2022年7月3日【第7回ICTサロン開催報告】覚障害者の職域環境向上を目指して・・シリーズ第2弾!
『ジョブコーチ支援経験者』が語る就労現場での支援の実際
2022年7月3日、タートルICTサポートプロジェクト主催の第7回ICTサロンをZoomによるオンラインで開催しました。当日は日曜日の午前中にもかかわらず、百数十名の方にご参加をいただき、とても盛況なイベントとなりました。
今回のテーマは『ジョブコーチ支援経験者』が語る就労現場での支援の実際。2022年3月に開催した第5回ICTサロンでは、ジョブコーチの資格を持ち、実際に視覚障害者を支援していただいている3人の先生方のお話を伺いましたが、今回はジョブコーチの支援を受けた経験のある4人の当事者の方々をパネリストにお迎えして、ジョブコーチの支援を受けるに至った経緯や支援の内容、支援を受けた後の職場の変化など、具体的な内容を数多くお聞きすることができました。
開催概要
開催日時
2022年7月3日(日曜日) 午前10:00~12:00
(Zoomによるオンラインウェビナー形式)
パネリスト
- 菊地美由紀さん
社会福祉法人 東京光の家にて就労・相談支援員として勤務
- 菅沼晶子さん
医療法人社団協友会 介護老人保健施設 ケアセンター八潮 - 杉田淳さん
NHK報道局選挙プロジェクト - 手嶋修一さん
一般企業勤務
開催内容
当日は重田理事長の挨拶の後、パネリストの方の自己紹介があり、その後それぞれの方がどのようにジョブコーチ制度を活用して支援を受け、ご自身の業務につなげているかについて、パネルディスカッションの形でお話を伺いました。
まず、ジョブコーチの支援を受けるに至った経緯については、職場のシステムが変わって使えなくなりご自身で導入に動かれた方、支援団体から勧められたり、会社から勧められた方など、さまざまなケースがあり、パネリストの方それぞれの状況を具体的にお話しいただきました。また、なぜジョブコーチ制度を利用する必要があるかを会社に理解してもらうためには、自分で何度も説明し、ジョブコーチの方にも事前に会社にコンタクトしていただいて説明していただいたり、職場にジョブコーチが出向くことに関しては、会社との間で守秘契約を結ぶことで理解を得るなど、ジョブコーチを利用するまでには、さまざまなご苦労があることもお話しいただきました。
具体的な支援内容としては、職場独自のシステムをスクリーンリーダーで使うための検証と解決策を見つけるための支援の他、業務に特化した作業をスクリーンリーダーで効率的に使うためのExcelマクロの活用などの具体策の提案と助言、OutlookやTeamsの使い方に関する助言など、それぞれの方の状況に合わせたさまざまな支援が行われているということがわかりました。
また、ジョブコーチ制度を活用してよかったことは、職場で一人で悩んでいた孤独から解放されたこと、とりわけ、安心して相談できるジョブコーチの存在はとても大きいとのお話がありました。また、ジョブコーチの方に職場に入っていただいたことをきっかけとして、職場内の視覚障害に対する理解が進み、職場での支援が受けやすくなったなどのお話がありました。
最後に、ジョブコーチ制度を利用するにあたっての地域間格差や公務員に対する制度の現状についてスタッフから説明がありました。
まとめ
今回のサロンでは、実際にジョブコーチの支援を受けた経験のある4人の視覚障害当事者の方々のお話を伺い、具体的な支援内容や利用にあたってのご苦労、そして利用してよかったことなどを伺うことが出来ました。お話の中でジョブコーチは、単にスクリーンリーダーの操作方法に対する支援だけでなく、視覚障害者が就労する上でのさまざまな課題を解決するため、それぞれの就労現場の状況に合わせて当事者だけでなく会社や職場にも解決策を提案するなど、就労継続につなげていくための具体的な支援が幅広く行われていることがわかりました。とりわけ、ジョブコーチに職場に来てもらうことで、職場内の視覚障害に関する認知度が上がり、職場内のナチュラルサポート(職場の人による継続的な支援)が進展したお話が印象に残りました。
今回のイベントが、今後ジョブコーチの利用を考えている当事者だけでなく、支援団体や障害者を雇用する企業・団体の方々など多くの方々の参考になれば幸いです。
お忙しい中パネリストをお引き受けいただいた方々、また、ご参加いただいた多くの皆様、ありがとうございました。
参考資料:視覚障害者の就労支援に関する用語集