1998年10月9日第三種郵便物認可(毎月3回8の日発行)
2012年4月19日発行 SSKU 増刊通巻第4145号
「事務局を担当して」
理事 杉田 ひとみ
私は当法人の事務局を担当して3年目となります。公立病院のリハビリテーション科でマッサージ師として働いてきましたので事務職の経験はありません。そのような私が何とか事務局を務めておりますのも、諸先輩の方々のご指導と皆様のご協力のおかげと感謝しております。
役員として活動に関わらせていただき、当法人の活動が社会的に必要な活動であることを、従前にも増して感じるようになりました。また、活動にはそれなりの経費が必要であり、その運営資金を得ることの大変さを身をもって感じております。
総会の議案にもありますように、会費収入は活動予算全体の二分の一しかありません。会員数の増加が必須だと感じております。そのほかの手段として、資金を得るために助成金の申請にも努力しております。その結果、昨年度は車両競技公益資金記念財団様より85万円の助成をいただき、本年度もアステラス製薬様からの助成が決まっております。そのような状況をご理解いただき、皆様方のご協力をお願いしたいと思います。
さて、私がタートルに入会したのは12年前、前事務局長の篠島先生にお会いしたことがきっかけでした。当時の私は視力低下と視野狭窄により、カルテの読み書きや患者さんの顔色の判別が難しくなってきており、上司からも職務上の危機管理について注意されるようになっていました。当然の心境として自主退職を考えていましたが、タートルの諸先輩方のご指導により、気持ちを切り替えることができました。パソコンや拡大読書器の活用や、キーパーソンを見つけて協力を得ることなど、自身の仕事環境を改善して働き続けることができました。また、交流会や相談会では、同じように視覚障害を持ちながら、いろいろな職種で働く方々にお会いすることもできました。
最近、交流会等に女性の参加が増えてきたことをとても嬉しく思います。働く女性ならではの苦労や、おしゃれ・家事などの情報交換の機会を持つことができたら良いと思っています。
今後も微力ながら当法人の活動に関わらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
新緑の候、皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。日頃は当法人の運営にご協力いただき、心より感謝申し上げます。
平成24年度NPO法人タートル通常総会を、6月16日(土)、日本盲人職能開発センター(東京)にて開催します。
総会の成立は会員総数の過半数出席が要件になっています。会員諸兄の積極的な出席(直接出席、委任状提出)へのご協力をお願いします。
「タートル19号」(本誌)掲載議案を参照のうえ、別送委任状ハガキまたは案内メールへの返信にて委任状の提出をお願いします。なお、東京会場以外(大阪・福岡)でのスカイプ参加では議決権行使はできませんのでご注意ください。
NPO法人タートル
理事長 松坂 治男
日時:平成24年6月16日(土) 10:30〜17:00(受付10:00〜)
場所:(社福)日本盲人職能開発センター(地下研修室)
〒160-0003 東京都新宿区本塩町10-3
☆四ツ谷駅(JR線、東京メトロ南北線・丸の内線)下車徒歩7分
※当日は駅改札にガイドボランティアを配置します。
〈お願い〉東京メトロ南北線、丸の内線を利用の方で、誘導ガイドを希望される方は、6月10日までに事務局までご連絡をお願いいたします。希望者がいない場合は、配置いたしません。
◆プログラム
《午前の部》10:30〜12:00
◎NPO法人タートル通常総会
〈次第〉
開会の言葉
理事長挨拶
議長選出
第1号議案 平成23年度事業報告
第2号議案 平成23年度収支決算報告
第3号議案 監査報告
第4号議案 平成24年度事業計画(案)
第5号議案 平成24年度収支予算(案)
閉会の言葉
《昼食》12:00〜13:30
★東京会場内は、食事が禁止されております。近くのお店にご案内いたしますので、希望者は、ご利用ください。
《午後の部》13:30〜17:00
◎記念講演
演題 「私と仕事」〜弁護士となって〜
講師 大胡田 誠(おおごだ まこと)弁護士
☆プロフィール
1977年静岡県生まれ。先天性緑内障により12歳で失明。
筑波大学付属盲学校の中学部・高等部を卒業。
慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法務研究科(法科大学院)修了。
