第7回 ビジネスマナーについて 講演者 北島 恵以子氏(『心が伝わるビジネスマナーの基本』監修者) 開催日 2018年2月3日 ○新井(主催者) 本日の講師である北島恵以子先生をご紹介させていただきます。先生は長らく民間企業で、役員秘書のお仕事をされていたということです。その後その経験を生かしてコンサルタントの活動をされていて、豊富な実務体験に基づきまして秘書研修やビジネスマナー研修や販売員の研修・CS研修などに長く携わっておられます。  タートルの理事でもあります熊懐さんが、長い間お仕事の関係で、先生と深くお付き合いをされていたということで、そのご縁で、今日は先生に来ていただいております。先生はPHP研究所で『心が伝わるビジネスマナーの基本』の監修を行っています。この本です。副題は「社会人としての心配り思いやりとは」。そういう副題が付いております。この本の内容を表わしたようなサブタイトルがついています。同じ表題でDVDも出ております。このDVDは7万円もします。すばらしいDVDでしたので、スタッフの皆で共有して見させていただきました。是非会社などで研修があるときは、こういうのを利用していただければと、人事の方にお伝え願えればと思っています。そういうことで、拙い紹介で申し訳ありませんが、先生よろしくお願いいたします。 ○北島(先生) ただいまご紹介いただきました、北島恵以子と申します。新井さんのほうから全部ご紹介いただいて、歳の頃も分かってしまうのではないかと思うのですけれども、学校を卒業しまして12年ほど秘書の仕事をしておりました。その後いろいろな企業さんの研修、先ほどダーッと言ってくださいましたけれども、そういった研修のお手伝いを30数年させていただきました。  今回、熊懐さんからお話を頂戴いたしまして、ビジネスマナーの基本ということで情報提供させていただく機会をいただきました。基本ということですので、もう皆さんご存知のことばっかりなのではないかと思うのですけれども、ときには初心に戻るということもいいかと思います。今回のことをたたき台にして、これからどうやっていったら、より良い社会生活、職場生活になるかというようなことを、考える機会にしていただけたらありがたいかなと思っております。 1.今日の話の流れ (注)ここから北島先生のお話しですので、発言者としてのお名前は省略します。  これから1時間の時間を頂戴しておりますけれども、その中の情報提供なのですけれども、大きく分けまして2つの柱でビジネスマナーの重要性、必要性についてお話させていただいて、その後、実際の場面を4つの項目だけに分けてお話させていただこうと思っております。  それではまず、「挨拶と言葉づかい」、それから「電話の応対のマナー」、それから「訪問した時のマナー」、そして「来客応対のマナー」、この4つの場面を想定してそれぞれお話させていただけたらと思っております。 2.ビジネスマナーの重要性と必要性  まず1つ目は、ビジネスマナーの重要性と必要性ということでございます。  ビジネスマナーというのは、よくお聞きになると思いますし、ビジネスマナーって何?とお考えのことも多々おありになったかと思います。もちろんビジネスマナーはカタカナの横文字でございますので、英語辞書を引くと、「ビジネス」は「仕事」、それから「マナー」は「礼儀作法」と出てくるかと思います。いわゆる仕事をしていく上で礼儀作法を守っていきましょう、相手に対して失礼にならない態度や振舞いをしましょう。引いては、相手への思いやりをかけあって、より良い職場生活にというところではないかと思います。  そこで1つご紹介したいと思うものがあるのですが、松下幸之助さんご存じでいらっしゃいますよね。はい、ありがとうございます。彼についてなのですけれども、もちろん、いまはパナソニックという会社になっておりますけれども、その前は松下電器という会社でございまして、そこの創業者でいらっしゃいました。彼は本当にビジネスの神様、経営の神様などと言って尊敬されていらっしゃった方です。  彼がある時、インタビューを受けまして、こんな質問をされたそうです。「ビジネスパーソンとして大事なことは何だとお思いになりますか?」と聞かれたそうです。その時に彼が答えたのは、「そうですね、みんなに愛されること、信頼されること。