第9回 プレクストークのビジネスシーンでの活用法 情報提供  村田 拓朗 氏 (東京都在住 ヘルスキーパー) 荒川 明宏 氏 潟宴rット代表 開催日 2019年2月2日 〇新井(進行)私たちは、どうしてもビジネススキルというと何か特別な領域のスキルと考えがちだと思います。 しかし、見えない・見えづらい私たちは日常生活の中でいろいろな工夫をしながら過ごしていると思いますね。私は、そのような生活の中でのいろいろな工夫も仕事にたくさん役立つことがあるのではと思うのです。 こんな観点で、ぜひ参加されたみなさんと情報交換をしていきたいと思います。 これは、私たちが行っている実践的ビジネススキル勉強会の基本的な考え方でもあります。 このような思いで、今回は、多くの皆さんがご存じのプレクストークをぜひ考えていきたいと思うので 1.村田さんのお話し ○村田(講演者) 皆さんこんにちは、ご紹介していただきましたヘルスキーパーの村田卓郎と申します。PC-Talkerが語っている通りの名前でございます。 以前に、ビジネススキル勉強会で重田さんが白杖デビューについてお話をされた時に、同じように福祉用具がある中で、拡大読書器・プレクストークの使い方も是非この勉強会に取り上げていただけないかと提案したところ、なぜかこちら側に座る立場になりお話をすることになりました。皆さんよろしくお願いいたします。 (1)プレクストークの概要、機器の認知度と利用度  東京会場の限定になってしまいますが、この中にプレクストークを知っている方はどのくらいいるか拍手でお願いします。 ○全員(東京) 全員拍手。 ○村田(講演者) 皆さんご存知ですね。活用している方はどのくらいいますか。 ○全員(東京) 大分少ない拍手。 ○新井(進行) かなり減ったね。 ○村田(講演者) なるほどDAISYが何かということを知っている方はどのくらいいますか。 ○全員(東京) 半分拍手。 ○村田(講演者) なぜか増えた感じがします。たぶん私より詳しい方が、たくさんいると思います。どちらかというと、間違っていたら後で訂正していただけたらと思います。 ○村田(講演者)  DAISY図書、DAISY企画というもので編集されている図書を、主に再生するのがプレクストークです。Shinano Kenshiが製造している物です。ほぼ全国のどこの自治体でも日常生活用具になっていると思いますが、このプレクストークには様々な機能があり、特に録音機能があり、機種もいろいろありますので、本日はその中でPTR1と呼ばれる機種とPTR2の2つの機種を持ってきました。実際にデモンストレーションをして、皆さんと共有していければと思うのですが、新井さんセッティングをお願いします。 (2)PTR-1のデモと説明  皆さんにお聞きしますが、PTR1の機種がわかる方はどのくらいいらっしゃいますか。 ○全員(東京) 少ない拍手。 ○村田(講演者) これは、手のひらサイズでボタンは多いですが数字ボタンは電話のような配列で、テンキーのような配列になっています。SDカードを入れて収録をしたDAISY図書を再生したりする機種です。新井さんお願いします。 (DAISY図書を流す) ○村田(講演者) 音量とスピードの調整もできます。ヘルスキーパーに関連したDAISY図書を日頃読んでおります。  これには、実は録音機能があります。私が週末に近隣の図書館で対面朗読サービスを受けた時に録音をしたものを流します。 (録音をしたのが流れる) ○村田(講演者) この時に必要な資料を読んでもらい、録音をして保存して聞いています。録音で少し遊んでみます。熊懐さんはいらっしゃいますか。 ○新井(進行) 熊懐さんは相談会でいらっしゃいません。 ○村田(講演者) 芹田さんアドリブで申し訳ありませんが、タートルの事務局の電話番号はわかりますか。 ○芹田(事務局) 小原さん大きな声でお願いします。 ○小原(東京) 「03のほにゃらら−ほにゃらら」です。 ○村田(講演者) 皆さん聞こえますかね。ちょっと聞こえづらいかもしれませんが、申し訳ありません。これ以上大きくするとハウリングを起こしてしまうので、これぐらいしかできません。このように録音をして、すぐに再生をして活用しています。 (3)録音機能の活用例 ○村田(講演者)  これがなんの役に立つかというと、皆さんが仕事の会議に出られるときに、会議ではいろいろな証拠を残しているとこちらにとっても都合がよく、会議の録音には日々使っていただけるとよいかと思います。  