2006年、5回目のチャレンジで司法試験に合格(苦学、8年に及ぶ)。
全盲で司法試験に合格した日本で3人目の弁護士になった。
2007年 渋谷シビック法律事務所に入所。
債務整理や家事事件(相続、離婚など)、国選弁護などに従事するほか、障害者の人権問題についても精力的に活動中。
◎交流
参加者近況報告・意見交換会
◇参加費(午後の部)
会員及び介助者は無料 非会員は500円
※終了後、有志による懇親会を予定しています。ぜひご参加ください。
■相談事業 工藤 正一
1.概要
相談事業に関しては、基本的な活動スタイルはほぼ固定化し、内容的にも安定してきたと言える。そのような中、新しい実践的試みとして、インターネット通信ソフト「Skype」(編集者注:以下、「スカイプ」という)を活用した遠隔地相談会(スカイプ相談会)を開催できたことが、今年度のトピックとして特筆できる。また、日本ロービジョン学会学術総会の期間中に北九州にて地方相談会を開催し、地元労働行政OBの参加を得て、職場復帰を目指している現地の仲間を励ました。
通常の相談は、全国各地から、ホームページを見たり、患者団体やNPO、医療機関、福祉施設、市区役所などから紹介されたりして、電話やメールによる相談が多かったが、眼科医や産業医などからの相談も増えてきた。これらの相談に対しては、第一義的には専任相談員が在宅で専用電話とメールで応えているが、内容的には総合相談的な様相を呈しているものも少なくなかった。そのため、個々のニーズの把握に努めるとともに、希望に応じて、平日の夜あるいは土・日曜日に面接相談を行い、必要と判断した場合には、専門家に同席願って、メインとなる就労相談に併せて、ロービジョン相談(平成21年度から開始)、障害年金その他福祉制度に係わる相談も行った。
これらの相談に対しては、適切な情報提供が求められ、特に初期相談においてはまず問題点を整理し、次の段階に繋がっていくような情報提供に努めた。特に就労事例や支援制度に関する情報が重要であり、それにはタートルの就労啓発DVDなど各種資料とともに、(独法)高齢・障害・求職者雇用支援機構の雇用マニュアルや事例集、パンフレットが役立った。また、雇用継続支援にはマネジメントとコーディネートが重要であることから、個々の状況に応じてそれらを行い、必要に応じて眼科医や産業医をはじめ、ハローワークや地域障害者職業センターなどの職業リハビリテーション機関との連携を図り、障害の態様に応じた多様な委託訓練(在職者訓練を含む)や、ジョブコーチ制度(実績は東京及びその周辺に限られた)、就労支援機器貸出し制度などの社会資源を有効に活用してもらった。その結果、眼科医や産業医など関係機関との連携が図られ、委託訓練やジョブコーチなど社会資源と結びついて、再就職や職場復帰、雇用継続が図られたなど、好事例を蓄積できた。好事例の中には、急な視力低下で窮地に陥ったが、機敏にロービジョンケアを行い、上司を通じて産業医と連携を図り、在職者訓練と歩行訓練を受けて無事に雇用継続ができた事例もあった。その反面、事業主の理解が得られなかったり、眼科をはじめどこからも情報がなく、タートルに繋がった時には既に退職を余儀なくされたりしていた事例もあった。
さらにまた、このような相談事例の成果を社会に還元することにも積極的に取り組み、タートルの存在のアピールに努めた。例えば、平成23年6月3、4、5日、北九州にて開催された第12回日本ロービジョン学会学術総会では、共同演題を含めて3つの発表を行うとともに、同年10月10日、東京にて開催された第65回日本臨床眼科学会最終日には、日本ロービジョン学会が主催し、タートルが協力した第3回視覚障害者就労支援推進医療機関会議は大きな成果を上げた。また、同年11月12日には、東京で開催された第59回職業・災害医学会学術総会シンポジウム「働く視覚障害者への支援」に参加し、産業医との連携に取り組んだ。
以上のように、視覚障害者に対する理解はタートル発足(平成7年)当時から見れば着実に進んでいるとは言え、まだまだ一般企業で働くことの困難や課題も多かった。視覚障害者の最後の砦とも言える「あはき」(按摩マッサージ指圧、鍼、灸)に転身せざるを得ない場合も少なくなかったことから、「あはき」は重要な職域であることを改めて認識した。何れにせよ、視覚障害者が働き続けられるようにすることの意義について、更なる啓発が必要である。また、今後のフォローアップや、関係者との連携のために、相談会や学会等の場でタートルへの入会を呼びかけてきたところ、正会員並びに賛助会員の拡大に寄与できた。
2.相談件数
