目次

【巻頭言】 理事 熊懐 敬
【平成28年度通常総会報告】
【総会議案】
  『第1号議案 平成27年度事業報告』
  『第2・3号議案 平成27年度収支決算報告及び監査報告』
  『第4号議案 平成28年度事業計画(案)』
  『第5号議案 平成28年度収支予算(案)』
  『第6号議案 認定NPO法人の役員報酬規程の制定について』
【平成28年度総会記念講演】歩行訓練士 中村 透 氏
【職場で頑張っています】会員 中澤 悠江
【お知らせコーナー】
【編集後記】
奥付

【巻頭言】

『改正障害者雇用促進法施行で私達に求められること』

理事 熊懐 敬(くまだき けい)

障害者差別解消法(以下、差別解消法)や改正障害者雇用促進法(以下、雇用促進法)が4月に施行されて早くも半年が経過しようとしている。これらの法律の概要をおさらいし、その活用策を検討してみたい。

■ 先ず、この二つの法律はどう違うのか、どんな関係にあるのだろうか。

差別解消法は、社会生活に関わる一般的事項を規制する法律である。例えば、私達が飲食店で食事をする、コンビニやスーパーで買い物をするなど、いわば「お客さんに対する事業主(官公庁を含む)の義務」を定めた法律である。これに対し、雇用促進法は、私達が民間企業で働く場合の、「従業員に対する雇用主の義務」を定めた法律である。いずれも、障害者の差別禁止や合理的配慮について定めているが、「合理的配慮の提供義務」は、差別解消法では、民間の事業主については努力義務であるが、雇用促進法では、強制力を持つ義務規定となっているので混同しないように注意を要する。また、雇用促進法における合理的配慮の提供義務の部分は、民間企業だけでなく、地方公務員にも適用される。

■ 雇用促進法における差別の禁止と合理的配慮の提供義務とは~黙っていては何も変わらない!~

募集・採用段階から配置、異動、賃金等の労働条件、教育訓練、福利厚生、退職に至るまで、障害を理由とする差別は禁止されるし、障害者が応募し易い、働き易い配慮をすることも義務化された。募集・採用段階では、採用試験等で配慮して欲しい場合には障害者本人からの申し出を求めている。入社後は本人からの申し出は求めていないが、相談体制の整備が求められている。要は、私達当事者は、困ったことや、改善して欲しい事項等について、雇用主に対して、どんどん発言し要望の趣旨を伝え、相談、折衝して行くことが求められている。黙っていては何も変わらないことを肝に銘じておく必要がある。

なお、要望した施策の実現が、雇用主にとって「過重な負担」となる場合にはその実施を免れることとされているが、その場合にも、雇用主には、どうして過重な負担となるかの説明責任があるし、過重な負担にならない程度の、別な施策を検討することが求められている。

■ その後の動向~実務指針、事例集等を覗いてみよう~

4月以降、すぐさま環境が改善されたという声はあまり聞こえて来ない。むしろ、相変わらずで苦労しているとの声が多い。粘り強く発言し、要望していくしかない。30年前に施行された男女雇用機会均等法でさえ、真の意味での徹底、浸透は未だ道半ばと言われている。

なお、雇用促進法施行に合わせて、厚労省から、実務指針をはじめ、Q&Aや事例集が公表されている。以下のURLで、それらが一括して紹介されているので参考にして欲しい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html#main

最新の事例集には、これまで手薄だった、中途視覚障害者の事例もいくつか掲載されている。それらを紹介すると以下の通りである(一部表現を圧縮)。

・中途で視力が低下し休職中の従業員に対し、主治医→産業医から視覚リハビリテーションの必要性の助言があり、職業訓練や歩行訓練を行い、併せてジョブコーチによる支援や就労支援機器を整備することで、雇用継続を図った事例。
・視機能が悪化し、職場での就労が困難となった従業員に対して、職業訓練や歩行訓練を研修の一環として認めることで、新たなスキルが習得できたため、仕事の範囲が拡大した事例。
・営業事務に従事していた従業員が、視神経が萎縮し、中途で視覚障害者となったために、主治医、産業医及び地域障害者職業センターの助言を基に、復職にあたって必要な職業訓練を受講させ、訓練成果が活かせるように総務事務へ配置転換を行った事例。

厚労省では、事例集については、随時バージョンアップに努めているとのこと、何らかの配慮をしてもらいながら就労継続しておられる方はぜひ声を挙げて欲しい。一つの事例が多くの仲間の参考になるはずである。

【平成28年度通常総会報告】

平成28年6月4日、(社福)日本盲人職能開発センターに於いて、平成28年度通常総会が開催されました。また、その模様は、スカイプにて大阪と福岡の会場に同時中継されました。

会員数243名中、出席した会員数は160名(委任状含む)
議長は神田 信氏

◎審議事項

第1号議案  平成27年度事業報告
第2号議案  平成27年度収支決算報告
第3号議案  平成27年度監査報告
第4号議案  平成28年度事業計画
第5号議案  平成28年度収支予算
第6号議案  認定NPO法人 役員報酬規程の制定について
※詳細は【総会議案】をご参照ください。

◎議事の概要

松坂理事長より一括して平成27年度の事業報告がありました。 認定NPO法人を取得したことによる法人運営や社会に対する積極的なアピールについて、活発な質疑と提案がありました。 認定NPO法人のメリット、デメリットについて、専門家を招いて解説してもらう機会を予定しています。 なおタートルの活動内容を紹介した新しいパンフレットを製作したので、外部へのアピールに際しては積極的に活用していただきたい。

監査報告が伊吾田伸也監事と下堂薗保監事よりあり、事業について、いくつかの指摘がありました。

①認定NPO法人の認定の維持には、年間100人以上の寄付・賛助会員が必要である。会員全員でこの数字をクリアできるよう活動していっていただきたい。
②出前セミナーが実施できなかったことについて、その原因を検証し、企画内容を見直す必要がある。
③タートルサロンの実施は成功といってよいと思うが、マンネリ化に陥ることのないように運営方法の工夫を考えていっていただきたい。

平成28年度事業計画は各事業担当理事より提案内容の説明があり、活発な質疑がなされました。   行政への働きかけや職業センターや産業医との連携、職場でのカミングアウトなどについて、意見交換がされました。 また、交流会やサロン、セミナーについても意見や提案がありました。 松坂理事長より認定NPO認可に伴う役員報酬規程の制定について提案説明がありました。

以上、大まかな報告ではありますが、活発な審議がなされ、全ての議案が提案通り承認されたことを報告いたします。

【総会議案】

『第1号議案 平成27年度事業報告』

■活動総括     理事長 松坂 治男

昨年度は創立20周年の節目であり、税制優遇のある「認定NPO法人」の認可を5月19日東京都より受けた。そして、20周年記念誌「中途失明Ⅲ ~未来を信じて~」を発刊し、6月20日に出席者118名による祝賀パーティーを開催した。役員の世代交代もあり、若手5名が加わって新たな一歩を踏み出した。

基本的な事業である1.相談、2.交流会、3.情報提供、4.セミナー・啓発事業は、ほぼ計画どおりに実施した。

1.相談事業では、電話相談窓口担当の交代があった。また、ロービジョン就労相談会のメンバーに若手の理事も加わった。
2.交流会事業では毎月1回「タートルサロン」を実施し、仲間の交流と情報交換、そして、個別相談会も並行して実施した。
3.情報事業では、認定NPO法人の認可を受けたこともあり、寄付を受けやすいようにホームページの全面的な見直しを行った。また、大学へのアンケートや調査報告に積極的に協力した。情報誌を計画どおり4回発刊した。
4.セミナー・啓発事業は、出前講座が実施までには至らなかった。

その他、他団体や関連施設等との連携と協力に務め、タートルの事業の啓発、情報交換、意見交換を行ってきた。 日本盲人職能開発センター製作のDVD「視覚障害者の職場復帰を目指して」の制作に出演した。 また、昨年度も日本盲人職能開発センターより施設利用料の減免、及びタートルの「GUIDE BOOK」2,000冊の印刷寄贈を受けた。資金不足の折、たいへんありがたい支援に感謝している。

