題と、視覚障害の方の問題に共通点を感じましたのが、精神障害の方も就職が決まりにくいのは、雇用してみないと分からないことが多いからです。精神障害の方で企業が懸念されるのは、「病気が安定しないと聞いた場合、毎日通えるのですか」という質問を受けます。あとは、「通うとしても、非常にデリケートな方が多いと聞いていますし」、「コミュニケーションに細かな配慮を持たなければ、病気が悪化したり、その方にとても残念なことをしてしまう可能性がありますが、我々にはまだそのノウハウがありません」と言われます。大体通えるのかどうか、職場でのコミュニケーションがきちんと取れるのか、これは相手側と、企業側の双方に関わる問題なのです。

我々としては、通えるかどうかは、「本人が大丈夫といっています」としか言えませんし、例えば、今までほとんど働いたこともない方が、医者が働けると診断書を書いてくれたとしても、企業側から「保証ができますか」と言われたときに、やはりビジネスでお金をいただく以上、何も根拠もなしに、「保証できます」とは絶対に言えないのです。

コミュニケーションについても同じなのです。我々が雇ってみなければ分からないという状況で、試しに雇ってみてくださいというのは、視覚障害者の方も同じことなのです。今の企業は、その方が継続できるようにサポートできるか判断できませんし、試しに雇用する余裕がないので、そこでまた行き詰ってしまうのです。

精神障害の方の場合に、どのようなことを我々が始めたかといいますと、障害者自立支援法という福祉の法律制度に基づく、就労移行支援事業という事業です。厚生労働省の労働ではなく、厚生サイドで作られた事業です。

どのような事業かと簡単にいいますと、国から助成金をもらいながら、障害者の方の就職をするまでのトレーニングができる事業です。例えば、精神障害の方の場合、一昨年の2010年10月から始めた我々の就労移行支援事業所で、まずは通えるかどうかをトレーニングセンターでおこない、実績を作ってもらいます。そして、我々がトレーニングを提供することにより、もちろんその方のスキルアップを図ります。合わせて、精神障害の方は百人百色なので、一人ひとりの特徴を把握します。

まずは人柄として、組織でやっていける方なのかどうかを確認するわけですが、やはり障害を持っている方なので、どんな支援が必要なのかということを、我々がその方にトレーニングを提供することにより、うちのスタッフが把握できるわけです。そのトレーニング後、企業側には、「半年間1日も休まずここに通っております」「この方はこういう能力を持っておりますし、こういう能力を身に付けています」「それは、こういう配慮をおこなえば発揮されます」などと、明瞭に伝えることができます。それと合わせて、「同じことを二つ一度に進めるのは苦手なので、一つひとつにしてください」、「そうすればすごい集中力で、平均の人以上の力を発揮できます」などと説明ができます。

しかし、通えたという実績も、トレーニングセンターできちんとトレーニングをできたという実績も、守られた世界の中でのことです。我々のトレーニングセンターは、障害のある方に配慮あるスタッフが、障害のある方を前提に接していますので、非常に温かいゆとりのある空気の中で、トレーニングができるのです。

職場は空気感が違いますし、利益を追求するところですし、いろんな悩みを抱えながら職場に来ている方がいるので、必ずしも優しい方ばかりではありません。逆にうつになる方もいますから、厳しい空気の中での場合、トレーニングセンターでできたことが、できるのかということです。

その制度のもう一つの面白いところは、実習を使えるということです。我々が利用者として、施設外就労、施設外訓練ができ、その上職場でも仕事ができます。それは企業からすると、雇用という形ではなく、実習受け入れという形で、仕事をしてもらうことができるのです。この認可を我々は受けているのですが、認可を受けた上で、助成金をいただかなければ、必ず資金面で行き詰まります。また、仕事をしたのであれば、労働になるわけですから、きちんと雇用契約を結ばなければならないので、必然的に雇用となるわけです。