平成23年4月から平成24年3月までの1年間に行った視覚障害当事者に対する相談の数は、実人員で合計169人であった。なお、この数はあくまで視覚障害当事者の数であって、医療、福祉、就労支援機関その他関係者からの相談の数は含んでいない。
ちなみに、この169人のカテゴリー別の内訳は、ロービジョン相談会(22)、地方相談会(2)、面接による個別緊急相談会(12)、スカイプ相談会(3)、その他の相談(130)であった。なお、2つのカテゴリーにまたがる場合は、重複しないように調整してある。以下、それぞれについて簡単にコメントする。
(1)ロービジョン相談会
眼科医の協力を得て、就労に関するロービジョン相談を9回開催し、延べ26人(実人員22人)に対して行った。職場の上司、家族、医療・就労支援機関の研修生の同席もあった。
(2)地方相談会
平成23年6月4日、北九州市「ウェルとばた」において開催した。職場復帰を目指す2人の相談を中心に、地元労働行政の専門家、当事者、ボランティアなど約20名が参加した。体験発表、ミニ学習をしながら交流し、職場復帰を励ます集いとなった。
(3)スカイプ相談会
「車両競技公益資金記念財団」の助成金の交付により導入した会議システム等を活用して、平成24年2月4日、大阪(日本ライトハウス情報文化センター)と東京(日本盲人職能開発センター)の2会場を結んだスカイプ相談会を開催した。音質も明瞭で、違和感はなかった。大阪には職業訓練指導の専門家が同席し、より質の高い相談ができた。初の試みということもあり、東京にはオブザーバーの同席があり、「一流のメンバーが揃った相談会」「インフォーマルな情報が得られるのもここならではの相談」「何よりもアットホーム」などの感想が寄せられた。
(4)面接による個別緊急相談会
当事者の希望による個別の面接による相談会は、緊急性を要するため、平日の夜に行うことが多かった。必要があれば、ロービジョン相談に繋ぐ場合や、逆にロービジョン相談の後こちらの相談に繋ぐ場合もあった。
(5)その他の相談
面接によらない電話・メール等による相談は、件数としては最も多い。交流会などの場において、当事者の相談に応えたものもあった。
3.相談の成果・特徴的な事例
相談の結果は、職場復帰など多岐にわたった。中でも、委託訓練が効果的に活用されたことが確認でき、「視覚障害者就労障害学習支援センター」(東京)での実績が顕著であった。さらに、ロービジョンケアと結びつくことで意欲を喚起されるのか、プラス効果をもたらすことが推察された。何れにしても、中途視覚障害者の再就職や職場復帰、雇用継続のために、ロービジョンケアと関係機関の連携が重要であることが示唆された。以下、特徴的な事例をまとめる。
(1)職場復帰事例
職場復帰については12人を確認し、その内、10人がロービジョンケアを受けていた。また、委託訓練(在職者訓練)を受けた者4人、国立の自立訓練施設で自立訓練を受けた者3人、日本ライトハウスや日本盲人職能開発センターで訓練を受けた者が各1人確認できた。特に訓練を受けなかった者(ロービジョンケアのみ)もあり、中には不当な解雇通告を受け、労基署と連携し撤回させた例もあった(その後は安定)。また、眼科医、産業医、訓練施設との連携により復職した事例も確認できた。
(2)再就職事例
再就職については7人を確認し、この内、3人がロービジョンケアを受けていた。職業訓練としては、委託訓練3人、国立職業リハビリテーションセンター、福岡職業能力開発校で訓練を受けた者が各1人、その他ロービジョンケアだけが1人、特に訓練を受けず、機能訓練指導員での再就職が1人であった。
(3)手帳に該当せず医師の診断書・意見書で対応した事例
視覚障害のため退職したものの、現行の判定基準では障害等級に該当しないと言われた事例が2件あった。何れも、ハローワークでは手帳がなければどうにもならないと言われ、八方ふさがりの状態で、今後の生活苦の相談であった。これに対しては、1人は、ロービジョンケアを受け、医師の意見書により、職業訓練まではクリアでき、もう1人は、診断書により特別支援学校(盲学校)の「あはき」へ進むことができた。
(4)人事院通知による研修受講事例
人事院通知(以下の注を参照)に基づき、研修扱いで自立訓練を受けた事例が2件確認できた。何れも学校教員の例であるが、まずロービジョンケアの結果に基づき、眼科医の診断書(意見書)により、任命権者がそれを認めたものである。何れも期間は概ね1週間前後と短いものであったが、国立の自立訓練施設で受けることができた。
<注:人事院通知について>