■相談事業     副理事長 工藤 正一・理事 熊懐 敬

1.相談件数

1)平成27年4月から平成28年3月までの相談の総合計は、延べ回数379回、実人数では、199名であった。その内訳は、
 ①ロービジョン就労個別相談 38回/実人数35名(13日実施)
 ②面談による個別相談 6回/6名(6回実施)
 ③各地区代表が受けた相談 55回/47名
 ④電話による相談 179回/69名(受付用電話で受けたもの)
 ⑤メールによる相談 101回/34名(受付用メールで受けたもの)
(注)各数値は、「総回数/実人数」で表記した。実人数の算出においては、電話もしくはメールで相談が入り、個別相談に発展したものは、個別相談に計上し、電話・メールの実人数から除外した。

2.結果の概要

1)相談の方法は昨年と同様である。タートル交流会やタートルサロン(平成25年4月開始)と連携を図り、早期に支援を開始した。相談の多くは電話やメールであり、眼科医や福祉施設からの紹介も多かった。また、眼科医等の専門家の協力を得て行うロービジョン就労相談(平成21年度開始)も定着した。
2)電話からの相談は、第一義的には相談員が在宅で受け、その結果を相談スタッフで共有し、各スタッフが適宜その専門に応じて対応した。一方、受付用メールによる相談には、各自がその得意分野に応じて対応した。何れの場合も、できるだけ交流会やサロンに導き、仲間との交流を図った。
3)全国各地からの相談は、各地区担当理事と連携して対応した。関西地区と九州地区をはじめ、信越、中部、中国地区の相談も逓増している。
参考:関西21名、九州8名、信越8名、中部7名、中国3名
4)相談内容は労働、年金、医療、福祉など多岐にわたった。労働に関しては、『GUIDE BOOK ~視覚障害者の「働く」を支える人々のために~』に加え、20周年記念誌『中途失明Ⅲ~未来を信じて~』等を活用した。
5)眼科医や産業医をはじめ、ハローワークや地域障害者職業センター等の支援機関との連携を推進した。とくに、継続就労・再就職のためには、職業訓練がカギとなるため、これらの訓練の実施機関と連携すると共に、障害の態様や本人の居住地、勤務先(公務員か民間か)等に応じ、国立職業リハビリテーションセンター等の実施する職業訓練をはじめ、「障害の態様に応じた多様な委託訓練」や、就労移行支援事業、地元の支援サービス等を活用した。しかし、公務員の場合、雇用保険や雇用納付金を財源とする事業の対象外とされ、必要な訓練を受けることができないという問題があった。
6)訓練・復職をより円滑にし、実りあるものにするため、雇用管理サポート、ジョブコーチ、就労支援機器貸出し制度等を活用した(ただし、これらは公務員は対象外)。
7)職場復帰や雇用継続については、産業医の意見や人事労務担当者の判断が重要となるため、眼科主治医から産業医等に情報提供するよう助言した。
8)このような相談の成果を関連学会等を通じて発表し、意見交換を図り、タートルの存在と役割をアピールした。具体的には、
①第24回視覚障害リハビリテーション研究発表大会(6月27・28日 福島市)
 ②第7回医療が関わる視覚障害者就労支援セミナー(10月25日 名古屋国際会議場)
 ③第16回日本ロービジョン学会学術総会(11月21・22日 一橋講堂)
9)相談が蓄積されるに伴い、フォローアップしなければならない事例も増え、経年的に支援を行っているものが少なくない。そのような中で、相談の結果をみると、交流会やサロンに参加し、お互い励まし合い、困難を乗り越え働き続けている。そのこと自体が成果であるともいえる。換言すれば、在職中の早期の相談こそが、働き続けられることに通じ、眼科医療におけるロービジョンリハビリテーションの重要性とも通じる。

3.今年度の相談の特徴

1)民間企業で、在職者訓練やジョブコーチ支援等を活用して職場復帰する好事例が見られた。その反面、それらの制度の利用を認めてもらえないことが相談のきっかけとなったものが少なくなかったことは、合理的配慮の観点から、今後の重要な課題として受け止めて置く必要がある。働きながら受けられる在職者訓練は、雇用主に義務化された合理的配慮の面からも、そのニーズはますます高まるものと思われる。
2)難病の発覚や視力の状況を会社に報告すべきか否か、また、報告するとすれば、どのようにしたらよいかという相談が目立った。
3)平成28年4月施行の改正障害者雇用促進法の趣旨については、折に触れて言及して来たが、年度終盤(法施行直前)に受けた相談で、駆け込み的ともいえる不当な案件が発生した事例が認められ、中には、紛争に発展した事例が複数あったのは残念である。建設的な話し合いが行われるためには、視覚障害の障害特性等に精通し、支援の経験のある専門家の助言を得ることが重要であり、その結果、早期に視覚障害者の主張が認められることが、雇用主や社会の理解促進の契機になる。
4)各種助成金制度について、財源論ないし制度の枠組みによる制限のため、同じ障害がありながら公務員は対象外とされているため、ジョブコーチ支援その他、各種支援が受けられないで困っている事例が多かったため、合理的配慮の観点からも、民間と同じく支援を受けられるようにすることを切望する。

4.今後に向けて

1)上にも述べた、改正障害者雇用促進法の施行により、平成28年度から、事業主に対して、障害者に対する差別の禁止、合理的配慮の提供の義務が課せられた。関係者の間で大きな関心を呼んでいることに鑑み、相談を通じて把握できた合理的配慮事実については、次号以降のタートル情報誌で取り上げていきたい。
2)相談の結果の顛末(職場復帰、再就職、新規就職、進学等)の内訳の数字については、集計がまとまり次第、次号以降のタートル情報誌上で報告することとし、その際、本人の体験も投稿していただくよう働きかけていきたい。

■交流会事業  理事 重田 雅俊・湯川 仁康・藤田 善久・神田 信・市川 浩明

1.交流会

1)実施日時・場所
  実施日:9月・11月・3月の第3土曜日
  実施時間:13時30分~15時15分
  実施場所:
  平成27年 9月 東京会場 日本盲人職能開発センター 地下研修室
          大阪会場 日本ライトハウス情報文化センター
          福岡会場 福岡県立 ももち文化センター 2階 会議室4
  平成27年11月 東京会場 日本盲人職能開発センター 地下研修室
          大阪会場 日本ライトハウス情報文化センター
          福岡会場 深見ビル 1階 F会議室
  平成28年 3月 東京会場 日本盲人職能開発センター 地下研修室
          京都会場 オフィスゴコマチ(京都市下京区)
          熊本会場 医療法人出田会 出田眼科病院 多目的ルーム
2)実施内容
  講師を招いての1時間の講演と、30分の質疑応答
  9月19日 交流会 講師 小林 千恵氏
  テーマ 「ピンチを利用し、全盲が一般の人材会社でトップファイブの営業マンに!」
       ~聞けばだれでも元気が出る、常識を変えた究極のプラス思考~
  参加者数 121名 (内訳 東京 78名、大阪 29名、福岡 14名)
  11月21日 交流会 講師 新井 愛一郎氏
  テーマ 「ポツンと孤立する視覚障害者をなくしたい」
  参加者数 92名 (内訳 東京 64名、大阪 22名、福岡 6名)
  3月19日 交流会 講師 三宅 琢氏
  テーマ 「目の不自由な方への情報ケアとiPad、iPhone活用」
  参加者数 115名 (内訳 東京 75名、京都 13名、熊本 27名)
3)事業効果
a. 元気に働く姿、仲間に出会う大切さ、最新の情報機器の活用について会員等に提供できた。
b. 毎回多数の参加者があり、タートルの看板としての役割を果たすことができた。
c. 交流会の企画運営を引き継げるスタッフを養成することができた。
d. 福岡市以外で開催したことにより、情報交換の輪が広がったといえる。
4)課題等
a. 専門家・当事者・タートル関係者を講演の柱にし、就労に関する内容でタートル独自の講師を準備する。
b. スカイプ対策を引き続き確実に実施する。
c. 会場を増やす場合に備えて、エコーキャンセラーマイクなどの購入を検討する。
d. 交流班を確実に引き継げるスタッフを増やす。
e. タートルの活動を九州地区で広げるためにも、福岡市以外で開催することは有効的なのだが、開催に至るまでの事前準備と、諸経費が必要となる。