それが大事なのではないでしょうか。それにはマナーが必要ですね。」こんなふうにおっしゃったということなのです。 3.ビジネスマナーの3原則  ビジネスマナーの、実は3原則と言われているのですけれども、ご紹介しますと、まず1つは、「人に迷惑をかけない」。幾つか例を上げてみますと、「彼よく遅刻してくるんだよな」とか、「約束を守らないんだよな」という方。やはり迷惑ですよね、一緒に仕事するのは。  2つ目は、「人に好感を与える」ということで、これも幾つかご紹介します。挨拶しても無視されるとか、あるいは職場にふさわしくない派手な服装だとか、だらしない服装をしている。あるいは平気で嘘をつくなどという方は、やはり一緒に仕事する仲間としては不愉快だと思います。   3つ目は、「人を尊敬する」ということ。ときどきありますけれども、自分の自慢話ばっかりして人の話を聞いてくれない。あるいは年長者に対してもため口だとか、あるいはぞんざいな言葉で話すという場面もある。こういうことが、いわゆる3原則に相当することかと思います。  先ほど申し上げましたように、3つの原則、人に迷惑をかけないようにする。2つ目は人に好感を与えましょう。3つ目は人を尊敬する、大事にしましょう。この3つがビジネスマナーの基本ということで、この3つを守るというか、これに則って仕事をすることによって、周りの皆さんに愛される、信頼される存在になる。こういうことを松下幸之助さんは言いたかったのだろうと思います。  私たちがいつも仕事をしていく上で、この3つの原則を頭に置きながら仕事をすることで、より良い仕事の成果に結び付いてくるのではないかと考えております。そこで、ビジネスマナーの基本を4つの項目に分けて考えていきたいと思います。 4.ビジネスマナーの基本その1:挨拶  1つ目は挨拶ということなのですが、「ええ、そんなところからやるの」という、そういうお声も聞こえそうなのですが大事ですよね。また挨拶というのは漢字で書くと二文字になります。お聞きになったことがあるかと思うのですが、挨拶の「挨」は自分から心を開くという意味がある。挨拶の「拶」は、相手に近づくという意味があるという言葉で、従って2つ合わせて「挨拶」というのは「自分のほうから心を開いて人様に近づいて行く」。その時に大事な言葉が、この挨拶の中に込められていると言われています。  ところで、ビジネスの中で使う挨拶言葉ってどうでしょうか。皆さんのほうから出していただけるとありがたいのですが、時間の関係があるので私のほうからご紹介しようと思います。紹介するほどではないのですが、例えば、 ・おはようございます ・こんにちは ・いらっしゃいませ ・ありがとうございます ・行ってきます ・ただいま戻りました ・お帰りなさい ・お疲れさまです ・お世話になっております ・お先に失礼します ・お疲れさまでした  まだまだあると思うのですが、こういった言葉を職場の中でみんなが気持ちよく交わすことがまず第一ということになります。ただ言葉だけではなく、動作を付けるということで、お辞儀というのをおっしゃる方が多々ございます。その時ですが、お聞きになっているとは思いますが、会釈・敬礼・最敬礼、それぞれで15度30度45度。角度まであるのかと思ってしまいますが、一つの目安ということで、その時その時の相手に対するものですし、あるいはこちらの気持ちを動作に表わすとそれが角度になって表現されるということです。ちょっとしたことで深々とお辞儀されますと何か慇懃無礼な気がします。逆にお詫びをするという時に会釈程度だと、本当に悪いと思っているのかなと思いますし、本当に言葉と動作というのは大事だなと思ったりいたします。 5.ビジネスマナーの基本その2:言葉使い (1)敬語について  2つ目は、言葉使いになります。言葉使いで一番やはり気を使うのは敬語ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。意外と敬語は難しいです。敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語があって尊敬語は相手を立てる時に使う言葉。謙譲語は自分がへりくだって結果的に相手を立てる。丁寧語はお互いの品位を保つためのものです。  