人事院は平成19年1月29日付けで職員福祉課長と研修調整課長連名の通知「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて」(職職−35、人研調−115)を、各省等人事担当課長あてに出している。そのポイントは、@けがや病気が治る見込みがなくても医療行為として行われるリハビリテーションは病気休暇の対象となり得ること A点字訓練や音声ソフトを用いたパソコン操作など復職に必要な技術を修得する訓練は人事院規則に基づく研修に含まれること、を各府省庁人事担当課長あて通知したもの。総務省を通じて各都道府県市町村まで通知されているが、認めるかどうかは任命権者の裁量にかかっている。
(5)特別な支援体制で臨んだもの
それぞれのケースで組み合わせは異なるが、眼科医、障害者職業センター、ジョブコーチ、ハローワーク、職業訓練施設、産業医等が連携して特別な支援体制をとったものが4件あった(新規就職を目標1、復職訓練1、在職訓練2)。
(6)個別労働紛争等で係争中の事例
解雇撤回、職場環境改善、仕事を与えて欲しいなどの個別労働紛争で係争中のものが6件あった。中には、地方公務員の分限免職について、処分の取り消しを求めた不服審査の審理が進行中のものもある。
■交流会事業報告 大脇 俊隆
1.全般
「将来のための今を考える」を年間コンセプトとして、計画通り3回の交流会を実施した。
この際、スカイプを使用するに当たり、「車両競技公益資金記念財団」の助成を受け、パソコン・マイク・会議システム機器を整備し、各会場との中継の安定化を図った。
2.実施の概要
(1)2011年9月10日(土)
参加者総数 81名(東京52名、名古屋6名、大阪13名、福岡10名)
演題 「変化に順応して粘り強く生き抜く」
〜自らを守りながら職場環境の改善にも一役買おう〜
講師 川口 雅晴(かわぐち まさはる)氏
大日本コンサルタント株式会社 業務統括部総務部総務室主幹
「変化に順応して粘り強く生き抜く」をテーマにグループディスカッションを行い、ヒントを出し合った。
スカイプを使用して、東京、名古屋、大阪、福岡の4会場を結んで開催した。
(2)2012年1月21日(土)
参加者総数 82名(東京52名、大阪22名、福岡8名)
演題 「視覚障害者の就職サポートでの成功事例・失敗事例、そこから見えてきたこと」
講師 木村 志義(きむら もとよし)氏
ジョイコンサルティング株式会社代表取締役社長
「視覚障害者の就職サポートでの成功事例・失敗事例、そこから見えてきたこと」をテーマにグループディスカッションを行い、ヒントを出し合った。
連接会場:東京、大阪、福岡の3会場
(3)2012年3月10日(土)
参加者総数 65名(東京40名、大阪15名、福岡10名)
演題 「10年の空白を越えて」
講師 相良 竜太(さがら りゅうた)氏(晴眼者、精神疾患)
「これまでに越えてきたこと、これから越えていくこと」をテーマにグループディスカッションを行い、ヒントを出し合った。
連接会場:東京、大阪、福岡の3会場
■情報提供事業報告
T IT事業 松坂 治男
1.Webの管理(外部委託)
お知らせ・「情報誌タートル」の掲載
Webトップページに「テキスト広告」を付加(平成24年3月31日まで)
2.MLの管理(外部委託)
3.スカイプを利用した交流会開催時の通信環境の改善
「車両競技公益資金記念財団」の助成金でパソコン・マイク・スピーカを整備し、仙台・名古屋・大阪・広島・福岡に設置した。
まだまだスカイプでの交流会の中継が不安定である。引き続き改善を図る。
U 情報誌作成事業 長岡 保
1.全般
計画通り、第15号から18号まで、年4回の情報誌を発刊した。
2.特に着意した事項
(1) 「お知らせ」のコーナーで、タートルの年間の活動、今後の予定等を努めて早い時期にお伝えするよう配慮した。また、相談活動、必要な事務連絡については、初めて情報誌を見る新しい会員の方にも漏れなくお知らせするため、毎回、ほぼ同じような内容を継続的に掲載した。
(2) 内容的には、従来、【職場で頑張っています】のコーナーを、【職場で頑張っています】と【定年まで頑張りました】を交互に掲載させていただいた。理由は、ここ数年、定年まで勤め上げたと言う情報を耳にすることが増えたように思う。現役で頑張っておられる方の意欲、苦労しながらも定年まで勤め上げた方々のメッセージが、仲間への参考そしてエールになるよう配慮した。投稿してくださる方があれば、毎回両方を掲載できるので、投稿者の情報提供を期待している。