2.タートルサロン

1)実施日時・場所
  実施日:毎月第3土曜日 年間12回実施
  実施時間:独自で実施する場合は、14時00分~16時00分
  総会や交流会の後に実施する場合は、15時30分~16時30分(ジョイント会場も同様)
  実施場所:日本盲人職能開発センター 地下研修室
  ※ジョイント会場の実施場所は、1.交流会1)実施日時・場所を参照。
2)実施内容
  相談活動と会員間の交流
  参加者数 467名(東京会場 通年)
  4月21名、5月30名、6月78名、7月22名、8月16名、9月78名、10月24名、11月64名、12月18名、1月17名、2月24名、3月75名
a. 定例化で毎回多数の参加があり、多様な話題が提供された。
b. 相談窓口から紹介があり、毎回初めての相談者も参加していた。
c. 班分けはできなかったが、初めての参加者には悩みを発言してもらう等の配慮をした。
3)事業効果
a. 毎月の定例化により参加者も多く、入会に繋がるケースもみられた。
b. 重要な相談活動の場であり、タートルと相談者をつなぐ窓口となっている。
c. 会員間の主体的な交流の場であり、情報入手の場ともなっている。
d. 相談事業との連携で、参加者情報の伝達や毎回の記録がきちんとできるようになった。
4)課題等
a. 毎回の参加者数が多いので、簡単な自己紹介の後にグループ分けを試行する。
b. 記録の形式を統一し誰でも記録できるようにする。
c. 相談者の連絡先や状況などの個人情報の記録については、相談班に担当してもらう。
d. 相談対応スタッフのスキルアップを図るため、障害の理解・各種訓練・年金・休職などの基礎知識について毎回20分程度の学習会を試行したい。

■情報提供事業  

Ⅰ IT事業     理事長 松坂 治男

1.Webの管理(外部委託)
・行事の案内:5回、「情報誌タートル」:4回、お知らせ等を掲載した。
・認定NPO法人の取得に伴い、ホームページの全面見直しを進めた。
新規ページ:4ページ(入会・寄付をWebから直接申し込むための入力フォームの作成)
内容の修正と見直し:26ページ
2.メーリングリストの管理(外部委託)
タートルML・会員専用ML・役員連絡用ML
各種講座の開催情報等、活発な意見交換が行われた。
3.交流会開催時のスカイプを利用した各会場間の通信の安定を図った。
・ほぼ順調に接続ができた。
・スカイプを操作できる人材を複数名確保する必要がある。
4.大学・企業の視覚障害者対象のアンケート調査への協力
① 筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 教授 坂尻 正次
視覚障害者におけるタッチスクリーン端末の利用状況調査
目標件数:200件、回答件数:215件
② 筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 教授 大西 淳児
分析報告書:視覚障害者の大学への修学状況の現状分析,視覚障害者就労状況の現状

Ⅱ 情報誌作成事業     理事 市川 宏明

長岡 保(31~33号)/市川 宏明(34号)が担当した。
1.実施内容
・第31号から34号まで、年4回の情報誌を計画通り発刊。
2.特記事項
・担当の変更が滞り、業務の引継ぎに苦慮した。
・故篠島 永一 氏(前相談役)の急逝を悼み、「追悼特集号」を発刊した。
3.問題点
・原稿の印刷入稿後に修正箇所があり、テキストデータの一部修正と誌面文字の一部削除で急遽対応した。
・巻頭言の予定原稿が間に合わず、企画内容を変更して対応した。

■セミナー・啓発事業     副理事長 新井 愛一郎・理事 安達 文洋

Ⅰ 出前セミナー

セミナーと啓発の両事業で、出前セミナー開催に向けて問題意識を強く持っている方にメンバーに入ってもらい、出前セミナーの内容について数回検討会を開催した。
企業のそれぞれの問題意識に応じて、セミナーの内容を柔軟に設定していくことを考え、「基礎コース、ミドルコース、ハイコース」という3つのコース設定を立案した。それぞれのコースのなかでも企業の具体的な関心事を一緒に考えるような内容の検討をしてきた。そして、出前セミナー開催についてHPでの呼びかけを行うことを計画した。しかし、残念ながら、実施までに至らなかった。
検討会の位置付け、メンバーの選抜、具体的な実施計画を理事会で確認しながら進めていくことが大切である。

Ⅱ 啓発事業

1.若い力の結集により新しいタートルのパンフレットの作成が進んだ。タートルの新しい流れ・息吹を感じる内容と、作成の過程は、これからの大きなステップになった。
2.「中途失明Ⅲ」の発刊で、53人の働く事例を提起できた。それは大変に意味あることであった。しかし紙面の関係で、それぞれの具体的な仕事の中身まで入り込むことはできていない。 「Guide Book」でも就労の具体的な事例についての解説を試みたが、今後の本格的な分析と、それに基づいた提案が課題となってきた。実際の分析作業は、今後の課題となった。

■助成金申請     理事 湯川 仁康

助成金の情報収集に努め、タートルの事業に合致すると思われる1件の申請を行ったが不採択となった。

○ファイザー株式会社
助成事業名:ファイザープログラム~心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援~
申請事業:中途視覚障害者の就労相談・支援事業
申請額:222万円
結果:不採択(予備選考は通過)

■ボランティア関係     理事 市川 宏明

1.ボランティアの現況(東京)
・交流会や総会等タートルの行事に協力して頂ける方は9名、ただし、現在3名の方は活動が難しい状況で、実質6名。うち2名は賛助会員。
・配置は総会及び交流会(年4回)で、基本3~4名を1回の行事に配置。 ・ボランティアの募集は情報誌/WEB/知人などへの呼びかけで常時している。
・地方会場では固定したボランティアの支援が得られず、その都度協力してくれる方を探し、担当理事の工夫と奮闘に頼って実施している。
2.特記事項
・本年度は、新規メンバーとして4名が参加した。(内3名は登録メンバーとして活動中)
・会員が所属している企業の支援で、社員の方6名が参加してくれた。
・3月は、交流会の企画内容に応じて、通常よりも多い11名のボランティアが参加した。
3.問題点
・毎回、ボランティアの確保に苦慮している。

『第2・3号議案 平成27年度収支決算報告及び監査報告』

*エクセル表と監査報告PDFをテキスト化しました。

 第2号議案 平成27年度収支決算報告

書式第13号(法第28条関係)
27年度  活動計算書
27年 4月 1日 から 28 年 3月 31日まで
特定非営利活動法人 タートル

科目 金 額 備   考
Ⅰ 経常収益
1 受取会費
正会員受取会費 1,285,000 年会費 個人@5000×230人 27年度以前27人
賛助会員受取会費 185,000 年会費 個人@5000×37口)
2 受取寄附金
受取寄附金 685,132
3 受取助成金等
受取補助金 500,000 年賀寄付金
4 事業収益
 情報調査研究事業収益 433,000 情報IT アンケート協力
     事業収益
5 その他収益
受取利息 656 受取利子
雑収入 643,680 ビデオ出演料法人へ 筑波技大調査依頼
経常収益計 3,732,468
Ⅱ 経常費用
1 事業費
相談事業費 130,000 LV相談会 LV学会参加
交流会事業費 109,500 交流会会場費 講師謝金 ボランティア交通費
情報提供事業費
セミナー開催事業費
就労啓発事業費
その他の経費
印刷製本費 881,430 情報誌 広報誌等
2 管理費
事務協力費 444,350 晴眼者の事務その他の協力費
委託料 604,708 NPOに関するアドバイス料、調査委託
諸会費 21,644 各種団体への年会費
セミナー参加費 3,000 セミナー参加料 @1000×3名
事務消耗品費 137,041 コピー用紙 インクカートリッジ等
支払手数料 8,988 振込手数料
通信運搬費 169,045 宅急便 郵便物の送料
サーバー管理費 422,845 ウェブサイト更新料等
旅費交通費 348,580 役員・運営委員交通費
雑費 124,900 テープ起こし 録音等
経常費用計 3,406,031
当期経常増減額 326,437
当期正味財産増減額 326,437
前期繰越正味財産額 2,773,307
  次期繰越収支差額 次期繰越正味財産額 3,099,744