あとは電話のやり取りをしているときに、横で録音をしながら、ちょっと残しておきたいことを自分で復唱をしておくと、それを後で音声でのメモ取りとして利用することができます。一応相手には許可を取った方が良いと思います。  注意点としては、録音をする際は必ず機械をテーブルの上に見える様に置き、周りに許可を取らなければ盗聴になってしまいます。盗聴になってしまうと自分の立場が悪くなるので、その辺は注意点として気を付けてください。以上のようにPTR1はこのような感じで使っています。 (4)PTR -2のデモと説明 ○村田(講演者)  今日はPTR2も持ってきましたので、それも披露したいと思います。PTR2を知っている方はどのくらいいますか。 ○全員(東京) 少ない拍手。 ○村田(講演者) PTR1より減った感じですね。因みにこれを仕事にどう活用するか、と最初にご紹介をいただきましたが、新井さんにもメールをしたのですが、正直言ってあまり仕事で使っていないですね。仕事以外の場面で使っているみたいです。例えば、チケット等を買う時のダイヤルプッシュする時に10桁の番号を言ってくださいと言われるので、横で自分で復唱しながら言って聞きながらもう一回押すことができます。皆さんでタートルの機関誌を聞いてみましょう。 (音声が流れる) ○村田(講演者) こういう所属団体の発行しているのをCDで再生する機種です。このようなことで日々活用している感じです。私のしていることはこのような感じなのですが、新井さん、こんな感じでよろしいでしょうか。 (5)ここまでについての質疑応答・情報交換 ○新井(進行) 皆さんに今までのところで質問があれば。 ○参加者(福岡) 首都圏在住ですが所用で福岡にいましたので、福岡の勉強会に参加しました。質問なのですが、リンクポケットを電車の中で聞くと、ちょっと音量が小さいのですが、何か方法はありますか。 ○荒川(講演者) そんなに小さいのですか。因みにイヤホンには対応しているのと対応していないイヤホンがあります。iPhoneとかで使えるマイク付きのイヤホンを使うと音がとても小さいです。その時には、iPhoneのマイクボタンを押しっぱなしにしておかないと音が大きくならないです。マイクと兼用になっているイヤホンはリンクポケットでは使えません。昔のステレオテレビで使うようなモノラル式のイヤホンとかだとうまくいきます。 ○村田(講演者) ご質問がある方。明らかにHさんとかはシネマDAISYとかを聞いているので私より詳しいはずですが、質問より訂正と補足が多い気がするのです。 ○参加者H(東京) その機種で編集ができるのがすごく役に立っています。大事なところを必要なところだけ残して、いらないところを削除することが簡単にできます。私が盲導犬の会の会報誌を担当しているときに、点字をスラスラ読めなくて、結構間違えて読んだりすると、そこだけを切っていかにも読めているように、編集ができる機能が良いと思います。あとは、PTR1は通勤の途中に読書するのにすごく使っています。 ○新井(進行) 結構その編集となるとなかなか難しいのを、うまく使いこなせると、これは是非、後半の荒川さんに具体的に、仕事でこう使えるという可能性を述べていただきます。例えば、先ほど村田さんが言われた、見えていると番号を見ながらいろいろな操作ができますが、私たちの場合はなかなかそれができない。そういう場合に一旦音で録音をしてそれを聞く。これはいろいろな仕事の場面で役に立つような気がするのです。  普通の人は電話番号を見ながら簡単にやってしまいますが、私たちはこういうのを使い工夫してやって行く。本当に細かいことですが、この会では大事にしていきたいと私は思います。簡単なことですが、私は大切なことだと思います。 2.荒川さんのお話し ○司会 村田さんから引き継いで荒川さんからいろいろなお話をしていただいて、村田さんには後で再度登場していただきます。それでは次に荒川さんお願いいたします。 ○荒川(講演者) 皆さんこんにちは、荒川と申します。よろしくお願いいたします。  このプレクストークの話を実はShinano Kenshiの営業の方から私のところにやってくれますかと来たので、いいですよと言ったのですが、私の中で引き受けた時に二つ考え方がありました。一つはきちんとプレクストークの営業マンになったつもりでする選択肢と、もう一つは本当の仕事の意味での、活用という選択肢、どちらの視点でお話をしようかと思ったのですが、後者のほうの話で行きたいと思います。 (1)プレクストークの機種  先ほど、村田さんから話がありましたが、まず、プレクストークの機種についてどの様になっているかをお話しします。PTR1は税抜きの非課税で41,040円で、録音ができ、小型のタイプです。これと同じ形でリンクポケットという機種は85,000円です。パッと見て触ってもわからないので、間違って持って帰れば得する場合もあります。  何が違うかというと85,000円のリンクポケットは、インターネットにつながってサピエが聞けます。これが41,040円と85,000円の違いです。  PTR1とリンクポケットの両方ともSDカードに録音ができます。PTR1には内蔵メモリーがないのですが、リンクポケットには内蔵メモリーがあります。  村田さんが説明されたPTR2という機種は、今でも人気のある機種ですが、発売終了の商品です。私もこの機種が一番、大好きです。  いま売られているのは、PTN3とPTR3という機種です。これは大きいタイプで持ち手がついていて横長です。こういう講習会とかいろいろ持ち歩くのには非常に邪魔な機種です。ただ便利な点は持ち手がついているので、一人で5台とかを片手で持てる。そんなことぐらいですと言うと怒られますかね。   PTN3という機種は48,000円する機種です。PTR3という機種は85,000円する機種です。何が違うかというと、PTN3はDAISYは聞けるけど録音ができない。SDカードにバックアップを取ったりはできますが、録音はできませんというのがPTN3です。これに対して、PTR3は録音もできインターネットでサピエにもつながるというのがPTR3です。SDカードにもバックアップができます。  ただ、こういうことはメーカーの方は言わないですが、PTR2とPTR3の大きな違いなのですが、PTR3はバッテリーがほぼ1時間ぐらいしかもたないので、こういうところに来て録音をしたいというのには、全く向いていない機種です。このPTR3にはお楽しみオプションという16,000円か17,000円のソフトを入れると、ラジコが聞けたり、点字が聞けたり、ワードファイルが聞けたりPDFファイルが聞ける機能があります。これがShinano Kenshiさんが出しているプレクストークシリーズです。 (2)ブレーズの説明 ○荒川(講演者)  もう一個日本で発売されているDAISY機器は、ブレーズという商品があります。値段が118,800円の商品です。これは韓国のヒムズという会社で出している商品で、日本ではエクストラという会社が輸入元です。ラビットでも販売している商品です。これは何ができるのかというと、DAISYを聞くことができ、インターネットにつなぎ、サピエにもつながります。テキストファイルも聞けます。ラジオのAMとFMも聞けますが感度は悪いです。これも結構ポケットサイズで小さいです。  もう一つ、目の見えない人のメリットは、OCR機能があって活字のものを読ませることができる。なかなか読ませることは難しいですが、焦点がピタッと合えば、それなりに読み取る機能がブレーズETという機種です。この機種も録音はできるのですが、大きなデメリットがあり追記録音ができないのです。録音はできてもファイルがわかれてしまう。ICレコーダー感覚なのです。これがブレーズという機種の録音機能になっています。 (3)録音の種類とその特徴 @録音機器の種類 ○荒川(講演者)  一般的に録音と考えた時に、どの様な選択肢があるのかというと、一番はICレコーダーによる録音でパナソニックが出していますし、今はどうなのかわかりませんが、昔オリンパスでも出していました。慣れれば簡単に使えますが、一回録音をして聞いて、消すという用途にはよいのかな。ICレコーダーは、録音の質もとても良いので、会議等の録音をしても離れた音でもきれいに録音ができるのが、ICレコーダーの大きな特徴です。ただし、値段が高い機種はですよ。安い機種はだめです。マイクが駄目ですから。  二番目はiPhoneで録音をしてしまう方法です。iPhoneのボイスレコーダーという形で録音をしてしまう。これも慣れてくれば比較的に手軽に録音ができる方法です。三番目には、リンクポケットやPTR3とかPTR2で録音をする方法です。四番目にはブレーズクロフォードでエクストラの商品で録音する方法があります。 Aリンクポケット・プレクストークを使うメリット  録音をどういう目的に使うのかということで、使うものが変わってくると思います。  