こういう敬語の使い方を習ったのはいつ頃でしょうか。小学校か中学校かわからないのですが、これはよく試験などでも出てきたような気がするのですが、実際にこれを使うというのはなかなか難しゅうございます。実は、私も先ほど秘書の仕事をしていたと申し上げたのですけれども、一番最初に付いた上司が言葉にえらく厳しい方でいらっしゃいまして、まあチェックが入った入った。本当に恥ずかしいのですけれども、反面教師として、お話させていただこうと思います。 先生の体験その1:誤った敬語を使った  例えば、上司が出先から帰っていらっしゃいました。にこにことしながらご苦労様ですと言ったのです。そしたら上司が憮然として「君にご苦労様と言われる覚えがない」と言われたのです。「ええ!」と思いました。 「君、知っているか。ご苦労様というのは苦をねぎらうと書くだろう。公家は上の人が一段高い奥のほうから苦しゅうない、面(おもて)を上げいと言って、下の人の労をねぎらったところから始まっているのですよ。」 「へえ」と思いました。何と私は上司に「苦しゅうない、面(おもて)を上げい!」と言ってしまったのです。ぞおっとしまして、「申し訳ございません。こういった時はどう言ったらよろしいですか」と伺ったら、「下の人が上の人をねぎらうという事、それ自身がちょっとクエッションマークなのだけれども、言うとすれば『お疲れさま』かな」と言われました。  これは皆さんお聞きになっていると思うのですが、だいぶボピュラーになりました。『ご苦労様』は上から下。『お疲れ様』は下から上。ビジネスにはどうしても上下関係がございますので、どっちから使っていい言葉だとか、使うべき言葉だとか、そんなことがあるかなと思います。  2つ目は、このようなことがありました。上司のところへ来客の報告に行きました。「坂本様が参られました」と言ったのです。「くすっ」とされて、わかっていらっしゃる方がいらっしゃるようですけれども、その時も上司が「ぷい」と面白くなさそうにしていて、坂本さんがお帰りになった後でお叱りを受けました。  「君ね、坂本様が参られましたと言っただろ。参るというのは来るの謙譲語だよね。それにいくら「れる」「られる」の尊敬語を使っても尊敬の意味にはつながらないのだよ」と言われました。「坂本様がいらっしゃいました。」、「おいでになりました。」「お越しになりました。」、ちゃんと尊敬語を使いなさいと言われました。“ああ、そうか気を付けなければいけないな”と思いました。 先生の体験その2:二重敬語  丁寧に使えばいいのかなと思いがちですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉がありますように、丁寧にしすぎるというのもおかしいのです。こういうことがありました。「先ほどの資料を御覧になられましたでしょうか」と言ったのです。私としたら本当に丁寧に言ったつもりなのですが、それもおかしいと言われまして、「『先ほどの資料、御覧になりましたか』で十分なのだよ」と言われました。「ご覧になる」というのは「見る」の尊敬語、それに尊敬の助動詞の「れる」「られる」を付けたら付け過ぎで、二重敬語になると言われました。“ああ、なるほどな”と思いました。 敬語についてのまとめ  このように、敬語というのはなかなか難しいことで、私も最初のうちはあまりにもチェックがたくさん入りまして、叱られてばかりいるものですから、その上司のことが嫌いでした。“細かいことをおっしゃるな”と思いました。でもいまになったら本当に感謝しています。いろいろ今でもまだ間違って、ドキッとすることがございますけれども、少なくとも“気を付けよう”という気持ちだけは持ちながら話をするようになったかなと思っています。  まずは、敬語の使い方をもう一度勉強しながら仕事に活かす。そういうところもご配慮いただけたらと思います。 (2)クッション言葉  そして、仕事をしていく上での言葉使いとしてとても重宝なものが、「クッション言葉」というものなのですが、お聞きになったことはありますか。お隣どうしいかがですか。クッション言葉、聞いたことありますか。 (ここで司会が「はじめての方手を挙げてください。」と尋ねたところ、5人ぐらいが挙手)。  どうもすみません。