第3号議案 監査報告

平成28年5月6日
監査     下堂薗 保               印
監査     伊吾田 伸也              印

特定非営利活動法人タートルの平成27年度(自平成27年4月1日 至28年3月31日)の事業、会計帳簿・会計収支報告・領収書等を監査した結果、収支内容が適正に処理されていることを認めます。

『第4号議案 平成28年度事業計画(案)』

■活動方針     理事長 松坂 治男

認定NPO法人の2年目を迎え、更に組織の充実を図るため、新旧役員が一丸となって活動を拡げていきます。
1.相談、2.交流会、3.情報提供、4.セミナー・啓発の4事業の更なる充実を目指します。

1.相談事業は、首都圏以外の相談者にどのようにアプローチしていくかを考えていきます。
2.交流会事業は、タートルサロンを継続し、出会いの場の提供と情報交換を行っていきます。
3.情報提供事業は、ホームページに活動の写真やビデオを追加し、タートルの活動を視覚的にもさらにインパクトのあるものにしていきます。それにより、賛助会員及び寄付者の増加を図って行きます。大学や企業の視覚障害者関連の調査・研究への協力を、さらに拡大していきます。
4.セミナー・啓発事業は、「Guide Book」を活用して、企業の問題意識に対応した視覚障害者理解のための「出前講座」の実現に務めます。
その他、認定NPO法人として活動していくための事務局の充実を計ります。また、活動資金の確保のため、助成金の申請や寄付のお願いに積極的にアプローチしていきます。

■相談事業     副理事長 工藤 正一

1.相談は基本的に前年通り、従来の当事者による相談をベースにしながら、電話、メールの相談には随時対応し、必要に応じ、個別面接相談、ロービジョン就労相談(眼科医や福祉施設等の専門家の同席による相談)を行う。
2.タートルサロンと連携して個別相談を行い、必要に応じて、改めてロービジョン就労相談に繋げる。
3.本年4月施行された改正障害者雇用促進法の趣旨を踏まえつつ、ハローワークや労働局等との連携を図る。
4.地方の相談については各地区担当理事等と連携し、スカイプ相談会、現地相談会にも可能な限り対応する。
5.相談のノウハウを共有できるよう、簡易なマニュアルの作成を検討するとともに、相談に対応できる後継者の育成に努める。
6.眼科医や産業医、関係機関と連携の強化を図るため、日本ロービジョン学会の行事に参加し、タートルの事業の啓発、情報交換、意見交換を行う。
○第17回 日本ロービジョン学会学術総会
 平成28年8月26日(金)~28日(日)
 会場 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
 (28日:第8回「医療が関わる視覚障害者就労支援セミナー」)
7.相談を通じて把握した不当な差別や合理的配慮事実を蓄積し、社会の要請に応えられるようにしておく。

■交流会事業     理事 重田 雅俊

1.交流会の趣旨・目的
講演会を実施し、視覚障害者の就労に関する情報を提供する。
  実施日・回数: 9月・11月・3月の3回実施する。
  事業内容: 専門家・当事者・タートル関係者を講師に招き、1時間の講演と30分の質疑応答を通して、視覚障害者の就労に関するタートル独自の情報を提供する。
  実施場所: 東京会場 日本盲人職能開発センター 地下研修室
 ※ジョイント会場の実施場所は、開催の都度変更されます。
2.タートルサロンの趣旨・目的
 相談活動と会員の主体的な交流の場を提供する。
  実施日・回数: 毎月1回 第3土曜日に実施する。
  ※日本盲人職能開発センター以外での開催や、日曜日の開催も検討する。
  事業内容: 会員が自由に参加できる相談・情報交換・交流の場を提供し、知識や経験のあるスタッフが対応する。
  実施場所: 日本盲人職能開発センター 地下研修室
 ※ジョイント会場の実施場所は、「1.交流会の趣旨・目的」の実施場所に伴い未定。

■情報提供事業

Ⅰ IT事業     理事長 松坂 治男

1.Webの管理(外部委託)
・お知らせや「情報誌タートル」を掲載する。
・文章だけでなく、写真及び映像を入れて、視覚的にも活動を解りやすくする。
2.メーリングリストの管理(外部委託)
タートルML・会員専用ML・役員連絡用ML
3.スカイプを利用した交流会開催時の通信の安定を図る。
・スカイプを操作できる人材を複数名確保する。
4.大学・企業による視覚障害者対象のアンケート調査及び視覚障害者関連調査に積極的に協力する。

Ⅱ 情報誌作成事業     理事 市川 宏明

・会員、会員以外で中途視覚障害で悩んでおられる方に役立つ情報誌の提供に努める。
・墨字版の送付を基準とし、会員の希望に応じて、メール、デイジー、テープ版の中から、希望媒体1種類を送付する。
・「職場で頑張っています」と「定年まで頑張りました」のコーナーは各号交互で掲載していく。
・年4回発行。6月、9月、12月、3月を予定する。
・業務担当者を明確にして業務品質の維持向上に努める。
編集/窓口 市川、データ確認/校正 芹田、外部協力企業窓口/校正 川本、情報誌発送(メール配信) 杉田・松尾、 情報共有によるバックアップ体制 清水
・スケジュールの見直しによる業務精度の向上に努める。

■セミナー・啓発事業     副理事長 新井 愛一郎・理事 安達 文洋

1.出前セミナー
出前セミナーとは、企業に出向いてセミナーを行うという単純な形態のことではなく、企業の問題意識に合ったセミナーを実施することが最大の意義です。企業の関心事に合わせたセミナーの呼びかけが今回の主旨です。 4月から改正障害者雇用促進法が施行されました。企業にとって、募集、採用、就労、退職などの雇用のあらゆる場面での障害者への差別を禁止し、合理的配慮を提供することが法的に義務とされました。 企業はどのように対応していけば良いかと模索しているのではないでしょうか。このような状況にあって、今こそセミナーの提案の良いチャンスではないでしょうか。
さらに、以下のような企業も存在すると考えます。
①視覚障害者のことを全く知らないが、とりあえず、視覚障害のことを知ってみようと考える企業。
②障害者雇用の中で、視覚障害者雇用を考えてみようとする企業は、視覚障害者のことを知ってみたいと思うと思います。
③新規雇用、再雇用や、中途の視覚障害者が発生した場合、それぞれ企業は知りたいことが具体的にあると思います。
そこで以下のような具体的な取り組みを考えます。
①セミナーの内容の確定
②Web等での広報・募集。このような事業の提案は、視覚障害者団体では珍しい取り組みだと思います。
③就労支援機関等からの紹介を受けて、関係のつきそうなところから実施を考えていく。このような活動のために、担当グループでの集まりを定期的に開催したい。
2.就労事例の蓄積と整理
これまでタートルの活動のなかで多くの働く事例の紹介を行ってきた。 「中途失明Ⅲ」のアンケート結果からも、働く事例をもっと知りたいと言う声が多かった。これまでタートルがまとめたいろいろな成果物をすべて整理して、全体を参照できるようにしていくことが、これまでのみなさんの一人ひとりの奮闘を次に生かすものとなります。 膨大な生きた事例をきちんと把握していく作業をしていきたい。

■助成金申請     理事 湯川 仁康

平成28年度各事業計画に合致する助成金の情報を入手し、各事業担当理事と協調しながら申請していく。

■ボランティアの調整     理事 市川 宏明

・ボランティアの人員確保のため大学などへの協力要請を実施。
・ボランティア業務の項目と内容を精査。
ボランティアの方々に更なる活躍の場を提供するため、タートル事業の業務洗い出しを実施したい。
・ボランティアのスキル向上のため、誘導/接遇等の研修の実施を検討する。
・当法人役員とボランティアの皆さんとの意見交換会を実施し、当事者との懇談からスパイラルアップへの論点を引き出す。

『第5号議案 平成28年度収支予算(案)』

* エクセル表をテキスト化しました。

第5号議案 平成28年度活動予算(案)
書式第13号(法第28条関係)
28年度  活動予算書
28年 4月 1日 から  29年 3月 31日まで
特定非営利活動法人 タートル