例えば、リンクポケットとかプレクストークを使うメリットは何か。一番のメリットは、先ほどHさんが言われたように編集が魅力です。ところがPTR1とリンクポケットの編集機能というのは決して高くありません。PTR1とリンクポケットの良い特徴は、録音中に見出しが付けられます。録音をしながらあるボタンを押すと見出しというのが付くのです。そうすると、今度聞き直したいときに矢印キーで簡単にそこに飛ばすことができるのです。例えば、録音中に、注目したい点の前後に見出しを付けておけるということで、とても便利です。  録音が終了した後に追記で録音ができるのが、二番目のメリットです。追記というのは後ろという意味で、前には入りません。例えば、録音をしてその前に今日の2月2日タートル勉強会を頭に録音したいと思ってもそれはできません。リンクポケットは常に後ろ後ろにしか入らない特徴になっています。  3番目は、見出しを付けてあげるといらないところを範囲選択して、簡単に消すことができます。ICレコーダーでもできますが結構面倒です。比較的簡単にプレクストークやPTR1とかPTR2は画面がないですが、見えなくても簡単に音声ガイドでできるのが、リンクポケットPTR1の良さです。一方でデメリットですが、追加録音ができません。自分はあとからここに足したいのですが、一切受け付けてくれません。編集で後ろのものを前に持ってくる移動作業はできません。DAISYにはページという考え方がありますが、このページが付けられない。3つのデメリットがあります。そこで、いったいどこまで編集する必要があるのか。先ほど対面朗読を取ってみたら始める前に、いつの録音としてスタートして録音をしてあげれば、そういう問題は解決します。どこまで追記録音をするかは、画面がないと考えたなら録音としてはリンクポケットPTR1で充分なのではと思います。  もう一つ対面朗読で、録音していろいろやりたいのであれば、きれいに編集して、何かに活用するという可能性があります。そういう場合には2つの方法があります。一つはパソコンでプレクストークレコーディングソフトウエアを使って、PTR1とかリンクポケットで取り込んだDAISYをSDカードのパソコンに差し込んでDAISY編集します。因みに音声で全部可能ですが、操作が簡単とは言えません。もう一つは、PTR3という機種です。SDカードを読み込んで編集する。そうすると2台もたなくてはならないですが、こういう編集には二通りのやり方があると思います。  PTR1とリンクポケットはDAISY図書やテキストファイルが読めるのが案外便利なところです。例えば、会議の資料をテキストファイルでもらえるものがあれば、予めリンクポケットのSDカードに入れておく。私は一時期どこかに行くときの道順を、ホームページからテキストファイルにしてPTR1に入れて聞きながら歩いたのですが、面倒くさくなり人に聞いた方が早いと思いました。 (4)その他 @録音するマイク  プレクストーク PTR1・リンクポケットもそうなのですが、マイクが非常に貧弱です。録音をするときの内蔵マイクが結構貧弱です。自分の声とか特定のことをきれいに録音するのであれば、指向性のマイクを付けるとよいです。今日みたいな会場の声をきれいにひろうとしたら、前指向性または無指向性のマイクで360度の音を集めるマイクを使うと比較的にきれいに音が入ります。  この間、ある仕事で、オーカムのデモンストレーションを録音するためにプレクストークを使ったのですが、全然きれいにとれませんでした。私の声は大きいので入っているのですが、オーカムにプレクストークを近づけても、なかなかきれいに入りませんでした。でも無指向性のマイクを付けたらきれいに入りました。音という問題であれば、マイクを入れればよいかなと思います。 Aバッテリー  リンクポケット・PTR1はバッテリーが4時間から6時間ぐらいは持ちますので、1日使う分には十分かなと思います。それとバッテリーは簡単に抜き差しでき、予備のバッテリーを持ち歩くこともできるので便利ではないかと思います。 B点字ディスプレイ  私が何を見ながらお話ししているかと言うと、全部を覚えてきて話をすることもあるのですが、そうすると気分によって脱線するとそのまま脱線しっぱなしで終わることもあります。そこで、今日は、パソコンで書いた原稿をポラリスという点字ディスプレイにSDカードで差して、テキストファイルがそのまま点字になるので、それでいろいろな資料を読んだりしています。 (5)録音で注意したいこと  次に、一般的なプレクストークの話をさせていただきます。  私は4つの立場でのいろいろな経験をしています。一つは一般企業で、健常者といっしょにコンピューターの電算室に4年間ぐらい働いていました。一般企業での勤務の経験があります。それと、いま会社の社長で視覚障害者を雇用している。視覚障害者は5、6名が働いており健常者は4、5名います。このように雇用をしているという立場です。それと、私も一視覚障害者であるという立場です。もう一つは、実際に視覚障害者に対しての商品を扱って販売を行っているという立場です。合わせて4つの立場があります。  私がすごく「えっ」と思ったことがあります。ある人を面接したときに、私が面接をするのにこれから録音をさせてくださいというのです。相手は面接を受ける立場なのですが、言われたことを忘れてしまうので、面接を録音しますと言われました。私も相手が目が悪いとわかっているので駄目ですとは言えないのです。その時に私は心から「はい」と言えるか言えないか。逆の立場になったら皆どうなのか。よく自分の立場は皆さんよく主張しますが、こと録音に関してはうまくいかないと思います。  やはり会社ではプライバシーの問題やいろいろな問題があります。私の会社にも便利だからと言って、やたら録音をされたら困るわけです。それが個人で録音をされて、外に持ち出されてしまうと何かあった時には大変なことになります。なかなか録音に関してはよほど理解をしておかないと難しいです。  それは本当に理解があるとか、理解がないで片づけられないと思います。例えば、会議での利用シーンを考えて欲しいのですが、皆さんが会議を主催する側の部長さんだとします。その中で一人の視覚障害者が録音をしてくださいと録音機を突き出して来たら「わかった」と言えるのか、目が見えないから仕方がないな、うっとうしいと内心思ってしまうのか。3番目はそんなもの許可できない。この3つの中に分類されると想います。自分の今の立ち位置の中で、どういうところの立ち位置なのかを、間違えてしまうと人として浮く存在になります。  まだ、内部の会議では良いですが、営業での利用シーンを考えて欲しいのです。あなたが営業の部長で、部下が視覚障害者だとします。部下の視覚障害者がお客様の目の前で、「私、見えないのでこれから録音をさせていただきます」と言ったときに、上司のあなたでしたらどのような判断をしますか。これも積極的に「よし」とユニバーサルで結構なことだと本当に心から言えるのか。仕方がないというのか。やはり無理というのか。  また、あなたがお客さんの立場になった時はどうでしょうか。お客さんとしてラビットに来てパソコンの相談を受けに来たとして、ラビットの社員が、私は目が見えないのであなたの言うことをみんな録音しますといったら、「本当にラビットさん視覚障害者の社員を一生懸命に雇用していて立派で結構ですね」、と本当にそう思えますか。  私はこの3つのどれが正解でどれが間違いかは関係ないのですが、その人とその立場によって状況は変化すると思います。ここを間違えてしまうと、録音というのは非常に人間関係を悪くしてしまいます。けっして人間関係が悪くなったものは、理屈ではよくならないのでそういった意味も考えて道具をうまく活用し、周りの環境も抑えて活用する。これがポイントではないかと思います。 (6)荒川さんの話の締めくくり  今日の話の前に、村田さんと仕事での利用シーンということで話したのですが、仕事で利用していることは、なかなか考えられないと思いながらどういう話をされるのかと思いましたが、やはりそうではないのだなと思ってちょっと安心しました。こういったことが、誤解しがちになる所に気を付けたほうが、私はすごく良いのではないかと個人的には思っています。いまリンクポケットとかプレクストークの話がありましたが、ラビットでもプレクストークはどんどん販売しているので、これを機会に買って欲しいと思います。現時点でDAISYを聞くことを考えたらiPhoneという選択肢もあります。テキストファイルを読もうと思ったら、iPhoneで!?ボイストオブリーダー?!というソフトを入れてあげたり、またテキストリーダーというソフトもあります。本当にいろいろと幅広く多彩に使えるようになってきている時代です。そういうものをうまく使えるようになればよいと思います。