ありがとうございます。クッションというのは、ちょっとソファとかに置いて使うものですが、言葉として会話の中にクッションをはさむように使った時に、ソフトになったり丁寧になったりする言葉を『クッション言葉』と言っています。  例を出しますと、 ・おそれいりますが ・お手数ですが ・勝手を申しますが ・ご面倒おかけしますが ・ご迷惑と存じますが ・申し訳ございませんが ・せっかくでございますが ・お差し支えないようでしたら と、相当あるわけです。こういった所で、例えばよく使う言葉で「もう一度お願いします」という代わりに、「おそれいりますがもう一度お願いいたします」。「おそれいりますが」の一言を付け加える。あるいは、「今週中に送っていただけますか」というところを「ご面倒おかけしますが、今週中に送っていただけますか」という形で一言付けると非常にソフトであり、丁寧なイメージで、あるいは心が伝わる感じになります。これを『クッション言葉』と言っております。  是非こういった言葉使いを、ちょっと気を付けるだけで、人に与える印象とかが随分変わってきますので、心がけていけたらと思います。 6.ビジネスマナーの基本その3:電話の応対  それでは場面変わりまして、電話の応対のマナーに入らせていただきます。まず電話の応対は、これは声だけのコミュニケーションになります。だから、正にその言葉使いとかそういうものが威力を発する場面なのですけれども、声の窓口でイメージメーカーという言い方もされます。心構えとしましては4つの原則があります。 (1)電話応対の原則その1:正確であること  まず、正確であること。言葉だけですので間違いやすいので、言うときにはゆっくり話す。早口の方がいらっしゃいましたら、自分から気を付けなければと思うかもしれません。それから発音です。口の開け方を大きくすることで、はっきり聞こえます。特に機械を通しますので、口の開け方をはっきりすることが大事だと思います。  あと、聞く時に復唱確認です。どうしても耳だけに頼りますので、言われたことで大事なことは、きちんと復唱確認するというところです。 (2)電話応対の原則その2:迅速であること  2つ目は、迅速ということで、早く出るとか、個別に頼まれたら待たせないとか、細かい配慮が必要になります。 (3)電話応対の原則その3:簡潔であること    3つ目は簡潔ということ。電話代もばかになりませんので、できるだけ簡潔明瞭に会話をする。 この時によく言われるのは、5W1H。「Who」「When」「Where」「What」「Why」で5W、1Hは「How」。 以前はそうでしたが、今は3Hとおっしゃる会社も多くございます。増えた3つのHは「How Much」と「How Many」。そのように言っている会社もございます。 (4)電話応対の原則その4:丁寧であること  それから丁寧ということで、これはやはり言葉使いです。先ほどの敬語ですとかクッション言葉を上手に活用しながらいい応対ができたらと思います。 (5)電話応対の実際  正確・迅速・簡潔・丁寧というのが電話応対をするときのポイントになります。それでは実際の場面でどのようなところが注意点になるか考えてみたいと思うのですが、まず電話をかけるといったときは、自分が誰にどういうことでかけるという心構えがあります。だから何とかなるかな。  ところが逆にかかってくる場合は、いつ、どなたからどういう用件でかかってくるかはわからないというところで、ちょっと気を使うということなのです。しかも、かかってくるのは携帯電話ですと自分宛ですが、普通の固定電話ですと、自分宛とは限りませんので、お仲間の方ですとか、そういった方たちにかかってくることがあると思います。そういう時に、その方の代理でもありますし、組織の代表としてきちんとした応対をしたいということです。  例えば、その場面をここでやってみたいと思います。私がタートルの鈴木さんを仮定させていただきたいと思います。電話が入ってきたお相手が第一商事の田中さんとおっしゃる方で、総務の木村さん宛に電話をくださった。そんなようなことをイメージしてください。 (注:以下は電話の呼び出し音も含めて、北島先生がお一人で演じています。) (電話の呼び出し音) トルルル トルルル (タートル) はい、タートルでございます。 (相手) 第一商事の田中と申しますが、 (タートル) 第一商事の田中様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。 (相手) こちらこそお世話になってます。総務の木村さんいらっしゃいますか。 (タートル) 総務の木村でございますね。かしこまりました。少々お待ちくださいませ。 (タートル) 木村さん、第一商事の田中さんからお電話です。 このような応対になります。  さあポイントを振りかえってみましょう。  まず名乗ります。「はい、タートルでございます。」と言いましたけれども、今はほとんど「ございます調」です。これからよそ様に電話をなさった時に聞いてみてください。最近は「ございます調」が多いのではないかと思います。  そうすると相手の方は、マナーを守って自分から名乗ってくださいます。「第一商事の田中と申します」。そうしたら声だけの応対ですから、そこでさっそく復唱確認です。「第一商事の田中様でいらっしゃいますね。」お相手ですから、尊敬語のいらっしゃいます確認します。  そして挨拶です。「いつもお世話になっております」。そうすると「こちらこそお世話になっております」。「総務の木村さんいらっしゃいますか」ということで名指し人を告げられました。「総務の木村でございますね」。身内ですから、もちろん敬称を取って、総務の木村でございますね。これは身内ですので尊敬語ではなく丁寧語で確認をする。お客様は尊敬語の「いらっしゃいますね。」、同じ確認でも身内の者は丁寧語の「ございますね。」  「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」。保留ボタンを押すなどをして、「木村さん、第一商事の田中さんからお電話です」という応対になるかと思います。 (6)名指し人が不在の時の対応 @相手に選択権を委ねるのが基本  それが基本になるのですけれども、いつも木村さんがいらっしゃるとは限らないわけです。いつも取り次げるとは限らないわけです。電話していらっしゃる、外出していらっしゃる、会議中でいらっしゃる、出張中である。あるいはちょっとお席を外して、トイレかな、食事かな、ということもあるかと思います。そういった時は「あいにく木村は外出しております。いかがいたしましょうか」。基本的には相手に選択権を渡すということになります。その時にお相手はもう一度かけ直そうかな、後からかけてもらおうかな、ここで用件を頼んでおこうかな、このような選択になると思うのです。 A相手がかけ直す場合  もし、「もう一度あとでかけ直します」とおっしゃいましたら、「おそれいります私、鈴木と申します。木村が戻りましたら申し伝えておきます」と言うことです。受けたのは私鈴木ですよ、間違いなく木村さんに言っておきますよ、ということを相手に言っておく。 Bこちらからかけ電話する場合  2つ目として、「あとで電話いただけますか」と依頼されたら、「かしこまりました。念のため電話番号をお願いいたします」、ということで電話番号を伺って復唱確認をして、間違いなく伝えるということになります。 C伝言を依頼された場合  3つ目として、「それでは言っておいてください」。要件を代わって聞くというのが3つ目の対処法です。それを聞いて、これも復唱確認です。「明日の打ち合わせが10時から11時に変更ということでございますね。私は鈴木でございます。その旨木村に申し伝えます。」という形で復唱確認して相手に言っておくことになります。一人でべらべらしゃべっておりますけれども、大丈夫ですか。申し訳ございません。こういったところが、普通というか一番ポピュラーであり一番多い電話の応対になるわけです。 D携帯電話での注意事項    あとは固定電話だけではなくて、携帯も多うございますので、携帯を仕事でお使いになる方どれくらいいらっしゃいますか。挙手お願いいたします。何人ぐらいいらっしゃいますでしょうか。10人ぐらいでしょうか。ありがとうございます。非常に便利ですので、どんどん携帯に移行しつつあるということですが、これもメリット、デメリットがあります。特に気を付けたいのは、デメリットのほうで、いいことばかりではないということで、例えば電波の状態によって通話が途中で切れてしまうとか、通話が周囲の雑音に左右されやすい。