(3) タートルの活動の柱の一つである、相談事業の裏側を、会員にお伝えしたいとのねらいで、工藤副理事長、下堂薗理事に執筆していただいた。会員はもとより、会員以外で悩んでおられる方、眼科医、産業医等多くの方に参考にしていただきたいと考える。
3.反省(お詫び)
第17号の講演内容のタイトルを間違えてしまい、再発送する事態を生じさせてしまった。今後は複数によるチェック体制と、確認するために必要な時間的余裕を持った作業予定で取り組むようにする。
■セミナー開催事業報告 新井 愛一郎
1.第4回視覚障害者雇用継続支援セミナー
11月16日に開催した「第4回視覚障害者雇用継続支援セミナー」は、各方面から、定員を超える97名を集め、ジョブコーチを軸とした人的な支援のあり方について実践的な報告がされ、今後の視覚障害者の職場定着に向けた取り組みへの一つのきっかけを作ることができた。とりわけ、ジョブコーチを中心にした人的な支援制度について、参加者全体でその必要性を身近に感じることができたことの意味は大きいと思う。
また、セミナーでは視覚障害者の理解のための体験コーナーも設置し、セミナー事業のもう一つの柱である企業を対象にした体験型のセミナーのきっかけを作ることができた。
さらに、セミナー予稿集作成において、継続雇用に役立つ情報を「お役立ち情報」としてまとめ、継続的に活用できる資料の提供ができた。
2.体験セミナー
第4回視覚障害者雇用継続支援セミナーの準備の過程で、視覚障害者の理解のための体験セミナーはどのように実施したらよいか検討を行い、短い時間であったが、セミナーにおいて実施することができた。ただ、その後継続的な取り組みはできなかった。
■就労啓発事業報告 安達 文洋
大地震、原発、世界的な金融不安など日本経済が停滞している環境下で、積極的な啓発活動が出来ず、大変申し訳なく思っている。ただ、12月末に連合(日本労働組合総連合会)に理事長、関連理事役員と訪問できた事が将来の活動に生かせればと思っている。
■助成金チーム 湯川 仁康
助成金の情報収集に努め、タートルの事業に合致すると思われる5件の申請を行い、内以下の2件の助成が決定した。
1.申請先:公益財団法人 車両競技公益資金記念財団
助成名:平成23年度「高齢者、障害者の支援を目的とするボランティア活動」に対する助成事業
申請年月:平成23年7月
申請事業名:中途視覚障害者の就労継続相談・交流会事業
スカイプ用機材購入費(会議システム、ノートパソコン、カメラ付きマイク、スピーカー等)
助成額:850,000円(事業費944,500円)
2.申請先:アステラス製薬
助成名:2012年度(第7回)アステラス製薬 公募制活動資金助成
申請年月:平成24年1月
申請事業名:中途視覚障害者の就労継続相談・交流会事業
助成額:200,000円(事業費800,000円予定)
■ボランティア班 長岡 保
1.全般
平成23年度のボランティア事業は、視覚障害当事者で運営するタートルの行事に対して、ボランティアの協力を得て、参加者の安全と円滑な事業の運営に寄与できたものと思料する。なお、ボランティアは、誘導ガイド等移動支援ばかりでなく、スカイプの設定にも大きな役割を担ってきた。
2.実績等
ボランティアの要請は、総会、交流会、セミナー、理事会等の活動に際し、必要な人数を要請し、結果的にはほぼ期待どおりの支援を受けることができた。現状として、5名の方に協力者としての登録を頂いているが、全員が仕事を持っているため、セミナー等、平日の協力が得にくい。また、ボランティアの方の都合により、支援を受けられない場合があり、不足分のボランティアの確保に苦慮した。
3.その他
懇談会を平成24年3月10日(土)に計画したが、ボランティアの方の都合が悪く、実施できなかった。年度末でなく、早い時期の計画の方が、年間の行動を考える上でよいと思われる。次年度計画に反映したい。
平成23年度 特定非営利活動に係る事業会計収支計算書
平成23年4月1日から平成24年3月31日まで
特定非営利活動法人タートル
科目 | 予算額 | 決算額 | 備考 |
---|---|---|---|
T 経常収入の部 | |||
1 会費収入 | 1,450,000 | 1,270,000 | 未入金 (34名) |
・正会員 | 1,200,000 | 1,145,000 | 会員数 237名 |
・賛助会員 | 250,000 | 125,000 | 会員数 33名 |
2 事業収入 | 300,000 | 347,302 | |
・交流会事業収入 | 50,000 | 16,500 | 参加費等 |
・セミナー事業収入 | 50,000 | 0 | |