企業は、一人の障害者を雇用するにあたり、非常に重く感じてしまい、たじろぐわけですが、合法的に試せる点が、就労移行支援事業所における一つの強みです。実績として、一昨年までほとんどゼロに近かった精神障害の方を、去年17人就職に結び付けています。企業での実習をおこなうわけですが、精神障害の方は、心身的にもデリケートなので、多少時間をかけて、お互いにこの企業で業務遂行等できることを確認した上で、雇用契約を締結しています。もちろん、何週間という短い実習で、全ては分かりませんので、今後何らか起こるリスクはありますが、リスクを軽減できることは間違いありません。

僕が考えたのは、視覚障害の方が、何ができて、何ができないということを踏まえて、細かなところを職場の中で言っていただいて、障害を理解していただくことが重要だと考えます。言い方は雑になりますが、気軽に職場の中で試していただきたいと思います。企業の人事担当者も人間なので、その方の人柄が素晴らしければ、是非雇用したいと思うのです。また、企業側でも、精神障害の方における先入観や偏見があり、皆恐れていたのですが、すごく頑張る人がいると、その方と働きたいと思うようになるのです。役員の方も、最初は拒否反応がありましたが、社長面接の前で、たまたま精神障害の方と廊下ですれ違ったら「頑張れよ」と肩を叩くぐらいに、その方のファンになられていました。

その人を見て欲しいのです。もちろん、その人もできること、できないこと、会社がサポートできること、できないことがあるのです。それは実際の業務の中で試していただいて、一つひとつを理解していただくような形で、働けるように進めていきたいと感じております。

この事業を始めて1年弱、精神障害の方の問題の解決に取り組んでみまして、視覚障害の方にもすごく当てはまるなと感じましたので、就職活動をしている方がいたら、ぜひ一緒に取り組ませていただけたらと考えております。

もう一つは、就職サポートではないので、本題から外れてしまうのですが、私が10年間視覚障害者の方の就職の相談を受けていて、一番感じたことをお伝えします。それは、会社で働いている期間に中途視覚障害となり、視力を失った方については、まずはその会社で継続して、働くことを念頭に置かれたほうが良いと感じます。

先程言いましたように、目が見えないということは、何ができて何ができないのかということを、試行錯誤して試してみなければ、答えは出ないのかなと思っていますし、新しい会社でそれをゼロからおこない、実現させるということは、可能性として、僕は低いというのを感じています。というのも、当然のことなのですが、視力を失った方も同じ会社の中であれば、どのような業務が社内にあるかということを、新しい会社に行くよりも格段に把握しているからです。

まずは、自分の現在のスキルを把握した上で、この部署でこういう仕事はできないかと提案することができると思いますし、その方が良好の人間関係を築いていたのであれば、この部署でこんなことができるかもしれないから試してみようなどと、周りの方は思うのです。タートルの中でも、在宅に移って活躍されている方や、多くの中途視覚障害の方が、復職されて活躍されていると聞いています。本当にタートルそのものの存在意義というのは、就労継続を主としておりますので、非常に価値のある組織だと思いますし、視覚障害者の方の就職サポートを10年間させていただいて、すごく実感しています。

今回の交流会のコンセプトも、「将来のために今を考える」ということですが、復職をする際、目が見える時からの日々の人間関係や、日々の業務を一つひとつ大事にしてきた人には、企業も支援してくれると思いますし、信頼感ができれば、自然に責任ある仕事が任せられると思います。また、転職サポートの際、先程と同様に、会社が変わったとしても、その方が日頃から人間関係を大事にされて、日頃から業務を一つひとつ大事にされていると、周囲から信頼されるようになります。責任のある仕事を任せられるようになるとともに、業務が深い仕事となりますので、次の会社でも役に立つケースが多いのです。

僕は、面接の際の一番のポイントは、面接官から、前の会社でどのような業務をやっていたかということを聞かれますが、どれだけ自信を持って、おこなっていた業務の重要性などを説明できるかということに、尽きるのではと感じています。いろいろスキルを付けることも考えられますが、本日の交流会のコンセプトに沿って、私が感じていることをお伝えさせていただけるとしたら、「将来のために今を考える」。では、今何をおこなうべきかといえば、周囲との人間関係や、目の前にある一つひとつのことを大事にしていくことが、最も重要であると感じています。
私が言うと、偉そうに聞こえるかもしれませんが、その方向に進まなければ、当社も今以上に良くなっていくことは、難しいのではないかなと感じています。

