[タートルロゴ] 認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 当事者目線で寄り添う視覚障害者の就労支援 −令和5年度の実績と課題− <スライド1> 1.活動の目的と経緯 背景: 近年、デジタル化の進展で視覚障害者の職域は広がっているが、     一般には知られておらず、厳しい就労環境にある! 活動の目的: 当事者団体の強みを生かして、就労に悩む視覚障害者や雇用主の相談に乗り、視覚障害者の就労拡大と定着に貢献する。その実現のため、眼科医、訓練・支援機関など関係各方面との連携を図る。 経緯: ・認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(以下、タートル)は、1995年の発足以来、就労支援に特化して活動している当事者団体。 ・所在地:東京都、スタッフ:約30 名、会員:約400 名  ※会員、スタッフは全国に広がっており全国規模で活動。 ・主な事業:就労相談、交流・研修、就労啓発・情報提供等 <スライド2> 2.タートル就労相談の流れ 就労支援活動の軸である就労相談の流れは、下記のとおりである。 1. 視覚障害当事者(家族などの縁者、関係者を含む)からの電話やメール、Webの相談フォームによる相談 2. 電話やメールでの対応(情報提供等)、必要に応じて資料の送付 3. スタッフによる個別相談(対面またはオンライン) 4. 日本眼科医会との連携による相談会(オンライン) 5. 支援機関、訓練施設などの紹介と同行訪問(必要に応じ) 6. 相談後のフォロー 7. 交流会などのイベントの案内(適宜) <スライド3> 3.令和5年度の就労相談実績 相談件数: 延べ665件 図1 手段別相談件数内訳 手段別相談件数別円グラフ ・電話:216件 ・メール(LINE含む):364件 ・面談:52件 ・オンライン(日本眼科医会との連携によるオンライン相談会(12回、23件)を含む ) :33件 相談者数: 209人 図2 相談者新規・継続内訳 相談者新規・継続円グラフ ・令和5年度に初めて相談してきた人 133人 64% ・前年度以前から相談してきた人 76人 36% <スライド4> 相談者の居住地:  関東甲信越が(67%を占めるが、全国から相談を受けている。 相談者の年齢:  40、50歳代が約半数だが、20、30歳代も含め幅広い年代から相談。 図3 相談者の居住地別内訳 相談者の居住地別円グラフ ・関東甲信越 140人 67% ・東海北陸 22人 11% ・中国 9人 4% ・九州・沖縄 9人 4% ・近畿 7人 3% ・北海道 5人 2% ・東北 4人 2% ・四国 2人 1% ・不明 11人 5% 図4 相談者の年齢別内訳 相談者の年齢別円グラフ ・70代以上:3人、1% ・60代:34人、16% ・50代:55人、26% ・40代:47人、22% ・30代:35人、17% ・20代:21人、10% ・19歳以下:3人、1% ・不明:11人、5% <スライド5> 4.相談内容別統計と事例 「就労継続・復職」が最も多く、相談者数(209人)の60%を占める。 「就労継続・復職」(60%)に続いて、「ロービジョンケア」(36%)、「新規就職・転職・再就職」(30%) 。 「ロービジョンケア」に関する相談は、紙の資料やPC 画面が見づらくなった、通勤で人とぶつかりやすくなったなど。 デジタル化の進展に伴い「ICT関連」(20%)が増加傾向。職場のICT環境に対応できる訓練機関を紹介するなど対応している。 「合理的配慮が得られない」(17%)、「不当な取り扱い・雇止め」(5%)など職場の対応に関する相談も少なくない。 「障害受容」が4%あるなど、近年、精神的不調を訴える相談も増加傾向。 表 1 相談内容(相談者数209人) 相談内容 件数 % 就労継続・復職 125 60% ロービジョンケア 75 36% 新規就職・転職・再就職 62 30% 職業訓練・自立訓練 60 29% 情報交換・交流 47 22% ICT関連 41 20% 合理的配慮が得られない 35 17% 身障者手帳 16 8% 職場の人間関係 15 7% 障害年金 13 6% 不当な取り扱い・雇止め 10 5% 障害受容 8 4% その他 76 36% 注: ・209 人からの相談内容(1人につき複数相談あり)    ・%は、相談者数209人に対する%。 <スライド6> 地域の医療、福祉、支援機関等と連携、職場の理解を得て、職業訓練、ジョブコーチなどの制度を活用し、復職・就労継続につなげている。 表2 最近の就労相談事例 事例@ タートルの助言で主治医と勤務先産業医とが連携、訓練・ジョブコーチ支援を受け復職 −首都圏事務職のAさん(50 代女性)− 視力の低下による疲労に体調悪化も重なり休職していた。タートルの助言を受けて、眼科主治医から勤務先に「音声によるパソコン操作の訓練を受けることで復職可能」との診療情報提供書を提示。勤務先産業医と人事担当が対応を協議し、復職したうえで「在職者訓練」を受講。その後,障害者職業センターによるジョブコーチ支援も受けて復職。 事例A 地元ロービジョン外来と訓練機関を紹介、地元歩行訓練士/視能訓練士の支援を受け復職 −東海圏 製造部門勤務のB さん(40 代男性)− 工場での作業ができなくなり退職も検討していた。 タートルの相談会で地元のロービジョン外来とオンラインで受講可能な都内職業訓練施設を紹介。ロービジョン外来の紹介で、地域の歩行訓練士/視能訓練士とつながり、障害者職業センターの支援も得て職場の理解を得た。その後、休職して職業訓練を受講し、事務職に配置転換しての復職が決まった。 事例B 産業医から相談,地元タートルスタッフと障害者職業センターが支援し、就労継続 −中部圏 作業職C さん(40 代男性)− 勤務先産業医からの相談を受け、タートルにて相談会を開催。地元のタートルスタッフより障害者職業センターに相談して対応。事務職への配置換えが決まり、必要な訓練を受講して就労継続。 <スライド7> 5.視覚障害者の就労における課題 1. 職場の理解不足と不十分な合理的配慮 視覚障害者の就労実態や支援制度が一般にはほとんど知られていないため、相談者の中には視力の低下で仕事を続けられないと悩んでいるケースも少なくない。 また雇用者もどう対応してよいかわからず、結果として十分な合理的配慮が行われていないケースが多い。タートルでは、職場に合理的配慮を求めるための文書作成マニュアルを作成して相談者に提供する等対応しているが、今後は一般への啓発活動も重要であると考えている。 2. 訓練・支援制度上の課題と地域偏在 相談者の約6割が「就労継続・復職」の相談(表1)参照)であり、在職で受けられる「在職者訓練」や「ジョブコーチ」の制度を活用している事例が多い。一方でこれらの制度の利用には地域差が大きく、公務員が対象外など制度面での課題も多い。今後、こうした課題解決のための取り組みが望まれる。 3. 職場のICT環境の課題への対応 職場環境のデジタル化に伴いICT関連の相談が増加傾向にある。タートルICTサポートプロジェクトが2020年12月に実施したアンケートでは回答者の84.6%が職場のICTで困っていると回答している。こうした課題は一朝一夕には解決しないが、タートルICTサポートプロジェクトの活動を通じて、今後も他団体や関連機関とも連携して解決策を模索していきたい。 <スライド8> 6.まとめ ・タートルは当事者団体として、発足以来30年にわたり、視覚障害者の就労支援を全国規模で展開している。 ・視覚障害者の就労支援には、地域の医療機関や訓練支援機関との連携が欠かせない。今後は、こうした関連機関との連携も強化し、当事者目線での就労支援を継続していきたいと考えている。 ■ 認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル)  電話: 03-3351-3208  メール: soudan@turtle.gr.jp  URL: https://www.turtle.gr.jp/ [タートルホームページQRコード] ■ タートル公式Lineアカウント URL: https://line.me/R/ti/p/@985ziykq?oat_content=url  [タートル公式LineアカウントトURLのQRコード] ■ タートルICTサポートプロジェクト   URL: https://www.turtle.gr.jp/ict  [タートルICTポータルサイトURLのQRコード] [タートルロゴ] 認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) https://www.turtle.gr.jp/ [タートルホームページQRコード]