・情報提供事業収入 | 200,000 | 330,802 | テキスト広告 |
3 補助金等収入 | 0 | 850,000 | 車両競技公益資金記念財団 |
4 寄付金等収入 | 500,000 | 181,410 | |
5 その他の収入 | 3,000 | 4,445 | 利息等 |
6 前期繰越金繰入 | 2,424,459 | 2,424,459 | |
T 経常収入合計 | 4,677,459 | 5,077,616 | |
U 経常支出の部 | |||
1 事業費 | 2,080,000 | 2,485,878 | |
・相談事業費 | 450,000 | 396,630 | 会場費 LV相談会 LV学会 |
・交流会事業費 | 280,000 | 247,915 | 会場費 講師謝金等 |
・情報提供事業費 | 650,000 | 711,333 | 情報誌発行 HP・ML運営 |
・セミナー開催事業費 | 350,000 | 280,000 | 第4回視覚障害者就労支援セミナー |
・就労啓発事業費 | 150,000 | 0 | |
・その他の事業費 | 200,000 | 850,000 | 助成金による事業 |
2 管理費 | 860,000 | 581,883 | |
・役員報酬 | 0 | 0 | |
・給料手当 | 0 | 0 | |
・賃金 | 250,000 | 102,000 | 事務協力手当 |
・備品費 | 0 | 0 | |
・光熱水費 | 0 | 0 | |
・消耗品費 | 150,000 | 133,077 | 事務用品等 |
・通信運搬費 | 150,000 | 64,616 | 郵送料等 |
・交通費 | 200,000 | 199,590 | |
・租税公課 | 10,000 | 2,100 | |
・雑費 | 100,000 | 80,500 | |
3 予備費 | 100,000 | 71,050 | ノートPC |
4 税金 | 0 | 199,000 | 法人税 |
U 経常支出合計 | 3,040,000 | 3,337,811 | |
収支予算差額 | 1,637,459 | ||
当期収支差額 | 1,739,805 | ||
次期繰越収支差額 | 1,739,805 |
平成24年4月13日 監査の結果、相違ないことを認めます。
監事 伊吾田 伸也 印
監事 大橋 由昌 印
■相談事業 工藤 正一
1.相談事業については、基本的に前年通りであるが、従来の当事者による相談会をベースにしながら、できるだけ専門家の協力を得て、就労継続のための相談の質的向上を図る。
2.地方における相談を支援するため、スカイプ相談会をはじめ、各地区担当理事の要請があれば、現地相談にも可能な限り対応する。
3.相談担当が、相談のノウハウを共有できるような、簡易なマニュアルの作成については、引き続き検討していく。
4.眼科医や産業医などとの連携を深めるために、次の行事に参加・協力する。
(1) 第13回日本ロービジョン学会学術総会
日時:10月6日〜7日
場所:文京シビックホール(東京都文京区)
(2) 第4回視覚障害者就労推進医療機関会議
日時:10月28日(日)
場所:国立京都国際会館(京都市)
※第66回日本臨床眼科学会の最終日午後を予定
■交流会事業 大脇 俊隆
1.全般
(1) 2012年度はコンセプトを『我々も応変力を高めよう〜状況の変化に対応し、自分たちも変わろう!』とし、交流と情報提供を2本柱として実施します。
(2) 東京会場を基点に、スカイプを活用して、各地方会場との同時開催を3回実施します。東京、名古屋、大阪、広島、福岡に加えて2012年度は、仙台(東北)と函館(北海道)の全国同時開催を目指します。
2.主要着意事項
(1)初めての参加者が、「決して自分一人じぁない」、多くの仲間が頑張っていると言う実感を持てる交流会に努める。
(2)参加者の近況報告や各自が抱える問題点を出し合い、就労の継続の促進に努める。
(3)視覚障害者の就労に関わる内容のほか、国連障害者権利条約、総合福祉法等最近の法的な変化等、我々に直結する事項でありながら、分かり難い内容のものについての講演を企画する。(調整中)
3.実施期日
(1) 2012年7月28日(土)
(2) 2012年9月8日(土)
(3) 2013年2月16日(土)
■情報提供事業
T IT事業 松坂 治男
1.Webの管理(外部委託)
お知らせ・「情報誌タートル」を掲載する。
Webの「テキスト広告」については保留とする。