今回の講演の機会をいただいて、遅ればせながら、改めて視覚障害の方の就職について、この先どういう方向性に進めばよいのかを自分の中で浮かべることができました。根本的に私自身が経営者として、謙虚でありながら、目の前のことに取り組まなければ、この先には何も無いということに気付かせていただきました。今回このご縁をいただいたことに感謝するしだいです。

最後に、最初に言うべきことなのですが、天気の悪い中に杖をついてくるのは、すごく大変だと思います。皆さんは自宅を早めに出られて、大勢の方が私の話を聞くためだけではないと思うのですが、来ていただいたことに、非常に感謝しております。ありがとうございます。ご縁をいただいたことを含めて、最後にお礼をさせていただいて、私の話を終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。

プロフィール
1966年 東京都渋谷区に生まれる。
1990年 早稲田大学卒業、大学時代は体育会ラグビー部所属。
2002年 日本初の障害者の方に特化した人材紹介会社「ジョイコンサルティング」を設立。
2004年 法人設立(個人事業から株式会社に)。
2008年 書籍「世界一の障害者ライフサポーター(講談社)」発行。
2010年 厚生労働省の許認可事業である「就労移行支援事業」を開始。最も就職が難しいとされている、精神障害、発達障害の方の就労支援に本格的に参入。

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【定年まで頑張りました】

〜障害者も65歳雇用をめざせ〜

元・みずほ総合研究所 教育事業部セミナーグループ 調査役
熊懐 敬(くまだき けい)氏

■今の私 ― 自己紹介をかねて

私は板橋在住の男性、病名は網膜色素変性症で現在の視力はほとんどゼロです。昨年10月に満65歳になり、それまで勤めていた会社(みずほ総合研究所で、セミナーの企画業務に従事)を退職しました。昭和45年に健常者として銀行に就職、中途で徐々に視力が低下、終盤は全盲に等しかったにもかかわらず、65歳までどうして勤め上げられたのか、執筆の機会をいただきましたので、経緯を振り返りながら検討してみたいと思います。参考になるところがあれば幸いです。

■健常者から障害者へ ― 訓練と手帳取得でふっ切れる

私の視力は昭和50年代の後半(37〜8歳頃)から徐々に低下、59年に白内障の手術をして一旦は回復しましたが、長くはもたず、2〜3年後には、むしろそれまでよりは急速に悪化が進んだような気がしております。

この頃が思えば一番辛かった時期のように思います。見えるふりをして仕事をするというのはとてもつらいものです。この時代には手書きでの仕事が多く、文字を所定の場所に歪まぬように書くためにモノサシを当てながら書いたことを記憶しております。自宅に持ち帰り家内に口頭で指示しながらワープロを打ってもらったことも度々でした。人とも、よくぶつかるし、通勤途上の事故を心配した上司から、白杖を持つようにと度々いわれましたが、カバンに入れて持ち歩くだけで、使う気にはなかなかなれませんでした。少しでも治そうと漢方医療やらハリ治療などに通ったのもこの頃です。

転機が訪れたのは、平成4年(45歳)でした。上司陣から呼ばれてリハビリ訓練を受けるようにとの指示があったのです。当初は、「2年間の休職扱いで」とのことでしたので「いよいよ来たか」と疑心暗鬼にも陥りました。でも、上司と各施設を訪問し、施設の相談員の方から、「2年間も必要はありませんよ」「研修扱いの会社もありますよ」などとアドバイスしていただくうちに、「1年間・研修扱い」にしていただくことになりました。通勤の勘を忘れないために通所での訓練を希望、新宿の東京都失明者更生館(現・東京都視覚障害者生活支援センター)で訓練を受けることになりました。
同時に身体障害者手帳1級を取得、訓練を受けて手帳を取得したら、これまでのモヤモヤが晴れて、障害者としての頭の切り替えができたように思います。