「ワァワァ」聞こえたり、雑音が入ってくる。つい大声で話をしてしまいがちで情報漏えいのリスクになる。これ、ありますよね。隣で聞いていてもわんわん聞こえるのです。  それからプライベートの時間にも、仕事の連絡が入るなんてことも働き手としたら少しデメリットかなと思います。それから紛失した場合というのが困ります。電話帳のデータなどの個人情報が漏れるということもありますし、携帯電話は大事に使いたいと思います。  基本的には、まず使用する時に、使用する場所を先に考えるということ。それから相手の立場、状況を考える。「いまお話してもよろしいですか」と、一言いってから本題に入る。  口をすっぱくして言われるのが、マナーモードの活用があります。打ち合わせとか、良し悪しだとは思うのですが、私はこれで反面教師になったことがあるのです。  セミナーを開催している時に、このような場面で最初の時に司会の方がおっしゃるのです。マナーモードにしてくださいと言われまして、私もそうだなと思っていたのです。セミナーをやっていたら、どこかで「とるるる とるるる」と鳴るのです。どなたか切っていらっしゃらないのかと思ったら、自分の近くで鳴っているのです。いけないと思い、肝心な私が切っていなくて、とても恥ずかしい思いをしまして、しっかり反面教師というのをやったことがございます。少し小まめにそういったところも配慮したいなと思いました。 7.ビジネスマナーの基本その3:訪問マナー  3つ目として、訪問マナーについては、出先にこちらから伺うという訪問する時にどのようなことを気をつけたらいいかということなのですが、これも設定してみましょうか。東京商会の相沢さんの所にこれから行きたい。私はタートルの鈴木でそのような場面をイメージしていただきたいと思います。 (1)遅刻は厳禁、約束の時間の5分ぐらい前に訪問する  まず、いきなり行かないで、電話ですとかメールでアポイントメントを取ります。アポイントを取った上で、その時間に遅れないように行くということがスタートになるかと思います。遅れるというのは、本当にある意味論外ですけれども、早過ぎても迷惑ですので、5分前ぐらいを目安に行ったらいいのかなといつも思っています。 (2)訪問時の身だしなみ  その時に、身だしなみということで、新入社員の時にはよく言われますが、「うちの会社はおしゃれはいらないよ」。おしゃれというのは、自分本位で、「どうですか格好いいでしょ」というのが明確です。そうではなくて、身だしなみというと、ひと様が見て感じがいいということ。一番は清潔感かなと言われます。  以前は、バッグ等のことも言われたのですが、最近は本当に多様化してまして、昔ながらのアタッシュケースからトートバックに近いのとか、リュックだとか、いろいろなのがビジネスの場面で使われております。その職種ですとか状況にもよるかと思いますが、それぞれの組織でルールがあったら、それに沿っていただきたいというのが、いつも言わせていただいていることです。 (3)コートは玄関先で脱ぐ  あとこれだけ寒いとコートを着ていくということがありますが、『コート類は原則として玄関先で脱いで』。『コートは外で着るもの』というのが、やはりありますので、それを頭に置きたいと思います。 (4)受付、案内されて入室・着席  そして「タートルの鈴木と申します。相沢さんに2時のお約束をいただいております。」という形で申します。そして案内の方が先導してくださって、話をする部屋にご案内いただいて指定された席に座る。  こういう感じになるかと思います。「そちらにおかけください。」と言われた時に、「ありがとうございます。」と返します。 (5)お茶を出されても、すぐに飲まない  座るとお茶を持ってきてくださることが多いです。ただ、すぐに飲むということはあまりお勧めしません。これはなぜかと言うと、これ秘書の仕事をしていた時も、本当に誰に出しても、その時にはお客様だけではなく上司の分も持っていくのです。まずお持ちして、すぐに飲んでしまわれると、担当者や上司はまだいないわけです。来た時に飲もうと思ったら、もう相手の方が空ですとまた気をきかせて頼まなければいけない。