寄付金・助成金のページを新設する。
2.MLの管理(外部委託)
3.Skypeを利用した交流会開催時の通信の安定を図る。
U 情報誌作成事業 長岡 保
1.全般
24年度も引き続き、会員はもとより、会員以外で中途視覚障害で悩んでおられる方に役に立つ情報誌の作成・提供に努める。
その際、タートルの活動、動きがわかるような予定、内容等に配慮する。
2.発刊予定
5月、9月、12月、3月の年4回の発刊を予定する。
■セミナー開催事業 新井 愛一郎
1.第5回視覚障害者雇用継続支援セミナーの開催
視覚障害者の職場環境を支援する「IT活用の現状と課題」について情報提供し議論する。
日時 11月21日(水)
会場 中野サンプラザ
内容
(1)視覚障害者の働く「IT技術環境の現状」
(2)社内LANなどの活用による「視覚障害者の働く事例」
(3)IT技術活用上の「課題と対応方法」
(視覚障害者専用機器・ソフト導入のセキュリティ問題への周囲の理解、社内流通電子データへの対応、活用ノウハウの蓄積・向上など)
(4)職場における「IT化の動向と視覚障害者にとっての望ましい方向性」
なお、今年度は経費的な面を考えて予稿集を希望する方には資料代金として1000円を徴収する。
2.企業セミナーの開催に向けて
この活動については、就労啓発事業と全面的に協力して進める。
視覚障害者の理解のための体験型セミナーを企業に対して呼びかけるための、具体的なセミナーのメニューを作成する。そして、きっかけになるようなセミナーを開催したい。
これらを進めるためのスタッフの参加を呼びかけ、議論を重ねていきたい。
■就労啓発事業 安達 文洋
セミナー事業の活動の一つである企業向けセミナーを共同で推進していき、少しでも企業の視覚障害者に対する理解を深めるよう努める。
■助成金チーム 湯川 仁康
平成24年度各事業計画に合致する助成金の情報を入手し、各事業担当理事と協調しながら申請していく。
■ボランティア班 長岡 保
1.全般
24年度は、引き続き、ボランティアの協力を得て、各種行事、活動に際し、参加者及び会員全員の安全と円滑な活動の実施に寄与すべく、協力者の確保に努める。その際、誘導ガイドのほかに、事務局等の協力を受けられるボランティアの発掘に努める。
今年度は、更に、2〜3名の新たな協力者を募り、いつでも4名程度の支援を受けられるようにしたい。
2.主たる対象活動
総会、交流会、セミナー、発送作業を含む事務局支援等。
平成24年度 特定非営利活動に係る事業会計収支予算書(案)
平成24年4月1日から平成25年3月31日まで
特定非営利活動法人タートル
科目 | 金額(円) | 備考 | |
---|---|---|---|
T 経常収入の部 | |||
1 会費収入 | 1,525,000 | ||
・正会員 | 1,225,000 | 245名 | |
・賛助会員 | 300,000 | 50名 | |
2 事業収入 | 150,000 | ||
・交流会事業収入 | 50,000 | ||
・セミナー事業収入 | 50,000 | ||
・情報提供事業収入 | 50,000 | ||
3 補助金等収入 | 200,000 | アステラス製薬 | |
4 寄付金等収入 | 300,000 | ||
5 その他の収入(利息等) | 5,000 | ||
6 前期繰越金繰入 | 1,739,805 | ||
T 経常収入合計 | 3,919,805 | ||
U 経常支出の部 | |||
1 事業費 | 1,800,000 | ||
・相談事業費 | 450,000 | ||
・交流会開催事業費 | 300,000 | 3回、スカイプ接続(仙台・東京・大阪・福岡・広島・名古屋) | |
・情報提供事業費 | 650,000 | 情報紙4回発行、HP、ML管理 | |
・セミナー開催事業費 | 300,000 | 第5回視覚障害者雇用継続支援セミナー | |
・就労啓発事業費 | 100,000 | ||
・その他の事業費 | 0 | ||
2 管理費 | 710,000 | ||
・役員報酬 | 0 | ||
・給料手当 | 0 | ||
・賃金 | 200,000 | 事務協力手当 | |
・備品費 | 0 | ||
・光熱水費 | 0 | ||
・消耗品費 | 100,000 | ||
・通信運搬費 | 100,000 | ||
・交通費 | 200,000 | ||
・租税公課 | 10,000 | ||
・雑費 | 100,000 | ||
3 予備費 | 100,000 | ||