■有効だったリハビリ訓練 ― ニーズに合ったオーダーメイドの訓練

私の場合のリハビリ訓練の特徴は、「今までの仕事を継続していく上で何が必要か」ということに重点を置いてもらったことです。通常の視覚障害者としての生活訓練や点字の訓練に加え、@通勤経路や会社周辺の歩行訓練、A読み上げソフトを使った文字の読み書きの訓練、Bパソコンを使ったメールのやり取りの訓練、C情報を集め蓄積する訓練などです。

@の歩行訓練については、先ず自宅から施設までを自力で通えるよう訓練してもらい、それから会社への往復、その周辺、よく行く場所周辺へと拡大してもらいました。何より泊り込みでなく、通所を選択したことが、歩行訓練の即実践での習得を速め、会社への通勤と変わらない生活のリズムや家族とのコミュニケーションを保つ上でも正解だったと思います。

A〜Cについては、当時はMS-DOSの時代で、読み上げソフトや使えるアプリケーションも限られていましたが、四谷の日本盲人職能開発センターや諸先輩の情報を結集していただき、短期間で密度の濃い技術を習得することができました。私のわがままな願いを叶えるべく、情報収集に東奔西走、自宅でのPC環境設定や指導までしていただいた諸先生へのご恩は決して忘れません。

■復職への努力 ― 第三者も交えたコミュニケーションが有効

リハビリ訓練の成果は定期的に会社に報告しました。施設の相談員や、都の障害者福祉センターの職員の方にも同伴してもらいました。本人だけでなく、公的な第三者の同伴や、「これで大丈夫」というお墨付きは、上司の不安を払拭するのに効果的だったと思います。

訓練終了時には、今までの仕事の中で、できるようになったこと、依然としてできないことを仕分けして提出しました。また、訓練終盤で書き溜めた新規セミナーのネタ一覧も同時に提出、これも、直接仕事の成果につながるものでもあり有効だったように思います。

■どのように仕事をこなしたか ― コアの部分は何とか自力で

1年後(46歳)に約束通り原職に復帰、PCや読み上げソフト、アシスタント1名の環境を整えてもらいました。スムーズに復職できた大きな要因は、@原職と同じ仕事だったこと、A仕事自体のコアな部分は何とか自力でこなせたことです。

私が一貫して携わって来たセミナーの企画という仕事は、簡単にいえば、ビジネス書の出版事業と似ています。@ニーズのあるテーマを見つけ、A適任の講師(出版の場合は著者)を選定し、B魅力的なプログラム(書籍の場合は目次)を考え、それをもとにC募集のためのパンフレット原稿を作成するというのが基本的なプロセスです。

@とAは、それまでの経験や人脈+ネットによる情報でカバー、Bについては、選定した講師とのメールでのやり取りをしながら固めていく、Cは、Bをもとに、さらに魅力的な内容に加工したり、アピールするPR表現を加筆して仕上げるということになります。つまり、これまでの経験+ネット+PC+頭で考えることで、しごとの重要な部分をこなすことができたというわけです。

もちろん、参考資料や書籍等の墨字情報を参照すべき場合も多く、アシスタントや家族にも多大な手数をかけましたが、「情報を組み合わせて構想する」という最もコアな部分は自分でやれたと自負しています。

■なぜ勤続できたか ― 仕事への意欲と会社への貢献、そして不断の能力開発

さらに、長期勤続できた重要な要因は、@仕事が面白く意欲を持ち続けられたこと、A会社への貢献を持続できたこと、BPCスキル等の能力開発に努めたことだったと思います。

セミナーという仕事は、よい企画をすればそれだけ集客も増え、参加各社の役に立てると同時に、有料セミナーですので会社の収益にも貢献できるということになります。私は、この仕事は自分に向いているし、やりがいがあるということで、「この仕事を続けたい」という強い意欲を堅持し、転勤等の打診に対してもそのように要望して参りました。

その分、仕事にも熱心に取り組みました。いつ首になるかもわからないという焦燥感も相俟って、人一倍のセミナー本数をこなし、業績にも大きく貢献することができました。健常者に見劣りしない実績を残せたことが、長期勤続できた最大の要因だったように思います。

この間、日進月歩のIT技術の進展、会社の情報セキュリティの強化等に即応するべくPCスキルの向上にも努めました。ちなみに会社の現在の環境はOSがWindows XP、オフィス2003、読み上げソフトはJaws v8でした。