プレクストークとかリンクポケットは専用機なので使いやすく、普段DAISY図書を聞くのには、iPhoneで聞くよりとても便利です。iPhoneで電話をかけたりいろいろなことをやれるようになりたいと思ったら、長い目で見たら小さなことからiPhoneを使っておくことです。プレクストークからずれてしまいましたが、私はそのような活用の仕方を考えていただければよいのかなと思っています。もしよろしければ、プレクストークとかほかのことで、ご質問をいただければお答えいたします。 2.荒川さんから。これからのビジネス環境の動向 ○荒川(講演者) 今後の世の中の展開はどのようになるのか。外れる可能性もありますが、短い時間でビジネスといった所で話してみたいと思います。  いま、クラウドという話を皆さん聞くと思います。これから仕事は本当にクラウドが進んでくると思います。なので、ワードやエクセルで仕事が成り立つというのは、もしかすると3年後はクエッションという時代になるかもしれない。ある程度、覚悟を持っておかないといけないという時代に入ってきたと思います。これはワードとエクセルがなくなるという意味ではなくて、勿論なくなりはしませんが、物が別の物に置き換わっていくということで、企業によってはワードやエクセルではなく別なものを使っていくという流れが、これからどんどん加速していくと思われます。  ではなぜか。マイクロソフトと大きく並んでいる会社にGoogleがあります。Googleはマイクロソフトと同じように様々なサービス展開をしていて、企業向けにはGシートというサービスをやっています。実はいろいろな大学とか企業等でも、例えば会社のメールアドレスはGoogleを使っているメールアドレスだったりすることが多いのです。会社が独自でやっているのではなく、Googleのメールアドレスなのです。そうするとGoogleのセキリティに引っかかるメールソフトはその時点で振り分けられて使えなくなる。会社にとってはメールソフトをパソコンにインストールすることは、大変なリスクなのです。いまですとスマホで持ち運ぶ、だけどスマホも社員の顔認証でないと入れないといろいろとスマホのほうがセキリティが高いわけです。  このように時代も変わってくるわけです。この中で、クロームというブラウザーを使ってスプレッドシートというのがあるのですが、これをどんどん入れて活用していこうという会社がこれから増えていくと思います。これはPC-Talkerでは、非常に大きな関門が待ち受けています。やれなくはないけど大変です。ジョーズとかNVDAのソフトを使えば、比較的PC-Talkerよりよく読みます。これが社会の現状です。古い企業は、なかなかそういうことには手を出さないから大丈夫だと思いますが、先端技術を追っている企業でベンチャーや新しい外資系企業が行う可能性が非常に高いです。自分でジョーズを使いワード・エクセルを使いデータを集計し、加工する仕事はみんな機械やAIがやってしまう時代になるわけです。  私たち、人間の価値はどこにあるのか、本当に昔は見えない人でワープロを使える人が少なかったため、見えなくてもパソコンを使えることで、実は価値があった。テープ起こしもそういう価値だと思います。誰もがパソコンを使えることになると、そんなところに価値も何もないわけです。  もう少し進んでくると、皆は文字は打てるけれども、エクセルとか細かいことはできない、そしたら見えない人が、エクセルとか技術的なものを使うことで使っていけますが、それも終焉を迎える時代になってきます。これからの時代は、いかに私たちが発信するか、意見を発信するとか文章を書くとか提案をすることで、成果に結びつく仕事を視覚障害者もやらないと、単なる事務屋さんというのは、いらなくなってしまいます。これがAIや自動化になってくる仕事なのです。  今までは、メールが来た際にエクセルで集計していたことが、これからはGoogleのメールとスプレッドシートで簡単にできてしまう。私が1時間やったらプログラムが書けてしまいます。そういうことで非常に、私もいろいろ勉強して思ったのですが、ショッキングな時代になりつつあります。コミュニケーションとかマッサージも一つの武器で、ロボットにはできません。そういうプラスアルファで、ほかの人に何かをしてあげるアウトプットできる武器が、これからのビジネスにはとても大切になってくるとおもいます。自分の長所になった武器を磨いていくことが、私はとても大切ではないかと思います。 8