(単位:円)
科目 金額
Ⅰ 経常収益
1 受取会費
正会員受取会費 1,000,000
賛助会員受取会費 600,000
1,600,000
2 受取寄附金
受取寄附金 600,000
施設等受入評価益 0
600,000
3 受取助成金等
受取補助金 0
0
4 事業収益
 交流会事業収益 0
 セミナー事業収益 50,000
 情報提供事業収益 100,000
5 その他収益
 受取利息 1,000
151,000
経常収益計 2,351,000
Ⅱ 経常費用
1 事業費
(1)人件費
給料手当 0
人件費計 0
(2)その他経費
相談事業費 300,000
交流会事業費 250,000
情報提供事業費 800,000
セミナー事業費 50,000
就労啓発事業費 50,000
その他経費計 1,450,000
事業費計 1,450,000
2 管理費
(1)人件費
役員報酬 0
給料手当 0
人件費計 0
(2)その他経費
事務協力費 300,000
備品費 0
光熱水費 0
消耗品費 150,000
通信運搬費 40,000
交通費 250,000
租税公課 5,000
雑費 20,000
印刷費 100,000
予備費 50,000
管理費計 915,000
経常費用計 2,365,000
当期経常増減額
Ⅲ 経常外収益
経常外収益計
Ⅳ 経常外費用
経常外費用計
税引前当期正味財産増減額
法人税、住民税及び事業税
当期正味財産増減額 -14,000
前期繰越正味財産額 3,099,744
  次期繰越収支差額 次期繰越正味財産額 3,085,744

『第6号議案 認定NPO法人の役員報酬規程の制定について』

認定NPO法人に求められる役員報酬規程については以下の通り定めたい。

NPO法人タートル役員報酬規程(案)
制定:平成28年6月4日

(目的)
第1条 この規程は、特定非営利活動法人タートルの役員の報酬の支給の基準について定める。
(報酬の支給)
第2条 この法人は、常勤及び非常勤にかかわらず、役員報酬は一切支給しない。
(補則)
第3条 この規程の変更については総会の議決による。

【平成28年度総会記念講演】

『「中途視覚障害者の継続就労問題を考える」~訓練指導現場での体験をふまえ~』

川崎市視覚障害者情報文化センター
歩行訓練士 中村 透 (なかむら とおる) 氏

私は「若い」と自分で思っていましたが、実は今年で58歳になります。かれこれ33年ぐらい、この仕事にずっと携わっています。この間、東京の新宿を皮切りに大阪や、横浜に行ってみたり、島根に飛ばされたりしましたが、「少しでも目の不自由な方のお役に立ちたい」ということだけで、ずっと飯を食ってきた人間です。

今は川崎市の視覚障害者情報文化センターという、いわゆる日本点字図書館の子会社のようなところで仕事をしています。普段何をやっているかというと、歩行訓練です。白い杖を使った歩行訓練を中心に活動しております。昨年は、約40名の相談を受け、訓練をしました。その40名の中には、いわゆる仕事をしている方や、仕事を続けたいとおっしゃっている方もいらっしゃいます。それから、「すでに仕事を辞めてきた」という方もいらっしゃいますし、「これから仕事に就きたい」とおっしゃる方もいます。

いわゆる歩行訓練士と言われる仕事ですが、そういう方々に対して歩行訓練だけをやっているかというと、そうではありません。実は違います。いろいろ相談を受けて、では「その方にとって何が必要なのか」と考えた上で、訓練を提供させていただくわけです。

歩行訓練といっても、行く場所がないと単なる「歩け歩け運動」になるので、あまり意味がありません。「ここに行きたいから」ということで、「では、やりましょう」となるのが一番です。もちろん運動も大事ですから「歩きましょう」ということで、日々やっていることもあります。

ここに参加をされている方には、私よりお歳が少し上の方もいれば、下の方もいらっしゃいます。お歳が少し上の方は、やはりこれから気をつけていただきたいのです。というのは、目が不自由になって見えなくなると、外に出なくなることが往々にしてあるからです。また、1人で歩くことをしないと、どんどん出るのが億劫になります。

ちょっと自分の胸に手を当てて考えていただきたいのです。「今日は暑いから外に出るのはやめておこう」とか、「朝早いからやめておこう」とか、「夜暗くなりそうだからやめておこう」とか、出ないことの理由を次々と考え始めるのです。それで出なくなって、歩けなくなってしまうのです。ですので、外に出ることがすごく大事なのです。皆さんに最初に申し上げたいのは「ぜひ、歩行訓練を受けてください」ということです。

この中で「訓練を受けたことはありません」という方は、ちょっと手を挙げてみてください。やっぱり、半分ぐらいでしょうか。何で訓練を受けないのでしょうか。それは「面倒くさい」とか、「まだちょっと見えているから」とか、そんな理由だと思います。

33年間こういう仕事をやっていますが、私が一番悲しいのは、目の不自由な方からあまり必要とされていないのではないかと感じることです。何故かというと訓練を受けてくれないからです。これは非常に悲しいのです。

皆さんを後ろから見かけることがあります。何かの会合の後でお帰りになるところをお見かけすると、杖をついていらっしゃるが「この方は習ったことがない」と思う方が、結構いらっしゃるのです。私も「失礼します」と言って帰りますが、駅などで少し迷っていらっしゃるのです。あっちを向いたりこっちを向いたりして、「あれ、ここはどう行けばいいかな」「もうちょっと行ったら階段だったかな」という感じで、迷っていたりします。

また、地下鉄に乗ると外に出た瞬間がパーッと明るいので、眼の前が真っ白になってしまい足が出ないこともあると思います。そういう時には、ずっと立ち止まっていらっしゃいます。逆に、急に暗いところに行くとスピードが落ちたりしますが、そういうことは実際にあるのではないでしょうか。

あるいは、電車に乗る時に「ちょっと飯田橋は広すぎる」と思って、足がなかなか出ないような経験もされているのではないかと思います。町を歩いていると、急に横から自転車が出てきて、ドキッとするような経験もあるのではないでしょうか。また、目の前で杖を振って歩いていたら、足元に子どもがいたこともあるのではないでしょうか。

そういうことをある程度想定した上で、「こう歩いて、こういうころを探して、こう行けば、もう少しスムーズに歩けるのではないでしょうか」と、アドバイスをするのが我々の仕事です。少し見えているとか、見えていないとか、そういうことは関係ありません。見えているところは有効に使えばいいですが、たぶん気づかずにずっと下を向いて歩いていることもあるかと思います。

また、足元を杖に任すことができれば、顔を上げて歩くことができます。顔を上げて歩くことができれば、今まで気づかなかったものを見ることもできます。ということで1、2回、試しに訓練を受けてはどうかというのが私のお願いです。無理をして怪我をするのはバカバカしいです。この中で、「目が不自由だけど杖を持っていない」という人はいますか。いらっしゃらないですね。それは大丈夫ですね。

継続雇用や仕事をしていくことに関してもそうですし、杖を持つこともそうですが、まず皆さんに一番心の中で思っていただきたいのは何かというと、まず言えるのは「自分のことは自分自身で認めてあげよう」ということです。どうでしょうか。

「目が不自由になってしまって、役にも立たないし…」というように、自分を卑下してはいませんか。それはやめましょうということです。こんなことを改めて言われる筋合いは無いと思うかもしれませんが、自分のことを自分で卑下したらロクなことはありません。

逆に、自分のことを「すごくできるヤツ」と、虚勢を張る必要もありません。世の中の人や周りの人は、自分のことを理解してくれるわけがありません。職場の人もそうです。また、世の中を歩いている人や職場の人は、皆良い人ばかりではありません。むしろ嫌なヤツが多いです。違いますか、そんなことはないですか。(笑)もちろん良い人も大勢いますが、それはおそらく自分が良いからです。

私はよく話をするのですが、皆さんは幼稚園、小学校、中学校、高校と、大学に行かれているかは別にしても、仕事で会社に入って組織に所属しますが、未だにものすごく仲が良くて、ものすごく信頼できて付き合っている人間は、どれほどいますか。 両手の数いたら、結構すごいと思います。私なんて、そういう人はほとんどいません。要するに、周りの人間は自分と違う人間なのです。タイミングから何から全部違います。考え方についても。これもよく例に出して言いますが、一番理解をしているはずの女房も、私にとっては厄介です。皆さんにとってどうかは知りませんが、本当に厄介です。胸に手を当てて、ちょっとよくご自分のことを考えてください。これだけ長い間一緒にいて、これだけいろいろな話をして、未だに理解ができません。要するに「人は自分のことをあまり理解はしてくれないもの」と、まず思った方が良いのです。職場というのは他人の集まりなので、なかなか理解してくれません。ましてや「目が不自由の人に何ができるかわからない」というのが、最初の前提になります。