自分が飲みたくても飲めないとかそういうことも無きにしもあらずということで、ちょっと我慢していただいてということかと思います。 (6)挨拶、名刺交換、着席  そして相沢さんが入っていらっしゃったら、もしその方と初対面であれば、そこで名刺交換という場面になるかと思います。入っていらっしゃったら、座ったままではなく取りあえず立つ。立って「はじめまして」と挨拶して渡すということで、名刺交換をするとき渡すのは訪問者が先です。  訪問者のほうが会社で下の位の者ということになるわけです。上の人を呼び付けることはあり得ないわけです。下の人が相手先に出掛けて行くというオーナーベースになりますので、訪問者のほうが下であり先に出すということになります。  「お世話になります。」あるいは「はじめまして。私、タートルの鈴木と申します。」ということで、名刺を出します。その時に私はこういう者ですと言って名前を名乗らないと、『見ればわかるでしょう。』という感じになりますので、必ず名乗りながら出すということが大事かなと思います。  初対面で名刺をいただくわけですから、その名刺とお顔とを復唱確認をする。「鈴木様でいらっしゃいますね。私は東京商会の相沢と申します。」ということで、先方が私たちに名刺をくださることになります。いただいた名刺で「相沢様でいらっしゃいますね。お互いによろしくお願いいたします。」。ご挨拶の後に相沢さんの方から「どうぞおかけください。」というお声がありましたら、「ありがとうございます。」あるいは」失礼いたします。」ということで、かけるということになります。 (7)名刺を仕舞うタイミング  そこから打ち合わせになり、商談がスタートする。その時の名刺なのですが、よく私にいただく質問は、『どうしたらいいですかね。もらった名刺は』というのですが、悪いのですがすぐそこで仕舞うと、何となくぞんざいな感じがありますので、取りあえずテーブルの上に置かせていただき、ただし、「それでは失礼します」と帰る時にまだ残っていたら『覚える気がなかったのかな』と、これもまた失礼ですので、タイミングよく会釈しながら仕舞わせていただくのがいいかと思います。そこのタイミングはその時の状況でないとわからないですね。要は、すぐに仕舞わないこと、最後まで残さないこと、みたいなことが基本になるかと思います。複数の場合はおかけになってらっしゃる席順にテーブルに置くというのが基本となっております。 (8)商談が終わったら  無事に商談が終わりましたら、「お忙しいところ、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。」という一言お礼の言葉をそえながら、「今後ともよろしくお願いいたします。」。このようにして辞去していただくことになります。 8.ビジネスマナーの基本その4:来客応対のマナー  続きまして、4つ目の項目で来客応対のマナーということで、先ほどはこちらから出掛けた時ということでしたが、先方が来てくださる場合もあるかと思います。その時に気を付けるところということです。 (1)社内で来客の予定を共有しておく  まず、社内というか身内でその日の来客スケジュールを共有化しておくということが、とても大事というか重要です。何時に誰が誰を尋ねて来るなどということを知っておくと、身内の動きとか風通しもよくなります。そういった情報化です。朝礼なんかは昔はやっていましたけれども、いまはどうなのでしょうか。今日は何時にどうのこうの、私は何時に出掛けますみたいな情報が、きちんと皆に行きわたっていると、より効果的かと思います。  例えばこれも設定してみたいと思いますが、今日2時に関東物産の斉藤様が、総務の鈴木さんを尋ねて来るというような状況だったとします。 (1)お迎えした時のご挨拶  2時頃に斉藤さんがいらっしゃいました。「関東物産の斉藤と申しますが、総務の鈴木さんいらっしゃいますか。」というふうにおっしゃいました。ここでも復唱確認です。「関東物産の斉藤様でいらっしゃいますね」。つぎ、殺し文句です。「お待ちしておりました」。そんな言葉聞かれたことありますか。これ言われたらもうそれだけで好感度が抜群ですよね。『待っていてくれたのだ』。だからこういうところが、風通しをよくすると同時にすごく効果的なご挨拶というのでしょうか。