■60歳以降も継続勤務 ― 障害者も65歳雇用をめざそう

60歳以降は、1年契約を更新するかたちで65歳まで勤務いたしました。丁度同じ頃に、会社の再雇用制度が、高齢者雇用安定法の改正(原則65歳までの雇用を義務化)を受け、65歳まで延長されたのも大きかったと思います。私も積極的に雇用の継続を希望、これまで以上に熱心に仕事に取り組み、リーマンショックなど、厳しい経営環境に見舞われましたが、健常者に劣らぬ実績を残すことができ、65歳まで勤め上げることができました。

現在はさらに、希望者全員の65歳までの雇用を義務化する法改正が議論されています。障害者も例外ではありません。障害者の意欲は健常者には決して負けません。他方、仕事を持続していく上での支援体制やICT等の技術も、諸先輩の努力により着々と整えられているように思います。働き続けたいという意欲を持続し、そのための能力開発に努めれば、誰もが65歳まで働き続けられるものと信じています。

なお、私は、退職後も、「みずほセミナーアドバイザー」として後進の支援・指導に当たらせていただいております(在宅でのメールや電話でのアドバイスが主)。仕事以外にこれといった趣味もなく、ひたすら走って来た私にとってありがたいことだと感謝しています。

■会社・同僚・家族・関係各位・団体に感謝

私がここまでやってこられたのは、自分の力だけでは決してありません。そのときどきの上司や会社の配慮、同僚や家族の支援、リハビリ訓練で指導いただいた諸先生、ビジネス書の音訳をしてくださったボランティア団体、タートルやSPAN(現在、いずれもNPO法人)等の支援団体、潟宴rットや(有)アットイーズ等の専門業者などお世話になった方々は枚挙にいとまがありません。また、各場面で出会った、同様の障害を抱えながらも懸命にがんばっておられる方々にも大いに勇気づけられました。この場を借りて厚く御礼申し上げますと共に、引き続きよろしくお願いいたします。
同じ悩みを抱える視覚障害者と支援いただいた皆様への感謝と健勝を祈って乾杯!

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【相談雑感(2)】

副理事長 工藤 正一(くどう しょういち)

その1:ある電話相談

電話相談では、相手の話に耳を傾けながら、適当なところで切り上げるのがなかなか難しい。ワラをも掴む気持ちで電話をかけてきているのである。話は1時間にも及ぶことがあり、相手に合わせて話し続けて、相手の頭の中を情報の洪水にしてしまってはいないだろうか。私には多分にその傾向があるようだ。反省することしきりである。

タートルには、実に様々な相談が寄せられ、中には緊急を要する相談も少なくない。どんな相談にも、できるだけ本人の気持に寄り添い、解決の糸口を一緒に考えるようにしている。ここのところ、再就職や復職者からの嬉しい報告が続いていたかと思っていたら、ある日曜日の朝、深刻な相談が飛び込んできた。

「職場でその日の午前中までは文字が見えていたのに、午後から急に文字が見えなくなった。急いで眼科主治医に診てもらったら、それまで見えていた網膜の部分が見えなくなったからだろうと言われ、治療方法もない。仕事にならないので休んでいるが、休んでいても解決しない。これからどうしたらいいだろうか」

電話の主は、聡明な人である。対処法ははっきりしているので、その方法を説明するが、あまりにも急な話である。しばらく静養し、あせらずリハビリを頑張りましょうというような悠長な気持ちではおれない事情があった。幸いにも、目は見えなくても基本的にはできる仕事に就いていたので、必要な訓練を受ければ、問題は解決するのである。そこで、@ロービジョンケアから産業医との連携 A在職者訓練と事例紹介 B歩行訓練と通勤の安全…というプログラムを組み立て、一定の見通しがついた。あとは、本人の頑張りと職場の理解に期待し、我々としては、本人の揺れる心を支え続けるだけである。