目がご不自由なご自身のことを、ちょっと考えていただきたいのです。ご自身でも、何をどうやったら「できる」と言われるか、わかりませんね。評価というのは、他人がするものです。「あなたはできている」「できていない」というのは、実際に他人がします。「自分はできている」と思うか思わないかは、自分勝手な問題ですから、それはいいのです。「自分はできている」と思っても、人から「できていない」と評価されれば、できていないことになります。まず、それが前提です。

わからない人同士が喋っていて、「理解をしてもらいましょう」と言っても、あまりロクなことはありません。交渉をするのか、労働組合を使うか、いろいろケンカをするかということですが、「やるか」というように対峙してしまうのは、あまり得策ではありません。そこで私がお伝えしたいのは、やっぱり第三者に入ってもらうことです。お互いの間で行司をしてもらう方がベターだし、良いだろうと思います。過去に私が「会社に行かせていただけませんか」と言って、「はい、どうぞ」と言ってくれた会社は、ほとんどが継続雇用をしています。会社が我々のような人間を何故受け入れるかというと、「この状況をどうにかしたい」「この人に働いてもらうために、何か考えたい」ということが前提にあるからです。それが無い場合は、非常に難しいわけです。どうやって攻めるかを考えなければいけません。

いま、私が川崎で相談を受けている3名の方の会社に対して、「行かせてもらえませんか」と言っても、行かせてくれません。「来なくて結構」という感じです。何を言われるかわからないし、「何じゃお前」という感じだと思います。「拡大読書器の使い方を、こういうふうに使ったらこう見えるとご説明したいだけですが」と言っても駄目なのです。「来なくていい」と。こうなると結構難しいのです。話は前後するかもしれませんが、そういうふうに言われること自体、私は非常に悔しいのです。ご本人からではなく、会社の方に言われることですが。

ここからは、就労に関して、私が最初に興味を持ち始めた話です。このセンターに北林氏という指導員がいると思います。タートルで事務局をやっていた篠島永一さんがこの間お亡くなりになりましたが、私は若い時に北林氏と篠島さんとでチームを組んで、当時の労働省から委託を受けて、ME機器委員会ということで、会社に調査に行きました。視覚障害の方の雇用を考えていただけませんか、ということで。

忘れもしないのは某銀行本店の人事部です。その某銀行の30代の人事の課長が私に言ったのは、「うちは一流の人間しか採りませんから」と。 「この野郎」と思いました。私のことではありませんが、目の不自由の方のことで調査に行ったりしていて、「雇用はできませんかね」と下手に出るような感じで言ったら、当時の某銀行人事部の課長がそう言ったのです。「一流」と。「てめえ、この野郎、一流って何だ」と言いたかったです。そんなことは言えなかったですが、要は「端から相手にしませんよ」という感じです。「お宅に目の不自由な方がいらっしゃったらどうするのですか」と聞いたら、「うちにはいません」と言われて、帰りも本当にムカムカしていました。

その北林氏といろいろ喋っている時に、現在はライオンに勤めている男性が目の前に来ました。今では40過ぎかもしれませんが、「この若い男の子を就職させることができなければ、我々は仕事をやっている意味がないよね」と言って、昔は東京都失明者更生館と言っていた現在の東京都視覚障害者生活支援センターでトレーニングした後、職能開発センターでパソコン等々の訓練をやって、その若い男の子はライオンに勤めるようになりました。

ライオンは本当にすごく良い会社です。最初から我々に「どうぞ、来てください」と言ってくれました。会社の中を全部案内してくれて、「彼にはこういう仕事してもらおうと思っている」ということでした。彼専門に上司がずっと付いて仕事を教えて、ライオン製品のCDカタログなどを作っていました。もう20年になりますが、今でも仕事をしています。

ですから、自分の会社はどういう会社か、例えば継続雇用するべき自分の会社は、我々のような第三者に「はい、どうぞ」と、そのために「来てください」と言ってくれる会社なのか、あるいはそういう環境をご自身で作れるかどうかが、結構大きなカギになると思います。

もう1人、キャノンというところに、女性が勤めています。彼女も東京都失明者更生館を出てから、国立障害者リハビリテーションセンターで電話交換手のトレーニングを受けて、キャノンに入りました。キャノンに入る時に「会社までの経路をトレーニングしてほしい」ということで行ったのですが、やはりその時も彼女を採用した人事の方が、ずっと一緒に話を聞いてくれました。やっぱり姿勢が違うのです。彼女はそこにずっと長く勤めていますが、そういう事例があります。

他には、一緒にハローワークに行って「こういう仕事があるではないか」と、ご本人と一緒に探して勤められたこともあります。ロービジョンの方でしたが、三菱地所というところの寮の管理です。もちろん、嘱託で給料はそんなに高くないですが、やはり人事の方がずっと一緒にいてくれます。そういう環境が、継続雇用のためには一番必要かと思います。

皆さんが勤めていらっしゃる会社について、お仕事をされているのはどういうところで、どういう環境でどういう内容の仕事をされているのか、私にはよくわかりません。わかりませんが、最初の頃に「自分のことは自分で認めましょう」と言いましたし、次に「他の人は、あまり自分のことを理解してくれません」と言いました。 言えることは何かというと、その2つの中での振舞い方は、嘘でもいいから「明るく振舞いましょう」ということです。これはプレゼンでいいのです。「いや、オレはもともとネクラだから」とか、そういう言い訳は要りません。暗くどんよりしていると、人は寄って来ません。嘘でもいいから明るく振舞うのです。目が不自由になって明るく振舞うのは、普通はなかなかできません。

でも、自分が暗く沈むのは結構ですが、人を暗くする必要はないではありませんか。自分の気分が悪いのを、人に影響する必要はないのです。前向きとか、ポジティブという言葉はそんなに好きな言葉ではないですが、嘘でもいいから何となくそういうフリをすることです。家にこもっているよりも、白杖をついて外に出た方が、何となく「あの人前向きだね」と言ってもらえるかもしれません。もしかしたら、言ってもらえないかもしれませんが。

でも、そういうふうに自分を持っていくことは、次に大切なことではないかと思います。嘘でもやっていると、現実がついて来るのです。そう思いませんか。繰り返しになるかもしれませんが、「自分の周りはすごく理解があって」「すごく優しくて」という集団の中に、身を置いているわけではありません。それを前提としながらも、自分がその場所に身を置いて明るく振舞います。振舞っていても困ったことがあったら、その時は「助けてくれ」という必要があります。

そして、できないことを「できるようには振舞わない」ことです。できないことは「できません」「手伝ってほしい」「これがわからない」と、助けてもらうことが大事です。そういうふうに自分から言わないと、周りの人には「この人は何ができて、何が困っている」というのが、わからないのです。要は、皆さんから声を上げないと、周りの人はわからないのです。

世の中の目の不自由な方の大部分は、非常に我慢強いです。しかも、おとなしいのです。皆さんがどうかは知りませんが。「自分はここがこう困っている」と、もっとはっきり言った方が良いですし、我慢する必要はありません。言ってみて初めて「すみません。それは気がつきませんでした」ということは、結構多いはずです。

今は地下鉄等でも駅員さんに声をかけると、必ずホーム内を誘導してくれます。何のために誘導をしてくれるのかわかりますか。皆さんに親切にしているのでしょうか。本音を言えば、事故を起こされると困るからです。でも、試しに駅員さんに声をかけて、誘導してもらってください。普段、誘導してもらっていますか。やってもらっている人はいますか。結構いますね。

駅員さんは、ものすごく嬉しそうにしているのです。何となく良いことをやっているような感じの顔をしていて、すごく丁寧です。JRでも見事にやります。やるのが当たり前になっています。