4 法人税 | 100,000 | ||
U 経常支出合計 | 2,710,000 | ||
経常収支差額(T−U) | 1,209,805 | ||
当期収支差額 | 1,209,805 | ||
次期繰越収支差額 | 1,209,805 |
◆ 会費納入のお願い
皆様方におかれましては、日々ご健勝のこととお慶び申し上げます。また、日頃は法人の運営にご理解ご協力を賜り心から御礼申し上げます。
さて、NPO法人タートルは、ご案内のとおり皆様方の会費を中心に、温かいご寄付、助成金等により運営しております。会費の納入方法につきましては、毎年5月に会員の皆様宛て、お名前、住所、金額等を記入済みの郵便振込用紙を郵送させていただいております。
平成24年度もスタートしました。つきましては、事務局より会費納入のご案内を送付させていただきますので、その節はご高配のほどよろしくお願い申し上げます。
また、本誌掲載の総会議案書のとおり、当法人の運営は資金的に逼迫している状況です。皆様方からの暖かいご寄付も歓迎いたします。併せてよろしくお願い申し上げます。
≪会費・寄付等振込先≫
ゆうちょ銀行
記号番号:00150-2-595127
加入者名:特定非営利活動法人タートル
年会費 :正会員 5,000円
賛助会員 1口5,000円
◆ 情報誌「タートル」の購読について
情報誌「タートル」は、墨字(印刷物)・DAISY(デジタル録音図書CD)・カセットテープ・メール配信の4種類を発行しております。会員の皆様にはその中からご希望によりお届けしています。
墨字とメール配信はタートル事務局から、DAISYとカセットテープは「東京YWCA音訳ボランティアグループ(お茶の水)」のご厚意により作成していただき皆様に送付しております。
つきましては送料等の経費を節約するためにも、パソコンのメールアドレスをお持ちの方は、できるだけメール配信で購読していただけますよう、ご協力をお願いいたします。
情報誌の購読媒体の変更等につきましては、タートル事務局まで電話またはメールでお申し込みください。次号の「情報誌タートル」からお届けできるように手配させていただきます。
(メール配信・カセットテープ・DAISYは会員のみとさせていただきます。)
◆ 就労相談
タートルでは次のような就労相談事業を無料で行っていますので、どうぞ、お気軽にご相談ください。また、お知り合いの方で、お悩みの方がおられましたら、教えてあげて頂ければ幸甚です。
連絡先は、専用電話:03-3351-3208
相談専用メール:m#ail@turtle.gr.jp(スパムメール対策のため、2文字目に#を入れて記載しています。送信時には#を除いて送信してください。)です。
(1) 通常相談会:
随時、希望に応じて相談会を開催しております。電話、メール等でお受けしております。
(2) ロービジョン相談会:
通常相談の中から特に就労継続のロービジョンケアが必要な人を対象に、眼科医の協力を得ながら実施しています。
(3) 地方相談会:
必要があれば地方役員と連携し、地方での相談会も検討させて頂きます。
◆ 今後の主な予定等について
《交流会》
7月28日(土)、 9月8日(土)、2月16日(土)を予定しております。
皆様のご参加をお待ちしております。
《第5回視覚障害者雇用継続支援セミナー》
期日 11月21日(水)
会場 中野サンプラザ
《情報誌発行》
次回情報誌第20号は、9月下旬発刊予定です。
この情報誌が皆様のお手元に届く頃は、桜前線が、津軽海峡を過ぎ、北海道でしょうか?もう桜前線は日本列島から消え去っているかな?
ことのほか厳しい寒さと、記録的な大雪と、例年になく長く続いたあの寒さから、ようやく開放されましたね!
東日本大震災で被災されて、仮設住宅等で過ごされた方、また放射能の影響で、居住地を離れて過ごされた方にとっては、私たちと比べ物にならない厳しい冬だったのでしょうね。たぶん、桜咲く春が来るのを信じて、寒かった、長い冬を過ごされたことと思います。
我々中途視覚障害者の仲間の中には、まだ、寒い暗いトンネルを手探りで進んでいる方もおられるかと思います。自分もそうでしたから。そんな中でも、情報のアンテナを張って、そして、近くに、遠くにいる仲間たちの発してくれる経験や有用な情報をキャッチしながら、「あせらず・あわてず・あきらめず」、一歩ずつ、いや半歩でも前に進むことにより、トンネルの先の光が見えてくる。
信じよう、心の雪解け!桜咲く春がくることを!
今年度も、会員の皆様に、少しでもお役に立つ情報誌をお届けできるよう、努めたいと思っております。
( 長 岡 保)