今回の相談においても、私は仕事を続けていく上で、産業医の影響力の大きさを実感した。私は、産業医は働く労働者の味方であると信じている。それにしても、目が見えなくなったということを周囲に理解してもらうのはなかなか難しいものである。そのためにも、目は見えなくても仕事はできること、視覚障害者用のパソコン(音声ソフトなど)を用いた職業訓練が行われていること、そのようにして実際に働いている多くの事例があることを、産業医をはじめ広く関係者に繰り返し知らせていくことがいかに大切か、改めて痛感している。

その2:ロービジョンケアの診療報酬化実現に思う

障害者雇用納付金制度に基づく助成金に、「健康相談医師の委嘱助成金」というものがあるのをご存知だろうか。この助成金は、障害者介助等助成金の中の一つであるが、支給対象となる障害者の健康管理・雇用継続のために必要な医師を委嘱するときに活用できる。視覚障害に関しては、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、緑内障などによる障害等級表に掲げる6級以上の視覚障害がある労働者(重度身体障害者は短時間労働者を含む)が対象となる。

多くの職場では、職域の産業医も含めて、目が見えない・見えづらくなった労働者に対しては、なかなか視覚リハビリテーション(ロービジョンケア)への理解が及ばず、対応に困っているのが実情であろう。その意味で、職域に視覚障害となった労働者がいて、その対応に困っている場合には、この制度を積極的に活用して欲しいと思うのであるが、視覚障害については未だ利用実績を聞いたことがない。それはしかし、ロービジョンケアのできる眼科医がまだまだ少ないことを考えると無理もない話である。

そのような中、平成24年度からようやくロービジョンケアに関する診療報酬化が実現したことは朗報である(関連記事別項参照)。これを受けて、今後、ロービジョンケアのできる眼科専門医が確実に増えていくことであろう。そうすれば、この制度も活かされていくのではないだろうか。その一方で、ロービジョンケアのできる眼科専門医に繋いでいく流れができれば、眼科専門医は産業医に情報提供書で必要な配慮事項を伝えることもできる。このような形で視覚障害者の雇用継続のための職場改善を図ることもできるのではないだろうか。そんなことを考えながら、私はこのロービジョンケアの診療報酬化が新たな眼科医療の起爆剤となりそうな予感に胸を躍らせ、今後のロービジョンケアの普及に期待して止まない。

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【情報コーナー(2件)】

理事 下堂薗 保(しもどうぞの たもつ)

1.「ロービジョンケア」診療報酬化決定について

待望の「ロービジョンケア」の診療報酬化が決定したことについて、報告します。

厚生労働大臣は、中央社会保険医療協議会(中医協)が2月10日に行った答申にもとづき「平成24年度診療報酬改定・平成24年4月1日実施」を決定したことを公表しました。この決定の中に日本ロービジョン学会が発足時から目標の一つとして提案し続けていた「ロービジョンケア」の診療報酬化が、晴れて認められることになりました。

診療報酬化実現に対しては、まず、日本眼科学会が中心となり、日本眼科医会、日本ロービジョン学会が共同して、数年前から厚生労働省に正式な手続きを経て提案した学会の積極的な行動にはじまります。

一方、視覚障害当事者側としては、私は日本ロービジョン学会とともに全国視覚障害者雇用促進連絡会(雇用連)にも所属していることもあって、雇用連内部において診療報酬化の実現の支援に関して協議し、広く視覚障害当事者が一体となって側面から支援することになりました。

支援を開始するにあたり、雇用連ではまず、不治の疾病に対する新しい眼科医療とされるこの「ロービジョンケア」を学ぶシンポジウムを開催し、従来、不治の疾病を有する患者は「治療法がないことの告知」にとどまっている医療にむなしい思いをし続けている現実があること、一方「ロービジョンケア」は、見えなくても「保有視機能の活用、音声パソコン、周辺補助機器の活用等」により働き続けられる助言を行ってもらえること、生きがいを失いかけている患者に対して希望を抱かせる新しい医療であること、そして、社会生活の改善に大いに役立つ有用な医療であること等々の認識を共有しました。

このような経緯を経て「ロービジョンケア」の重要性をいち早く呼びかけた「日本ロービジョン学会」の提案に賛同し、視覚障害当事者も自らのこととして側面から支援してきた案件でしたが、このたびの行政の英断による決定は、不治の疾病を有する視覚障害者のQOL(生活の質)の向上に大きく寄与するだろうことを支援に加わった一員として心から高く評価すると同時に、今後の拡充を期待している一人であります。