もちろん「安全運行のため」という前提はありますし、身体のご不自由な方や目のご不自由な方が来たら「こうやりましょう」と決まっているからです。経験を次々と積んでいけば、相手も徐々に理解していくはずです。もちろん下手な方もたくさんいるので、そういう人には「もうちょっと、こうしたらどうか」と言ってあげれば良いのです。 それを使わなければ、相手はずっとわからないのです。ついでに、その辺に敷いてある点字ブロックに「ここによく荷物が置いてあって、困るんですよね」ということを一言ポロリと言うと、次からは気をつけてくれるようになります。向こうから寄って来ることはまずありません。向こうから寄って来てくれるわけはないから、こちらから行くのです。こちらから行かないとそうならないし、環境は変わらないと思います。

仕事を続けていく上でも、それは同じことです。その組織の中で自分が必要とされるかどうかは、積極的に自分が働きかけていくことで、初めて自分にできるかどうか周りにもわかるし、自分にもわかるようになります。そして評価をするのは、自分ではなくて他人なのです。

「障害者差別解消法」が通りました。4月から始まっています。障害者差別解消法は、すぐ皆さんに直接の影響がありましたか。どうでしょうか。すでに皆さんはお仕事もされているし、影響は少ないかもしれません。ただ、これはすごく大事な転換点ではないかと思います。

ちょっと話は変わりますが、「身体障害者補助犬法」という法律があることは知っていますか。いわゆる、盲導犬とか介助犬とか聴導犬というのが、身体障害者補助犬として認められ、公共施設では受け入れないといけないことになりました。確か、平成12年前後です。14年から施行されていますが、それまでも例えば盲導犬が飲食店に入るのは、すでに断りづらい状況になっていました。

ただ、その法律ができるまで、何を周りが考えていたかというと、「受け入れるか」「受け入れないか」ということでした。犬を受け入れるか、受け入れないかです。ところが、身体障害者補助犬法ができれば、「受け入れるためにはどうしたら良いか」ということを考え始めるのです。

それは大きな違いです。障害者差別解消法ができれば、目が不自由になった時に会社はどうするかというと、会社は「その人と一緒に仕事をするためには、どうしたらいいか」と考えるようになるはずです。今までは「目が不自由になりました」というと、「いてもらうか」「いてもらわないか」という考え方をしたかもしれません。しかし、法律が通ったので、「これから一緒に働くには、どうしたらいいか」と、社会は考え始めるはずです。今までより少しは改善するだろうし、良くなるはずです。ですから、そういうものを皆さんに利用してほしいと思います。

私はこんなことを偉そうに言う立場ではないですが、厚生省と労働省が一緒になって、将来を作ろうとしています。今までの福祉制度ですが、戦争が終わって傷病兵のために作ったあらゆる施策はとりあえず終わりました。これからは高齢者がものすごく増えていくので、おそらくそちらに全部シフトしていくわけです。

改正の障害者福祉法が今回通りましたが、総合福祉法になって、身体障害者の中でも目の不自由な方、車椅子の方、聴覚の方、知的の方云々に対しては、昔は全部個別の政策でやっていましたが、今では全部一緒になっています。目の不自由な方は、障害者の中では非常に少ないのです。ですから、皆さんに手当をしなくても、障害者施策をやっていることになってしまうのです。

そうさせないため何が必要かと言うと、一番大事なのは当事者の動きになります。我々ではありません。我々のようなサポーターがいくら言っても動きません。当事者の皆さんが声を上げて、「私はこうしてほしい」「私はこうなりたい」と言わない限りは動かないと思います。これからますますそうなります。そういう世界に来ているので、今までのようにおとなしく、我慢強く、何も言わずにやっていたら、たぶん駄目ではないかと思います。

ここに集まっている方は、タートルの会員ですから、そういう声を上げていく方としては最もふさわしいと思います。皆さん方が作っていく世界は、必ず後輩のためになります。先輩が萎えてしまうと後輩はどうにもできません。

また話は変わりますが、以前20歳ぐらいの女性にお会いしました。歩行訓練などをしましたが、暫く連絡が途絶えていたところ、去年の4月ぐらいでしょうか、突然、川崎市の視覚障害者情報文化センターに来たのです。私に会いに来たわけではなくて、黒いシステム手帳を売り込みに来たのです。「こういうもの作ったのですよ」と来たのです。「いま、何をしているの」と聞いたら「起業しました」ということでした。会社を起こしたのです。素晴らしいですね。続くかどうかよくわかりませんが、結構苦労していると思います。

社長もロービジョンの方ですが、いま二人でやっているのでしょうか。実は彼が小学生の時に会っています。「わんぱくっ子サマースクール」という子どもに対するサマーキャンプをやっていて、その時に会っているのです。彼も覚えていなかったし、私もあまり覚えていませんでしたが。

子どもやそういう若い人たちがこれから社会に出ていって、のびのびと明るく仕事をしていくためには、ジジイもババアもオヤジも一生懸命に道を作らなければいけないと思います。そのためには、途中でも言いましたようにご自身を鼓舞して、プレゼンで明るく振舞って、社会の中で「ところがどっこい生きているぜ」というように続けていく、そういう役割がたぶんお一人お一人の中にあるのでないかと思います。

私は、そういうふうに生きている人や生きたい人を少し手伝って、自己満足をしながら生きていく感じです。どうせ女房からは半分捨てられていますので、そのためなら私のお休みを是非使ってほしいと思います。夜だろうが朝だろうが、いつでも私の時間はフリーに使えます。「通勤時の訓練をやってほしい」というのもOKですし、「夜、銀座に飲みに行きたい」というのもOKです。お支払いはご自分でしていただきますが、何でもOKです。女性は困りますが、男性はいくらでも付き合います。

そういう人間を、皆さんの仲間としてぜひ使ってほしいのです。自分が生きるために、我々みたいな人間をぜひ活用してほしいのです。皆さんのところにはいろんな目のご不自由な方が、ご相談にいらっしゃると思いますから、ぜひ仲間を増やしていただき、自分にはできないかもしれませんが、「ここに、こういうヤツがいるから、ちょっと相談にのってもらえ」と。

今日、私の話を聞いて「あいつは信用できない」ということになれば、この職能開発センターには、信用できる人間がいますし、東京都視覚障害者生活支援センターにも職員がいます。それから、東京都盲人福祉協会にも我々の仲間がいます。すべての人間が役に立つ人間かというと、もちろんそうではありません。

先ほども言いましたが、良い人ばかりではありません。私ぐらいなものです。(笑)これは冗談ですが、能力の高い人間もたくさんいます。煮詰まってしまうとどうしようもないので、煮詰まる前に「ちょっと1回、相談に行けよ」「嘘でもいいから、明るく振舞おうぜ」と声をかけていただき、ご紹介いただいて、我々を少しでも活用いただければありがたいと思います!

【職場で頑張っています】

『もやっとした!?~~OL日記☆』

会員 中澤 悠江 (なかざわ やすえ)

私は先天性白内障の術後続発性緑内障で幼少期は弱視で、成人する前から少しずつ悪くなり現在は手動弁です。 子どもの頃からの弱視でしたが、田舎だったせいか「見えにくさ」に対する周囲の理解と自分自身知識が無く、黒板の文字も教科書も読めないままの学生生活を送りました。20歳頃から急激に視力低下が進み、縁あって職能センターのお世話になることができましたが、点字にもパソコンにも触ったことが無くゼロからのスタートでした。

2005年に貿易関連の人材派遣会社に就職し、2007年に親会社と合併し転籍となり勤続11年を過ぎました。合併後、勤務地や上司が変わった事で大変苦労をしましたが、タートルサロンでお話をさせていただいたり皆様に励ましていただいたおかげで乗り越えることができ、とても感謝しております。

入社当時はZoomTextで画面を拡大して音声を聞きながら仕事をしておりましたが、名刺や封筒、会社パンフレット等印刷物や事務用品の在庫管理と発注、出張用回数券や鉄道カードの購入と管理、法務局/ハローワーク/社会保険事務所での手続、健康診断関連業務、求人情報のWeb登録や会社説明会開催準備等、本当にたくさんの業務を経験させていただきました。

今は音声のみでPCを使用し、拡大読書器を無理やり使って仕事をしています。2年前に新設されたマッサージルームの予約管理と受付が現在の主な業務で、その他に毎朝全社員に人材派遣・紹介関連ニュースをメール配信したり、封筒やパンフレットなどの印刷物の管理や研修で使用する資料の大量印刷など、その他庶務業務を担当しています。数年前にOS変更で苦労をしましたが、職能センターとSPANの援助で無事に担当業務を継続することができています。

