ロービジョンの工夫:見えにくくなった時の補助具の選び方
個人差はありますが、少しでも視力が残っていれば、それを最大限に活かすために補助具の利用や工夫によって見え方が楽になったり、仕事の効率が上がったりすることが考えられます。
この記事では主な補助具や工夫について説明しています。
主な補助具
1.遮光メガネ
特定の波長の光のみを遮断して、まぶしさを軽減するために開発された医療用メガネです。
眼科に見本があればそこで試すことができ、大手のメガネ店で自分が見やすいものを選ぶこともできます。
一定の要件を満たせば、補装具として自治体から助成を受けられますので、居住地市区町村の福祉課または福祉事務所で相談されることをお勧めします。
室内用(PC作業等の業務用)と室外用の2種類を使い分けると効果的な場合があります(この2種類に対して助成を認める自治体もあるようです)。
<遮光メガネの例>
写真提供:東海光学株式会社
2.タイポスコープ
光を反射しない黒い紙を切り抜いたプレートで、活字を読みやすくするものです。牛乳パックのような固い紙に黒い紙を貼り、自分が仕事で読んだり書いたりする書類の文字の大きさや行の幅・長さ等に合わせてくり抜いて作ります。
3.拡大読書器・ルーペ
対象物を拡大して見やすく(書きやすく)するもので、その人に適合する倍率のものを選定することが必要です。拡大読書器を職場で導入してもらう際、雇用主に対する助成金や無料の貸し出し制度の利用が可能です。
詳細は下記のページを参照して下さい。
視覚障害者の雇用のためのICT環境整備に関する助成制度・支援制度
個人で購入する場合も一定の要件を満たせば、日常生活用具としての助成を受けられますので、居住地市区町村の福祉課または福祉事務所で相談されることをお勧めします。
<拡大読書器の例>
写真提供:株式会社システムギアビジョン
<ルーペの例>
写真提供:株式会社エッシェンバッハ光学ジャパン
4.単眼鏡
ロービジョンの人が遠くの物を見る道具で望遠鏡のようにして使います。
その人の視力や用途によって適切な倍率の物を選びましょう。
<単眼鏡の例>
写真提供:株式会社エッシェンバッハ光学ジャパン
5.マイナスルーペ
携帯用の凹面レンズで、対象物が小さく見えますが視野は拡がります。中心部分の視野が残っている人は、まず全体を把握するのに役立ちます。
タブレット端末・スマートフォン
iPadやiPhone等のタブレット端末やスマートフォンもロービジョンに役立つ機能が数多くあります。それ自体が持つ文字の拡大や白黒反転機能をはじめ、カメラ機能を使えば、拡大読書器やマイナスルーペ等と同じ役割を果たしてくれます。また、最近は視覚障害者向けのさまざまなアプリも増えてきており、タブレット端末やスマートフォンは今や視覚障害者の必須アイテムになりつつあります。
ロービジョンの人の間では、画面が大きく画面を拡大した時に見やすいiPadが多く利用されています。
タブレット端末やスマートフォンのアクセシビリティ機能については、下記の記事も参照して下さい。
スマートフォン・タブレットのアクセシビリティ
その他の工夫
WindowsなどOS自体に標準装備されている文字の拡大機能や白黒反転もしくはコントラストを上げる機能等を活用してPCを使っている人も多いようです。
あるロービジョンの人はこれらの機能だけで随分助かったという人もいました。
Windows標準のアクセシビリティ機能については下記の記事も参考にしてください。
ナレーター、拡大鏡など -Windows標準のアクセシビリティ機能
視野の中で自分の見える箇所を見つけ、そこを使って見るように上手に眼球を動かすことも効果的です。
すでに自分なりに気づかぬうちにその技術を身に付けている人も多いと思いますが、そのための訓練方法もあります(偏心固視訓練)。
自分に合った補助具や工夫を見つけよう
このように自分に合った補助具を使ったり、さまざまな工夫を行うことで、見え方が楽になリ、仕事の効率が上がることがあります。
眼科のロービジョン外来や支援団体の専門家に相談して自分に合った補助具や工夫を見つけましょう。