さて、「ロービジョンケア」という言葉は、徐々に拡がりつつあるように感じていますが、まだ十分に市民権を得たとは言いがたいとも思えるので、シンポジウム等で知りえた情報を視覚障害当事者の立場からとりまとめて概要をご紹介します。

Q:「ロービジョンケア」ってどんなこと?
A:医師は、第一義的には疾病を治してくれる存在だとだれもが思っていると思います。ところが、不治の眼疾病を有する患者は、ただ「経過観察」と思われる体験をしてきました。医学は日進月歩していると言われていますが、数え切れないほどあると言われる不治の眼疾病に対しては、まだまだ無力な状態にあると言えます。 この現状について、医師は治療法がないことを理由に、不治の疾病に苦悩する患者をただ黙認しているだけでいいのだろうか?QOL(生活の質)の向上を図る手伝いをする責務があるのではないかとの考えのもと、欧米で生まれたのが「ロービジョンケア」という新しい医療行為だと言われています。

Q:「ロービジョンケア」の目的は何ですか?
A:発達・成長期にある小児に必要な視覚ハビリテーション、あるいは主に成人の中途視覚障害に対応するリハビリテーションを目的としているとされています。

Q:どんな効果が期待されているのですか?
A:「ロービジョンケア」を行う眼科医は、保有視機能の有効活用、心理的ケア、継続就労等々に関する助言を行い、結果的に不治の眼疾病をかかえ、医療から見放されていた患者のうつ的症状の未然防止、視覚障害者のQOLの向上等に寄与する効果が期待されているとされています。

Q:診療は、どのようなことをするのですか?
A:「全体がぼやけてかすむ」「真ん中が見えにくい」「視野が狭い」「まぶしくて見えにくい」など、さまざまな症状の訴えは、患者同士よく交わされる表現です。また、そのような過程を経て、全盲状態になるケースも少なくないと聞きます。
この機能劣化の症状に応じて、残された視機能を最大限活用する方法を助言・指導するとされています。いわゆる、視機能のリハビリとも言われているとのことです。
一方、全盲状態になった者に対しては、日常生活訓練のこと、見えなくても仕事はできること、その他スポーツ等々、あらゆる可能性について助言を行うとされています。

Q:具体的にはどうするのですか?
A:弱視状態にある者に対しては、より見える部位を見つけてやり、その部位の有効な使い方、その訓練方法の助言、補助用具、器具などを紹介して、心理的なケア、当事者団体などの紹介を行うとされています。
全盲状態にある者に対しては、見えなくても働いている事例の紹介、働ける可能性の助言、単独歩行、音声パソコン等の存在、それらの訓練施設、当事者団体などの紹介を行うとされています。

Q:そんな眼科は、どこにあるのですか?
A:すでに一部「ロービジョンケア」を掲げた眼科はあると思いますが、この公表された診療報酬化にもとづく眼科については、4月1日以後を待たなければならないと思われますので、具体的には、個々の眼科で「ロービジョンケア」を受診できるか尋ねることが肝要かと思われます。
なお、手がかりを得る方法としては、日本ロービジョン学会等関連学会のホームページにアクセスしてみる方法もあるかと思います。

2.平成24年度から変わる国家公務員採用試験区分の変更について

人事院は、平成24年度からの国家公務員採用試験に際し、従来の一種、二種試験などを廃止し、総合職試験、一般職試験などに再編する区分の見直しを行いました。これに伴い、点字試験の実施区分についても改められることになったので、その概要をお知らせします。

現在点字試験は、一種、二種試験の行政区分で実施されていますが、新たな採用試験においては、総合職試験(大卒程度)、法律区分と一般職試験(大卒程度)、行政区分で実施されるようになります。

点字での受験を希望する場合は、申し込み時に、申込書に明記するとともに、障害程度を証明する書類を提出し、受付期間中に申し込み先の人事院地方事務局、地方事務所に申し出る必要があります。