障害の有無に関わらず、環境や健康状態の変化、親の介護等に対応しながら仕事を継続していくということは大変です。特に私はパソコンが苦手なのでOS変更には本当に泣かされました。今年もまたOS変更(Windows7から10)が予定されていますので、今からできるだけの準備をしてスムーズに対応できるようにしたいと思っています。何よりせっかく任せてもらえた業務を手放したくはないですし、定年まで働き続けるためには絶対に乗り越えなくてはならない試練だと感じています。

日常生活ではできるだけよい意味での「楽」をして余力を残すようにしています。毎週月曜はフレックスを利用して少し早く帰宅し、夕方からヘルパーさんに来てもらって調理や掃除や読み書きなどをお願いしています。作り置きできるおかずをお願いしているので週の前半は「夕食をどうしようか?」と考える必要が無いのでとっても気が楽です。買い物は専らネットスーパーを利用しています。

仕事でも日常生活でも多々不便な事はありますが、その不便さを解消する道具がたくさんありますし、これは無理かもと思ったことが工夫次第で可能になった時に小躍りしたくなるくらいうれしくなるんです。「ちょっとした工夫でこんなに快適になったよ~」という体験があればぜひ教えていただけるとうれしいです。

これからもタートルの皆様のお世話になりつつ、楽しいOL生活(自分的にはサラリーマンがしっくりきますが…)を満喫したいと思います。

【お知らせコーナー】

ご参加をお待ちしております!!(今後の予定)

◎タートルサロン

毎月第3土曜日  14:00~16:00
*交流会開催月は講演会の後に開催します。
会場:日本盲人職能開発センター(東京四ツ谷)
情報交換や気軽な相談の場としてご利用ください。

◎交流会

11月13日(日)
高橋 広氏(北九州市立総合療育センター眼科)
「ロービジョン相談から見えてくること」
3月18日(土)
白浜 一氏(国立リハビリテーションセンター自立支援部)
「日常生活における知っておきたいこと」

◎忘年会 12月3日

会場:両国ビューホテル(いつもの会場です)
会費:6,000円(予定)
有志参加で行われる毎年恒例の楽しい忘年会です!今年は参加のみなさまの一芸披露を募集します。今から腕を磨き奮ってご応募下さい。是非1年の締めくくりに一緒に忘年会を楽しみませんか?(参加についての詳細は後日ご連絡いたします)

一人で悩まず、先ずは相談を!!

見えなくても普通に生活したい、という願いはだれもが同じです。職業的に自立し、当り前に働き続けたい願望がだれにもあります。一人で抱え込まず、仲間同士一緒に考え、フランクに相談し合うことで、見えてくるものもあります。気軽にご連絡いただけましたら、同じ視覚障害者が丁寧に対応します。(相談は無料です)

正会員入会のご案内

認定NPO法人タートルは、自らが視覚障害を体験した者たちが「働くことに特化」した活動をしている団体です。疾病やけがなどで視力障害を患った際、だれでも途方にくれてしまいます。そんな時、仕事を継続するためにはどのようにしていけばいいかを、経験を通して助言や支援をします。そして見えなくても働ける事実を広く社会に知ってもらうことを目的として活動しています。当事者だけでなく、晴眼者の方の入会も歓迎いたします。

賛助会員入会のご案内

☆賛助会員の会費は、「認定NPO法人への寄付」として税制優遇が受けられます!
認定NPO法人タートルは、視覚障害当事者ばかりでなく、タートルの目的や活動に賛同し、ご理解ご協力いただける晴眼者の入会を心から歓迎します。ぜひお力をお貸しください。
眼科の先生方はじめ、産業医の先生、医療従事者の方々には、視覚障害者の心の支え、QOLの向上のためにも賛助会員への入会を歓迎いたします。また、眼の疾患により就労の継続に不安をお持ちの患者さんがおられましたら、どうぞ、当認定NPO法人タートルをご紹介いただきたくお願いいたします。
入会申し込みはタートルホームページの入会申し込みメールフォームからできます。また、申込書をダウンロードすることもできます。
URL:https://www.turtle.gr.jp/hpmain/

ご寄付のお願い

☆税制優遇が受けられます!
認定NPO法人タートルにあなたのお力を!!
昨今、中途視覚障害者からの就労相談希望は急増の一途です。また、視力の低下による不安から、交流会やタートルサロンに初めて参加して来る人も増えています。それらに適確・迅速に対応する体制作りや、関連資料の作成など、私達の活動を充実させるために皆様からの資金的支援が必須となっています。
個人・団体を問わず、暖かいご寄付をお願い申し上げます。

★当法人は、寄付された方が税制優遇を受けられる認定NPO法人の認可を受けました。皆様の積極的なご支援をお願いいたします。
寄付は一口3,000円です。いつでも、何口でもご協力いただけます。
寄付の申し込みは、タートルホームページの寄付申し込みメールフォームからできます。また、申込書の書式をダウンロードすることもできます。
URL:https://www.turtle.gr.jp/hpmain/

≪会費・寄付等振込先≫

ゆうちょ銀行
記号番号:00150-2-595127
加入者名:特定非営利活動法人タートル

ご支援に感謝申し上げます!

昨年度(平成27年度)は45件の個人・法人様から総額685,132円のご寄付をいただきました。また、㈱日本郵便様から500,000円の助成金をいただきました。これらのご支援は、当法人の活動に有効に使用させていただきました。心より感謝申し上げます。

活動スタッフとボランティアを募集しています!!

あなたも活動に参加しませんか?
認定NPO法人タートルは、視覚障害者の就労継続・雇用啓発につなげる相談、交流会、情報提供、セミナー開催、就労啓発等の事業を行っております。これらの事業の企画運営に一緒に活動するスタッフとボランティアを募集しています。会員でも非会員でもかまいません。当事者だけでなく、晴眼者(目が不自由でない方)のご支援も求めています。積極的な参加を歓迎いたします。
具体的には事務局の支援、情報誌の編集、HP作成、受付、スカイプの管理、視覚障害参加者の誘導等いろいろとあります。詳細については事務局までお気軽にお問い合わせください。

タートル事務局連絡先

Tel:03-3351-3208
E-mail:m#ail@turtle.gr.jp
(SPAM対策のため2文字目に # を入れて記載しています。お手数ですが、上記アドレスから # を除いてご送信ください。)

【編集後記】

全国のタートル会員の皆様、お元気でお過ごしでしょうか? お手元に今回の情報誌が届く頃も、残暑が厳しいでしょうか…? アツイ繋がりといえば「オリンピック」。毎日色々なスポーツで熱戦が繰り広げられており、放送をチェックしすぎて、睡眠時間が無くなってしまいました。(私だけかなぁ??)

厳しい夏の毎日ですが、読者の皆様は、夏休みは取られましたか?今年から新しく「山の日」があったため、お仕事をしている方々にとっては、休みが増えたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?子供たちにとっては、「どうせ休みだし関係ないよ」なんていう声も聞こえましたが(苦笑)。どうせなら「川の日」「湖の日」「森の日」「……」とたくさんのお休みがあればいいなぁなどと暢気なことを思い浮かべる私は、立派な(?)怠け者です(笑)。

そんな怠け者の私でもアチコチぶつかりながら色々な場所に出かけるのですが、最近は、外国の方が増えたからでしょうか、いろいろな国の方に親切にしていただくことが増えてきたように思います。先日は、ブラジルからの方に道を誘導してもらいながら話す機会がありました。グッドタイミング!少しの間、スポーツの話題などで盛り上がったのでした…。

さて、今回の「情報誌」はいかがでしたでしょうか?これからも、会員の皆様に楽しんで頂けるような誌面作りを目指していきたいと思っております。今後とも、より一層のご愛顧を賜りますようどうぞ宜しくお願い致します!!

(市川 浩明)

奥付

特定非営利活動法人 タートル 情報誌
『タートル第36号』
2016年8月24日発行 SSKU 増刊通巻第5543号
発行 特定非営利活動法人 タートル 理事長 松坂 治男