「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」なんて言われると、とても訪ねた方は嬉しいものです。あるいは別の人が案内するという時には、「関東物産の斉藤様でいらっしゃいますね。鈴木でございますね。しばらくお待ちくださいませ。」と言って鈴木さんが出て来て、鈴木さんが部屋に案内する。そんな段取りになるのかなと思います。 (2)エレベーターは要注意  ここで気をつけたいのは、皆様のところでエレベーターなどをお使いになる機会があることもおありかと思います。あそこは要注意です。まあいろいろな会話が飛びかっています。だからエレベーターに「どうぞ」と言ってお客様のご案内をして斉藤さんをご案内した途端にエレベーターに乗っている人が「あのね」「実はね」とか社内情報が筒抜けというか人様の悪口なんていうのはとんでもないですよね。気をつけたいなと思います。 (3)室内での席次  そして面談の、あるいは打ち合わせの部屋にご案内する。ご案内する時にはよく言われることですけれども、上席をご案内する。上座です。お客様におかけいただくお席ということになります。これもルールとしましては3つあります。 @入口から遠い席ほど上席  まず1つ目は入口から遠いこと。どうしてか。入口の近くはお茶を持って入ったり資料を持って入ったりとか、動きが結構多いのです。落ち着かないのです。入口から遠いほうのお席のほうが動きが少なくて落ち着くという理由で、入口から遠いところになります。 A椅子の格式  2つ目は、椅子にも格式がありますということです。ビジネスで使われている椅子で一番いいのはソファです。長椅子です。二番目は肘かけのある椅子。三番目はいまおかけになっているような背もたれだけの椅子です。四番目は回りに何もないスツールです。これはよく補助席などに使いますけれども、こういう4つがありますので取りあえずその部屋で格の高いものを一番奥のほうに置いて、そこをお客様のお席とさせていただくということになります。 Bテーブルの正対を使う  そして3つ目のルールとしては、テーブルに正対する。正対とは正しく対すると書きます。これは、よく応接室や会議室で使うテーブルで、長方形のものが多いかと思うのですけれども、長い面が正対面です。短い方が脇側対になります。正対面のほうが上ということです。この3つのルールを考えながらそれぞれお客様をお迎えするほうは、前もってだいたいどこの部屋を使うかはわかっているわけですから、あそこの部屋にとお通しするときは、あそこはお客様の席で、こちらに担当者という形で最初に把握しておく。そういう教育化した中でご案内するといいと思います。 (4)お茶出し  ご案内した後に、お客様と身内分のお茶を出すということになります。「どうぞ」ということで、一言そえてお勧めする。のどが渇いたり寒かったりいろいろな状況の時に、一杯のお茶が、とてもありがたいというのが、訪問するほうはあるかと思います。そういったことも含めて対応していただけるといいのかなと思います。 (5)お帰りになる時  そして打ち合わせや面談が終わりましたら、最後やはり一言、「お寒い中、お忙しい中お越しいただいてありがとうございました。お気をつけてお帰りください」という送り出しの言葉が一言あると、非常に気持ちよくお客様の相手ができるのかなと思います。 9.最後に  以上、駆け足ではございましたが、ずっとお話をさせていただきました。本当に基本のところですので御存じのことばっかりかと思うのですが、改めて確認していただいた上で、これが基本とは言われますけれども、その中でこのような時どうしたらいいのだろうとか、そうしたいのだけれどもできないというのが、いろいろあるかと思うのです。いまお話したことをたたき台にしていただいて、それではこういう時はどうしたらいいのだろうか、という時にお考えいただけたらとてもありがたいなと思います。そのための時間はちゃんと取ってあります。この後はおまかせしてQ&Aの時間にしていきたいと思います。  総じて言えば、基本とは、基本のことを当たり前のことを当たり前にする。やはり相手に対する思いやりの気持ちを何としてもどこかで表現していく、ということが大事なのかなと思っております。恐れ入ります。以上私からの情報提供はここまでとさせていただきます。