インターネットによる申し込み期間は、総合職試験(大卒程度)が、平成24年4月2日(月)から9日(月)、一般職試験(大卒程度)が4月10日(火)から19日(木)となります。
詳細についての問い合わせは、人事院人材局企画課(03-3581-5311 内線2311)まで。

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【お知らせ】

◆ 会費の納入について

春暖の候、皆様方におかれましては、日々ご健勝のこととお慶び申し上げます。また、日頃は法人の運営にご理解ご協力を賜り心から御礼申し上げます。
さて、NPO法人タートルは、ご案内のとおり皆様方の会費を中心に、温かいご寄付、助成金等により運営しております。
会費の納入方法につきましては、毎年5月に会員の氏名、住所、金額等を記載した郵便振込用紙を郵送させていただいております。また、その後、何度か未納の方には郵便やメールで催促もさせていただいておりますが、平成23年度も納入状況が極めて厳しい状況にあります。
つきましては、いろいろなご事情を推察するところでもありますが、平成24年度も5月中旬に会費納入のご案内を送付させていただく予定にしております。その節は、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。

≪会費等振込先≫
ゆうちょ銀行
記号番号:00150-2-595127
加入者名:特定非営利活動法人タートル
年会費 :正会員 5,000円
賛助会員 1口5,000円

◆ 情報誌「タートル」の購読について

情報誌「タートル」は、墨字(印刷物)・DAISY(デジタル録音図書CD)・カセットテープ・メール配信の4種類の中から、会員の皆様のご希望によりお届けしています。
墨字とメール配信はタートル事務局から、DAISYとカセットテープは「東京YWCA音訳ボランティアグループ(お茶の水)」のご厚意により作成していただき皆様に送付しております。
つきましては送料等の経費を節約するためにも、パソコンのメールアドレスをお持ちの方は、できるだけメール配信で購読していただけますよう、ご協力をお願いいたします。
情報誌の購読媒体の変更等につきましては、タートル事務局まで電話またはメールでお申し込みください。次号の「情報誌タートル」からお届けできるように手配させていただきます。

◆ 就労相談

タートルでは次のような就労相談事業を無料で行っていますので、どうぞ、お気軽にご相談ください。また、お知り合いの方で、悩んでおられる方がおられましたら、教えてあげて頂ければ幸甚です。

連絡先は、専用電話:03-3351-3208
相談専用メール:m#ail@turtle.gr.jpです。  (SPAM対策のため2文字目に # を入れて記載しています。お手数ですが、上記アドレスから # を除いてご送信ください。)

(1) 通常相談会:随時、希望に応じて相談会を開催しております。電話、メール等でお受けしております。

(2) ロービジョン相談会:通常相談の中から特に就労継続のロービジョンケアが必要な人を対象に、眼科医の協力を得ながら実施しています。

(3) 地方相談会:必要があれば地方役員と連携し、地方での相談会も検討させて頂きます。

◆ 今後の主な予定等について

《平成24年度 通常総会》

 6月16日(土曜)に決まりました。
お忙しいとは存じますが、宜しくご出席の程お願いいたします。
案内につきましては、5月中旬を目途に準備中です。(参加または委任につきまして、情報誌を墨字・CD・テープで購読されている方には、返信用はがきを同封、メールで購読されている方には、メールで返信して頂くよう、考えているところです)

《情報誌発行》

第19号を5月中旬に発刊を予定しております。総会の案内及び総会資料が中心になろうかと存じます。

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【編集後記】

この情報誌第18号は、3月20日ごろに発刊予定で作業を進めておりましたが、「ロービジョンケアの診療報酬化」について、この情報誌で、会員の皆様や関係者の方にお伝えしたいと言うことで、厚生労働省の公表を待って、の発刊となりました。

ロービジョンケアの保険適用は、我々視覚障害者の悲願でしたから・・・。この第18号で、皆様に、お知らせできてよかったなと思っているところです。

情報誌第17号につきましては、川口氏の講演のタイトルを間違えて発刊してしまい、再発刊させていただきました。川口様はもとより、会員の皆様に、たいへんご迷惑をおかけいたしました。紙面をお借りして、お詫び申し上げます。

(長岡 保)

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